未来日記(その1):久々にぶち当たった問題作

こんばんは。連休明けは気分が乗りませんね。でも今週は短く感じるはずなので頑張りましょう。ここんところ札幌は真冬日にもならず比較的暖かいです。今日は雪も降らないし。が、いいことずくめではなく、路面の根雪の状態がヤバくなるんですよね。ツルツル路面はとにかく怖いです。昨日、網走で平年より9日も早く流氷が観測されたそうで、20日から流氷観光船の運航が始まり、本格的な冬の観光シーズンを迎えるそうですが、毎日雪と氷を見ているこちとらとしては、そんなもの見て何が楽しいのだと思わずにはいられません。

そういえば札幌の子供達はまだ冬休みらしいです。夏休みが短いからずるいわけではないのですが、北海道では夏休み全廃して代わりに1~2月を全部冬休みにしたらいいのにと思います。スキーでもして楽しんでおくれ。

さて、昨日漫画喫茶に行ったらですね、久々に大鉱脈にぶちあたって8時間以上滞在してしまいました。多分何を今さらと思われるんでしょうけど、えすのサカエの「未来日記」です。

角川書店の「月刊少年エース」に2006年3月号から2011年2月号まで連載され、単行本は12巻。他に外伝が3巻(「モザイク」「パラドックス」「リダイヤル」)出ています。今回は本編とモザイク、パラドックスを読みました。リダイヤルはなかったもので(汗)。

ちなみにアニメは2011年10月から2クール全26話で放映されており、R15+指定となっています。いや、そりゃあセミヌードとかくらいは出てくるけどエロいわけではないですよ。違う方向での規制です。アニメは見ていませんが、ほぼ原作準拠だそうです。

主人公天野雪輝は中学2年生。周囲との関わりを極力避けて「傍観者」であろうとする彼は、携帯電話の日記に頻繁に見聞を記していました。彼に友人はなく、空想の中の時空王「デウス・エクス・マキナ」とその従者である「ムルムル」だけが友達でした。

しかしある日、雪輝は携帯電話の日記に未来の事象が記されていることに気付きます。未来を知ることでテストで100点を取ったりして、調子に乗りまくる雪輝。しかし、未来を知ることができる「未来日記」を持ったのは彼だけはありませんでした。

彼の空想であるはずのデウスは、12人の「未来日記」保有者を集め、次期時空王の座をかけた殺し合いのサバイバルゲームの開催を告げます。雪輝だけの空想の産物のはずのデウスが?と驚く雪輝ですが、全能の神であるが故に空想の中に存在することも可能だと応えるデウス。

それぞれ性質の異なる「未来日記」を保有者する12人は1stから12thまで番号を振られ、雪輝は1stとなりました。別に順番が若ければ有利という訳でも有能という訳でもないのですが。そしてクラスメイトの美少女優等生が同じく「未来日記」の所有者で2ndであることを知ります。雪輝に異様に好意的な彼女-我妻由乃の協力を得て、連続殺人犯である「未来日記」所有者3rdに殺される運命を覆す雪輝。

しかし、結果的に運命を変えるという奇跡を起こしたことで、他の「未来日記」所有者からマークされることとなってしまった雪輝。由乃の全面協力の下、この殺人ゲームに立ち向かっていくことになりますが…

“時空王デウス後継争奪ゲーム”(実際には名前なし。アリスゲームとか聖杯戦争とかのカックイイ名称をつける中二病患者が存在しなかったためでしょう)は、「未来日記」所有者12人の間で行われ、最後に生き残った1人だけが時間と空間を統べる“神の座”を得ます。デウスの手配により、全ての未来日記所有者は、舞台となる桜見市内に存在します。

殺し合う「未来日記」所有者達ですが、他の所有者に殺される未来が確定した場合、「未来日記に“DEAD END”と書き込まれます。こうなった場合、本来その運命は回避不可能なのですが、未来日記に書かれた通りの行動をしなかった場合に、それ以降の日記が書き換わることがあります。また、他の所有者の行動によっても書き換わることがあります。つまり行動次第では“DEAD END”の未来を覆す奇跡を起こすことも可能なのです。

「未来日記」は、常に90日先の分まで表示されます。持ち主の手を離れても日記は更新され続けるので、他の所有者の「未来日記」を奪えばその情報を入手することが可能になります。「未来日記」は携帯電話の形で存在する(携帯電話としての機能も保持)ことが多いですが、他の形態のものもあります。「未来日記」を破壊した場合、所有者は消滅という形で死んでしまいますが、携帯電話は使用不能になれば破壊ですが、他の形態の「未来日記」も携帯電話が破壊される程度のダメージを受けると破壊されてしまいます。

ちなみに携帯電話型の「未来日記」は電波が妨害されるとその効力を失います。バッテリーが切れた場合も当然未来を表示できなくなるはずです。スマホ全盛の昨今では深刻な問題だと思いますが、連載開始時は携帯電話が主流だったせいか、登場人物達がバッテリー切れを懸念するような言動を見せることはありませんでした。そういえば携帯電話は長持ちしましたよねえ。

未来日記によるサバイバル・ゲームを主催した時空王デウス・エクス・マキナは、これまでも世界に刺激を求めてたびたびゲームを開いていたようです。実は寿命が尽き始めており、体の崩壊が始まっています。

参加者全員に公平なジャッジの役割を果たすべきところですが、どうも必ずしも公平とは言いかねる行動をしているようです。また問われれば何でも答えますが、聞かれないことは言わないというキュゥべえ的な部分があり、登場人物にとって極めて重要な事実を伏せたりしています。

ちなみにデウス・エクス・マキナは固有名詞というより本来は演劇の演出技法の一つです。ラテン語で「機械仕掛けの神」という意味です。古代ギリシアの演劇において、劇の内容が錯綜しすぎて解決困難な局面に陥った時、絶対的な力を持つ存在(神)が現れ、混乱した状況に一石を投じて解決に導き、物語を収束させるという手法を指していました。

エクス・マキナ(機械仕掛け)とは、この場面において神を演じる役者がクレーンのような仕掛けで舞台上に登場したことに由来します。歌舞伎での思いがけない展開を指す「どんでん返し」とも発想が似ており、例えば「水戸黄門」のオチで出される葵紋の印籠や、ザ・ドリフターズのコントのオチとなる「タライ落とし」、素人による漫画や小説などで多用される「夢オチ」などが類似の演出として挙げられます。

デウスには小間使いがいて、ムルムルといいます。小柄な女の子の姿をしていますが、はるか昔にデウスに調伏された悪魔なのだそうです。デウスに力を封印されており、デウスに従うことしかできない存在のはずですが、徐々にゲーム進行に干渉していきます。

ちなみにムルムルまたはミュルミュール(Murmur)は、ラテン語で「ささやき」「うなり声」などを意味し、ソロモン王が封印したとされる72体の悪魔の一体で、神に叛逆した堕天使の一人です。地獄の大公爵にして伯爵で、30の悪魔軍団を率いています。ハゲワシまたはグリフォンに騎乗した兵士の姿をとって現れます。

ムルムルは異常なほどの執念で失われし雄姿の復活を画策しているそうです。そのため、失った権力の復権を願う召喚者に対しては、ムルムルは最大限の協力を惜しまず提供してくれるそうです。

ただしムルムルが協力を惜しまないのは召喚者に同情しているからではなく、復讐の炎にどす黒く焦がされたその魂を狙っているからなのだとか。そうと判ると、このキャラの名がムルムルなのは意味深です。

それでは登場人物紹介。まずは主人公1stの天野雪輝です。

寂しがり屋で、傷つくことを怖れて傍観者に徹する臆病な性格で、中盤頃までは何かというと涙ぐむヘタレでした。すぐに調子に乗るところがあり、また他人をすぐに信じる傾向があることから、他の「未来日記」所有者に騙されやすいところがあります。

所持する「未来日記」は「無差別日記」。自分を中心とした周囲の未来を無差別に予知する能力があり、全「未来日記」中最多の情報量を誇りますが、傍観者でいようとした雪輝の日記なので、自分自身のことが一切書かれていないという欠点があります。

続いていろいろな意味で「問題のヒロイン」である2ndの我妻由乃です。「あずまよしの」と読みたいところですが、「がさいゆの」と完全に音読みです。「ひだまりスケッチ」の主人公のように「ゆのっち」とでも呼びたちところですが…

雪輝の同級生で美人で優等生です。身長159cmで3サイズはB74/W50/H73。ウエスト50センチ!結構グラマーな感じで描かれていますがスペックは非常に華奢ですね。結構可愛いので皆の憧れの的ですが、実は雪輝しか眼中にないとんでもないストーカーです。雪輝をユッキーと呼びます。

雪輝のためなら躊躇無く全てを犠牲にする行動を取る反面、雪輝以外には無関心です。雪輝に近づく女性を警戒し、敵と見なして隙あらば殺そうとするほか、幸いにも友好的な関係を築けたので何もしませんでしたが、雪輝のママンに対しても「ユッキーのお母様がいい人で良かったわ……道具を使わずに済んだもの」とモノローグしており、邪魔なら殺す気満々だったらしい描写がありました。この人の「殺すわよ」は洒落でも冗談でもなく真剣かつ大まじめなので非常に怖いです。

由乃の「未来日記」は「雪輝日記」で、雪輝の未来だけを10分おきに記録する能力を持っています。極めて限定的な内容ながら、雪輝の「無差別日記」と組見合わせることでほぼ完全な予知が可能となります。ナイスカップリング!しかし雪輝にとっては、逃れることのできない恐ろしい「未来日記」ということにも…。

由乃はとにかく凄いキャラなので、別途改めて取り上げたいと思います。

一つだけ言わせて貰えるならば、由乃の画像は「普通」のを探すのがとても難しいと言うことで(笑)。どれもこれもすっげえ怖いんだよー。

以下は登場順で。まず3rd火山高夫。雪輝や由乃の通う桜見中学校の英語教師とは表向きの顔、実は殺人を繰り返す通り魔でした。

彼の「未来日記」である「殺人日記」は、事前に犯行方法とその結果が分かるため、完全なる殺人計画書となっています。成績が急に良くなるなど劇的な変化が見られる雪輝を「未来日記」所有者と判断し襲撃しますが、雪輝と由乃の連携によって破られ、最初の脱落者となります。なにしろデウスに集合を掛けられたときににはすでに脱落していたという高速退場ぶりでした。

次に9th雨流みねね。18才にして国際的な女性テロリストです。8歳で両親に連れられて中東を旅行していた時に紛争に巻き込まれて両親を失い、以降「神」を憎み、宗教施設・宗教関係者を対象にしたテロ活動を繰り返してきました。中東で壮絶な半生を送っていたようですが、日本人の子供なら普通は日本の大使館が保護して日本に帰すだろうと思うのに、どういう訳かみねねは孤立無援で中東で地獄のような生活を送ったようです。

彼女が所持する「未来日記」は「逃亡日記」で、自分の未来の逃走ルートが記録される能力を持ち、安全な逃走経路を知ることができます。同じ犯罪者である3rdを追っていましたが、3rdを倒した雪輝を狙って桜見中学校を襲撃し、あちことに仕掛けた爆弾によって大量の死傷者を出しました。しかし雪輝と由乃の連携に敗れ、雪輝のダーツで左目を刺されて負傷したため逃亡します。

3rd同様すぐに退場する犯罪者キャラかと思いきや、終盤までしぶとく登場し続けます。当初は残虐無比・極悪非道のテロリストぶりを見せていましたが、実は結構可愛いのと、案外面倒見がよく、女性らしい一面を次第にのぞかせるようになっていき、段々好きなキャラになりました。眼帯ナースは胡散臭い(笑)。

4thの来須圭悟。桜見署の刑事課長(つまりは警部)で、「未来日記」は「捜査日記」です。

未来の自分の捜査状況が記録されるので、起こる事件を事前に知ることができます。その特性上、得られるのは当人が所属する桜見署の管轄内の情報に限られますが、「未来日記」所有者は全員が桜見市内に配置されているため極めて有効な「未来日記」となっています。

警察官らしく正義感からゲーム自体を潰すことを目的に行動しています。みねねが桜見中学校を襲撃した際に雪輝・由乃と共闘し、3人で「未来同盟」を結成します。しかし時折奇妙な動きを見せることも…

デウスやムルムルも紹介したので、今回の登場人物紹介はこの辺で。何しろ個人的には「寄生獣」以来のインパクトだったので、今週は未来日記ウィークでもいいかとさえ思っています。

最後に可愛い由乃の画像でお別れしましょう。それではお休みユッキー……

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