記憶に残る一言(その3):ジャギ兄さんのセリフ

秋風吹く札幌からこんばんは。本当に夏が去って行くような気がします。過ぎ去る北海道の夏とかけてスレッガー中尉と解く。そのこころは「早い、早いよ」。暑いのは嫌いなんですが、夏が過ぎ去るときって妙に寂しさを感じますね。

さて、アミバ様を取り上げたなら、取り上げないわけにはいかないお方が約一名。そう、ジャギです。「様」を付けたくなる三大北斗キャラの一人ですが、アミバ様、ハート様に較べると「様」度は弱いかも知れません。ジャギ様だけでなく、ジャギ兄さんとも呼びたくなるのが原因なのでしょうか。

ジャギは北斗四兄弟の三男格で、ラオウ、トキの義弟でケンシロウの義兄にあたります。北斗神拳の次期伝承者の候補として、義兄弟らと共に先代のリュウケンの元で修行に励んでいました。

北斗神拳の正統伝承者にケンシロウが選ばれた際、己の拳を封じられることへの恐怖と同時に、実力的にも納得せず、ケンシロウの元へ行き「親父に謝って伝承者を辞退してこい」と迫りますが、ケンシロウの怒りを買い殺されそうになります。しかし当時のケンシロンは非情に徹せず、止めを刺さなかったため、逃走に成功しますが、ケンシロウに突かれた秘孔の効果により、頭部と顔面が大変なことになってしまったため、ボルトなどの金具やチューブで矯正し、ヘルメットを着用して顔を隠すようになりました。


なお、ジャギが自分がケンシロウよりも強いと思ったのは、修業時代にケンシロンがジャギのプライドを慮って実力差を示さなかったためなのですが、師匠のリュウケンにその差を指摘されることがあってもジャギはそれを認めようとしませんでした。

それはジャギの信条が彼の名言その①「兄より優れた弟など存在しねえ!!」という全国1000万人お兄ちゃんと共有するものだったからなのですが、全国1000万人お兄ちゃんがその認識が間違っていることを痛感している中、ジャギだけはそれを認めようとしなかったのですね。

そのため、ケンシロウに傷を負わされたのも偶然だと思い込み、ケンシロウへの恨みと屈辱から激しい復讐心を抱くようになります。しかし、その理屈だとジャギはラオウやトキを超えることは絶対にできないことになるのですが……。


ケンシロウの婚約者であるユリアは、南斗孤鷲拳伝承者のシンに奪われますが、そもそもシンを唆したのがジャギであったことが明らかになっています。

その後、シンのNTRに雪辱したケンシロウが、各地でヒャッハーな人達を倒しての世紀末救世主と崇められ始めているのを知ると、自ら胸にケンシロウ同様の北斗七星を模した7個の傷を刻み、ことある毎に彼の名言その②「俺の名を言ってみろ~!!」を繰り返し、人々に暴虐を働いてケンシロウの評判を貶めようとしていました。銅像まで造っちゃったりして。

つまり、アミバがトキのパチモンだとすれば、ジャギはケンシロウのパチモンということですね。しかしジャギの顔は崩壊していて、ケンシロウに似ても似つかない姿になっていました。ヘルメットで素顔を隠し、胸に傷を付けたところで、それだけで「あ、ケンシロウだ!」とは誰も思わないんじゃ…

最後はジャギのあまりの暴虐に怒ったケンシロウにより、頭部の金具やチューブがはじけ飛び、脳が露出し、全身が砕け散るという無惨な最後を遂げますが、ラオウやトキの生存を示し、彼らにより地獄行きの旅が始まると言い放ち、最期までケンシロウをあざ笑い続けました。ある意味首尾一貫した生き様ですね。

ジャギ死後のことですが、「ラオウ・トキ・ケンシロウの北斗三兄弟」という台詞が出るなど、そもそも「北斗の兄弟」から除外されるような扱いを受けています。ラオウとトキは、別の時代に生まれていたならば、それぞれ北斗神拳の伝承者として恥じない実力を備えていましたが、ジャギは実力はもとより、人格的にも他の3人に大きく遅れを取っていたと認定されてしまってます。

そもそもこんなジャギをなぜ伝承者候補にしたんだリュウケン!と言いたいところですね。テム父さんのように酸素欠乏症にでもなっていたんでしょうか。週刊少年ジャンプ特別編集の解説書「北斗の拳 SPECIAL」(1986年)では「元々は拳法の才能豊かな人物だった」としつつも「北斗神拳の伝承者争いには、兄弟間を競い合わせるためにジャギのような毒が必要だった」と解説しています。ということは、ジャギは最初から噛ませ犬だったのか…!

「ひどいよ…。こんなのあんまりだよ」とまどかさんも思わず貰い泣きです。

しかし実際にはリュウケンには四人の他にも多くの門人がいて、才能不足を理由に破門された者もいたそうです。ジャギは最後までリュウケンから破門されてはいないので、ケンシロウ・ラオウ・トキが強すぎるだけで北斗伝承者として実力不足とは評されていなかったのかも知れません。……とは言っても、三人がいる以上、ジャギを飼っておく意味はあまりないんだけどなあ。

2009年に連載された「極悪ノ華 北斗の拳ジャギ外伝」では、ジャギは4人の中で最も早くリュウケンの養子となりましたが、伝承者候補として認められず、拳法の修行の開始が一番遅かったことになっています。これはリュウケンが両親を失い孤児となったジャギを「家族」として迎え入れていたため、過酷な修行の果てに兄弟と骨肉の争いを繰り広げなければならない伝承者の道へと引き込むのを嫌ったことと、ジャギの才能の限界を始めから理解していたためです。しかしリュウケンの後を継ぐことを熱望したジャギは諦めず、ラオウやトキに課された修行を真似て自ら修行をしている内に、リュウケンが折れて伝承者候補としたということになっています。

天才・アミバ様ほどではありませんが、ジャギは短期間に習得した南斗聖拳を披露し、不意打ちながらケンシロウに傷を負わせています。もっともケンシロウには「スロー」「シンの足元にも及ばない」と酷評されていたので、天賦の才はやはりアミバ様ほどではなかったのでしょうが。ジャギの南斗聖拳はシンから盗み取ったらしいので、南斗孤鷲拳ということになるでしょう。

ちなみにレイの妹・アイリを結婚式当日に略奪して奴隷として売り飛ばしていた旧悪もあり、それ故にレイは登場当初に胸に七つの傷のある男を捜していたりしていましたが、一歩間違えればケンシロウとレイは殺し合っていたところなので、計略だとすればジャギはクールだなあと思いますが、どうなんでしょうか。単に己の欲望のまま突っ走った結果としか思えませんが。

ちなみにこのアイリ、奴隷として様々な主人の元を転々としていたらしく、汚いものを見ないようにするために自ら薬品によって盲目になったそうですが、アイリの辿ってきた境遇を想像するとそれだけでもの凄いエロ小説が書けるような気がします。当然ジャギは真っ先にいただいているんでしょうね……。

ということで、弟の出来の良さに憎しみを覚えたとき、そして自分がどこの誰かを知られていない時にはジャギ兄さんの名セリフを使うといいでしょう。その結果については何ら保証しませんけど…。

ジャギは崩壊前の素顔も別にイケメンというわけではなかったので、ヘルメット姿のほうがカッコイイと思いますジャギ△。ちなみにこのヘルメット、何かに似ていると思ったら…

そう、二代目スケバン刑事の鉄仮面に似ているんですね。ジャギの方が先だと思うので、少女鉄仮面伝説の方がパクッたということに。それにしては鉄仮面はシンプルなので、まるでこれをベースにデコったのがジャギ様ヘルメットという感じですね。

二代目麻宮サキこと五代陽子(演:南野陽子)は幼い頃に母親から鉄仮面を被せられ、17歳頃まで一度も外すことなく暮らしてきたという設定になっていますが、しばしば「10年ぐらい顔も髪の毛も洗ったことがないのにあんなキレイな顔・髪の毛に成長するわけない」と突っ込まれます。紫外線を浴びずに過ごしたことにより…く、苦しい。あなたも南野陽子になれる!とか言って「美人養成ギブス」とか名付けて売ればいいかも知れません。しかし美貌は、拳法以上に素質がモノを言うので……

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