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ハカイジュウ:主役を喰った生徒会長と変態教師の“純愛”

砕氷船オーロラ
 
 
 こんばんは。今年のオホーツク海の流氷面積は過去最小ではないかと報じられていました。網走では、陸から流氷を目視できる最終日「流氷終日」が1946年の統計開始以来、最も早い3月17日で、流氷期間は過去最短タイの43日間だったそうです。

過去最小の流氷

 これも地球温暖化の影響か…などと思っていたら、今日は札幌で小雪が降りましたよ。積もるほどではないとはいえ、4月になっても雪が降るあたりはさすがに北の都です。

ハカイジュウ1巻
ハカイジュウ2巻

 さて本日は、最終盤に北海道が舞台となる「ハカイジュウ」を紹介しましょう。「ハカイジュウ」は月刊少年チャンピオンに2010年5月号から連載され、2014年7月号で第一部が終了しました。単行本は13巻ですが、ラストは「俺たちの戦いはこれからだ!」的で謎が全く解明されなかったのですが、2015年1月号から第二部が開始されたということで、今後ちゃんと謎を解き明かして欲しいと思います。

卓球Dash!!

 作者の本田真吾は月刊少年ジャンプを主戦場としている漫画家で、「ハカイジュウ」以前には「卓球Dash!!(ピンポンダッシュ)」という卓球マンガを連載していました。

ハカイジュウ3巻
ハカイジュウ4巻

 立川市の高校生鷹代陽(あきら)はバスケ部員で親友の久遠瑛士と幼馴染みの藍沢未来を取り合う仲ですが、ある日学校にいる間に大地震が発生し、気を失ってしまいます。目が覚めると、同級生たちの無残な死体が転がり、その傍らには謎の怪物がいました。訳もわからず逃げ出した陽は、立川からの脱出を試みますが、いたるところに現れた
怪物達は、他の地域も地獄絵図に変えていたのでした。

ハカイジュウ5巻
ハカイジュウ6巻

 謎の怪物達は、地震と共に突如出現した未知の生命体で、自衛隊を母体とするらしき謎の部隊などからは特殊生物と呼ばれています。一般人にとっては全く寝耳に水なのですが、自衛隊や政府中枢はこの怪物達の存在と覚醒をあらかじめ知っていたようで、数々の対抗策を講じていますが、その一環として怪物が発生した立川周辺は隔離して閉鎖しようとしており、生き残った人間を見捨てようとしていました。

ムカデ型
ゴーヤ型
エビ型

 小型の特殊生物はいくつかの種族に別れており、小型といっても大きなものがビルよりも大きくなるのですが、種類が違うと極めて仲が悪いらしく、出くわすと殺し合っています。最初に登場したムカデ型の他、全身に出来物が出来ていていくもの目を持ち、両腕は鎌状になっているゴーヤ型、全身が細長くて触れただけで生物を破裂させる液体を噴射するナナフシ型、殺した生物を肉団子に加工して貯蔵する習性があり、飛行能力があるゴキブリ型などが存在します。あ、○○型というは私が勝手に見た目の印象から名付けたもので、物語中では一切名称等は出てきません。

ハカイジュウ7巻
ハカイジュウ8巻

 さらに身長数百メートルはある巨大な特殊生物も現れ、トール型と呼ばれています。トール型は立川だけでなく、お台場、新宿、京都にも出現していきます。トール型に種族があるようには見えず、一体一体全て異なる姿や能力を持っていますが、やはり仲間意識はなく、トール型が接近するとしばしば殺し合いを始めます。

ハカイジュウ10巻
ハカイジュウ14巻

 これらに対し、人間側は謎の部隊で対抗します。謎の部隊は特殊な任務を受けているらしく、一般市民への射撃や拉致も躊躇せず行い、小型の怪物をサンプルとして捕獲したり目撃者を連行したりしています。目的は不明ながら装備や規模からみて背後に政府がいるのは間違いなく、黒を中心とした戦闘服を着込んでいます。

トールタイプの群

 トール型の巨大な特殊生物に対しても実は武装だったフジテレビのお台場社屋や東京都庁などを使用して立ち向かいますが、特殊生物は謎の部隊の想像を超える強靱さを持っており、日本の運命は風前の灯火と思われましたが…

ハカイジュウ11巻

 特殊生物は人間を喰らうのですが、傷付いたり弱ったりした特殊生物は人間と融合したりもします。その特性を生かして特殊生物を人体と融合させて開発された生物兵器が「フューズ」です。不均一なマスクと装甲スーツを着用して、極めて高い戦闘力を持ち、トール型の特殊生物ですら瞬く間に倒すことが出来ます。

ハカイジュウ12巻

 謎の特殊部隊が小型の特殊生物をサンプルにしようとしていたのは、恐らくフューズを制作するためだったの思われます。フューズには特殊生物の細胞を培養して人為的に移植したものと、自然発生的に融合したもののしたものの2種類があり、特に後者は強力なフューズになりやすいようです。

瑛士のフューズ04

 最序盤で行方不明になって死亡したと思われていた久遠瑛士は自然発生型の中でも特に珍しい二種類の特殊生物が融合した個体「フューズ04」として終盤再登場します。フューズ04はフェーズシリーズの最高傑作と言われており、最高戦力と見なされています。

鷹代陽

 そして主人公である鷹代陽も死線をくぐる間に自然発生型のフューズとなっていました。ただ彼は特殊生物の少量の細胞しか融合しなかったせいか、潜伏期間が長くて馴染んだせいか、人間型を大きく変化させることはありませんでした。

藍沢未来

 本作のヒロインは陽と瑛士の思い人である藍沢未来で、5巻以降登場して連絡の取れなくなった陽と瑛士の安否を確かめるため、瑛士の弟の久遠絢士と共に奔走することになります。

たくましい白崎さん

 しかーし、私は真のヒロインには白崎直央を推します。というか、「ハカイジュウ」を読んだ人は皆そう思うのではないかと。陽や瑛士の高校の生徒会長で、クールビューティ風ですが、陽といくつもの死線を乗り越えていく過程で命を救われたのを恩に着て、「私の命は、あなたのもの」なんて言い切ります。

強くなった白崎さん

 それでも、陽の思い人が未来であることを知って自らの気持ちは押し殺し、陽と未来を引き合わせることを自分の生きる目標としていきます。このけなげさが堪りません。4巻で陽と共に行方不明となりますが、後にピンチに陥った未来と絢士の前に颯爽と現れて怪物を撃破します。

お持ちかえり~!

 そして真の主人公と言いたくなるインパクトを与えてくれるのが武重先生。体育教師で、陽や白崎さんと出会った直後は頼れる体育教師のようでした。しかし、実は教え子へのセクハラ行為が原因でクビになり、その後は昼からパチンコ三昧の生活を送っていたというトンデモ教師で、白崎直央に一目惚れし、異常なまでに執着していきます。「白崎くぅん」はほとんど名言。

再会した先生

 女性を見る目だけはあるなぁと言いたくなる武重先生ですが、白崎さんと仲の良い陽を目の敵にし、隙あらば白崎さんを「お持ち帰り」しようとさえしますが、二人のスィートホームを作るには状況があまりに悪すぎました。次々と襲い来る怪物をも蹴散らす武重先生でしたが、怪物からの攻撃から白崎さんを庇い、怪物と共にヘリから落下して死んだかに思われました。落下する直前に自身の想いを白崎さんに伝え、陽に白崎さんを守るように伝え、ある意味漢の中の漢だった武重先生でしたが、思いも寄らぬ姿で再登場してきます。

怪物と合体した先生

 武重先生は怪物と融合し、自然発生型フューズとなっていました。フューズとなっても白崎さんへの恋心は健在で、むしろ彼女を守れる力を得た子ことに喜びを覚えている様子です。様々な死線をくぐってきた白崎さんもさすがに驚愕する恐怖のナチュラルボーン・ストーカー。

ハカイジュウ9巻

 しかし、白崎さんへの愛を力の源としたか、武重先生の強さは他のフューズを上回り、何体ものトール型を屠っていきます。その果てに白崎さん達が辿り着いた真相、それは謎の部隊の本拠地は東京スカイツリーにあり、東京スカイツリーこそは「始まりのトール型」と呼ばれる超巨大なトール型の封印だったのです。

ハカイジュウ13巻

 覚醒すると成層圏を突き抜けて宇宙に達する大きさのこの怪物の覚醒により、もはや打つ手はないかと思われましたが、白崎さんラブの武重先生、この化け物にも果敢に挑みます。「フューズ03」から「ファイナルフューズ武重」にクラスチェンジ。

王になった武重先生

 そして白崎さんも生き残るために徹底して武重先生を利用。というか、この瞬間は武重先生ラブだったんじゃないかという気もします。そうでないと武重先生があまりにも哀れですからね。

改造された武重先生
武重先生の夢

 だって武重先生の夢ってこれですから。先生の大活躍により再び「始まりのトール型」を封印することに成功し、生き残った人々はなぜか特殊生物が存在しない北海道に移住します。そして本土の生き残りの人間を探し、フューズになる適性のある子供を連れ帰り、戦力の増強に努めます。トール型は「始まりのトール型」の再覚醒を企図しており、100体まで増えたフューズ軍団は陽に率いられて最終決戦に臨みます。

ボロボロ白崎さん

 激闘の末、陽の他数人だけが生き残りましたが、全てのトール型の殲滅に成功します。しかしその直後に彼らが見たものは、世界各地から集まってきたらしい、「始まりのトール型」規模の超巨大トール型の怪物の群でした。

ハカイジュウ第一部ラスト

 傷付いた体でそれでも立ち向かおうとする陽達。第一部はここで終了します。どう見てもバッドエンドとしか思えないのですが、第二部はそれより未来の話らしいし、どうやら陽と白崎さんの子供らしいキャラ「鷹代魅央」が登場するので、おそらく死ななかったんでしょうね。確かに白崎さんの面影があるなあ。

鷹代魅央
  
 ところで特殊生物と呼ばれるこの怪物達、一体何者なんでしょうね。単純に考えれば人間以前に地球を支配していた、それこそ「旧支配者」ではないかと思われるのですが…クトゥルフ神話だったのか、「ハカイジュウ」は?じゃあきっと「始まりのトール型」が旧支配者で、トール型がその眷属であるレッサーオールドワン、小型の特殊生物が奉仕種族ということに。「這いよれ!ニャル子さん」のせいですっかり矮小化されてしまったクトゥルフの神々ですが、本当は怖いんだぞ(笑)。

怪獣大戦争状態

 もしそうだとすると、今後宇宙から「外なる神」の降臨もあるかも知れませんね。あとなんで北海道には特殊生物が出現しないんでしょう。ノーデンスでも眠っているのかな。

ラブリー白崎さん
先生を利用する白崎さん

 とにかく本来嫌なヤツに違いない武重先生の「白崎くぅんラブ」の純粋さ(美しいとは言っていない)と強さ、リアル「ゲスの極み乙女」と一部に言われようが、武重先生を徹底的に利用してでも陽を生き残らせたいという白崎さんのベクトルの違う純愛は、他をキャラを霞ませるほどのインパクトがありますので、グロ耐性のある(こっちは結構慣れます)興味のある方はぜひ一読してみて下さい。

愛の力だ

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