ペイネ~愛の世界旅行:ああ帰りたい…

昔私が好きだったのは松田聖子、その前は太田裕美。ではその前は、というと、なんとポール・モーリアとかレーモン・ルフェーブル、カラベリやパーシー・フェイスといったイージーリスニングでした。
ムード音楽という言い方もありましたが、まあ我ながら「おっさんか!!」と突っ込みたくなるような嗜好ですね。
いやーしかし本当に名曲がたくさんあるんですよ。私は中学時代に放送部に所属していたんですが、その学校は、なぜか日本語の歌を流してはいけないという規則がありました。まあピンクレディーとかキャンディーズとかを学校で流すのはけしからんという趣旨は何となくわからないでもないのですが、洋楽についてもあまりいい顔をされなかった記憶があります。
当時の私はあんまり洋楽には興味なかったのでそれほど不自由は感じませんでしたが、必然的にかける曲は歌のないものに偏ることになり、クラシックばかりじゃ中学生には退屈だぜ、というところに現れたのがイージーリスニングでした。
ビートルズでもカーペンターズでもビージーズでも、歌なしでメロディを奏でるイージーリスニングは、その名のごとく聞いてきて非常に気持ちのいい曲が多いです。ポール・モーリアなら「恋は水色」、レーモン・ルフェーブルなら「涙のカノン」(パッへルベルのカノンのアレンジ。私はこの曲がとても好きだったので、エヴァンゲリオンで使用された時は、昔の恋人を寝取られた位に悔しかったです)、パーシー・フェイスなら「夏の日の恋」なんか最高ですよ。
その放送部、朝放送(生放送)、お昼の放送(録音)のほか、下校放送も流していました。朝放送のテーマはペールギュント組曲の「朝」(ベタベタですなあ)、お昼の放送のテーマはポール・モーリアの「イエスタディ・ワンス・モア」(カーペンターズの名曲)、夏季のみパーシー・フェイスの「夏の日の恋」。そして3時40分頃に流す下校放送に使用したのが、ポール・モーリアの「ペイネ~愛の世界旅行」でした。
※「涙のカノンです」聞いてみて下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=eMPpxWpcg1s
この曲は原題が“A FLOWER IS ALL YOU NEED”で、1974年に制作された「ペイネ・愛の世界旅行」という長編アニメーションのテーマ曲です。ペイネというのはフランスのイラストレイターであるレイモン・ペイネのことで、彼の「恋人達」という原画をもとに4年かけて作られたそうです。

しかし、実は私、このアニメは見ておりません。バレンチナとバレンチノという恋人たちが、天国で「愛のパスポート」をもらってAIR LOVEという妙な飛行機(冒頭のイラスト参照)で世界各国を旅して回る物語だそうですが。
しかし、なにはともあれこの曲が素晴らしい。とにかく一度お聞きください。
http://www.youtube.com/watch?v=6DEAXtW99mw&feature=related
なんでしょうね、この甘く切ない旋律は。どこの誰かは知りませんが、この曲を下校の音楽に選んだ人は本当に偉いと思います。郷愁に満ちたメロディは、後半一気にクライマックスに入ります。そこで「下校時刻になりました。学校に残っている人は、早くおうちに帰りましょう」といったアナウンスが聞こえてくる気がします……もちろん動画サイトには入ってませんよ。
なお、クラブ活動している生徒は当然まだ帰らないので、後に彼らを帰らせるために5時40分頃に「夕焼け小焼け」を、5時50分頃に「マイ・ウェイ」(レーモン・ルフェーブル)を流すことになりました。マイ・ウェイもポール・モーリアとレーモン・ルフェーブルではだいぶアレンジに差があって、私は断然格調高いレーモン・ルフェーブル派でした。
それでも、下校放送というとやはりこの曲が浮かびます。ああ、この曲を聴くと今でも帰りたくなりますね。一体どこへ帰りたいというのか、自分でもよく判りませんが。とりあえずナナ先輩、あなたの声はとても素敵でした。お幸せに暮らしていますように。
今夜はやたらノスタルジックになってしまいました。
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