虹色ほたる ~永遠の夏休み~:子供達と、子供の記憶を持ち続ける大人達へ

虹色ほたるDVD
 
 こんばんは。寒気がやってきました。週末は厳しい寒さだそうです。エアコンが壊れているというのに。個人的には着ぶくれたりすれば猛暑よりは耐えられる気がするのですが、あの厳しかった暑さももはや記憶の彼方ですね。

虹色ほたる

 ということで、季節はずれの夏の小説を紹介してみたいと思います。本日は川口雅幸の「虹色ほたる ~永遠の夏休み~」です。川口雅幸の本は初めて読みました。画像が沢山あるのでクリスマスイルミネーションシリーズは一回お休みです。なお、金曜恒例の中国美女列伝も諸般の事情でお休みさせていただきます。

川口雅幸

 川口雅幸は1971年生まれの岩手県出身です。2004年から自身のホームページで連載していた本作が人気を呼び、2006年にアルファポリスから単行本が刊行されてデビューしました。2011年3月11日の東日本大震災で、自身と家族は無事だったものの経営していた時計宝飾店と自宅マンションを全壊する被災に遭っています。

映画版虹色ほたるチラシ

 「虹色ほたる ~永遠の夏休み~」は、2004年5月8日から作者本人の個人サイトで連載を開始し、2005年9月21日に完結しました。投票サイトで上位となる人気となり、2006年11月に出版化が決定し、2007年にアルファポリスのドリームブッククラブから書籍出版されました。2012年までに文庫版を含め40万部を突破しています。2012年5月にアニメ映画となっていますが、作者は出版化当初からこの作品を「最終的に映像化を目指しています」と宣言していたとそうです。

映画版虹色ほたるチラシその2

 それでは例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

ユウタとさえこ

 (上巻)小6のユウタは一人、亡くなった父との思い出の地である山奥のダムを訪れていた。ところが突然の雷雨に襲われ、足を滑らせ気を失ってしまう。やがて目覚めたユウタの目の前には、ダムに沈んだはずの村が…。タイムスリップした1970年代の村で、ユウタは同い年の少年ケンゾーと、妹のような女の子・さえ子と出会う。失われゆく日本の原風景とともに、少年の最後で最高の夏休みがはじまった!誰の心にもある永遠の夏休みを描いた、懐かしくも切ない感動ファンタジー、上巻。

映画版虹色ほたるチラシその3

 (下巻)少年ユウタがタイムスリップした1970年代の田舎の村。ケンゾーとさえ子というかけがえのない仲間とともに過ごす最高の夏休みも、終わりに近づいていた。元の世界に帰らなければならないユウタ。そして、幼い少女さえ子にも、隠された秘密があった…。失われゆく美しい日本の夏の風景の中、物語は感動のクライマックスを迎える。ラスト、涙がとまらない―。誰の心にもある永遠の夏休みを描いた、懐かしくも切ない感動ファンタジー、完結編。

映画版虹色ほたるチラシその4

 ということで、連載していた2004年の物語だとすると、タイムスリップした先は1974年頃かと思われますが、別にきっかり30年前というわけでもないかも知れません。物語は終盤にさらに10年後が描かれているので来年頃の話かなと思われます。

さえ子

 ダムに沈んでしまった深山井村。その在りし日の村で過ごすノスタルジックな日々。まるで「ぼくの夏休み」みたいですが、舞台はさらに田舎です。既にダム建設は決定されており、夏が終われば村人は全員移住することが決まっています。既に移住してしまった家も多く、閑散としつつある深山井村。そこは蛍の名所として知られ、毎年夏祭りには大勢の観光客が来て賑わっていました。

映画版虹色ほたるチラシその5

 そこに紛れ込んでしまったユウタは、なぜか皆に自然に受け入れられ、最高の夏休みを過ごします。まるで自分が小学生だった頃を思い出すような。カブトムシを取ったり、川で泳いだり、蛍を見に行ったり、祭りのための灯籠をつくったりしながら時は過ぎていきます。

ケンゾーとユウタ

 ユウタの父は一年前にバイクで交通事故に巻き込まれて亡くなりました。その際、事故に巻き込まれて二人の兄妹も被害に遭っていたのですが、中学生の兄は亡くなり、小学生の妹は意識不明の状態です。ユウタは、自分がタイムスリップしたのは誰かが過ごしている時間を借りていること、そしてそれはさえ子であり、さえ子こそが意識不明で病床に横たわっている「妹」であることが判明していきます。

映画版虹色ほたるチラシその6

 さえ子は事故直後の1年前からこの村で過ごしていました。さえ子自身は、大好きだった兄のもとへ向かうことを望み続けていましたが、最後の一ヶ月というところへやってきたユウタにより、さえ子の心は次第に変わっていきます。

星のような蛍の群舞

 村の村長格である神社の宮司「青天狗」と、最後の祭りを精一杯派手にするために帰ってきた、幼なじみでテキヤの親分となっている伸太郎の会話から、「精一杯今を生きる」ことの大切さを知ったさえ子は、ある決意を固めますが、それはとても過酷な道でした。

映画版虹色ほたるチラシその7

 タイムスリップから現代に戻れば、全ての記憶は消えてしまうと神様(?)から聞かされたいた二人ですが、指切りである約束をします。二人はその先どうなるのか?

 そして現代に戻って10年後。村で一緒に遊んでいたケンゾーやタカシ、そして芳澤さんの大人(というかもう50過ぎですが)になった姿が見られ、青年になった裕太は爽愛子と再会します。もちろん二人とも記憶は失っており、爽愛子は事故の後遺症で盲目となっています。

虹色ほたるPOP

 虹色ほたるというのは、青天狗らが子供の頃に起きた奇跡で、酷い干ばつで水がなくなり、全滅の危機に瀕した深山井村を救った湧き水のありかを教えてくれた蛍でした。もしかすると虹色ほたる自身が湧き水を生み出してくれたのかもしれません。かつてはむしろ凶兆とされてきた虹色ほたるは、以後村の救世主としてあがめられるようになり、村では蛍を盛大にまつるようになりました。

 ダムに沈んだ深山井村の蛍を再現すべく、奮闘してきたケンゾー達。その努力が実って蛍の群舞が見られるようになった時、裕太は爽愛子の前に虹色のほたるが現れます。その時爽愛子に訪れた奇跡は……

虹色ほたるPOPその2

 2012年5月のアニメーション映画は、作画にCGは一切使用せず、やわらかいタッチで仕上げられており、松任谷正隆が担当した音楽も打ち込みなしの生音・オーケストラを使われています。主題歌は松任谷由実の「愛と遠い日の未来へ」です。キャッチコピーは「それでも、こどもたちは今を生きる」。

 一般文芸書というよりは大人も読める児童書に近い本かも知れません。ただ、深山井村の情景はむしろ大人の方がぐっとくる「懐かしい昔の日本」かも知れません。文字が大きく、行間を大きく取っている部分がしばしばあるので、二巻に分けずに一冊にまとめても良かったような気がします。

虹色ほたるPOPその3

 主人公ユウタの一人称視点だから仕方がないかもしれませんが、地の文がかなり稚拙です。ここは三人称視点で記述した方が良かったのかなあとか。Amazonには携帯小説みたいだというレビューがありました。携帯小説は私もちらとしか見たことがないのですが、ああわかるなあと思いました。そういえば携帯小説ってすっかり本屋でも見かけなくなりましたね。

 ところでさえ子とユウタのおばあちゃんって、結局あかの他人だったんですよね。村で一人暮らしだったのでしょうか。孫が二人もいたら賑やかで楽しかったのではないかと思いますが、さえ子が去り、ユウタも帰った後はまた一人ぼっちなのかと思うとちょっと悲しいです。おそらく二人が居たという記憶もすっかり消されているのだとは思いますが、何かを感じたりはしないのでしょうか。優しいお婆ちゃんにも何かいいことがあれば良かったのに、と思います。

虹色ほたる単行本
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