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耳袋秘帳 八丁堀同心殺人事件:幕府を揺るがす与力・同心連続殺害の犯人は?

12月20日
 
 いよいよ12月も下旬に突入。年の瀬ですね。忘年会も今週あたりがピークで、来週はもう下火かも知れません。私もここんところ結構忙しくて、おちおちブログも書いていられませんでした。忙しいと読書感想文になってしまいます。

初雪

 もう日付は変わっていますが本日も雨で、なんと冬なのに三日連続の雨となりました。これが雪だったら大変なことになっていたかも知れませんが、都心でも初雪となったのですね。雹が降ってきたのは知っていますが雪は見なかったですが。三連続と言えば世の中は明日から三連休ですね。

ワシもじゃみんな!!

 はは、久々にみっちゃんを使ってしまいました。中国美女列伝は今週もお休みです。ついでに言っておくと来週もお休みなので、三週連続となってしまいますが、年の暮れということでご容赦を。あれは時間がないとできないのです。

 本日は風野真知雄の「耳袋秘帳 八丁堀同心殺人事件」です。耳袋秘帳シリーズの第二弾ですね。

八丁堀同心殺人事件 文春文庫版

 例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

 軽輩の出身でありながら、六二歳で町奉行に大抜擢された赤鬼奉行根岸肥前守鎮衛の前に、前代未聞の大事件が発生した。与力や同心の組屋敷が置かれた八丁堀で町奉行所の同心が二人、何者かに斬り殺されたのだ。町奉行所の威信にかけて、下手人を突き止めなければならない―。シリーズ第二弾。

 上記は私が読んだだいわ文庫版で、実は文春文庫からも出版されています。こちらの内容紹介は、

  与力同心組屋敷がある八丁堀で、立て続けに、同心が殺された。地元・八丁堀での同心殺しは、威信にかかわると、北町奉行の小田切は気が気でない。だが、白昼堂々、次なる同心殺しが起き…。根岸肥前守が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第二弾。若き日の根岸を描いた書き下ろし短編「河童の銭」を収録。

 となっていて、文春版には短編が一編おまけについているようです。

 本書は5話構成になっていて、短編一つにつき一件の怪異譚が語られる仲、一冊を通して町奉行所の与力・同心を次々と殺害する事件が語られています。その凶刃は遂には根岸鎮衛自身にも向けられるのですが、一体犯人は誰なのか?

 第一話「緑の狐」:北町・南町双方の同心が一人ずつ殺害されます。二人は仲がよく、一緒にいたところを一気に斬殺されたのですが、犯人は目星がつきません。それとは別に、商家の屋根で物音がして、家人が覗いて見ると、狐の面を付けた何者かがいるという怪異譚が発生します。奇妙なことに、普通は白か黄色のはずの狐の面は、まるで雨蛙のように緑色に塗られていました。何者が何のために起こしているのか?基本的に本シリーズの怪異は本当の怪異ではなく、人間が故意に引き起こしたものばかりなので、「日常の謎」に近い感があります。おそらく、根岸の記した「耳袋」に記載された話から作者が拾ってきているのでしょう。

 第二話「河童殺し」:またも同心が殺害され、事件は公にはされていないものの、幕閣では大騒ぎになっています。南北両奉行所が探索に躍起になっている中、北町奉行所の同心重田はなんと筆名十返舎一九だったりします。根岸の腹心である栗田と坂巻は重田が犯人と目星をつけた連中に逆襲されているところ助けに入りますが…。これとは別に、若き日の根岸が関わった伊達藩の「河童殺し」の話が語られています。勘定吟味役だった根岸がなぜ仙台藩のお家騒動に関わることになったのか…これはこれで興味深いのですが、同心殺しにはどちらも直接関係ありません。

 第三話「人面の木」:木に浮かんだ人間の顔が評判になり、根岸はわざわざ栗田と坂巻を連れて見に行きます。確かに人面に見える、不思議なこともあるものだと関心していたら、今度は別な場所にもっとおどろおどろしい人面が浮かぶ百日紅の木が発見されます。しかし根岸は、これは人の注意を惹きつけるために人為的に彫られたものではないかと喝破、人面木騒ぎの裏で起きていた犯罪を見いだします。

 第四話「へっついの幽霊」:へっつい(かまど)の上に幽霊が立っていると騒ぎになった長屋。幽霊は異人のようだといいます。なぜ長屋に異人の幽霊が出るのか?探索する栗田と坂巻の前に、薩摩示現流が立ちふさがります。本件は町奉行所の管轄を超えていて、大目付が介入してくることになります。その一方で南町奉行所では遂に与力までが殺害されます。しかも家来4人とともに5人が一気に斬殺されるという凶行で、下手人はよほど腕が立つ者のようです。

 第五話「鬼の書」:内部犯行説が有力になった連続与力・同心殺し。ついに根岸自身が襲撃を受けますが、剣の達人である栗田と坂巻を相手にしても怯まない剣の腕は凄まじいものがあります。栗田と坂巻は容疑者と目される3人を襲撃してその腕を確かめますが、誰もそんなに強くはありません。犯人は別にいるのか?一方、前世を見るということで評判の坊主が出現。次々と檀家を引き抜くと言うことで他の坊主から苦情が殺到した寺社奉行は対応に苦慮しています。その坊主、寛玄が根岸の屋敷に来たいといいます。根岸の手法を見抜いた根岸はある手段をとりますが…

 奉行所内部にはびこる腐敗と汚職。根岸もこれには頭を痛めているのですが、犯人は根岸の対応が手ぬるいとして根岸自身まで襲撃に及びました。確信犯のテロリストということになるでしょうか。しかし、急進的に物事を推し進めると、必ず反動があるんですよね。作用・反作用の法則というやつでしょうか。生温い手段に見えても、漸進的な改革が結果的には最も効率的だと思うのですが……人の考え方はそれぞれということでしょう。
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