神と悪魔:バトルシーンで流れる「勇者ライディーン」挿入歌

大荒れの北海道からこんばんは。春の嵐といいますが、これだけ強風と大雨が降ったら桜は一発で散ってしまうことでしょう。ですが嵐よ、北海道ではまだまだ桜は咲いていないというクリムゾン的巧妙な罠に嵌まったな。

そういえばかつて倉田まり子が「春の嵐」という歌を歌っていました。1985年に「投資ジャーナル事件」に巻き込まれたことで芸能活動から引退する事態に追い込まれましたが、デビューが1979年だから5年もアイドルやっていたんですね。石川ひとみのそっくりさんという印象が強かったですが、今では坪田まり子の名でキャリア・カウンセラーとして研修ビジネスを展開しているようです。引退はとばっちりのようだったので可哀想でしたが、見事な身の処し方をされていると思います。
さて本日は久しぶりになつアニソンでも。ここまで少女アニメが多くなっているのですが、別に少女向けアニメを見まくっていた訳ではありません。というか当たり前に少年向けアニメを見ていたのですが、少年アニメって、ロボットやヒーローの名前を連呼するものが多くて、もちろん懐かしいのですが、楽曲自体としてあまり評価が高くないものが多いのです。

が、今日は少年アニメで行ってみましょう。「勇者ライディーン」の挿入歌「神と悪魔」です。歌っているのは「泳げたいやきくん」のメガヒットでおなじみの子門真人です。

「勇者ライディーン」は1975(昭和50)年4月4日から1976(昭和51)年3月26日まで全50話で放映されたロボットアニメです。「機動戦士ガンダム」のキャラデザインで名を馳せた安彦良和が初めてキャラクターデザインを担当し、あのトミノ監督が前半で監督を務めました。

「勇者ライディーン」は先行作である「マジンガーZ」や「ゲッターロボ」等との差別化のため、当初は伝奇ロマン的色彩が強い作品でした。1万2000年前にムー帝国を襲った妖魔帝国が現代に蘇り、「悪魔の時代の完成」を目指して活動を開始したのに対し、古代ムー帝国が妖魔に対抗するため作り上げた巨大ロボットライディーンが立ち向かうのですが、古代ムー帝国、超能力、悪魔など、まさに「ムー」とか「トワイライトゾーン」なんかが飛びつきそうなガジェット満載でしたが、放映局のNET(後にテレビ朝日)の株主である朝日新聞が「オカルトブームに迎合せず、徹底批判する」という方針だったここから、超常現象などの描写を封じる路線変更を余儀なくされてしまいます。

敵が悪魔ということで、ライディーンの武器にやたら「ゴッド」が付いたのもいけなかったんでしょうかね。ゴッドブレイカーとかゴッドミサイル、ゴッドゴーガンなんて。ゴッドバードはどうあがいても再現不能なゲッターロボの変形と違って超合金で完全変形が可能で、これは当時は画期的だったんですが。

トミノ監督は責任を取らされて降板しましたが、代わって監督となった長浜忠夫が頑張って、後に「長浜アニメ」と称される路線を確立したほか、トミノ監督も長浜演出の影響を受け、後に「機動戦士ガンダム」で開花していきます。

敵の大幹部であるプリンス・シャーキンは、普段は仮面を被っているが、外すと実は結婚美形で、その後「ボルテスV」のプリンス・ハイネルや「闘将ダイモス」のリヒテル提督らが続くことで確立されることとなる「美形悪役」キャラの元祖とも言えるキャラクターです。

ちなみにシャーキン、ハイネル、リヒテルともに演じていたのは市川治ですが、残念ながら2009年に72歳でお亡くなりになっています。

特に仮面を被っていることでシャアとの相似性が強いと思います。「美形悪役」の中でもシャアの直系の先祖的存在ではないかと。シャーキンとシャア…ほら、名前も似ているし。

ただ残念ながらシャーキン登場時は「美形悪役」の概念が確立してないかったので、砂場金吾(すなば きんご)という名で人間に化けた際の素顔はシャアほど美形ではありませんでした。しかし砂場金吾…砂金、サキン、シャーキンということか(く、苦しい!)。

「神と悪魔」は戦闘シーンで多用された挿入歌で、まさに妖魔帝国=悪魔とライディーン=神の激突を歌った歌です。作詞は山川啓介、作編曲は小森昭宏で、「勇者ライディーン」で使用されたOP・EDなど全曲はこのコンビによるものです。

神の力と 悪魔の力
ぶつかる ぶつかる 火花をちらし
ただしい心と ゆだんだ心
戦う 戦う 命をかけて
きっとその手に 勝利をつかめ
負けるなぼくらの ライディーン

神の明日と 悪魔の明日
ぶつかる ぶつかる 火花をちらし
きれいな夢と みにくい夢
戦う 戦う 命をかけて
道はとおくて けわしいけれど
負けるなぼくらの ライディーン

きっとその手に 勝利をつかめ
負けるなぼくらの ライディーン

「神の力」とか「ただしい心」の部分で自分を指さし、「悪魔の力」とか「ゆがんだ心」の部分で「お前だお前だ」と友だちを指さすというのが当時のお約束でした。いやぁ懐かしいなあ。テレビではだいたい一番までしかかからなかったので、二番の歌詞は正直知りませんでした。結構省エネですね…

それでは聴いて見て下さい。ライディーンは前半は巨大化したシャーキンと、後半は妖魔大帝バラオと戦っています。
ちなみに主人公のひびき洸がなぜ古代ムー帝国のロボットであるライディーンに乗れるのかといえば、ムー帝国の帝王ラ・ムーの娘レムリア(ひびき玲子)の息子だからです。

妖魔大帝バラオの復活を予見していたラ・ムーにより冷凍睡眠装置で1万2000年後の現代に送り出されたのですが、洸を出産後、迫り来る妖魔帝国の脅威に対抗すべく、家族を捨て放浪の旅に出ていました。♪1万年と2千年前からあーいーしーてーるー♪


ちなみにパパンのひびき一郎の方は考古学者なのですが、洸がライディーンとの合体の際に使用する特殊武装バイク・スパーカーを制作するなど、本当は何者なのかよくわからない人物です。さらに自分の妻が古代ムー人であることも全く知らなかった模様で、シャーキンに教えられて驚いていました。

「あまちゃん」にアイドルオタクからアイドル評論家になったヒビキ一郎というキャラが登場していましたが、もしや妻を失った後のパパンのなれの果て?

母の愛を知らずに育った洸の中で、ママンであるレムリアはかなり理想化されていたようですが、実際ムー帝国のプリンセスだけにアラフォー(コールドスリープ中の1万2千年はカウントしないのが思いやり)とは思えない綺麗な人でした。

しかし、最終回で息子を救うために自分の命を投げ出してしまたので、母子の再会はほんのひとときだけでした。レムリアは自分のパパンであるラ・ムーの命令に最後まで従った形になったので、この人はこの人でファザコンだったかも知れません。

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