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同窓生:14年を経て消えない“女の恨み”の恐ろしさ

同窓生
 
 拍手がない…最近全然ない…寂しいです。俗に二八(にっぱち)なんていって、2月と8月は景気が悪いなんてされてますが、ブログもそうなのでしょうか。寒くて出歩かない代わりにネットサーフィンでもするかなんて気になりそうな気もしますが、もしやテレビに奪われているのか?

 ま、それはそれとして、本日は新津きよみの「同窓生」です。新津きよみの本は今回初めて読みました。

 新津きよみは1957年生まれの長野県出身の小説家で、青山学院大学文学部仏文科卒業後にOLとして務めながらカルチャーセンターの小説作法講座を受講し、講師の勧めにより小説の投稿をはじめたそうです。1988年に「両面テープのお嬢さん」で小説家としてデビューしました。テレビドラマ化された作品が多数あるのが特徴で、火曜サスペンス劇場(日本テレビ系)や土曜ワイド劇場(テレビ朝日系)、金曜エンタテイメント(フジテレビ系)などで放映されています。例によってテレビはほとんどみないのでどれも未見ですが(汗)。夫は同じく小説家の折原一ですが、この人の作品も多分読んだことがありません。

新津きよみ

 恒例の文庫版裏表紙の内容紹介は、

 大学時代の友人たちと、十四年ぶりに集まることになった史子。近況報告や思い出話をしながら、楽しいひとときを過ごしていた。ところが、誰もが憶えている「鈴木友子」という同級生のことを、史子はどうしても思い出せない。皆に「鈴木さんと一番親しかったのはあなたのはず」と言われ、史子の不安はますます大きくなるが…。複雑に絡み合った記憶の底から恐怖が滲み出す、長編ホラー・サスペンス。書き下ろし。

となっています。収録されているのが角川ホラー文庫ということもあり、途中まではホラー色が強いのですが、最後まで読むとむしろ明るい結末となっています。

 同窓会の場で、自分の知らない人の話題が出て、あなたが一番親しかったじゃないと指摘されても全く思い出せないことへの恐怖。実は主人公にはこの直前に頭に強い衝撃を受けて気を失うという出来事があり、逆向性健忘になっています。この逆向性健忘は、受傷・発症より昔の記憶が抜け落ちた状態のことで、ある地点から過去、昔の記憶がなくなってしまう症状のことです。よくドラマなどで使われる「ここはどこ?私は誰?」という状態は、逆向性健忘と解釈できます。

 そこで主人公は脳に障害でもあるのではないかと病院で検査を受けますが、異常は見当たりませんでした。それでも、なぜ頭を打ったのか理由がわからずにいるところに、全く心当たりのない“親友”だったという「鈴木友子」の話題を振られて主人公はパニック状態になってしまいます。

 実はこの「鈴木友子」、他の友人達が共謀しての主人公へのドッキリ企画でした。存在していない親友の話題を振って反応をみようという意地の悪い試みでしたが、奇怪なことに主人公を騙した彼女達のもとへ、「鈴木友子」が訪れるようになります。それは、彼女達の思い出したくない過去の記憶につながる名前だったのです。

 昔イジメに荷担せざるを得ず、無視してしまった子や、不倫が発覚して自殺未遂をした先方の奥さんなど、「鈴木友子」を名乗り得る人がいたことで、彼女達はしぶしぶ「鈴木友子」とつきあうのですが、その「鈴木友子」が記憶のトラウマの相手ではないことが判明すると、幻のように消えてしまいます。人気の無い寂しい場所に行こうと誘う「鈴木友子」は一体何者なのか?

 ある人物(主人公を騙した首謀者)に至っては、「鈴木友子」を同乗させた自動車の操作を誤って交通事故を起こし、学生時代の記憶を失うに至っています。その際に見た顔半分が血にまみれた女は……?

 この作品で何よりも恐ろしいのは、卒業して十数年経ってもなおねたみやそねみといった感情を抱き続けている女性達でしょう。大学の同級生が社会で脚光を浴びて楽しそうに活躍しているのに自分はただの専業主婦で嫁姑問題に悩まされている……あの頃は私の方が成績が良かったのに……こういう時に面白くない感情を抱く気持ちはわからないでもありません。が、わざわざ会う機会を自ら作ってまで罠にはめようと思うというのは凄いです。

 女性というものは……と一括りにしてしまうのは正しい認識ではないのでしょうが、私だったら昔の嫌なヤツには多分二度と会うまいと思うだけです。わざわざ会って罠にはめてうさを晴らそうという発想はないので、彼女達の行動自体が「鈴木友子」よりずっと恐怖です。

 しかし卒業して14年…みんな36歳になっている訳です。未熟な学生時代ならいざ知らず、世間的には皆いい年した「おばさん」ですよ。いつまで過去にこだわっているのかと思います。まあ首謀者が逆恨みするきっかけはわりと最近にあって、また主人公にたまたま出くわしたことで“復讐心”に火が付いたようなのですが、その執念深さとか、学生時代の主従的な友人関係を未だに保持していて当然だと思っているところとか、社会経験もなく結婚して専業主婦になった人というのはここまで社会不適応になってしまうのかと背筋が寒くなります。結婚もいい、専業主婦も結構ですが、やはり社会人生活はある程度必要なのかも知れませんね。
 
 私は女性が好きなのですが、もちろん全ての面で男に勝っているというわけもなく、相互補完的であっていいのですが、この小説は女性の嫌らしい面をこれでもかと見せつけるような感じがあり、さすがわ女性作家だなと言わざるを得ません。小説の登場人物達は、作者と同じく仏文科の卒業生達ということなので、実体験に基づいているのかも知れません。

 終盤、真実が明らかになってみると、やっぱり一番悪いのは男か、ということになってしまいます。まあけじめはつけた(つけさせられた)訳ですが、全ての出来事の元凶はお前だったかとあきれてしまいます。事件の影に女ありと言いますが、女の背後にはだいたい男がいるものですね。
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