クリスマス・イブに賛美歌を:旧支配者のキャロル

来年のカレンダーをAmazonで買おうと思っていたらいつの間にか機を逸してしまい今や直接Amazonから変えなくなってしまいました。まあなきゃないでいいんですけど。上野優花さん、残念でした。来年こそは。
それはそうと奉仕種族の諸君、メリーユール!え?メリークリスマスではないかですって?そう、君達リリンはそう呼んでいるね。
それはそうと奉仕種族の諸君、メリーユール!え?メリークリスマスではないかですって?そう、君達リリンはそう呼んでいるね。
古代ヨーロッパのゲルマン民族は、冬至の頃にユールと言う祭典を行っていました。後世にキリスト教との混交が行われた結果、それは現在ではクリスマスと呼ばれることが多くなっていますが、北欧諸国では現在もクリスマスをユールと呼んでいます。英語でもかつてはクリスマスの祝祭をユールタイド(Yuletide)と呼んでいたらしいですよ。
そして私が愛して止まないクトゥルー神話においても、ユールの日はメイ・イブすなわちワルプルギスの夜と並ぶ重要な祝祭日です。ちなみにメイ・イブはメイ・デイ(5月1)の前夜祭で、古代ケルトでは4月30日の夜から行われる春の祭りであり、魔女たちがサバトを開いて跋扈するなどと伝えられていました。
そして私が愛して止まないクトゥルー神話においても、ユールの日はメイ・イブすなわちワルプルギスの夜と並ぶ重要な祝祭日です。ちなみにメイ・イブはメイ・デイ(5月1)の前夜祭で、古代ケルトでは4月30日の夜から行われる春の祭りであり、魔女たちがサバトを開いて跋扈するなどと伝えられていました。
「ワルプルギスの夜」といえば、今となってはこちらを連想する人も多いでしょうが。
ラブクラフトの短編に、ユールの日を扱った「魔宴」という作品があります。創元推理文庫の「ラブクラフト全集5」に収録されています。人々がクリスマスと呼ぶユールの日に、100年に一度行われる一族の祭りに参加するために架空の都市キングスポートを訪れた「私」。一族は衰退していて屋敷にいるのは老人一人だけです。老人に導かれてフード付きの黒衣を纏った「私」は墓地に出かけます。
ラブクラフトの短編に、ユールの日を扱った「魔宴」という作品があります。創元推理文庫の「ラブクラフト全集5」に収録されています。人々がクリスマスと呼ぶユールの日に、100年に一度行われる一族の祭りに参加するために架空の都市キングスポートを訪れた「私」。一族は衰退していて屋敷にいるのは老人一人だけです。老人に導かれてフード付きの黒衣を纏った「私」は墓地に出かけます。
どこからともなく集まってきた人々と地下に下っていくと、人々が翼と水かきのある怪物にまたがって飛び立っていくのを目撃します。恐怖に駆られた「私」は地下の川に身を投じ、気付けば病院のベットでした。凍死寸前の状態で港で発見されたということでした。
ミスカトニック大学所蔵の「ネクロノミコン」を読むと、「私」の体験した魔宴の様子が描かれていました。「最下(いやした)の洞窟、その驚異こそ奇怪にして恐るべきものなれば、窺(うかが)い見ることを得ず。死せる思念新たに活命し、面妖にも肉をまといし地こそ呪われたり、頭備えぬ魂こそ邪悪なり…」
クトゥルー神話的にもクリスマスが重要な日であることが明らかになったところで、景気づけにキャロルでも歌いましょうか。「鐘のキャロル」(“Carol of the Bells”)という合唱曲があります。元々はウクライナの伝統的クリスマスソングだったようですが、今では定番クリスマスソングとして欧米ではよく知られています。映画「ホームアローン」でも使用されました。 こんな曲です。
ミスカトニック大学所蔵の「ネクロノミコン」を読むと、「私」の体験した魔宴の様子が描かれていました。「最下(いやした)の洞窟、その驚異こそ奇怪にして恐るべきものなれば、窺(うかが)い見ることを得ず。死せる思念新たに活命し、面妖にも肉をまといし地こそ呪われたり、頭備えぬ魂こそ邪悪なり…」
クトゥルー神話的にもクリスマスが重要な日であることが明らかになったところで、景気づけにキャロルでも歌いましょうか。「鐘のキャロル」(“Carol of the Bells”)という合唱曲があります。元々はウクライナの伝統的クリスマスソングだったようですが、今では定番クリスマスソングとして欧米ではよく知られています。映画「ホームアローン」でも使用されました。 こんな曲です。
多治見少年少女合唱団が日本語で歌っています。
ニコニコ動画ですが、お姉ちゃんたちが歌い踊るど派手なステージをお楽しみ下さい。
神聖なる賛美歌…なんですが、素人が聞くと、何となく曲が重々しくてちょっと怖い感じがしませんか?そこに目をつけたクトゥルー信者達の牙城「H.P.ラヴクラフト歴史協会」(The H.P. Lovecraft Historical Society)は、この「鐘のキャロル」のメロディに乗せ、クトゥルー神話に登場する「旧支配者」をモチーフにした実に罰当たりな(笑)替え歌を作ってしまいました。それが「旧支配者のキャロル」です。
神聖なる賛美歌…なんですが、素人が聞くと、何となく曲が重々しくてちょっと怖い感じがしませんか?そこに目をつけたクトゥルー信者達の牙城「H.P.ラヴクラフト歴史協会」(The H.P. Lovecraft Historical Society)は、この「鐘のキャロル」のメロディに乗せ、クトゥルー神話に登場する「旧支配者」をモチーフにした実に罰当たりな(笑)替え歌を作ってしまいました。それが「旧支配者のキャロル」です。
では旧支配者のキャロルの歌詞を見てみましょう。なんと旧支配者からの大サービスで対照和訳付きですよ。
Look to the sky, way up on high
蒼穹を仰げ いと高き処を
There in the night stars are now right.
星々は整然と 夜空に輝く
Eons have passed: now then at last
永劫は過ぎ去り 今この瞬間遂に
Prison walls break, Old Ones awake!
封印は砕け散り 旧支配者が目覚める!
They will return: mankind will learn
彼らは戻るだろう 彼らが降臨せし日に
New kinds of fear when they are here.
人類は未知なる恐怖を思い知らされるだろう
They will reclaim all in their name;
彼らは全てを恣(ほしいまま)に取り戻す
Hopes turn to black when they come back.
彼らが復活した時、希望には暗雲が立ちこめ
Ignorant fools, mankind now rules
無知で惰弱なる人間の支配は仮初めであったことに気付かされる
Where they ruled then: it's theirs again
Where they ruled then: it's theirs again
再臨の日 森羅万象は再び彼らのものとなる
Stars brightly burning, boiling and churning
燦然と燃え上がり 激しく揺れ動く星々は
Bode a returning season of doom
我らに課された運命の予兆なのだ
Scary scary scary scary solstice
恐怖の極致よ
Very very very scary solstice
究極の恐怖よ
Up from the sea, from underground
海中から這い寄り 地中から這い上がり
Down from the sky, they're all around
天空から降り立ち 彼らは甦る
They will return: mankind will learn
彼らは再臨する 彼らが降臨した日に
New kinds of fear when they are here
人類は未知なる恐怖を思い知らされるだろう
Look to the sky, way up on high
蒼穹を仰げ いと高き処を
There in the night stars are now right.
星々は整然と 夜空に輝く
Eons have passed: now then at last
永劫は過ぎ去り 今この瞬間遂に
Prison walls break, Old Ones awake!
封印は砕け散り 旧支配者が目覚める!
Madness will reign, terror and pain
狂気と恐怖と苦悶と悲嘆
Woes without end where they extend.
終わりなき哀哭が全てを支配する
Ignorant fools, mankind now rules
無知で惰弱なる人間の支配は仮初めであったことに気付かされる
Where they ruled then: it's theirs again
Where they ruled then: it's theirs again
再臨の日 森羅万象は再び彼らのものとなる
Stars brightly burning, boiling and churning
燦然と燃え上がり 激しく揺れ動く星々は
Bode a returning season of doom
我らに課された運命の予兆なのだ
Scary scary scary scary solstice
恐怖の極致よ
Very very very scary solstice
究極の恐怖よ
Up from the sea, from underground
海中から這い寄り 地中から這い上がり
Down from the sky, they're all around.
天空から降り立ち 彼らは甦る
(Fear)
(畏怖せよ)
Look to the sky, way up on high
蒼穹を仰げ いと高き処を
There in the night stars now are right.
星々は整然と 夜空に輝く
They will return
彼らは戻ってくるだろう
ボーカロイド巡音ルカが歌うバージョン。クトゥルーだけに「たこルカ」になっています。
スローにして気味の悪い素敵な画像を載せたものです。
直訳だと意味は判るけどそのままじゃ歌えないよ、日本語で歌いたいよと願う皆さんのため、メロディに乗せやすい日本語詞をプレゼントしましょう。
ジョークから誕生したボーカロイド派生キャラ「重音テト」(VOCALOIDとは異なる技術を用いた音源データ)が歌う日本語版です。テトがやたら怖い…
ジョークから誕生したボーカロイド派生キャラ「重音テト」(VOCALOIDとは異なる技術を用いた音源データ)が歌う日本語版です。テトがやたら怖い…
日本語で歌い人のための字幕入りバージョン。
和英対照はこんな感じ。完全な意訳ですが気分は出ていると思います。
Look to the sky, way up on high
天仰げ 空高く
There in the night stars are now right.
今宵 星戻り
Eons have passed: now then at last
目覚めよ 我が主よ
Prison walls break, Old Ones awake!
封印は 既になく
They will return: mankind will learn
主が戻る 人よ知れ
New kinds of fear when they are here.
新しき 怖れを
They will reclaim all in their name;
真の名を 主は示す
Hopes turn to black when they come back.
闇を望め 希望はない
Ignorant fools, mankind now rules
無知なる 人から
Where they ruled then: it's theirs again
主は 取り戻す
Stars brightly burning, boiling and churning
星々が 破滅する
Bode a returning season of doom
運命(さだめ)の 時が今
Scary scary scary scary solstice
至上の 星辰と
Very very very scary solstice
至高の 恐怖よ
Up from the sea, from underground
遍く 全てより
Down from the sky, they're all around
海からも 空からも
They will return: mankind will learn
主は戻り 人は知る
New kinds of fear when they are here
新しき 怖れを
Look to the sky, way up on high
天仰げ 空高く
There in the night stars are now right.
今宵 星戻り
Eons have passed: now then at last
永劫は 終わった
Prison walls break, Old Ones awake!
我らの 主の目覚め
Madness will reign, terror and pain
狂気と 恐怖と
Woes without end where they extend.
苦痛と 悲嘆と
Ignorant fools, mankind now rules
世のどこにも それが
Where they ruled then: it's theirs again
満ちぬ 場所はない
Stars brightly burning, boiling and churning
星々が 破滅する
Bode a returning season of doom
運命(さだめ)の 時が今
Scary scary scary scary solstice
至上の 星辰と
Very very very scary solstice
至高の 恐怖よ
Up from the sea, from underground
遍く 全てより
Down from the sky, they're all around.
海からも 空からも
(Fear)
(怖れよ)
Look to the sky, way up on high
天仰げ 空高く
There in the night stars now are right.
今宵 星戻り
They will return
主は来る
先ほども言ったとおり、海外ではポピュラーなクリスマスソングなので、海外でこの曲を耳にしても、「旧支配者のキャロルだ!」と騒いだりしないように。クトゥルー信者であることがばれるといろいろと困ったことになるかも知れませんよ。もちろん、欧米のクトゥルーファンの集まりなら問題ありませんが。
ちなみに「魔宴」に登場した怪物は後付けでバイアキー(バイアクヘー、ビヤーキー)【Byakhee】だとされています。これは旧支配者の中でも大物の、四大元素中「風」の邪神達の首領であるハスター(這いよれ!ニャル子さんではハス太として登場していた彼です)の奉仕種族で、蜂蜜酒を飲んで石笛を吹き、呪文を唱えると召喚することができます。
呪文は……いあ いあ はすたあ! はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ! あい あい はすたあ!
「いあ いあ」はクトゥルー系で連呼される「ビバ」的意味合いのかけ声なので、適当に旧支配者につっくけて叫ぶといいでしょう。「いあ!いあ!クトゥルー」とか「いあいあ! ニャル子さん!」とか。これで旧支配者の機嫌を損ねることはまずないと思われるので、もし出逢ったら取りあえず「いあいあ」の連呼で(笑)。
ただし旧支配者の名前を間違えるとえらいことになるかも知れませんよ。クトゥルーの目の前で「いあ!いあ!はすたー」なんて言っちゃった日には……
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