さめない夢:やはり子供は置き去りの「赤毛のアン」ED

こんばんは、お寒うございますね。しかも今日辺りは札幌より関東の方が寒かったみたいですね。昨日は札幌で雪が降りましたが、今日は都心で雪が降ったとか。札幌よりよほど珍しいですね。

折しも桜咲く季節。咲き乱れる桜に降り積もる雪ということで、いずれが桜の花びらでいずれが雪の欠片か迷わせたりして。新古今調の和歌になりそうです。ところで明里さん、雪は秒速何センチで地上に落ちるんですか?

さて本日はなつアニソン、先日OPの「きこえるかしら」を紹介した「赤毛のアン」のED「さめない夢」を紹介しましょう。

「さめない夢」も「きこえるかしら」と同様に、作詞岸田衿子、作編曲三善晃、歌唱大和田りつこです。現代音楽の大家である三善晃が作曲しているので、芸術性は非常に高いのですが、当然ながら子供の歌唱なんかに全く配慮していません。ここまでぶっちぎっているとむしろ清々しくていいです。「

はしっても はしっても
おわらない 花の波
みずうみは遠く
もえるくもは もっと遠く
花の中で 一日は終る
さめない 夢みたいに
さめない 夢みたいに

ねむっても ねむっても
きこえる 水の音
夕暮れはやさしく
かねのおとは もっとやさしく
アボンリーで 一日は終る
さめない 夢みたいに
さめない 夢みたいに

それでは聴いてみて下さい。動画がばりばり動くフルバージョン。もはやこれ以上のものはないでしょう。
アン達が住んでいたグリーンゲーブルズはプリンス・エドワード島(略称PEI)にありますが、住所としてはアボンリー村なんですね。そういえば昔「アボンリーへの道」ってドラマをNHKでやっていましたけど、「赤毛のアン」とは違っていたような。そう思って調べましたら、作者は同じくモンゴメリなんですが、他の作品である「ストーリー・ガール」「黄金の道」をベースに、「赤毛のアン」シリーズなど複数の作品から人物やエピソードを交えて構成されていたのだそうです。

アン自身は登場しませんが、マリラと双子(シリーズ2作目の「アンの青春」でマリラが引き取ることになったデイビーとドーラ)、マリラと同居するようになったリンド夫人、アンの憧れの人・ステイシー先生などが登場してきます。時代は20世紀初頭ということで、「赤毛のアン」と同じ世界観のドラマだとすると、シリーズ6作目の「炉辺荘のアン」(1900~1906年)の頃でしょうか。7作目の「虹の谷のアン」や8作目の「アンの娘リラ」は、アンの子供たちが主人公となっており、アンは母親としての部分的な登場しかなく、主人公ではなくなっているそうです。

原作は3作目の「アンの愛情」までは読んだのですが、4作目「アンの幸福」以降を読む機会があるかどうか。そういえば、書籍版表紙のアンはアニメとはいろいろ違っています。もちろんアニメ版に引き摺られる必要は無いのですが、外見があんまりにも可愛かったり萌え系だったりするのはちょっと違うような気がします。アンの魅力は外見よりは内面だと思うので。

アニメは監督が高畑勲、作画スタッフに宮崎駿が名を連ねるという豪華さでしたが、宮崎駿は「アンは嫌いだ。後はよろしく」と述べて14話で降板し、「ルパン三世 カリオストロの城」へと去っていったそうです。よし、明日はカリ城の歌だ(笑)。


宮崎降板の理由については、アンのキャラ設定が嫌いだったとか、「未来少年コナン」で監督に目覚めたからとか言われていますが、最大の原因と囁かれているのが、自分が推していた声優がアン役に抜擢されなかったからだという。

アン役の声優を決定する際、最終候補には山田栄子と島本須美が残っていましたが、純粋に演技力とイメージの近さを評価されていたのは島本須美の方だったそうです。山田栄子は「演技が大げさ気味でたどたどしく、イメージとも少しずれている」という評価で、宮崎駿は島本須美の起用を強く支持しましたが、高畑勲は「破天荒で空想がちなアンを演じるには、少しイメージを崩したほうが良い」と考え、あえて山田栄子を起用したのだそうです。

宮崎駿はその後「ルパン三世 カリオストロの城」のヒロイン・クラリス役に島本須美を起用し、「風の谷のナウシカ」でも主人公のナウシカに起用しているので、島本須美の声は相当のお気に入りだったのだと思われます。確かに島本須美のクラリスは、はまりまくっていましたね。

アンを演じた山田栄子はその後「小公女セーラ」で島本須美と共演しますが、主人公のセーラを島本須美が、セーラを執拗に虐めまくるラビニアを山田栄子が演じることになりました。山田栄子はなぜラビニアがそこまで陰湿かつ執拗にセーラを虐めるのか理解出来ず、収録時に涙を流しながらセーラを虐める演技をしていたそうです。「小公女セーラ」には宮崎駿を高畑勲も関わっていませんが、何がどうしてこうなった。

作中終盤、セーラを敵視する理由について「もう憎んでなんていないわ。落ち目になったのにちっとも堪えた素振りを見せないからよ!」と言っていますが、セーラが矜持を保ち続けていたのが気にくわなかったのでしょうか。おっと、アンの話がすっかりセーラにずれてしまいましたので、今日はこの辺で。

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