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吉野北高校図書委員会:こんな甘酸っぱくほろ苦い高校時代を過ごしたかった…

吉野北高校図書委員会
 
 台風だの大雨だの大騒ぎのわりに、東京では薄日が射したりして全然雨が降りませんでした。傘持っていったのに。筑波嶺に戻ってみれば雨が降った気配は濃厚ながら、やはり帰宅時には雨はなし。天気予報は明日も傘を持っていけとのたまっていますがどうしたものでしょうね。

 さて気を取り直して本日の記事に参りましょう。今日は山本渚の「吉野北高校図書委員会」です。山本渚の本は初めて読みました。

山本渚

 山本渚は1979年生。徳島出身で徳島県立城北高等学校、香川医科大学看護学科を卒業しています。主婦業の傍ら書いた「吉野北高校図書委員会」で、2008年の第3回ダ・ヴィンチ文学賞編集長特別賞を受賞しています。主要な作品は「吉野北高校図書委員会」「吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋」「吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ゴコロ」となっており、まだ書籍化されているのはこのシリーズのみのようです。本人の近況をみると、出産と子育てに忙しいみたいですね。

 山本渚は徳島県立城北高校に在学中に図書委員を務めていたということで、その経験が「吉野北高校図書委員会」シリーズに生きているのでしょう。新聞記事からも城北高校が吉野北高校のモデルで間違いないと思います。

山本渚(レースクイーン)

 ちなみに「山本渚」で検索するとびっくりするような美人が出てくるのですが、かつて同姓同名のレースクイーンがいたようです。まさか本人じゃないでしょう。

 文庫本裏表紙の内容紹介よりもAmazonの内容紹介が詳細なので、こちらをどうぞ。

 まじめな進学校の、まじめな図書委員会にだって青春はある――
 まっすぐには進めなかった、もどかしい、あのころの日々。
 高校生たちの悩み多き青春を、瑞々しく描き出す。
 気の合う男友達の大地と大好きな後輩がつきあいだした。彼女なんてつくらないって言ってたのに――。図書委員会でふたりに接するうち、大地への微妙な想いに気づいてしまったかずら。だけどこれは恋ではないと、自分の気持ちにふたをする。一方、同じく委員の藤枝は、そんなかずらへの一途な想いをおさえきれず、苦悩していた。同時に、大地への気持ちに気づかないふりをするかずらの態度に苛立ちがおさえきれず……。図書委員会を舞台に、悩み、揺れ動く高校生たち。まっすぐには進めなかった、もどかしい、あのころの日々。大好きだから、友達だから、生まれてしまうたくさんの葛藤や悩み、割り切れない想い……決して綺麗ではない感情を抱えながら、それでも前に進もうとする高校生たちを、図書委員会という場を通じて描いた作品。誰にでも覚えのある感覚がストレートに押し寄せてくる、そんなまっすぐさを、些細な感情の揺れを描きながら見事に生み出しています。受賞作にくわえ、短編番外編「あおぞら」を収録。

 ということで、川本かずらと藤枝高広の視点でストーリーは進み、徳島弁全開の会話が展開されます。

吉野北高校図書委員会の堀北真希の解説より

 てきぱきしてはっきりした物言いをして、誰とでも分け隔て無く会話のできる二年生の川本かずらは文武両道でイケメンの武市大地のことが好き。相性もばっちりなのですが、あまりにも二人の相性が良いので恋ではないのではないかと思っています。大地も恋とは無縁のような雰囲気でしたが、油断していたら一年生の上森あゆみが大地とつきあうことに。あゆみは女子視点からもいかにも愛らしくて女の子らしくて、大地が落ちるのもむべなるかな、なのですがかずらの心境は複雑です。

 一方、一年生時は不登校だった藤枝高広は、かずらと接触して図書委員会に顔を出すことで登校するようになり、会ったときからかずらが好きですが、憎まれ口をきき合う悪友のような関係が心地よく、それを壊すことを恐れていましたが、かずらの大地への煮え切らない様子に業を煮やし、思い切った行動に出てしまいますが…

 とまあ、こういう甘夏みかんのような瑞々しくて甘くてほろ苦い図書委員会内の青春模様が描かれている訳ですが…正直彼らが羨ましいです。いかにも青春だなあという感じで。「2」や「3」は未読なので今後は分かりませんが、本書では特にオチもなく進んでいます。高校時代なんて、オチをつけるにはあまりにも短いですから、大抵の人は煮え切らないままに終了していたんじゃないかと思いますが、ギャルゲーとか一部のリア充は恋にスポーツに勉強にと充実した高校生活を満喫しているのでしょうね。

 私個人のことを回想すれば、本当につまらない高校時代を過ごしてしまったことだと思います。別に後悔はしていないし、やり直したいとも思いませんが、当時は早く高校を出たくて仕方有りませんでした。別に夜の校舎窓ガラス壊して回りたいと思っていた訳ではありません。逆らい続けて足掻き続けたわけでもありません。

吉野北高校図書員会POP

 ただ、もう中学校の延長のようなクラスとかクラスメートとの関係とか交流といったものにすっかりうんざりしていて、もっと希薄で自由な人間関係というものに憧れていたんですね。まさに“屍踏み越えて 進む意志を 嗤う豚よ 家畜の安寧 虚偽の繁栄 死せる餓狼の自由を!”という気持ちでいたんです。これは中二病なのでしょうか?

 受験を失敗したまま入った予備校では勉強以外は希薄そのものの人間関係でした。これはこれで待ち望んだものと言えたのですが、やはり今度こそ失敗できない大学受験というもののプレッシャーがあったのであまり満喫できたとは言えませんでした。

 大学では、まさに希薄な人間関係万歳という感じで、ほとんど人付き合いもなく友達らしい友達もなく、でも別に寂しいこともなく、居心地は良かったのですが、自由気ままに暮らす傍らでこんなんで将来大丈夫なのかなという漠然とした不安を抱えていたりしました。

 その後相当長い社会人生活を送ってみて言えることは…中学高校のうっとうしい学生生活も、将来の社会生活のためには必要不可欠なんじゃなかろうかと。おとぎ話に隠された「毒」が子供達の成長に必要なのだすれば、世の中に溢れるもろもろの不条理や悪意や不可抗力やといったものと何とか折り合いを付ける訓練が、私にとっては中学高校時代だったなあと思います。

山本渚の新聞記事その1

 そういう私にとっては苦痛に満ちた時代(特に高校時代)が、人によっては黄金時代でもあるのでしょうが、そんなにきらきらと輝かなくてもいい、本書の図書委員会くらいに楽しければどんなに良かっただろうかと思います。解説が二十歳前の堀北真希というのもラノベらしくていいですが私がいまだに深夜アニメを見て高校生達の様々な(或いは極端すぎる)青春模様を見るのが好きなのは、自分にはなかった経験というものをせめて仮想現実で見てみたいからなのかも知れません。

 それを言い出せば有象無象のギャルゲーも自分にはなかった夢のような高校時代を体験してみたいという動機からプレイしてきたのかも知れませんが、こちらはまあ類似経験があるという人は圧倒的少数だと思うので、現実離れしすぎているせいか、さほどゲームの主人公を羨ましいとは思いません。

 適当に甘酸っぱくて適当にほろ苦くて適当に楽しい高校時代…こういうのがいいんでしょうね。私には縁の無い世界でしたが。もっとも、では全く不毛な砂漠のような想い出しかないのかと反問すれば、探せばなんとか輝きの欠片みたいなものはないわけでもなかったりします。

 「いいか、よくおぼえとけ。人生の98パーセントはクズだ。だけど、がっかりしちゃあいけない。残りがちゃんとあるんだからね。」「ほら、残り2パーセントがはじまるぞ」(大原まり子原作、とり・みき画、コミック版「銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ」より)……これが私の高校時代にも当てはまるような気がします。その後、クズじゃない部分が2%を超えたことは…やっぱりないような?

山本渚の新聞記事その2
 
 おっといけないいけない。自分語りをしないブログだというのに。まあそういう記憶を想起させるような作品だったというで、たまにはいいでしょうかね。

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No title

自分語り、良いじゃないですか!

私も高校生時代は、かなり寂しいものでした。
ヒキガヤくん以上にぼっちでした。
クラスメイトの名前すら覚えられなかったなぁ。。。(苦笑)
席替えの度、前後左右の人の名前だけは覚えておこうと、
メモったりしてました。
学年も半ばに来ると、名前を聞くのも気まずくて、
先生に指された時に呼ばれる名前をメモしたたなぁ。。。(笑)

Re: No title

 shobunoさんこんばんは、いらっしゃい。

> 自分語り、良いじゃないですか!

 思う所あって最小限に留めたいと思っています。「そうしろと囁くのよ、私のゴーストが」(by草薙少佐)

 私は「あの高校でなければもっとこう…」みたいなことを考えていましたが、憧れのH高校でもそうだったのなら、きっとどこに行っても楽園なんかなかったんでしょうね。高校時代はぼっち時代とみつけたり!

 ぼっちな高校生諸君、きっと大丈夫です。私でさえなんとか社会でやっていけてますから。そういう時代に孤独に耐えて歯を食いしばって登校していった者が生き残るんです。  

No title

こんにちは、初めまして。

「秒速」関連で検索していてたどり着きました。
トゥルー・エンドも拝読させて頂きました。
映画からもう何年も経っているにも関わらず、秒速病からは未だに抜け出せません。

私のブログでは多くの皆さんがされているように、聖地を廻って撮影をしております。こだわりとしては、できる限り映画作品と似せた撮影を!ということです。ご高覧頂けましたら幸いです。

で、なんでこの記事にコメントかということですが、実は私の妻が城北高校グラウンドのまさに脇に住んでおりまして。
私も帰省するとグラウンド脇の道路で子ども達とキャッチボールなどをして遊んでおり、ボールが再々校内に飛び込んでしまうようなありさまです。
ちなみに妻はあまりに近い城北高校を選ばず、少し離れた高校に通っていたようです。私は別地方出身です。

・・・すみません、どうでもいい話でしたね。


当方のブログも週1くらいのペースでまだまだアップし続けておりますので、細々とお付き合い頂けましたら幸いです。

では、失礼致します。


Re: No title

 fumbaltさん、初めましてこんばんは。こんな僻地へようこそ。

> 「秒速」関連で検索していてたどり着きました。
> トゥルー・エンドも拝読させて頂きました。
> 映画からもう何年も経っているにも関わらず、秒速病からは未だに抜け出せません。

 秒速病患者さんですか。私も患者なのですが、この病を日本に蔓延させんと細々と活動しています。DVD貸したりして。しかし誰もがかかる病ではないのでなかなか広まりません。

> 私のブログでは多くの皆さんがされているように、聖地を廻って撮影をしております。こだわりとしては、できる限り映画作品と似せた撮影を!ということです。ご高覧頂けましたら幸いです。

 改めてゆっくり見させていただきますが、一見したところ私と同時期にブログを始められたんですね。「秒速」が世に出てから既に6年。依然そっくりの場所、既に変わってしまった場所、様々ですね。素晴らしい試みだと思います。

> で、なんでこの記事にコメントかということですが、実は私の妻が城北高校グラウンドのまさに脇に住んでおりまして。
> 私も帰省するとグラウンド脇の道路で子ども達とキャッチボールなどをして遊んでおり、ボールが再々校内に飛び込んでしまうようなありさまです。
> ちなみに妻はあまりに近い城北高校を選ばず、少し離れた高校に通っていたようです。私は別地方出身です。

 なるほど、奥様は徳島市出身なんですね。実は四国はまだ行ったことがありませんで(汗。年内には行きたいと思っているところです。学校と良いその周辺の風景といい、小説での城北高校とその周辺はなかなかに素敵そうです。部屋にムカデが入ってくるのはノーサンキューですが。

> 当方のブログも週1くらいのペースでまだまだアップし続けておりますので、細々とお付き合い頂けましたら幸いです。

 こちらこそよろくしお願いします。私のブログはオタ丸出しにしてかつ雑駁で恐縮です。
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