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石の血脈:40年を経て未だ色褪せることない傑作伝奇ロマン

石の血脈
 
 壇蜜さんがまたアサヒ芸能に登場していました。また「すさまじくいやらしい女」かよ(笑)。このキャッチコピーでとことん押す気かアサ芸。だから壇蜜さんはいやらしくないってば。そちらがその気ならこちらにも考えがあるぜ、ということで立ち読みで対抗しました。相変わらずあられもない格好をしてても品があるなあ。

 壇蜜さんのブログ「黒髪の白拍子」(http://ameblo.jp/sizuka-ryu/)では、時々雑誌掲載の告知をしていますが、フライデー、プレイボーイ、SPA!の三誌に限定しているあたりに、彼女なりの雑誌の格付けを感じます。アサ芸、扱いが悪いとしても自業自得だぜよ。
集英社文庫版

 それでは本日の記事です。「石の血脈」は、1971年に刊行された半村良のSF伝奇小説です。60年代にデビュー後、短編をいくつか出してからしばらく沈黙していた半村良の長編第一弾であり、「伝奇ロマン」或いは「伝奇SF小説」と呼ばれるジャンルを開拓し、後の作家たちに大きな影響を与えた作品でもあります。
 
 半村良は本当に傑作をいつくも世に送り出している作家です。かつては「三村」(ベストセラー作家の森村誠一、西村寿行、半村良の三人がいずれも村の字ががついていることからの呼称)の一角でした。特に伝奇SFと言えば半村良と言いたくなるくらい、このジャンルはこの人の独擅場でした。「産霊山秘録」「戸隠伝説」「邪神世界」「闇の中シリーズ」、そして最高傑作の呼び声も高い「妖星伝」。若い頃に半村良に出会った私は狂ったように読みふけりました。私は子供の頃からSFが好きで、一時期はSF一辺倒だったのですが、半村良のおかげで一般小説の世界への進出が遅れたとも言えます。
復刻版

 半村良の小説の達者なところは、普通の世界から異形の世界への転換に至るまでの部分にあります。冒頭の「市井の生活」の描き方が本当にリアルで、その後ふとしたきっかけで踏み込んでいく異世界との差違をより際立たせています。丁寧に描かれた「当たり前の世界」を読むほどに、いつあっち側に行くのかとわくわくするんですよね。そして、半村良の描く「当たり前の世界」が決してつまらなくはないということに気づいたおかげで、高校生以降、一般小説を読めるようになったなあなんて思いもあります。
昔の角川文庫版

 「石の血脈」が出てか40年以上が経過している訳ですが、その面白さはまったく色褪せていません。現在角川文庫、ハルキ文庫などいくつかの出版社から出版されていますが、私の持っている集英社文庫版の表紙裏の紹介文はこんなです。

 -アトランティス、暗殺集団、赤い酒場、巨石信仰、狼男、吸血鬼、不死の生命…。この本を手に取ったあなたは、これらの言葉からどんな物語を想像するだろうか。失踪した妻を捜し夜の街を歩く建築家・隅田、展示場から消えたアトランティスの壷を追うカメラマン・伊丹。彼らの周囲には、次第に不可解な出来事が起こり始める。一見脈絡のない事象を縦糸に、男女の愛を横糸に紡ぐ、半村良の伝奇ロマン-

 主人公は若き建築家隅田賢也。急逝した世界的な建築家の一番弟子で、既に世界から注目される建築を世に出しています。男前で、大手建設会社の課長に異例の昇進を果たし、専務の娘と結婚-とこう書くと「リア充爆発しろ!」と言いたくなるのですが、彼にも悩みはあります。若く美しく貞淑な妻が失踪してしまったのです。恩師の死と後ろ盾である専務との関係で揺らいでいく立場。次第に大きくなる抜擢への反発。動揺する彼はある夜、チャイナドレスを着た妻・比沙子がクラブから出て迎えの車に乗り込むのを目撃します。彼女は何をしているの、なぜ失踪したのか…謎を探ろうとする隅田に、巨大な権力が這い寄ってきます。

 男前の隅田ですが、割と読者に共感を得やすいのは、貧乏で苦学をしてきたという半生と傍目ほど盤石ではない地位によるのでしょうか。正体不明のの巨大権力にわけもわからず翻弄されるあたりは、描写が達者なせいもあるのでしょうが、読んでいて本当に気持ちがシンクロします。そして初恋の人・香織との思いもかけない再会と、夜ごとの関係。そして「症状」の出現-

 作中登場する専属医師は、病気だと断言しています。セックスによって伝播するのですから性病ですね。この病気に感染すると、赤色以外の色感を失い、太陽の下に出られなくなります。無理に出ると熱中症に似た死に方をします。夜だけが世界となりますが、逆に夜は快活で機敏で爽快となり、普通の人からはきわめて魅力的で威圧感を持った存在に見えるようになります。

 この病気は最終的には体が石化するのですが、実は石化して数千年を経過すると、不死身の人間となって蘇ることになります。作中ではこれを神と呼んでいます。石化中に一部でも欠損すると、復活は不可能となります。作中では古代の石像の相当部分は復活できなくなった患者の末路だとしています。前出の香織は、海外で奇跡的に石化から蘇った人物から最後の病液を受け、現代の神祖となった訳です。この病気は親患者と子患者の間に絶対的な上
下関係を作り出します。香織はヒエラルキーの頂点に君臨しており、隅田はその直下の二位に位置づけられています。そして隅田は権力側に取り込まれ、数千の石像を安全に保管する施設の設計に従事することになります。

 この権力の差し出した蜜がとても魅力的です。金色のクレジットカードなんて、今時誰でも持っていますが、作中のゴールドカードは「権力者」の証でもあり、ほとんどオールマイティーの力を発揮します。

 さきほど本作で描かれる病気は性病だと言いましたが、そのせいで中盤以降は結構桃色描写があります。昔のSFは大抵どこかに桃色描写があって、当時は編集者からサービスで入れるように要求されていたとか言われますが、半村良の描写は要求されたから入れたというレベルを超えて、ノリノリで書いているとした見えませんが、中高生にはちょっと刺激的かも知れませんね。しかし、エロ本じゃないので買うのも読むのも全然恥ずかしくないぞ。後
輩諸君、ぜひ買いたまえ。

 権力に取り込まれるという意味では隅田はアンチヒーローなのかも知れませんが、読んでいる間はあまりそういう気がしません。悪党好きなのかなあ(笑)。そういえば「ジョジョの奇妙な冒険」でもディオが好きだった。つまらない善人よりも魅力的な悪人に惹かれてしまうのかも知れません。私がスタンド使いだったら完全にディオ側だな。

 ラストは、あっというどんでん返しがあり、巨大権力の「不滅計画」はほぼ壊滅します。その過程は読んでのお楽しみとして、隅田は生き残ったようなので、数千年保管してもらえれば復活できるかも知れません。しかし同胞がほとんどいない世界で永遠に生きるというのは楽しいのかな?

 作中一番のおすすめキャラは主人公の妻・比沙子です。人妻だけど萌え萌えです。美人で清楚でピアノが弾けて、献身的で一途。こういう嫁ならぜひ欲しいですね。作中NTRのシーンがあって隅田が衝撃を受けるのですが、後から振り返ると致し方ない。何しろ親患者は絶対的存在なので。最後のシーンは泣かせます。映画化したら、壇蜜さんに演じて欲しい。エロさ出さなくていいので、清楚かつ可憐にやって下さい。
壇蜜さん

 神祖というか、真祖(患者は末期に大量の血を必要とするので「吸血鬼」に例えられます)の香織様は、深田恭子あたりで。どSに比沙子をいじめるシーンが印象的。
深田恭子

 祥子(もう一人の主人公格のカメラマン・伊丹英一の恋人。香織が本当に好きだったのは自分ではなく伊丹であることを知った隅田の「復讐」により引き込まれる)は綾瀬はるかあたりでしょうかね。
綾瀬はるか

 ちなみに神への道を歩めるのは美男美女のみですので、作中にはたくさん美男美女が出てきます。映画化するならアイドルを使いやすいかも知れませんね。私は最初から選外ですが、犬神筋なら仲間になれるかも。神にはなれない「しもべ」ですけど。


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非公開コメント

代表作は・・・

知名度から『戦国自衛隊』が代表と思われるようでは本人は釈然としないでしょうな。

私も高校時代、従兄の蔵書で半村良を知り、何冊か読みましたが・・・逆に後期作品が多く、時代が新しくなるほど内容が薄くなっていくあたり、涙を禁じ得たかった憶えが。
『東北自治区』シリーズなんかゴーストライターが書いたのか?というほどの出来です。
川又千秋もそうだったんですが、限りがある『作家生命』というものの存在を感じたのはこの作家の作品が初めてだったかも。
老境でも書きまくっていた筒井とか小松左京は・・・むしろ化け物なんでしょうね。


で、私は西村寿行に、親父は森村誠一に走ったわけですが、この3人ともなぜか「謎の巨大権力」との闘いをテーマにした作品が妙に多い。
森村は政治家とか大企業や暴力団、西村は謎の宗教団体や凶悪な野生動物(笑)、そして半村は本ブログの通りでしょう。

スケールは半>西>>>越えられない壁>森、かな?

永遠に生きるモノが果たして幸福かどうかは、あさりよしとお「ワッハマン」がかなり的確に描写してましたね。
999の機械化人は妙にお気楽だったけど。

No title

半村良、懐かしい! と思って、ウチの蔵書を検索してみると。。。
「戸隠伝説」と、「戦国時代」しか残っていませんでした。
(10年ぐらい前に、どうしても必要な本以外は捨てろ命令が出て。。。それで処分してしまってました(涙))

「石の血脈」ぼんやりと憶えてます。
(あの頃は浴びる様に本を読んでいましたのでちょっと記憶が曖昧です)
おっしゃるとおり、日常の世界から非日常の世界への転換が素晴らしい作家だと思います。
石になったあと、ちょっとでも欠けてしまうと復活できない設定は強く印象に残っていますね。

また読んでみようかな。。。

Re: 代表作は・・・

こんばんわ、いらっしゃい。

> 知名度から『戦国自衛隊』が代表と思われるようでは本人は釈然としないでしょうな。

 戦国自衛隊は発想がすごいし、半村良を知るきっかけとなった作品なので好きですけど、代表作かと言われると…。中編といったボリュームだし。

> で、私は西村寿行に、親父は森村誠一に走ったわけですが、この3人ともなぜか「謎の巨大権力」との闘いをテーマにした作品が妙に多い。
> 森村は政治家とか大企業や暴力団、西村は謎の宗教団体や凶悪な野生動物(笑)、そして半村は本ブログの通りでしょう。

おお、「三村」。今では「西村」は西村京太郎でしょうかね。寿行さんは急速に忘れ去れている感じが。女性の扱いはひどいからなあ(笑)。全く自発的でない奴隷のパターン多し。「私の奴隷になりなさい」がいかにぬるま湯かという。

> スケールは半>西>>>越えられない壁>森、かな?

光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」、小松左京の「果てしなき流れの果てに」、半村良の「妖星伝」が日本の三大ビッグスケールSFではないかと。何気に山田正紀の「チョウたちの時間」も大スケールだけど、ボリュームがちょっと薄い気がします。

> 永遠に生きるモノが果たして幸福かどうかは、あさりよしとお「ワッハマン」がかなり的確に描写してましたね。
> 999の機械化人は妙にお気楽だったけど。

機械の体は永遠なのでしょうかね。長寿命は間違いないけど、脳も機械化しているんだろうか?脳が生身だとやはり寿命が…

Re: No title

> 半村良、懐かしい! と思って、ウチの蔵書を検索してみると。。。
> 「戸隠伝説」と、「戦国時代」しか残っていませんでした。
> (10年ぐらい前に、どうしても必要な本以外は捨てろ命令が出て。。。それで処分してしまってました(涙))

華氏451度の世界が?(笑)「戸隠伝説」いいですよね。もう一度読みたい。最近、アマゾンで古本を物色するのが趣味化してます。結構本は読んでいるのですが、図書館で借りることが多い(今もそうですが)ので、所有している本はそんなにないんです。引っ越しの時に捨てた本も多いのですが。

> 「石の血脈」ぼんやりと憶えてます。
> (あの頃は浴びる様に本を読んでいましたのでちょっと記憶が曖昧です)
> おっしゃるとおり、日常の世界から非日常の世界への転換が素晴らしい作家だと思います。
> 石になったあと、ちょっとでも欠けてしまうと復活できない設定は強く印象に残っていますね。
>
> また読んでみようかな。。。

ぜひぜひ。また今読むと感想が変わるかも知れません。私はすぐさま権力側に行きたいけど、どうせ行かせてもらえないだろから、逆キレして「イコノクラスム!」(笑)
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