コミック版秒速5センチメートル(その7):映像版第3話「秒速5センチメートル」相当部分を読む④

今日も拍手がいただけて嬉しいです。やはりモチベーションが違いますね。
私の知り合いに「秒速5センチメートル」にずっぽりとはまっている男がおりまして。中二病ならぬ秒速病とでも言えば良いのでしょうか。結婚してこの度嫁さんにおめでたが判明したということです。なぜそういう状況でなお「秒速」にこだわりを持ち続けているのか、私にはさっぱり訳がわからないのですが、どうやら女の子らしいということで、嫁さんが姓名判断の本に首ったけになって探した名前が「明里」だったそうです。もちろん嫁さんは「秒速」の「び」の字も知らないそうですが、何という偶然。目の前を小田急線がすれ違って疾走していくようです。
でも良い名前じゃないでしょうかね。私は賛成です。なぜなら
① 美人さんになる
② 幸せそうな結婚をする
③ 夫の他に幸せを祈ってくれる男いる
なので。①はやっぱりせっかく女の子なんだから可愛くなったほうがいいでしょう。②は女の幸せは結婚…なんていう気はさらさらありまえんが、結婚した結果幸せなら言うことないですね。③は、ストーカーとかだと困りますが、貴樹をストーカーと呼ぶ「秒速」ファンはいないでしょう。
「ARIA」の水無灯里も好きなので「灯里」は?と聞いたら字画的によくないのだそうです。他には「はるか」なんかもお勧めなんですけど、まあ外野が騒いでも仕方有りませんね。
というマクラで座を暖めながら(え?全然暖まってない!?)、今日も行ってみましょうコミック版「秒速5センチメートル」。本日は第10話「One more time,one more chance」です。ああもうタイトルだけで涙ぐみそうですよ。実は映像版に相当する部分はこれが最後になるのですが、コミックはなおもう一話あるので、最終話は次回ということで。
扉絵は冒頭のものです。笑い合う幼い頃の貴樹と明里。あの線路を渡っています。別れる日が来ることも知らず。
♪運命さえ まだ知らない いたいけな瞳~♪

私の携帯、もう5年落ちのロートルなんです。カメラもヘボヘボなので出来れば使いたくないのですが、コミック版の画像がなかなか見当たらないので仕方ありません。お目汚しですがどうかご容赦を。
自宅にいる貴樹。ベランダから外を見ているところに間違い電話。「なんだか久しぶりに人と話した気がする」なんてどれだけ孤独なんだ。孤独感に襲われている貴樹。しかし、孤独は今までの生き方の報いだと考え、誰かと本当に向き合えるように生きていこうと前向きな決意をしています。
外出して駅に来た貴樹。ふと向かいのホームを見ると、なんとそこには水野さんが。真っ正面ですが水野さんは携帯を見ていて気付いていません。何となく寂しいそうな表情です。あ、髪を切ったんですね。少しパーマもかかってるような。失恋すると髪を切るのはある意味お約束なんでしょうか。水野さんのホームに電車が入ってきます。顔を上げる水野さん。貴樹に気付いて驚きの表情を浮かべます。
電車がホームに停車。乗り込んでドアの窓から貴樹を探す水野さん。見つめ合う二人。
貴樹のホームにも電車が来ました。ドア越しに見つめ合う二人は、発車する電車によって引き裂かれていきます。

“約束じゃなくて いつかまた”別れの日の水野さんの言葉が貴樹の胸に蘇ります。しかし二人の瞳にはまだ愛の灯は見えません。
場面は変わって再び貴樹の部屋。不採用通知にため息をついています。少なくとも4連敗しているようです。ニートか、ニートなのか貴樹?就職先は自宅警備員か?新連載「たかきさん@がんばらない」が近づいているのか?

折しもかかってきた友人からの電話に「まあなーそう思うけどやりたいことがあるからさ」と答える貴樹。きっと「お前働き過ぎだったろ?しばらくはゆっくり休んだらどうだ」とか言われたんでしょうね。
またもや場面は変わってどこかの小さなオフィス。上司らしいおっさんから昼飯に誘われている貴樹。おお!どうやら再就職に成功したみたいですね。イスはいくつかあるけど二人きりなのがちょっと気になりますが。「蕎麦の気分なんだよね」というおっさんに「いいですね」と相変わらずの八方美人な返事。でもまあ貴樹は食にこだわりはなさそうなので、何でも良いのかもしれません。オフィスを出て行く貴樹の背景には人工衛星のポスターなどが貼ってあるようです。宇宙工学に関係する職場に入れたのでしょうか?
今度は明里のマンション。貴樹の部屋はアパートと呼ぶのがふさわしそうですが、明里のスウィートホームはやはりマンションでないといけません。ベランダの植木鉢に水をやってます。携帯で会話しています。「仕方ないよ仕事だもん」なんて行っているところを見ると相手は「祐一さん」みたいですね。いいよずっと帰ってこなくてもと言いたいところですが、明里が悲しむから我慢しときましょう。桜の写真を携帯で送るみたいなことを言っています。
また貴樹の部屋。ポストから郵便物に桜の花びらがついているのを発見します。そうかもう春だな…お散歩決定。さあ外出した二人。運命の踏切にさしかかります。そしてまさかのニアミスへ。

すれ違った瞬間、目を見開く二人。振り向いた貴樹が目にするのは小田急線の列車。さらにもう一本逆方向の連車がすれ違っていきます。
“貴樹くんは この先もずっと大丈夫だと思う ぜったい!”
あの日の明里の言葉が聞こえてきます。
“明里は?明里は?”
一見明里を探しているかのようですが、おそらくここは、「僕のことを大丈夫だという明里こそ大丈夫なのか?」という問いかけでしょう。優しい貴樹は明里のことをまだ心配しているんです……というのが私の解釈です。
振り返らない明里。左手薬指には結婚指輪。そして電車の通過した踏切、振り返った貴樹の視線の先には誰もいません。はかなげな微笑みを浮かべ、踏切を後にする貴樹。コミック版に限ってかも知れませんが、この時の貴樹の気持ちは「そうか…明里も大丈夫なんだね…」といったものだったのではないでしょうか。映像版ではまたいろいろ解釈する余地がありますが。
去って行く貴樹の後ろ姿。しかしそれを見つめる人影が。傘を持った女の子の足があります。ページをめくるとあの日の明里が。そう、「貴樹くん、来年も一緒に桜、見れるといいね」と言ったあの日の明里です。去りゆく貴樹の背中に微笑み、右手を振ります。

明里は後ろも見ずに去って行ったかに見えましたが、その本当の心は貴樹を心配してその幸せを祈り続けていたのです。チビ明里は、貴樹が大丈夫であることを確認して安心したかのようですね。

裏の余白ページには桜吹雪の中の明里のスケッチが。目を伏せて微笑んでいます。結婚指輪はもう見せつけんでいいっちゅーに。でもいい、明里が幸せなら私はどうなってもいい……。二次元のキャラに本気でそんな気持ちを持っているあたり、私も立派な秒速病患者ということでしょうか。
次回、いよいよ最終話です。

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