「秒速5センチメートル」考察(その2):その後の明里
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さすがにオーストラリアは強かった。引き分け残念でした。アウェーだし負けないだけ良かったというべきですかね。
それはさておき、「秒速5センチメートル」の考察その2です。
2.「その後」の明里さん
桜花抄以後、結婚するまでの明里さんについては、作中ほとんどといっていいほど描写がありません。が、断片的な情報から大胆不敵かつ勝手に推測してみましょう。

(1) 文通はいつまで続いたか
第二話で貴樹君はしばしば携帯でメールをうっています。これを見た花苗さんは受け取る相手が自分ならいいのにと思うわけですし、観てる我々も明里さんに送っているものと誤解するわけですが、実際には誰にも送られず、うち終わったそばから削除されていたわけです。つまり第二話の高校三年生の夏の時点で二人は既に「切れて」いるわけですが、文通自体は第一話以後も継続されていたことは、山崎まさよしの歌をバックにした切れ切れの「記憶のかけら」の中に、ポストを覗いて手紙を見つけて喜ぶ二人の様子が描かれていることからも間違いないでしょう。その後ポストを覗いて何もないのにがっかりする二人の姿を描かれていてこちらもがっかりするのですが、手紙の冒頭だけ書いて顔を伏せる明里さんの傍らには「数学ⅡA」という教科書らしき本があります。ここから察するに、文通のペースは次第に落ちつつ、高校二年生ころに途絶えてしまったもの推測されます。その理由は、二人の趣味嗜好・性向などの変化(直下で述べます)の他、明里さんが「理想の恋」の呪縛(後述)から逃れ得たためではないかと思われます。


(2) 文通はなぜ終焉を迎えたのか
同じ本を読み、語り合っていた二人。小学校の頃は趣味嗜好もほぼ一致していた二人ですが、やはり成長するにつれ、差異が生じるのは当たり前のことです。就職先などを見るに、貴樹君は理系ですね。中学校の頃からそうだったのかも知れません。一方、明里さんは文系と思われます。理由は、前述の「数学ⅡA」にあります。
我々の頃とは教育体系が異なる可能性もあるのですが、私は馬鹿高校で「数学ⅡB」を履修しました。当時、「数学ⅡB」は「数学ⅡA」より難しい内容とされていました。馬鹿高校だったので三年生になるまで受験シフトなどは全くとっていなかったためと思われますが、もっと早く文系理系を分ける進学校なら、文系の生徒に「数学ⅡB」は履修させないのではないかと思います。共通一次試験は確か数学ⅠBまでだったし。
私は明里さんは聡明な女の子だと確信しているので、高校は地域で一番偏差値の高い学校に進んだと思っています。そして文系コースだったので「数学ⅡA」を履修したと。で、さらに推測すると、明里さんは数学が苦手だったのではないでしょうか。苦手克服のため勉強をしようとしたものの、身が入らずに、逃避のために「そうだ、このごろ貴樹君に手紙書いてないや。書こっと。」とか思って手紙を書き出したものの、今度は何を書いていいのか全然思い浮かばず、にっちもさっちも行かずにがっくりと顔を伏せる-あれはそういうシーンだったのではないでしょうか。

ではなぜ手紙がかけないのか?それは二人の性向が変わってしまったことが大きな要因なのだと思います。文系理系という差もあると思いますが、映画とか本とか共通の話題がないと文通というのは継続が困難になると思います。文通を続ける間に、相手の手紙の内容から、二人の趣味嗜好は異なってしまったことがお互いに痛感されたのではないでしょうか。また、青春時代の貴重なこの数年間に、二人は全く逢うことができていません。種子島と栃木ではどうにもならないから責めている訳ではないですが、これは「継続」にとっては非常に痛いことでしょうね。お互いの身辺で起きたもろもろの出来事を、全く共有できていないのですから。
私も某国赴任から帰国後してから、ある外国人女性とメールをやりとりしていたのですが、最近は本当に間隔が開いてきて、ほぼ切れかかっています。要因は、やはり逢っていないことにより、「経験を共有できていない」ということに尽きると思います。起きたことを一から説明しても理解してもらえるかわからないし(外人ならなおさら)、相手の現在の状況もよくわからないし説明されてもうまく共感できないし。まあ私の場合は恋仲とかではない(すでに結婚して一女の母)ので、喪失感は特にないのですけどね。
(コミック版を読んでの追記)
数学については、小学校時代のエピソードですが、中学受験の話の際に「一緒がいいけど算数苦手だしなぁ」と言っている場面があります(一巻P35)。また、ほんの少しだけ文通が途絶える原因の一つか?と思えるエピソードがあります。高校生になって同じ学校の野郎から告白され、とりあえず返事は保留して帰宅、思わず手紙で貴樹に相談しようとするも「こんなこと書ける訳ないよね…」と手を止めてため息をつく明里さん(一巻P233~235)。そう、秘密というわけでもないけれども、手紙に書くことは困難な、二人共通ではないエピソードがどんどん積っていく訳です。中高生時代なんてまさに青春真っ盛りで、人の一生の中でも短時間で大きく変貌を遂げていく時代といえましょう。せめて中学校の3年間だけでも一緒に過ごしていれば、あるいは……)

(3) 高校卒業後は?
明里さんは地元の進学校を卒業、現役で東京の大学に入学したと思われます。上智か立教か青山学院あたりの英文科。卒業後、一流企業に就職し、現在の旦那(一流校卒)と出会い、素敵な恋愛関係に。以上。
……お前の妄想はいいんだよ、根拠を書け根拠をよといわれそうですが、あまり根拠はないです(笑)。本好きだから文学部かなという安易な発想と、高校生時代の明里さんがカポーティの「草の竪琴」を読んでいるので、英文科方面ではないかということ(く、苦しい。原書ならともかく訳書だもんな。誰でも読めるし)、数学が苦手と推測したので国立は厳しいかなということで私立大学。
栃木には、ろくな私立大学がなさそうなので(失礼)、東京の大学へ進学ということにしました。中学生になるに当たっては許されなかった、「葛飾のおばさん」の家から通学したかも知れません。大学については全く根拠はないですが、なんとなくミッション系のおしゃれな大学が似合いそうだなという私の勝手なイメージです。慶応でもいいですね。しかし早稲田だの明治といったバンカラ大学(今はそうでもないらしいですが)はなんか勘弁して欲しい。私の明里さんが汚れる。

旦那については、大学で知り合った先輩ということでもいいですが、給料のいい会社か職業であって貰いたいなあ。医師や弁護士もいいですな。明里さんを明日のご飯で悩ませるようなことがないといいな。明里さんは美人なので当然高校~大学時代に恋愛歴はあってもいいのですが、あんまり男性遍歴を重ねていないといいな。いや、重ねていないと信じたい。きっと大丈夫。ビッチは、ビッチだけは嫌あぁ!!


さすがにオーストラリアは強かった。引き分け残念でした。アウェーだし負けないだけ良かったというべきですかね。
それはさておき、「秒速5センチメートル」の考察その2です。
2.「その後」の明里さん
桜花抄以後、結婚するまでの明里さんについては、作中ほとんどといっていいほど描写がありません。が、断片的な情報から大胆不敵かつ勝手に推測してみましょう。

(1) 文通はいつまで続いたか
第二話で貴樹君はしばしば携帯でメールをうっています。これを見た花苗さんは受け取る相手が自分ならいいのにと思うわけですし、観てる我々も明里さんに送っているものと誤解するわけですが、実際には誰にも送られず、うち終わったそばから削除されていたわけです。つまり第二話の高校三年生の夏の時点で二人は既に「切れて」いるわけですが、文通自体は第一話以後も継続されていたことは、山崎まさよしの歌をバックにした切れ切れの「記憶のかけら」の中に、ポストを覗いて手紙を見つけて喜ぶ二人の様子が描かれていることからも間違いないでしょう。その後ポストを覗いて何もないのにがっかりする二人の姿を描かれていてこちらもがっかりするのですが、手紙の冒頭だけ書いて顔を伏せる明里さんの傍らには「数学ⅡA」という教科書らしき本があります。ここから察するに、文通のペースは次第に落ちつつ、高校二年生ころに途絶えてしまったもの推測されます。その理由は、二人の趣味嗜好・性向などの変化(直下で述べます)の他、明里さんが「理想の恋」の呪縛(後述)から逃れ得たためではないかと思われます。


(2) 文通はなぜ終焉を迎えたのか
同じ本を読み、語り合っていた二人。小学校の頃は趣味嗜好もほぼ一致していた二人ですが、やはり成長するにつれ、差異が生じるのは当たり前のことです。就職先などを見るに、貴樹君は理系ですね。中学校の頃からそうだったのかも知れません。一方、明里さんは文系と思われます。理由は、前述の「数学ⅡA」にあります。
我々の頃とは教育体系が異なる可能性もあるのですが、私は馬鹿高校で「数学ⅡB」を履修しました。当時、「数学ⅡB」は「数学ⅡA」より難しい内容とされていました。馬鹿高校だったので三年生になるまで受験シフトなどは全くとっていなかったためと思われますが、もっと早く文系理系を分ける進学校なら、文系の生徒に「数学ⅡB」は履修させないのではないかと思います。共通一次試験は確か数学ⅠBまでだったし。
私は明里さんは聡明な女の子だと確信しているので、高校は地域で一番偏差値の高い学校に進んだと思っています。そして文系コースだったので「数学ⅡA」を履修したと。で、さらに推測すると、明里さんは数学が苦手だったのではないでしょうか。苦手克服のため勉強をしようとしたものの、身が入らずに、逃避のために「そうだ、このごろ貴樹君に手紙書いてないや。書こっと。」とか思って手紙を書き出したものの、今度は何を書いていいのか全然思い浮かばず、にっちもさっちも行かずにがっくりと顔を伏せる-あれはそういうシーンだったのではないでしょうか。

ではなぜ手紙がかけないのか?それは二人の性向が変わってしまったことが大きな要因なのだと思います。文系理系という差もあると思いますが、映画とか本とか共通の話題がないと文通というのは継続が困難になると思います。文通を続ける間に、相手の手紙の内容から、二人の趣味嗜好は異なってしまったことがお互いに痛感されたのではないでしょうか。また、青春時代の貴重なこの数年間に、二人は全く逢うことができていません。種子島と栃木ではどうにもならないから責めている訳ではないですが、これは「継続」にとっては非常に痛いことでしょうね。お互いの身辺で起きたもろもろの出来事を、全く共有できていないのですから。
私も某国赴任から帰国後してから、ある外国人女性とメールをやりとりしていたのですが、最近は本当に間隔が開いてきて、ほぼ切れかかっています。要因は、やはり逢っていないことにより、「経験を共有できていない」ということに尽きると思います。起きたことを一から説明しても理解してもらえるかわからないし(外人ならなおさら)、相手の現在の状況もよくわからないし説明されてもうまく共感できないし。まあ私の場合は恋仲とかではない(すでに結婚して一女の母)ので、喪失感は特にないのですけどね。
(コミック版を読んでの追記)
数学については、小学校時代のエピソードですが、中学受験の話の際に「一緒がいいけど算数苦手だしなぁ」と言っている場面があります(一巻P35)。また、ほんの少しだけ文通が途絶える原因の一つか?と思えるエピソードがあります。高校生になって同じ学校の野郎から告白され、とりあえず返事は保留して帰宅、思わず手紙で貴樹に相談しようとするも「こんなこと書ける訳ないよね…」と手を止めてため息をつく明里さん(一巻P233~235)。そう、秘密というわけでもないけれども、手紙に書くことは困難な、二人共通ではないエピソードがどんどん積っていく訳です。中高生時代なんてまさに青春真っ盛りで、人の一生の中でも短時間で大きく変貌を遂げていく時代といえましょう。せめて中学校の3年間だけでも一緒に過ごしていれば、あるいは……)

(3) 高校卒業後は?
明里さんは地元の進学校を卒業、現役で東京の大学に入学したと思われます。上智か立教か青山学院あたりの英文科。卒業後、一流企業に就職し、現在の旦那(一流校卒)と出会い、素敵な恋愛関係に。以上。
……お前の妄想はいいんだよ、根拠を書け根拠をよといわれそうですが、あまり根拠はないです(笑)。本好きだから文学部かなという安易な発想と、高校生時代の明里さんがカポーティの「草の竪琴」を読んでいるので、英文科方面ではないかということ(く、苦しい。原書ならともかく訳書だもんな。誰でも読めるし)、数学が苦手と推測したので国立は厳しいかなということで私立大学。
栃木には、ろくな私立大学がなさそうなので(失礼)、東京の大学へ進学ということにしました。中学生になるに当たっては許されなかった、「葛飾のおばさん」の家から通学したかも知れません。大学については全く根拠はないですが、なんとなくミッション系のおしゃれな大学が似合いそうだなという私の勝手なイメージです。慶応でもいいですね。しかし早稲田だの明治といったバンカラ大学(今はそうでもないらしいですが)はなんか勘弁して欲しい。私の明里さんが汚れる。

旦那については、大学で知り合った先輩ということでもいいですが、給料のいい会社か職業であって貰いたいなあ。医師や弁護士もいいですな。明里さんを明日のご飯で悩ませるようなことがないといいな。明里さんは美人なので当然高校~大学時代に恋愛歴はあってもいいのですが、あんまり男性遍歴を重ねていないといいな。いや、重ねていないと信じたい。きっと大丈夫。ビッチは、ビッチだけは嫌あぁ!!

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