四コマ誌を語る(その1):まんがくらぶ

こんばんは。雪は順調に消えて参りました。でも近日中にきっとまた降るんでしょう。藻岩山や手稲山はすっかり山水画のようになっており、4月に札幌にやってきた時の風景そのままになっています。ところで今日も食べましたよ「ほっともっと」の「特のりタル弁当」これで370円なんて涙が出そう。

♪ふーるーきっと降るーきっと降るー♫なんて。でも貞子のテーマ的扱いを受けるこの「feellike‘HEAVEN’」、本当は「くーるー きっと来る きっと来る」ではなく「Oooh きっと来る きっと来る」という歌詞なんですね。
さて、今週は四コマ誌について語ろうかと思っています。これは毎月買っていた竹書房の「まんがくらぶオリジナル」が先月で休刊(事実上の廃刊)となって15年半の歴史に終止符を打ったことから、出版不況ともいわれ、他の雑誌も休刊になってしまうかも知れないので今のうちに語っておこうかなと思ったことからです。

私が四コマ誌を買うようになったのは80年代半ばからで、四コマ誌が登場したのも80年代だったのです。四コマ誌としては芳文社と竹書房が双璧で、他には双葉社やぶんか社も発行しています。当初は正月の暇な時期だけ芳文社系の四コマ誌を買っていたのですが、90年代に入った頃から毎月購読するようになりました。当初は芳文社の「まんがタイム」「まんがタイムオリジナル」「まんがタイムファミリー」「まんがホーム」「まんがタイムスペシャル」などを読んでいたのですが、旧態依然とした四コマ漫画が多く(特に「まんがタイムファミリー」や「まんがホーム」には昭和を引き摺った古いタイプの四コマが多かった)、不満に思っていたところ、「面白くない漫画がない」と評された「まんがくらぶ」のウワサを聞きつけて一期に竹書房系に乗り換えたのでした。

その後、私の知らない間に芳文社は「萌え四コマ」の潮流を作り出し、「まんがタイムきらら」系は繁栄を極めている観がありますが、さすがに今さら萌え四コマには手が出ないでいます。竹書房も「まんがライフMOMO」という萌え四コマに近い雑誌は出しており、これは購読していますが。
芳文社と竹書房、その性格の違いは色々あるでしょうが、私が一番感じたのは、編集者の主張が前面にでているかどうかです。芳文社は編集者が全く顔を見せません。もちろん見えないところでいろいろやっているのだとは思いますが、その活動ぶりは読者には全く窺い知れないのです。これに対して竹書房は、良くも悪くも編集者が前面に出てきます。というか、四コマ作家達が編集者を漫画の中にどんどん登場させるのです。竹書房の編集者が個性的なのか、それとも芳文社では編集者を漫画に出すなと言う掟があるのか知りませんが、この差は大きく感じました。もっとも今では竹書房系の四コマ誌に編集者が出てくることは少なくなりましたが。

それでは私が読んでいる四コマ誌を紹介していきましょう。今日はまず「まんがくらぶ」です。「まんがくらぶ」(略称「まんくら」)は1987年3月創刊ですが、1986年に創刊された「天才くらぶ」が前身となっています。毎月4日発売。公称発行部数10万部。
都会派ファミリー層をメインターゲットとして発行しており、看板作品となる定番系から青年・女性向け作品を中心に掲載しています。伝統的なファミリー向け4コマ誌の色合いが強かったのですが、2008年秋頃から「萌え系4コマ」系の新連載を立て続けにスタートさせており、現在ではあらゆるジャンルの作品を満遍なく取り入れた読者を選ばない誌面構成となっています。昔は「ここだけのふたり!!」(森下裕美)や「ちびとぼく」(私屋カヲル)などの傑作漫画が連載されていました。

「ここだけのふたり!!」は面白かったのに唐突に打ち切りになって、しかも理由がはっきりしません。四コマ誌では当たり前のように理由を明示しない打ち切りがありますが、それにしたってなあ…。

「ちびとぼく」も人気があるままに終了してしまいました。青年誌に連載していた「こどものじかん」で忙しくなったのでしょうか?四コマ誌って相対的に原稿料が安いんですかね。
現在の連載で私が好きなのは以下の漫画です。なお数字は順位ではなく、「まんがくらぶ」11月号の掲載順です。
① 高尾の天狗と脱・ハイヒール(氷堂リョージ)

失恋して自棄になって勢いで高尾山(599メートル)に登ったら、小天狗に懐かれたOLノリコの話です。最初は出勤姿にハイヒールで登っていましたが、だんだん山になれて装備を調えるようになりました。毎週のように高尾山に登っているうちに体力がつき、また「山ガール」の噂が立って総務部から営業部に異動したりとノリコの周辺は色々変化があります。天狗や山の動物たちとのふれあいや登山そのものへのノリコの意識の変化などが楽しいです。本格派の山男である営業部長をはじめ、パワフルな男達が周囲に多いので、ノリコ自身はまだまだだと思っていますが、尾根伝いに景信山(727メートル)に行ったりと、行動半径は広がりをみせつつあります。
② なぎさ食堂(藤沢カミヤ)

料理が大好きな女子高生・栗原なぎさが親友の小林かなこ(かなちゃん)と飯島千明(ちーちゃん)を自宅に招いて「なぎさ食堂」を開店します。野郎共が出てこないと言う意味では萌え四コマの一種なのでしょう。女の子は皆(三人だけど)可愛く、色恋抜きでいろんなご飯をつくって食べています。「ご注文はうさぎですか?」テイストで読んでいると癒されます。かなちゃんはツッコミ担当。ボケ担当のちーちゃんは実はお金持ちのお嬢様で時々持ってくるお土産が高級食材であることが多く、なぎさの料理に花を添えます。本人は庶民派の味がお気に入りのようですが。実はこの漫画の「海苔弁当」の回を読んだせいで「ほっともっと」の「特のりタル弁当」に手を出した私なのでした。
③ 父とヒゲゴリラと私

地味な男やもめの兄・総一と、幼稚園児の娘みちると一緒に暮らすことになったヒゲで器用貧乏な弟(みちる曰くヒゲゴリラ)・晃二のお話。絵が達者でストーリー展開がとても面白いです。主役はヒゲゴリラになりつつありそうな気配で、みちるの幼稚園の西原先生(ゴリラにトラウマがあってヒゲゴリラの目を見られない)とのラブ展開が急速に進行中。家事が全くできない総一も会社での仕事の評価は高く、狙っているOLもいます。その友達のOLの方がお似合いなんですけどね。とにかくキャラ立ちがいいですね。亡くなった総一の妻(美人)の生前のエピソードが面白すぎて全然悲しくないのがまたいい。四コマであんまりしんみりするのは好きくないので。
④ 小杉センセイはコドモ好き(やまもとまも)

可愛い幼稚園児のくるみちゃんとくるみちゃん激ラブな小杉センセイの話。小杉センセイは完全な、ヤバイほどのロリコンですが、子供思いの優しい先生と周囲からは思われていて(それは確かに事実なのですが)、くるみちゃん以外には全然ばれていないという。男の山田先生にずいぶん想われているのに全く眼中にない小杉センセイの興味は幼稚園児(しかもくるみちゃんをはじめとする女児のみ)なのでした。くるみちゃんのママンまで小杉センセイファンになってしまい、孤立無援のくるみちゃん。そのツンデレぶりがまたいいのですが、気苦労で老けないかちょっと不安です。
⑤ せんせいになれません(小坂俊史)

「四コマ王子」小坂俊史のデビュー作であり、15年以上連載されている古参の作品です。市立西の台小学校の六年生担当として赴任してきた新任教員・河田一聖と池田清を中心に、絶対にありえないはずなのに、どこか懐かしい、そしてうらやましいと感じさえもする、教師・児童が入り乱れてのめちゃくちゃな小学校生活を描いています。保健室担当の和泉なな子(ただし養護教諭の免許はないモグリ)と家庭科教師の沢口正子(学校で堂々と喫茶店を経営)の4人が主要登場人物です。もう長い連載なのでどう考えても新任教師じゃないのですが、生徒もずっと六年生やっているいわゆる「サガエさん時空」なので、永遠の「新任教師と六年生」の物語です。
⑥ ひよわーるど(橘紫夕)

深夜アニメの原作にどうでしょうかと思う萌え四コマ系の作品です。超虚弱体質の女の子と、彼女の世話を焼く人々の日常を描いたほのぼのギャグ漫画。主役の守屋ひより(愛称もーり、別称じゃっく)は超虚弱体質ですが、橘紫夕も極端に体力がないことから、自身をモデルにしているらしく、連載初期のネタは、ほとんど実話ベースでした。他のキャラも多くが作者の友人をモデルにしているらしいです。

その他「ぼのぼの」(いがらしみきお)も長期連載中。面白い漫画ばかり…と言いたいところなのですが、つまらなくてもお金出して買ったのだから我慢して読んできた私をして、むしろ苦痛を感じながら読むよりも飛ばしたほうがましだと思わせる作品も2,3あったりします。まあタイトルは伏せておきましょうかね。
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