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歪笑小説:東野圭吾が文壇・出版界を描く「楽屋ネタ」

招きネコ恵比須
 
 ああどうもこんばんは。昨日(9月3日)に9万ヒットを超えました。8万ヒット突破が8月5日でしたので、30日で1万アクセスという計算です。さすが夏休み期間中だけあって、タイ記録の平均333アクセスです。

 0(8/31)  →1万(11/3) 64日間 (平均156アクセス)
 1万(11/3) →2万(12/15) 43日間 (平均233アクセス)
 2万(12/15)→3万(1/13) 30日間 (平均333アクセス)
 3万(1/13) →4万(2/19) 37日間 (平均270アクセス)
 4万(2/19) →5万(4/10) 50日間 (平均200アクセス)
 5万(4/10) →6万(5/26) 46日間 (平均217アクセス)
 6万(5/26) →7万(7/1) 36日間 (平均278アクセス)
 7万(7/1) →8万(8/5) 36日間 (平均278アクセス)
8万(8/5) →9万(9/3) 30日間 (平均333アクセス) 

千客万来

 ちなみに一周年の8/31には8万9千アクセスだったので、8/5に予想した8万7千は上回っていました。千客万来誠にありがたいことです。

今度は栃木で

 今日は栃木で竜巻発生。全く困ったものです。また筑波嶺にも襲来するのかな。

 まあ杞憂になることを期待して、本日は東野圭吾の「歪笑小説」です。

歪笑小説

 先日、といってもだいぶ前で3月15日の記事
http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-308.html
で「怪笑小説」を紹介したのですが、「歪笑小説」は東野圭吾の「○笑小説」シリーズの4作目になります。間に2作目の「毒笑小説」と3作目の「黒笑小説」が入っているのですが、図書館で見つけたのが4作目だったということで。

 実は3作目の「黒笑小説」とともに、「歪笑小説」は小説家とか編集者といった文壇・出版界の舞台裏を描いた作品です。連続して読んだ方がいいらしいのですが、前段を飛ばして後段から読むことになってしまいました。

 それでは例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

歪笑小説宣伝

 新人編集者が目の当たりにした、常識破りのあの手この手を連発する伝説の編集者。自作のドラマ化話に舞い上がり、美人担当者に恋心を抱く、全く売れない若手作家。出版社のゴルフコンペに初参加して大物作家に翻弄されるヒット作症候群の新鋭…俳優、読者、書店、家族を巻き込んで作家の身近は事件がいっぱい。ブラックな笑い満載!小説業界の内幕を描く連続ドラマ。とっておきの文庫オリジナル。

 実は末尾に巻末広告が付いていて、最初は本物の広告なのかと思っていたのですが、内容が書かれている内容紹介が「?」だったので、よく見たら「歪笑小説」に登場する小説家達の小説の広告だったのでした。これがまた笑えるので後ほど紹介します。

 収録されている短編は12編ですが、それぞれ同一世界での出来事を描いているので相互関連性があります。

 伝説の男

 灸英社(明らかに集英社のパロです。「歪笑小説」の小説群は集英社の月刊小説誌「小説すばる」に掲載され、集英社文庫から刊行されています)書籍出版部に配属された新人編集者の青山。ミステリ小説を出版するのが夢だった青山にとっては願ってもない異動先でした。そこには伝説の編集長・獅子取がいました。挨拶する青山に、獅子取は奇妙な質問をします。そして青山はその意味をすぐに知ることとなるのですが…

 夢の映像化
 
 新米作家、熱海圭介のデビュー作『撃鉄のポエム』が2時間ドラマ化する企画が生まれました。有頂天になって友人・親・親戚に吹聴する熱海は、主演俳優や女優について勝手な想像を膨らませますが、実際に送られてきた企画書は、原作には全く忠実ではなく、B級女優が主演する二時間ドラマでした。圭介は怒りますが、これに対して編集者は…

 序ノ口
 
 灸英社のゴルフコンペに無理やり参加させられてしまった新米推理作家の唐傘ザンゲ。ゴルフ場に向かうのに大物作家と同乗することになって緊張し、コースでは別の人気作家二人と一緒になり、軽やかに回る二人にくっついて大苦戦しながら回ります。作家なのに何でこんな事をしなきゃならないのか。しかしある話しかけてきた人気作家は意外なことを…

 罪な女

「罪な女」のイラスト(左から熱海圭介、川原美奈、唐傘ザンゲ)

 編集者・小堺の多忙さを解消するためやってきた新人編集者・川原美奈が、熱海圭介の担当となりました。彼女の美貌に舞い上がる熱海は、メールを嬉しく読んだり、スキップをしてしまったりルンルンです。しかし唐傘ザンゲの彼女に対する視線は意外にも…。小説家としての熱海圭介と唐傘ザンゲの資質の差がはっきりわかってしまう一作。唐傘ザンゲの作品は、きっと読めばブログに紹介したくなるものですが、熱海圭介のは一冊読んだらもう読まない気がします。

 最終候補

 リストラ候補として会社から冷たい仕打ちを受ける中年サラリーマン石橋賢一は、小説家になることを夢見ます。暇な職場で構想を練り、完成した小説を灸英社の文学賞へ応募したところ、数日後、出版社から最終候補の見込みがあるとの電話がかかってきます。会社に辞表を叩き付けて小説家に転身する自分を空想する石橋ですが、編集者・小堺の語る小説家生活の実態は…

 小説誌

 神田編集長の中学生の息子達が週刊誌『小説灸英』編集部に見学に来ます。相手役を押し付けられた青山がしぶしぶ案内しますが、やたらに勉強してきた中学生達は、小説誌への疑問を次々にぶつけてきます。業界の本質に迫る質問の数々に追い詰められていく青山は…。ある意味出版業界の本質に迫りまくっている問題作です。これを小説家なのに編集者サイドから書いてしまう東野圭吾がカッコイイです。

 天敵

「天敵」のイラスト(左から元子、唐傘ザンゲ、小堺)

 唐傘ザンゲの恋人・元子は唐傘の小説の世界一のファンを自称しています。しかし何かと唐傘の小説執筆に口を出してくるので、編集者の小堺にとっては邪魔で仕方有りません。小堺は、唐傘のスランプは元子の干渉のせいだと思い、ある日遂に唐傘ザンゲの目前で元子と口論を開始し、修羅場に発展させてしまうのですが…。先輩小説家の「小説家の妻となることは大変だ」というセリフの真意と獅子取編集長の計略に驚きの一作です。

 文学賞設立

 灸英社が『天川井太郎賞』という新たな文学賞を設立することになりました。他者の既存の文学賞との差違を強調するため、独自の視点でエンターテイメントの優秀な作品に授与するという触れ込みです。他者から中傷される中、候補作を選定しますが、受賞作に選ばれたの…

 ミステリ特集

 『週刊灸英』でミステリ特集を組むことになり、10人の作家にさまざまなジャンルのミステリを書いてもらうことになりました。しかし肝心なところで本格推理を担当する作家が倒れてしまい、ピンチヒッターとして選ばれたはまさかのハードボイルド作家・熱海圭介(笑)。安請け合いをして「ミステリ小説の書き方」を読む熱海ですが…

 引退発表

 ここ数年新作を書いていない寒川心五郎は、自分にきりをつけたいと、編集者の神田を家に呼び寄せ、記者会見を開いて引退を宣言すると言います。昔のよしみで集まった各社の編集者の前で引退を宣言した寒川は、神田に引退小説を渡しますが…

 戦略

 売れない作家・熱海圭介を売り出すべく、編集長の獅子取は熱海のイメージチェンジを要求します。雑誌のインタビューアーを相手に、突飛な格好で奇妙なことを口走らされる熱海圭介。さあ新作「撃鉄のポエム2」の売れ行きや如何に。

 職業、小説家

 唐傘ザンゲと恋人の元子が結婚を考え始めます。元子の父は小説に縁の無い人物でしたが、娘の結婚相手が小説家だと知って収入は大丈夫なのかと悩みます。仕事をしている元子もマネージャー役として退職すると言い出すので苦悩は深まるばかりです。唐傘ザンゲという作家を知っているかと周囲に聞いて回る父は…。

 ということで中心となる作家は自称ハードボイルド作家の熱海圭介と本格推理作家の唐傘ザンゲです。熱海はどうして新人賞を取れたのかわからない妙な小説を書いており、例えるなら、「魁!クロマティ高校」を大まじめに書いているような人です。一方唐傘ザンゲはペンネームとか小説のタイトル(「虚無僧探偵ゾフィー」とか「煉瓦街諜報戦術キムコ」)は妙なのですが、内容は業界や読者から大いに評価されていて、ミステリー界期待の新人作家です。

 唐傘ザンゲのモデルは東野圭吾自身なのかも知れないな、なんて気がします。しかしすっとこどっこい作家の熱海圭介に対しても、編集者達が「箸にも棒にもかからないが爪楊枝ならかかるかも」とか「くさや作家」とか無茶苦茶な評価をしているにも関わらず、東野圭吾自身の視線は温かいような気がします。

 なによりも小説家で食っていくことの大変さをこれでもかとばかりに強調している点は、実力がありながらなかなか売れなかった東野圭吾自身の苦闘の物語を雄弁に物語っている気がします。一旦ブレイクすると過去の売れなかった作品も再評価されるようになるのだから、何としても一冊売れる作品を書かないといけませんね。

 それと「小説誌」。これは問題作ではないでしょうか。売れない小説誌をどうして赤字を出しながら出版し続けているのかという業界タブー中のタブーに踏み込んでいるような。これが全てではないのでしょうが、“ふつうの仕事ができないから作家になったような人間たち”という編集者青山の心の叫びには、業界の編集者達が拍手喝采したかも知れません。東野圭吾自身は常識人のようですが、やはり妙な作家は多いのでしょうかね?

歪笑小説宣伝その2

 では最後に「巻末広告」の一部を紹介しましょう。まずは熱海圭介の新作「銃弾と薔薇に聞いてくれ~撃鉄のポエム2」

 警察庁国家情報局の暗号解析器が盗まれた。犯行には謎の秘密結社が絡んでいると睨んだ一匹狼の元刑事・郷島巌男は、マフィアの力を借りて私設軍団を結成、秘密結社の要塞への総攻撃を断行する。しかし敵は国会議事堂の下に軍用列車を隠していた。日本の運命は?

 ……もうなんというか、ね。確かにこんなノリの内容紹介の広告を見たことはあります。読んだことはなかなかないのですが、内容紹介だけでお腹いっぱいというか心がくじけるというか(笑)。でも好きな人は好きなんでしょうね。

 次に唐傘ザンゲの新作「魔境隠密力士土俵入り」

 時は明治。日本の異境を旅行中のアメリカ大使の娘が消息を絶った。一方、東京では大麻が流行り始めていた。大使の娘からの最後の手紙から、ある村に目を付けた内務省特務局は、相撲巡業を装い、太ったスパイ数十名を潜入させる。第135回直本賞受賞作。

 ……熱海圭介とどこが違うんじゃ!?と言いたくなる内容紹介ですが、私はこっちは読みたくて仕方ありません。前作「煉瓦街諜報戦術キムコ」で唐傘ザンゲは本格推理から踏み出して新たなエンターテイメント作家に脱皮したようなのですが、今作は明らかに直木賞をモデルとしている直本賞受賞作ですよ。直木賞受賞作より面白い候補作というのはよく見かけるのですが、受賞作がどうしようもない駄作ということはないので、「魔境隠密力士土俵入り」も面白いことは請け合いでしょう。これで元子のお父さんも一安心だ。一方熱海圭介は何年小説を書いても直本賞はもとより、ありとあらゆる文学賞とは無縁だと思われますが、一部に熱狂的なファンがいるようなので、多分食っていけるでしょう。

仲俣汐里が歪笑小説を読む

 余談ですが、集英社文庫は「ナツイチ図書室」という企画をやっており、AKB48メンバーが同文庫の85人作品の読書感想文を公開しています。「歪笑小説」は仲俣汐里という娘が感想文を書いているようです。ネットでの公開は終了してしまっていますが、聞かない名前だなあと思ってちょっと調べてみたら、AKB48チームAのメンバーで、スイス生まれの東京都出身で、早稲田大学本庄高等学院を卒業し、早稲田大学政治経済学部在学中ということです。何と後輩!しかも政経学部といえば早稲田の看板学部ではありませんか。内部進学とはいえ、芸能活動しながら政経学部へ進むには色々苦労があったことでしょう。

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