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「MEMORY」で妄想する秒速5センチメートル:離ればなれにならなかったのに離れていった二人の心

晩秋
 
 晴天もたった二日でまた雨模様です。そろそろ穏やかな秋晴れが続いてもいいんじゃないでしょうかねえ…。晩秋の雨はじつに寂しさもひときわです。物思いに耽る秋。

 ということで、物思いに耽ると妄想が始まってしまうので、歌で妄想する秒速5センチメートルです。本日は「MEMORY」で妄想してみましょう。

同級生

 「MEMORY」は恋愛アドベンチャーゲームの嚆矢ともいうべきエルフの「同級生」のPCエンジン版及びセガサターン版(「同級生~if~」というタイトルでした)のEDです。「同級生」については昨年7月14日の記事で取り上げております(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-65.html)ので、興味のある方は覗いて見て下さい。PCE版は、バッドエンド用テーマに山下達郎作曲の「さよなら夏の日」(ピアノver)を使用するという豪華さでしたが、「MEMORY」も素晴らしい名曲でした。

 しかし、サントラに収録されるわけでもなく、聞いた人だけが「ギャルゲー屈指の名曲」と言うだけの「幻の名曲」となってしまっています。20年近く前の作品だし仕方ないですけどね。

 PCエンジン版ではCDプレイヤーで直接「MEMORY」とOPの「夏色のシンデレラ」がいつでも聞けるのですが、サターン版ではエンディング画面以外では再生不可能となっています。

ジャーンジャーンジャーン

 また「サターン版オリジナルサウンドトラック完全収録版」というCDが発売されましたが、なんと「MEMORY」は収録されていないという孔明の罠。

孔明の罠

 ちなみに歌は主要登場人物を演じた声優さん4人が歌っています。仁科くるみ役の笠原留美、田中美沙役の小野寺真理子、黒川さとみ役の小野綾子、そして鈴木美穂役の丹下桜ですが、丹下さん以外は今はもう…。ちなみにメインヒロインの桜木舞(名前まで凄い)はマリ姉こと國府田マリ子が演じましたが、歌には加わっていないのはなぜ。既にビッグネームであったせいか、桜木舞のメインヒロインとは思えない不人気のせいか。私は舞ちゃん好きでしたからね、マリ姉…ってなんだこの言い訳は(笑)。

同級生ifオリジナルサウンドトラック完全収録版

 それでは妄想してみましょう。本編では貴樹と明里は一緒に中学校に上がることができずに別れることになりましたが、一緒の中学校に入学していたら、彼らの運命は変わっていたでしょうか。仮に明里の両親が親戚の家から中学校に通うことを許して岩舟に伴わなかったとしても、やはり翌年には貴樹が種子島に引っ越すという運命は変わらないでしょうから、たった一年の延長ではやはり結ばれなかったのではないかと思われます。むしろ「雪の一夜」が発生しない訳で、二人の心はもっと早くに離れていってしまったかも知れません。

 では中学高校と一緒に過ごしたとしたら?大抵の人は「そりゃあ結ばれたでしょう」と思いますよね。ええ、私もそう思います。その6年があったなら、例え大学時代に離ればなれになったとしても、絆は続きうることでしょう。しかし、しかしですよ、あえてここでそうはならない可能性というものを妄想したいのです。

 そのヒントは東野圭吾の短編小説にありました。内容についてはいずれ紹介しますが、小学中学高校とラブラブカップルと思われた二人に起きた「亀裂」が描かれていたのです。彼女は彼を嫌いになったわけではないけど、もうずっと彼が隣にいるのが嫌になってしまったという。

 その想いは、理想の男の子だった彼が、成長するに従って普通の、あるいはちょっと冴えない少年に成り下がっていったということがあるようです。これは「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」でも、幼少期は桐乃のヒーローだった京介が、中学高校と進む中で普通の少年になっていった(そして兄に追いつこうと努力してきた桐乃を落胆させていった)様子にも似ているような気がします。

ずっと一緒にいられたら

 明里が、ありのままの京介を愛している麻奈美のように貴樹を愛していればいいです。しかし、一緒にいるからといって心変わりが発生しないと断じるのはやや性急というものでしょう。小学生時代は同じ本を読み、同じような興味・性向を持っていて、まるで分身のようにそっくりだった二人ですが、中学・高校と進級していく中で、興味も趣向も変わっていくのは必然的ではないかと思います。もちろんそれが必ず心変わりを起こす理由になるわけではないと思いますし、自分とは異なる部分に惹かれていくということは往々にしてあることでしょう。しかし、ずっと同じものを好み、同じことをしたいと思っていた相手が、実はそうではなかったということが明らかになった場合はどうでしょうか。小学生時代、貴樹は明里のヒーローでしたが、徐々にそうではなくなっていくということもあり得たのではないでしょうか

 小学生時代に仲の良かった友達と、それ以降は疎遠になったという経験はないでしょうか?別にケンカした訳ではないけど、どうも彼とはウマがあわなくなったなと思い、別に趣味を同じくするような友達もできてくれば、自然に会わなくなったりするものでしょう。貴樹と明里は小学生時代にあまりに相似形だった故に、成長して差違が発生していくと、それまでと同じ気持ちを持ち続けられない可能性もあると思います。ほら、「初恋は実らぬもの」ともいいますし。
 
 ということで、色々あってあれほど愛した貴樹と心情的に離ればなれになった明里が、貴樹との思い出の日々を振り返るのが「MEMORY」です。多分二人は同じ高校を卒業し、大学は離れたところに進学したのでしょう。そうして恋愛関係も自然解消して何年も経った頃の話です。

夕暮れは淡い面影…

 夕暮れは淡い面影 
 ノートに落書きした 記憶が目を覚ますよ
 あの時は子供だったね
 追いかけていた夢が懐かしい

 誰もいない 人気の無い校庭
 グランドに 貴方の姿が

 どんな事が起きても 後悔しないと言った
 たとえ世界が崩れても 貴方といるなら
 明日が判らないなら 今はそばにいて欲しい
 あの日打ち明けた言葉は いつか思い出に


明里の想い出の品

 多分秋の夕暮れ時。物思いに耽る明里は昔の記憶を甦らせます。本編第3話の「昔のもの」を取り出して見ていた時のような状況かも知れません。引っ越しがなかったから、高校に進級しても貴樹はサッカー部を続けていたのでしょう。一人で自主練でもしていたところを明里は熱い瞳で見つめていたのかもしれません。貴方さえいれば他に何もいらいない、何も怖くない。そう確信するほどに激しく熱かったあの頃の想い。しかしそういう想いも遙かなる時の流れの中で朽ちていき、今では美しい思い出になってしまいました。

 巡り來る季節の中で
 大人になる為に 涙はしまったけど
 挨拶の葉書が屆く 右上がりの文字に胸が詰まった


回想の明里

 大人になった明里と貴樹。それぞれの道を進むことになった二人は、もはや離れてしまった心を嘆くこともなくなっていました。しかしある日届いた貴樹の挨拶状。それは何を告げるものだったのでしょうか。想うに、“結婚しました”という知らせだったのではないかと。貴樹の傍で嬉しそうに微笑んでいるのは花苗かも知れません。いや、水野さんかな?

 今は遠い ずっと遠いメモリー
 戻れない 愛しい日々には

 雨を逃げた校舎で 闇に包まれていた
 すぐに嵐が近づいて 光を落とすよ
 震える頬にキスをして 大丈夫と微笑んだ
 あの日貴方の優しさは きっと忘れない


 嵐の中、なぜか校舎に取り残された貴樹と明里。「雪の一夜」の代わりに「嵐の一夜」があったのですね。雷が嫌いな女の子は多いですから、明里が雷を怖れても不思議はないですね。きっと貴樹なら怯える明里にこうすることでしょう。忘れ得ぬ美しい思い出、しかしもう二度と戻ることはない夢。完全に貴樹を失った今、明里の頬を一筋の涙がつたい落ちるのでした。

 それでは聞いてみてください。

 画像は変わりませんが、歌詞が出ます。

youtube版memory

 http://www.youtube.com/watch?v=9Fx1l0g60Ig

 画像が途中で変わります。 

youtube版memoryその2

 http://www.youtube.com/watch?v=KPeTNcytLnw

 低画質ですが音質はいいです。セガサターン版のエンディングロールが流れます

youtube版memoryその3

 http://www.youtube.com/watch?v=b2Ek_f-IP34
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よくある話・・・・か・・・

拝啓 拝読致しました。
私もこの妄想と同意見です。2人が転校せずに過ごしたならば、(本編よりは切なくない別れ方で)離れていったのかなと思います。やはり一度は離れて、逢える喜びを感じてこそですね。この2人は。
私の周辺を見ても、小中時のカップル(絶対数が少ないですが)で結婚したペアはいませんね・・・。高校になると、結構話を聞くのですが。
やはり難しいですね。

この妄想では、貴樹が明里より早く結婚、もしくは幸せそうな結婚をしている様に見えて、何ともはや(^_^;)。

Re: よくある話・・・・か・・・

 satoruさんこんばんは、いらっしゃい。いつもありがとうございます。

 satoruさんも同意見ですか。初恋からそのまま二人で一緒に大きくなって結ばれるというのは絵になりにくいかも知れませんね。もっとも本人達からすればそんなことはどうでもいいでしょうが。

 やはり時間と距離を超える“足掻き”が二人には必要で、その原動力を例の「雪の一夜」に求めると言う形で、劇的再会→結婚という流れに行くのが一つのハッピーエンドなのかも知れません。

> この妄想では、貴樹が明里より早く結婚、もしくは幸せそうな結婚をしている様に見えて、何ともはや(^_^;)。

 貴樹は明里と出会って優しくなったというより、元々優しかったと思うので、明里ファクターが入らなければ妙な執着も迷いもなく周囲の女性にモテたのではないかと思います。で、花苗が「獲ったど~!」と。明里が本編と同じ頃に結婚するのだとすると、貴樹が先行してもおかしくないかも知れないと思いました。

私は、第二次ベビーブーム世代ですが・・・

拝啓レスありがとうございます。
私の故郷は、日本海側の小さな町で、人口自体が少ないので(それでも小学校で5クラスあった)、話を聞かないのかも・・・。小中時の同級生が、卒業後に付き合って結婚したペアはそこそこいるんですが。

それにしても、私の妄想への感想は、話の感想ばかりで、肝心の歌の感想が書けていませんね。申し訳ありません(^_^;)。

Re: 私は、第二次ベビーブーム世代ですが・・・

 satoruさんこんばんは、いらっしゃい。いつもありがとうございます。

 私も小学校は4~5クラスでした。6年生になるとき、近所に新設校ができて3クラスになりましたが、5クラスは小学校では多いと思います。中学校・高校では一学年10クラスもありましたが。

> それにしても、私の妄想への感想は、話の感想ばかりで、肝心の歌の感想が書けていませんね。申し訳ありません(^_^;)。

 全然構いませんとも。そもそも無理矢理歌と「秒速」を掛け合わせようとしているところに加え、やたらマニアックな選曲を行っていますので(笑)。今のところ秒速はこういう妄想展開した思い浮かびません。何か新たな企画を考えつきたいところなんですが、想像力が貧困でして。
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