風の谷のナウシカ:タイトルソングなのに「風の谷のナウシカ」イメージソングの不条理

荒天の内地をよそ目に6月並みの暖かさの札幌からこんばんは。ちょっと奥さま聞きまして?最高気温18度ですってよ!この分ではゴールデンウィークを前に桜がさいちゃうかも知れません。

本日はなつアニソンです。宮崎駿しばりをしている訳でもないですが、「カリ城」と来たら次作の「風の谷のナウシカ」に行かないわけにも行かないでしょうということで、今日紹介するのは安田成美が歌ったそのものずばり「風の谷のナウシカ」です。

ただこの歌、「アニソン」とみなして良いのか非常に迷うところがあるのです。なぜかというと、アニメ映画のタイトルそのままの題名にも関わらず、本編で一切使用されていないからです。

そもそも安田成美は小学三年生でスカウトされ、CMやドラマには既に出演していましたが、1983年に「風の谷のナウシカ」のアニメ映画化にあたって募集されたイメージガール・オーディションでグランプリを獲得しており、「風の谷のナウシカ」で歌手デビューしているのです。

作詞松本隆、作曲細野晴臣、編曲萩田光雄という錚々たる顔ぶれで制作された「風の谷のナウシカ」は1984年1月25日にリリースされ、オリコンシングルチャートでも10位にランクインされるヒットとなりました。イメージガールなんだし、そこそこヒットしたのだし、映画の主題歌であって何の不思議がありましょう。

しかし、監督の宮崎駿と制作の高畑勲が本作の内容と楽曲の乖離等を理由に反対したということで、劇中本編で使用されることはありませんでした。一応予告編などの映画プロモーション用のイメージソングとしては使用されてはいましたが。確かに歌詞を見ると本編のイメージからすると松本隆の詞は牧歌的に過ぎるかな(腐海を樹海とはよく言うぜ)とも思いますが、おそらくこれは表向きの理由であって、真の理由が別にあると思います。

それはずばり、安田成美の歌唱があまりにも下手だったことです。実は安田成美は本作を皮切りに84~88年にかけて6枚のシングル、2枚のアルバムを出している訳ですが、とにかく歌が下手でした。その後バブル期のトレンディードラマ・ブームに乗っかって主演作が相次いでヒットしたことで女優に大きく舵を切ったのですが、仮に女優として芽が出なかったとしても歌手としての成功はあり得なかったでしょう。その割りにド下手歌手・ド下手アイドルとして名前が挙がってこないのは、「女優さんが歌を歌った」という認識のせいだと思います。


歌手が歌を歌って下手だと洒落になりませんが、女優ならね…という感じでしょうか。俳優の仲村トオルの「IT'S ALL RIGHT」とか、お笑い芸人の明石家さんまの「シングル・ベッド」とか、レコードを出してみたけどとにかく下手だったという人は沢山いるのですが、この人達には本業は歌手じゃないという逃げ道がありました。そして「いくら歌手じゃないと言ってもあんまりにも歌が下手すぎるだろう四天王」の頂点には、安田、仲村、明石家など「まだまだ小物」と言わんばかりに君臨するプロレスラー藤波辰巳がいるのです。

極北の名曲「マッチョ・ドラゴン」は、いくら本業は歌手じゃないと言っても「酷いよ…あんまりだよ…」とまどかが泣いてしまうほどの衝撃の作品ですが、あんまりにもインパクトがあるのでこれについてはまた別の機会に紹介したいと思います。C/Wの「ドラゴン体操」もまた凄いんだ。

1985年にリリースした5thの「サマー・プリンセス」もこの様です。花王ソフィーナのCMで流れていた記憶がありますが…レコードなのに安心して聞いてられないこの不安定さは一体何なんでしょうかね?
細野晴臣は、安田成美の歌に相当頭を悩ませたそうで、レコーディングの時には相当苦労したんだそうです。一流のミュージシャンである細野晴臣をして苦悩させるほどの圧倒的歌唱力を持つ実力者、それが安田成美(笑)。しかし先ほどの挙げた「いくら歌手じゃないと言ってもあんまりにも歌が下手すぎるだろう四天王」の中では最弱なんです。サイアークですよサイアーク。まあ「風の谷のナウシカ」は結構楽曲として歌うのが難しい部類だという指摘もあり、細野晴臣がもっと易しい曲を作っていれば良かったのかも知れません。

金色の花びら 散らして
振り向けば まばゆい草原
雲間から 光が射せば
身体ごと 宙に浮かぶの

やさしさは 見えない翼ね
遠くから あなたが呼んでる
愛しあう人は 誰でも
飛び方を 知っているものよ

風の谷の ナウシカ
髪を軽く なびかせ
風の谷の ナウシカ
眠る樹海(もり) を飛び越え
青空から 舞い降りたら
やさしく つかまえて

花や木や 小鳥の言葉を
あなたにも 教えてあげたい
何故人は 傷つけあうの
倖せに 小石を投げて

風の谷の ナウシカ
白い霧が 晴れたら
風の谷の ナウシカ
手と手 固く握って
大地けって 翔び立つのよ
はるかな 地平線

風の谷の ナウシカ
眠る樹海(もり) を飛び越え
青空から 舞い降りたら
やさしく つかまえて

アニメ映画の「風の谷のナウシカ」はスタジオジブリ設立前の作品ですが、数々の賞を受け、宮崎駿の知名度を大いに引き上げる作品となりました。「カリ城」同様、上映時は大ヒットとはいきませんでしたが、翌年のテレビ放映(私もこれで見ました)で有名になり、その後のソフト販売・レンタルでは一般映画に並ぶ売上げを記録しました。

それでは聴いてみて下さい。レコードでも不安定なのに生で歌わせるという暴挙に出ています。これは放送事故ではないのか?でも10代の安田成美は可愛いですね。
こちらはレコード盤のフルバージョン。いろんな補正がかかっているせいか生歌よりは遥かにましになっています。某グループのように口パクで良かったんじゃないでしょうかね。流石細野晴臣、曲自体は悪くないと思いません?
そうそう、イメージソングと言えば、次作「天空の城ラピュタ」でもですね…。よし次回はこれだな。

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