金沢紀行:仙台からたった四駅で北陸の古都

10月になりました。ようやく秋本番という感じですが、暦の上では晩秋に差し掛かるらしいですね。8月に立秋があって11月に立冬があるからまあそういうことになるんでしょうが、今年は長い長い暑さからようやく解放されたところなので、これから2、3ヶ月は秋が続いて欲しいところです。

本日は先日訪れた金沢旅行の話を。遅い夏休みを取りまして、さてどこかへ行こうかと思ったのですが、北海道は7月に行ったし、西日本は四国時代にかなり攻めたので、順当に行けば東北を攻めればいいのですが、なんとなくなるべく遠くに行きたくなって。そこでなるべく停車駅が少なく中でどこまで行けるかをつらつら考えていたら思いついたのが金沢。


東北新幹線のはやぶさと北陸新幹線のかがやきを大宮駅で乗り継ぐと、仙台から4駅目に金沢に到着。これは凄いですね。東京駅で東海道新幹線に乗り継いだ場合、上野とか品川停車が必須になるので、仙台から4駅目は品川になってしまいます。同様に大宮駅で新潟新幹線に乗り継いだら4駅目に新潟に着くことも可能です。それもありなんですが、距離的には金沢の方が遠いのでこちらを選択しました。

まだ回数乗っていないので、北陸新幹線の沿線は新鮮ですね。軽井沢とか通ったり。いつか訪れてみたいと思いつつ、通過するばかりです。立山連峰など北アルプスの山々も見所なんですが、今回は雲が多くて見られませんでした。

古都金沢着。仙台は伊達藩の城下町で、伊達藩は江戸時代62.6万石という雄藩でしたが、これをしのぐのが薩摩藩の72.9万石と加賀藩の102.5万石。伊達藩の1.6倍以上の石高があった加賀藩の城下町が金沢。なお伊達藩のすぐ下の4位は尾張藩61.9万石で、5位は紀州藩55.5万石。6位の熊本藩54万石と併せ、3~6位は団子状態ですね。見せて貰おうか、日本一の大藩の城下町とやらを!

とはいえ、金沢訪問は初めてという訳ではないんですよね。これまでに4~5回は訪れているかと。実は3年前の年末にも訪れているのですが、その時は午後休取って暗くなってから金沢に到着し、ホテルで酒を飲み過ぎたのか、翌朝はこれまでなったことがないほどの二日酔いになり、朝食も食べられず観光もできず、死体のようになって筑波嶺に戻ったのでした。まあただの二日酔いなので夕方までには元気になっていましたが、一体何が原因だったのか。いつもどおりのペースと量で飲んでたはずだったんですが。

ともあれ昼に到着した今回はちゃんと観光しますよ。まずは腹ごしらえと駅ビルでお店を物色していたら、「ゴーゴーカレー金沢駅総本山」という物々しい名前に遭遇。総本山…?寺院かよとツッコみつつ、その名前の魅力に負けて入店。実はお店は仙台にもあるんですけどNE!

中生と兼六カレーを注文。兼六カレーは当然三名園の一つ、兼六園にちなんだ命名なんでしょうが…カツ2枚、エビフライ、シャウエッセン、ゆで卵というこの構成は…ぬうっ、これは他店で言うところのメジャーカレー!!(男塾風)となると、その下の百万石カレーはメジャーカレーワールドチャンピオンクラスということでしょう。さすが総本山、名前が違うのか。“若者の支持率№1のトッピングてんこ盛りメニュー”とのことですが、おっさんなのにいってしまいました。さすがにライスは中盛りでしたが。

お腹いっぱいになったので、今宵の宿「天然温泉 加賀の湧泉 ドーミーイン金沢」へ。金沢駅東口すぐという便利な立地です。チェックイン時間には早かったので荷物を預かって貰おうと寄ったのですが、部屋は用意できているとのことだったのでチェックイン。

身軽になったので腹ごなしもかねて兼六園まで徒歩でGO。金沢駅通りと百万石通りを通って、紺屋坂を上ればそこに兼六園。一番近い桂坂口の入り口が封鎖されていたので、奥の蓮池門口から入場します。

まずは兼六園のシンボルとも言うべき徽軫灯籠へ。「ことじ」と読みます。水面を照らすための雪見灯籠が変化したもので、形が楽器の琴の糸を支え、音を調整する琴柱(ことじ)に似ているため、その名が付いたと言われています。2本の脚の長さが違いますが、元々同じ長さだったものが、何かの原因で折れてしまい、石の上に片脚を乗せてバランスを保っているのだそうです。

徽軫灯籠のある霞ヶ池を別アングルから。雲が多く、ちょっと色づいている木もあって秋っぽい感じですが、実際にはなかなかに暑い日でした。

兼六園もこれが三度目。でもとりあえずぐるっと一回りします。名園には違いありませんが、私は高松の栗林公園の方が好きかな。やはり大きさが違います。でも兼六園と金沢城、後楽園と岡山城と、三名園はお城とタッグを組んでいるんですよね。栗林公園は高松城趾とはちょっと離れていてそこがねえ…。画像は兼六園内のせせらぎ。暑いのでどうしても水気に惹かれてしまいます。

こちらは瓢池。小さくてわからないかも知れませんが、中央の岩の上にゴイサギがいます。

別アングルからの瓢池。やはり小さくてわかりにくいですが、滝が涼感を演出しています。

霞ヶ池に戻って徽軫灯籠の対岸側から。紅葉散り急ぐ晩秋とか、雪降る冬の光景はさぞや…

続いてすぐ側の金沢城に。兼六園から一番近い、重要文化財に指定されている石川門です。天明8(1788)年の再建で、金沢城の搦手(裏口)に当たります。裏口なのになんと立派な。なお江戸時代初期に焼失した天守はその後再建されず、それどころか本丸さえも火災後は再建されず、藩主は二の丸御殿を使っていたそうです。

五十軒長屋と菱櫓。武器や什器等の倉庫で、有料ですが中を見学できます。2001年に復元されたものなので、まだまだ真新しさがあります。金沢城には他幕末からある三十軒長屋(重要文化財)もありますが、工事中でした。

玉泉院丸庭園。二代目藩主利長の正室玉泉院の屋敷があったことが名前の由来。歴代藩主が手を加えてきた庭園です。2015年に江戸時代末期の姿をもとに再現されました。

ずっと歩きづめで足が疲れてきました。痛い足を引きずるようにしてスーパーでお買い物。酒と惣菜を買ってホテルに戻りましたが、それでも歩き続けたのは意地。今回は惣菜を控えめにしました。なぜなら…

ホテルにはラウンジサービスがあったのです。17:00~20:30の間、レストランをバーラウンジとして、金麦・ハイボール・ワイン(赤・白)・オレンジジュースなどのドリンクを無料で提供しているほか、おつまみも無料サービス。ドーミーイン公式サイトから予約した人限定だそうですが、これは今までのドーミーインにはなかった素晴らしいサービス。

大浴場で疲れをほぐしてからラウンジで枝豆、フライドポテトなどをつまみに角ハイボールを二杯。ウホッこれはいいサービス。従来は宿泊者全員を対象としたサービスでしたが、2年前から公式サイト予約者限定になったそうです。いやいいんです、いつも公式サイトから予約しているので。このサービスはぜひ全国のドーミーインでも導入して欲しい。

部屋に戻って本格的に飲みました。いつもなら22時頃に夜鳴きラーメンサービスに行くのですが、ラウンジサービスの素晴らしさのせいか今回はパスしてしまいました。

若干飲み過ぎたかなと思いつつ、大して酔いは残らず翌朝に。3年前のあの悪酔いは一体なんだったのだろう。いつものように朝食はしっかり食べました。金沢カレーもあって、昨日ゴーゴーカレーの総本山で食べたのにまた食べてしまいました(笑)。

荷物をフロントに預けて本日もテクシー。でも今回は昨日よりも近くて長町の大野庄用水沿いにある武家屋敷跡など歴史的町並みを散策。

まずは足軽資料館。さすが百万石の加賀藩は、足軽でも一軒家の屋敷に住んでいたそうです。年中無休で無料というのがうれしいところ。

下級武士の足軽なので使用人もおらず、室内は簡素かつこじんまりとしていますが、江戸時代の社宅という感じがして親しみが持てます。他藩では足軽は長屋に住んでいたそうなので、仕えるなら大藩だなあと思ってしまいますね。やはり大企業の社宅は中小企業の社宅より豪勢なんでしょうか。

こちらは中級武士だった高田家跡。長屋門、仲間部屋、厩、庭園などがありますが、肝心な武家屋敷がないのが残念。

屋敷が残る野村家。1200石取りの上級武士の屋敷です。でも有料だったのでパス。

金沢市老舗記念館。江戸時代の薬種商の建物を移築したものです。こちらも有料ですが、向かいの前田土佐守家資料館と併せて360円だったので入りました。撮影自由とのことでしたが…

なぜか撮ったのは手鞠。北陸名物「花嫁のれん」もあったんですが。

さらに手鞠。加賀花てまりというそうです。もはやインテリアにする領域ですね。

前田土佐守家資料館。前田利家・まつ夫妻の次男前田利政の家系で、一時期は能登国22万石余りを領有していましたが、関ヶ原の戦いで徳川家康の出兵要請に応じなかったことにより領知を没収されるという数奇な人生を辿りました。その後まつ(芳春院)の奔走により前田家家臣となり、家臣団最高位の「加賀八家」の一つとして1万1千石を拝領しました。直参一万石で大名となるところ、前田家には一万石の家臣が十家以上あったんですね。旗本も三千石以上なら大身と呼ばれましたが、加賀藩にはそのレベルの家臣ならごろごろと。やはり仕えるなら大藩ということか。

鶏口牛後ということわざがありますが、金沢を見ると1万石の藩で武士をやるよりも加賀藩で足軽をやった方がいいんじゃないかとか思ってしまったり。ま、人生いろいろってことでしょうかね(笑)。
スポンサーサイト