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中国美女列伝(その34):魚玄機~嫉妬が身を滅ぼした唐代の女流詩人

大雪(あくまでイメージです)

 ちょっと奥様聞きまして?明日は大雪ですってよ!関東では去年の成人式くらいという話でしたが、いつの間にか「20年に一度」というレベルという噂も出ています。

ソードマスターヤマト

 去年の台風もそうでしたが、「猛烈な台風だと聞いていたが、それほどでもなかったぜ!」という感じで案外大したことなかったりして。降った当日よりも翌日の凍結が怖いので、あまり残らないといいですね。

魚玄機その1

 さて金曜恒例中国美女列伝も残すはあと数回。美女はもっと沢山いるのですが、日本では知られていない人も多いし。はっきりした数字をまだ出さないのは、時々「あっあいつもいれよう」とか思い出す人がいるからです(笑)。

魚玄機その2

 本日とりあげますは先週の薛濤に続いて唐代の芸妓にして女流詩人の魚玄機です。森鴎外が「魚玄機」という短編を書いていますので、それに沿って紹介したいと思います。

魚玄機その3

 魚玄機(844-868年、一節に871年)は晩唐の女流詩人です。長安(陝西省西安市)の人で、字は幼微といいました。長安の遊里に生まれ、富豪の李億の妾に迎えられましたが、正妻の嫉妬に苦しんで、咸宜観の女道士になりました。咸宜観の「観」は仏教の寺に該当するもので、道教寺院と呼んでもはずれではないでしょう。

魚玄機その4

 魚玄機は幼少期から非常に聡明で、5才の頃から白居易や元微之の詩を多く暗記していたそうです。13才で七言絶句を作り、15才の時には女流詩人として名を馳せていたそうです。絶世の美貌と才気に恵まれた魚玄機は、16歳の時に妓女となりましたが、金で男達に買われる暮らしを嫌い、出家を志していました。

魚玄機その5

 詩を解する富豪の李億は魚玄機の詩を見て会いに行き、玄機を見て妾にすることを持ちかけました。両親はその金払いの良さに心を動かされ、18才の玄機は囲われ者になりました。

魚玄機その6

 しかし妾にしたのに近づけば逃げ、迫れば号泣するということで李億はなかなか想いを遂げられません。では嫌われているのかといえば必ずもそうではなく、泣くときは李億に身をもたせかけて泣くのです。望みを叶えられずに悶々とする夫の様子に、妻は魚玄機の存在に気付き、実家に訴えたので李億は義父から叱責されて、仕方なく魚玄機を諦めることとしました。

魚玄機その7

 李億は魚玄機に実家に帰るよう言いましたが、魚玄機はそれを拒否して咸宜観に入って女道士となりました。咸宜観で彼女は詩才をますます開花させ、長安の名だたる文士達に絶賛されました。

魚玄機その8

 彼女が性を嫌悪していたため尼寺に入れて出家させたつもりだったのですが、魚玄機は道教を学ぶことによって忽然「女」となり,これまで知らなかった性の歓びを知るようになりました。女道士になって以降も、玄機の長い黒髪や顔の化粧に変化がなかったばかりか、むしろその美貌は益々輝きを増し、詩才にも一段と磨きが出ていたため、その詩名を慕って多くの人々が咸宜観を訪ねてきました。

魚玄機その9

 彼女も学識ある士人が来ると喜んで迎え入れ歓待した。若く美しい魚玄機を男達は放っておきませんでした。風流を好む文士達は争って、魚玄機との交際を求め、魚玄機は降るような賞賛を受け、その行いは奔放なものになっていきました。

リョクギョウ

 魚玄機には緑翹(りょくぎょう)という18才の女弟子がいました。緑翹は美人ではありませんが、愛嬌があって聡明でした(上の画像参照。凄い美少女だったという説も)。

魚玄機その10

 当時魚玄機には陳某という年下の男がいましたが、緑翹が来てからこれと親しく会話するようになり、魚玄機はこれに嫉妬するようになっていました。ある日、魚玄機は隣の道観へ招かれて出かけましたが、出かける前に、緑翹に留守番を命じました。

魚玄機その11

 夕方に魚玄機が帰宅すると、緑翹は「陳さんがおいでになりましたが、お師匠様がご不在だと知ると、帰って行かれました」と言いました。陳は魚玄機の留守中に来たことが度々ありましたが、いつも書斎で待っていたのになぜ今日は待たずに帰ったのか。魚玄機は、陳と緑翹の間に何かあるのではないかと疑います。

魚玄機その12

 夜が更けてから猜疑と嫉妬はいよいよ深くなり、魚玄機は緑翹を寝室に呼び入れ、厳しく問い詰めましたが、緑翹は「存じません、存じません」と言うばかりです。魚玄機はそれが狡猾に感じられ、何故白状しないかと馬乗りになって両手で首を絞め続けました。魚玄機が気付いた時、緑翹はすでに死んでいました。

魚玄機その13

 魚玄機は緑翹の死体を裏庭に埋めました。魚玄機は翌日もやってきた陳に「緑翹がゆうべからいなくなりました」と言って陳の顔色をうかがうと、陳は意に介さない様子でした。

魚玄機その14

 ある日咸宜観に何人かの客が来て、そのうちの一人が裏庭に用を足しに出たところ、数十匹の青蝿が庭の一箇所にたかっていました。見れば地面からかすかに血がしみ出ています。客は何気なくこのことを従者に話したところ、下僕は衙卒(捕り物役人)をしている兄にこの話をしました。従者の兄はかつて陳が咸宜観から出てくる所を見て魚玄機から金をゆすり取ろうとしたのですが、相手にされなかったことがあり、魚玄機を恨んでいました。

魚玄機その15

 そこで従者兄は緑翹の失踪との関連を疑い、同僚と共に咸宜観を捜索し、青蝿のたかっていたところを掘ってみると、緑翹の死体が現われました。

魚玄機その16

 魚玄機は殺人の罪で捕らえられました。才能を惜しむ長安の名士達は助命を嘆願しましたが、魚玄機はその年の秋に斬刑に処せられました。魚玄機26才の時でした。

魚玄機その17

 なお「唐宋伝奇集」では、魚玄機が緑翹を殺した際、魚玄機は緑翹を裸にして激しく鞭打ちにしたそうです。緑翹は泣きながら「あなたは男女の歓びが忘れられなくて、嫉妬から操正しい私にひどい濡れ衣を着せた。私はそんなふしだらなあなたを決してこのままにしてはおかない」と恨んで死んだということで、魚玄機が斬刑に処せられたのは、この怨霊によるものだということになっています。

リアル魚玄機その1

 今回詩人なのに詩を載せないのは、あまりにこのエピソードがインパクトがあったせいです。これほどの美貌と才知を持ちながら殺人を犯すとは……嫉妬って怖いですね。

リアル魚玄機その2

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