ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~:古書をめぐる“日常の謎”を解く美貌の古書店主

こんばんは。雪もあるなんて話でしたが、空振りでした。千葉や神奈川では降ったようですが、それより北の筑波嶺はどうしたことだ。明日からは冷え込みが厳しいらしです。すでに寒に入っていることですし、お互いに身体には気をつけましょう。

本日は三上延の「ビブリア古書堂の事件手帖~栞子さんと奇妙な客人たち~」です。三上延の作品は初めて読みました。

三上延は1971年生で神奈川県横浜市出身で藤沢市育ちです。武蔵大学人文学部(私が現役のとき受験して落ちたところだ…)卒業後、中古レコード店や古書店勤務を経て、002年に「ダーク・バイオレッツ」で作家デビューしました。

ホラー風作品を多く執筆していましたが、2011年に発表した「ビブリア古書堂の事件手帖」が人気作となり、シリーズ累計470万部を売り上げるベストセラーとなり、2012年に本屋大賞にノミネートされた(大賞は三浦しをんの「舟を編む」)ほか、以下のように輝かしい評価を受けています。
今回は公式サイト(http://biblia.jp/index.html)に掲載されている内容紹介です。

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない、若くきれいな女性だ。だが、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。
だが、古書の知識は並大抵ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。
これは栞子と奇妙な客人が織りなす、”古書と秘密”の物語である。
ビブリア古書堂シリーズは現在まで5巻が出ていますが、とりあえず1巻目の「栞子さんと奇妙な客人たち」だけを読みました。短編集で、プロローグとエピローグの他4話の短編が収められています。古書を巡る「日常の謎」を美貌の古書店主篠川栞子が安楽椅子探偵となって解決していきます。

「ビブリア(Biblia)」はギリシア語で「本」「書物」を意味し、ラテン語では「ビブリア」は「本を愛する人」という意味があるそうです。冠詞をつけた「ta biblia(タ・ビブリア)」は「聖書」を意味し、英語の「バイブル(Bible)」の語源となっています。
本作の主人公は五浦大輔で、幼少期のトラウマにより活字恐怖症となっており、本を読めない人生を送ってきました。大学では柔道をやってきましたが、内定していた会社が倒産したため、卒業後は無職の状態となっていました。が続いていた。亡くなった祖母が遺した「漱石全集」を査定してもらうために「ビブリア古書堂」を訪れたことで栞子と知り合い、バイトとしてビブリア古書堂で働くことになります。ワトソン的役割を担います。

もう一人の主人公、篠川栞子は北鎌倉の古本屋「ビブリア古書堂」の女店主で25歳(大輔より2歳年上)です。黒髪の長髪に透き通るような肌をした美人で、普段は眼鏡を着用しています。小柄で身体は細いももの、服の上からでも分かるグラマーボディの持ち主です。非常に内気で、他人と目を合わせることができず、満足な会話もできないほどで、普段はたどたどしいしゃべり方をしていますが、本が絡む話になると別人のようにキビキビとしたしゃべり方になり、相手に構わずその知識を語り続けます。本書では大怪我で入院しており、好むと好まざるとに関わらず安楽椅子探偵になるしかありませんでした。
第一話 夏目漱石「漱石全集・新書版」(岩波文庫)
大輔の祖母が大事にしていた漱石全集。大輔の祖母は蔵書を誰にも触らせない人で、幼い頃に本を散らかした大輔は祖母に激怒され、これがきっかけで本が読めなくなってしまいました。祖母の一周忌が過ぎて本を寄贈しようということになりましたが、漱石全集の「それから」には夏目漱石のサインが。本物なら値が付くかも知れないと、母に命じられてビブリア古書堂に持ち込んだ大輔は、店主の栞子が入院していることを知らされ、病院に向かいます。
古書を見ただけで祖母が死ぬまで秘匿してきた秘密を明らかにする栞子。そして大輔はビブリア古書堂で働くことになります。

第二話 小山清「落穂拾い・聖アンデルセン」(新潮文庫)
ビブリア古書堂の常連で「せどり」(古書店等で安く売っている本を買い、他の古書店等に高く売って利ざやを稼ぐこと)の達人、志田は、愛読書の「落穂拾い・聖アンデルセン」を女子高生に盗まれたと主張し、奪還を依頼してきます。なぜ女子高生はそんな本を盗んだのか?
盗まれた状況を聞いた栞子は謎を解き、大輔に指示して事件解決に導きます。見えすぎることは栞子を不幸にするのではないかという志田の感想が印象的です。

第三話 ヴィノグラードフ・クジミン「論理学入門」(青木文庫)
「論理学入門」を売りに来た紳士。大輔が栞子に見せると大した値段は付かない模様。しかし栞子はその本が刑務所に持ち込まれた私物の本であったことを見抜きます。そして妻だと名乗る女性が「論理学入門」を取り戻したいと連絡してきます。彼女は夫の前科を知らないほか?そして紳士はなぜ売ろうとするのか。
年の離れた坂口夫婦がいい味を出しています。幸せに暮らして欲しいですね。
第四話 太宰治「晩年」(砂子屋書房)
栞子の宝物は太宰治のメッセージが入った「晩年」初版本。祖父から受け継いだ遺品ですが、展示に貸し出したことで古本マニアに執着されることになりました。実は栞子が入院することになった大怪我は、大庭葉蔵を名乗るその古本マニアに神社の階段から突き落とされたことによるものでした。
なおも入手に執念を燃やす大庭の影がビブリア古書堂にちらつきます。栞子は病院屋上で犯人と対決しますが…

古書マニアを扱ったミステリーとしては、ジョン・ダニングの「死の蔵書」を読んだことがあります。これは傑作なのでミステリーが好きな人にはぜひお勧めしますが、この本のおかげで「せどり」とかの知識は持っていたのですが、いくら古書マニアといっても人を殺傷してまで欲しがるものなのか…。これは大庭葉蔵が古書マニア故に引き起こした事件というよりは、それ以前にサイコパスだったからではないかと思います。マニアがおかしいのではなく、おかしい人がマニアの中にいる(もちろんマニアではない人の中にも)ということでしょう。

ビブリア古書堂シリーズは漫画化されているほか、2013年1月から3月までフジテレビにいわゆる「月9」枠で実写ドラマ化されました。私は見ていないので内容については語れませんが、キャスティングについては大きな異論が巻き起こりました。栞子役が剛力彩芽となったことが大きな原因だと思われます。
「ビブリア古書堂の事件手帖」に剛力彩芽が抜擢されて批判されている理由としては、主役の篠川栞子とは真逆の性格である剛力彩芽が選ばれる理由が全く分からないという理由が多く寄せられたそうです。外見からしてもロングヘアと栞子とショートの剛力彩芽では雰囲気が全く違いますしね。

ツイッターでは
・これは酷い。せめて髪の毛とか揃えろや
・なんでゴーリキーなんだよ。つーか原作大事にしろ。
・マジか…読みたいリストにあるからドラマ化許したのがありえない
・何もかもがニーズと真逆。ここまで奇跡的な100点満点のミスキャストも無い。
・悪いけど、死んでも見ないわ
・話題性だけで選んだって感じ。
などの意見が殺到し、そのせいか視聴率は当初14.3%だったものが最終話では8.1%と低迷しました。この数字は「月9」枠の最低視聴率で、平均視聴率11.3%もワースト2位でした。栞子の適任女優としては「堀北真希」が挙げられているそうです。

なるほど、堀北版栞子さんなら私も見てみたいです。
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