天使の耳:交通事故と交通警察を扱った短編集

11月25日
 
 こんばんは。晴天の一週間が過ぎたら雨が。本降りになる前に帰れて良かったです。何か妙に生暖かいですが、これも小春日和なんでしょうか?

 通常ですと「花咲くいろは」のレビューなのですが、都合により明日に回しまして、本日は当ブログ常連・東野圭吾の「天使の耳」です。1992年1月に実業之日本社から刊行された単行本「交通警察の夜」を改題し、1995年7月に講談社文庫から刊行されました。

天使の耳

 全6編の短編集で、単行本の表題からお判りの通り、交通課の警官が登場する作品が多いですが、警察小説というよりは、交通事故とそれがもたらす人間の運命の急変を描いたものといえるかと思います。

BL天使の耳

 そういえばこういう画像をみつけたのですが、こ、これは…!節子これミステリーとちがう、BLや!なんだこれは…たまげたなあ。タイトルまるかぶりですが、いいんでしょうか?

 例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

 深夜の交差点で衝突事故が発生。信号を無視したのはどちらの車か。死んだドライバーの妹が同乗していたが、少女は目が不自由だった。しかし、彼女は交通警察官も経験したことがないような驚くべき方法で兄の正当性を証明した。日常起こりうる交通事故がもたらす人々の運命の急転を活写した連作ミステリー。

 表題作にして冒頭作「天使の耳」

 深夜の交差点で大きな外車と軽自動車の衝突事故が発生し、軽自動車の運転手が死亡します。外車の運転手の若造は信号は青だったと証言しますが、いかにもチャラくて胡散臭い人物です。運転手が死亡した軽自動車には妹が同乗していましたが、彼女は全盲でした。怪しいけど死人に口なしかと思われた時、妹は兄が事故の被害者であると主張し始めます。全盲の彼女はどのようにして相手の否を証明するのか?

 目の見えない彼女には、驚くべき聴覚がありました。それによる証言とその正確性を証明する実験によって彼女は「天使の耳」の持ち主と賞賛されることになります。ある警官はふとした切っ掛けで彼女に疑惑を持ちますが……。美貌の女子高生は天使なのか、それとも…?

 「分離帯」

 深夜、車を走らせていた男は前方のトラックが分離帯を越えてしまうという事故を目撃。その直後に彼は、路上駐車していた黒い車が発進したのを目撃していました。事故を処理する警官は、死亡したトラック運転手の妻が高校の同級生であることを知ります。彼女は美人で警官はずっと片思いしていたのです。

 黒い車(アウディ)を見つけようとする妻の執念と、努力が実ったのに突きつけられる無残な現実。それに対して彼女は驚くべき手段を取って見せます。道交法の理不尽さに対する妻の怒りが恐ろしいです。とりあえずアウディの運転手には激おこぷんぷん丸ですね。

 「危険な若葉」

 若葉マークを付けた女性の車を煽ったバカ大学生。遂に事故を起こさせてしまって慌てて車を降りて近づくと、女性は息があるようなので、大事ないと判断して逃げ出してしまいます。病院に運び込まれたものの、女性は記憶喪失になっていました。事故の実態が不明だと嘆く交通課の警官。しかしそれは巧妙な罠だった…。おっとクリムゾンになってしまいましたよ。付近で発生した少女殺害事件と絡んで、おどろくべき計画が進行します。やられたらやり返せ!倍返しだ!!

 「通りゃんせ」

 雪の日に恋人のアパートにしけ込むにあたり、路上駐車をしていた男。駐車中に当て逃げされて車が傷つけられますが、加害者が名乗り出ます。修理代を全額払うという加害者に事故とは別の修理費用まで上乗せして請求してラッキーと喜ぶ男。加害者はさらに彼に魅力的な提案をしてきます。なんとスキー場に近い別荘を只で貸してくれるというのです。うきうきと恋人と二人で別荘に向かう男。しかしそれは加害者の巧妙な罠だった……と、またもやクリムゾン(笑)。たかが路駐、しかし路駐。加害者の抱いた恨みは深いのです。

 「捨てないで」

 高速道で、ボルボから投げ捨てられた空き缶が婚約者の目にぶつかり、彼女は片目を失明してしまいます。おのれ許せんと写真家の男は空き缶だけを頼りに婚約者の失明の原因をつくった車を探し始めます。方や一方で進行する、ボルボの男による殺人計画。完全犯罪かと思われた彼の計画は、ひょんなことから破綻しますが、それは一体…

 ボルボの男が報いを受けるのは当然といえば当然ですが、失明した女性とその婚約者には何のカタルシスもないのが可哀想です。愛があればいいのか?高速道路を走行中に空き缶を窓から捨てるなんて非常識もいいとこですが、後続のフロントガラスに当たるとかは十分ありえると思うものの、直接助手席の女性に命中するでしょうか?窓を全開にしていたということなんでしょうが、普通高速では窓って閉めませんか?

 「鏡の中で」

 深夜の交差点で奇妙な事故が発生します。右折しようとした車がなぜか反対車線に入り、停止中のバイクと衝突、バイクの若者を殺してしまいます。現場の証拠も、運転手の証言も不自然でしたが、目撃者もあり、若者もノーヘルだったということで、比較的穏便な処理となります。運転手は元陸上の長距離選手で現在は実業団のコーチ。監督は元オリンピック代表です。その実業団は有望な女子マラソン選手を多く抱えています。事故は実業団の汚名になる不祥事かと思われましたが、その真相は全く違っていました。

 真相を知った警官が名探偵ばりに真実が知りたかっただけだと言って事件をひっくり返したりしないのですが、ポワロとか金田一耕助ならいざ知らず、公僕はそれではいかんのじゃないでしょうか?そりゃあ真相を明らかにしたところで被害者が生き返るわけでも賠償額が増えるわけでもないですが。

 自動車教習所での免許取得中や、警察署での免許更新時の講習で、ビデオを見るよりもこの本を読ませた方が効果的に事故を防止することができそうな気がします。連作でテレビドラマ化なんかにいいと思うのですが…

交通警察の夜

 
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