デスマーチからはじまる異世界狂想曲:5年ぶりに見直しました

昨日今日と仙台では青葉まつりが開催中。うっかり忘れて街中に出たら人の波に驚きました。

伊達政宗没後350年を迎えた昭和60(1985)年から、杜の都・仙台の初夏を彩っており、仙台三大祭りの一つとして内外の多くの方々に愛されているそうです。ちなみに東北三大祭りと言えば仙台の七夕祭り、青森のねぶた祭り、秋田の竿燈祭りですが、仙台三大祭りは青葉まつりと七夕祭り、そして年末の「SENDAI光のページェント」なんだとか。

さて本日はYouTubeで期間限定で無料一気見ができた「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」の感想をば。原作は愛七ひろが「小説家になろう」で連載した小説で、2018年の冬季アニメとして放映されました。
わずか5年前のことですが、当時は「なろう」系アニメが放映され始めた頃でした。今でこそ好き嫌いはともかく「なろう」系ということで市民権を得た感がありますが、それまでは小説原作の作品はラノベが主流だったところ、これらとは全く違う傾向の作品群が登場したということで、世間の評価は様々でした。

「なろう」系アニメの嚆矢は2017年の夏季アニメとして放映された「異世界はスマートフォンとともに。」と言われています。この作品が、「なろう」系としてもかなりアレだったせいで(笑)、「スマホ太郎」と呼ばれることに。

「太郎」というのは蔑称に付けられることが多く、「なろう」系「物理さんで無双してたらモテモテになりました」のコミカライズでは、主人公天草ラクトのこのシーンが受けて「黙れドン太郎」と呼ばれ…

動物愛護団体「アニマルライツセンター」が掲載した漫画「牛乳のひみつ」に登場したこのキャラが「邪魔だゴッ太郎」と呼ばれたりしました。動物愛護の思想をわかりやすく広めるための漫画と思われますが、ツッコミどころの多い描写が多く、乳牛は酪農業者にとって収入を得るための大切な商品なので、こんなことするなんて普通ありえないと指摘されました。

まあアニマルライツ関連にはこれ以上触れませんが、その次に放映された本作は「デスマ次郎」と呼ばれたりすることに。さらに“兄弟”がいて、「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」は「魔王三郎」と呼ばれたり、ましたが、「盾の勇者の成り上がり」が「盾三郎」と呼ばれたり。さらには「賢者の孫」が「孫四郎」と呼ばれたり。

しかし今から見ると「また、おれなんかやっちゃいましたか?」で有名な「賢者の孫」はともかく、三郎候補はどちらも評価が高かった(2期のことはこの際おいておきます)ので同列に扱うのもどうかと。「なろう」系といっても玉石混交、ひとくくりには出来ません。


このほか「オーバーロード」が「イキリ骨太郎」と呼ばれたり、スマホゲーム「fate/Grand Order」のアニメ化作品(「絶対魔獣戦線バビロニア」)で主人公が「イキリ鯖太郎」と呼ばれたり。しかし両方とも面白かったので、蔑称としてはちょっとなあと思います。まあfateは女性サーヴァントが多く登場するので、彼女たちに戦わせておいて後ろで指示だけしている男主人公というのはちょっとな…となるのはわからないでもないですが、戦闘力が隔絶していますからねえ。「ウマ娘プリティーダービー」で美少女揃いのウマ娘に厳しトレーニングを課すトレーナーは、同じ理屈で「イキリ馬太郎」とか呼ばれてしまうかも。

とりあえず「スマホ太郎」については、「まるで将棋だな」という大迷言など、そう呼ばれても仕方がない出来だったのは間違いないようです。しかし、近い時期に放映されただけで「デスマ次郎」と呼ばれた本作はとばっちりを受けただけという気がします。というのも、本作の出来は悪くないのです。

オンラインゲームの下請け会社に勤めるアラサープログラマー鈴木一郎は、3日帰宅できないほどの激務の中にいました。これがデスマーチの由縁ですが、そんな中でも過度に感情的にならず、迷子の女の子を気に掛けたりと、常識的な行動を取っていました。

ようやく一段落つけて仮眠をとる鈴木君。無論これで全てが終わったわけではないのですが、寝ないと人間死にますからね。


しかし、目覚めたらなぜか異世界。開発に携わっていたゲームによく似たUIと中途半端に若返った姿と開発時に使っていた名前(サトゥー)に戸惑う中、突如襲い来るリザードマンの群れ。絶体絶命の中、初心者救済システムとして実装していた大規模魔法「流星雨」を3発同時に発動させると、リザードマンの群ればかりか、一帯(竜の谷)を制圧してしまい、カンストしたレベルと能力値、そして莫大な財産や財宝を得ることに。

この竜の谷、実は竜神が支配していた領域で、大量の竜が生息していましたが、流星雨で竜神すべての竜が死滅してしまい、支配権をサトゥーが引き継ぐことに。こうして圧倒的チート能力を持ちながら、目立ちたくないという理由で旅の商人を装ったサトゥーは、折角の機会だからと異世界観光と元の世界へ戻る方法探しを同時に行うことにします。

旅の途中で仲間に加えたのは、奴隷とされていたポチ・タマ・リザの亜人トリオ。ポチは犬耳族、タマは猫耳族、リザは橙鱗族の獣人で、サトゥーは自分の奴隷にすることにはためらいがあったものの、この世界の常識と彼女らの懇願を踏まえて「ご主人様」となります。およそ奴隷扱いすることはなく、優しく丁寧に接するのでさらに懐かれることに。

さらに奴隷商人から購入することになった元王女アリサ。実は前世は日本人だった転生者で、前世の記憶をもとに改革を行っていたところ、隣国の陰謀で奴隷に落とされました。彼女によれば、前世で死んでこちらで生まれ変わった転生者と、前世の姿そのままで召喚される召喚者がいるそうですが、サトゥーは死んだわけではなく、また中途半端に若返って前世の姿そのままでもないという例外的な存在となっています。

アリサの異母姉妹のルル。アリサと共に奴隷とされていました。どうみても美少女なのですが、その外見はこの世界の人間の美意識では嫌悪対象となるほどの不美人とされ、本人も強いコンプレックスを持っています。

「異世界おじさん」でおじさんがオーク扱いされていたのを思い出しますね。しかしおじさんが転移した異世界は美形ばかりの世界だったので、やむを得ない部分もありましたが…

どうみてもルルは美少女でしょう。アリサはOKでルルはNGとか、この世界の美意識は訳がわかりませんね。黒髪や黒い瞳が忌避されるといった程度ならともかく。なおアリサの“中身”はショタ好きなど結構年食ってそうですが、体は11歳。こういう場合合法ロリといえるのかどうか。ルルは14歳で、コンプレックスから男性恐怖症に陥っていましたが、自分の容姿を嫌わないサトゥーに好意を寄せるようになっていきます。

さらに途中で保護したエルフのミサナリーア(通称ミーア)。ロリっ娘ですが年齢は130歳。これこそ真正合法ロリと言いたいところですが、エルフの成人が何歳なのか不明なので、合法かどうかは不明です。

ミーアをベースに作られたホムンクルスのナナ。七体いるホムンクルスの一体で、ホムンクルスというよりアンドロイド風です。外見は17歳程度の巨乳美女ですが、実年齢は生後半年ほど。こういうのはなんと呼ぶのか…

以上7人のパーティーに加えて完全にハーレムパーティーの主となるサトゥー。さすが「なろう系」だぜと言いたい布陣ですが、サトゥーには全くハーレムを楽しむ気はありません。


あと、パーティーには加わっていませんが、異世界で初めて助けて言葉を交わしたゼナがガールフレンドみたいになっています。亜人に差別意識がないなど心優しく、サトゥーにも恋心を持っている様子です。ハーレムには手を付けていないのだし、じゃあゼナがメインヒロインにしていいようにも思いますが、サトゥーの方はそこまでは思っていないような。

サトゥーは前世でも「お姉ちゃんのいる店」(キャバクラ系なのか風俗店なのかは不明)が好きだったようで、巨乳で年上の女性が好みのタイプの模様。異世界でも娼館に通っているようで、若返ってショタ風になっているのでモテているようです。ということは、これまで登場したヒロイン候補はことごとく10代なので眼中にないのかも。

酒場でチップをはずんだり他の客におごったりしてお姉さんの好意を一身に受けるサトゥー。

そして連れ込み宿を兼ねていたのでそのままお姉さんとおよろしいことに。サトゥーは以前はアラサーだったけど、今では16歳くらいなので、このお姉さんは十分年上かつ巨乳なので、ドストライクゾーンだと思います。

アリサは精神年齢が高いので、なにかとアプローチしてきますが、“被保護者に手を出すのは倫理的にまずいだろ…”で全く手を出しません。BBAだから手を出されないという話はよくありますが、せっかく美少女に転生したのに手を出されないのはくやしいのww。まあ4,5年経てばきっと…
今回見直して改めて思ったのは…

① 主人公(サトゥー)が優しい。パーティーメンバーはもとより、街の人たちにも当たりがソフトで、イキる様子が全くなく、好感度が高い。旅の商人を自称している手前ということもあるかも知れませんが、鈴木一郎時代から穏やかな性格だったので、生来のもののようです。主人公の好感度が高いのはいいですね。


② 異世界は食事がまずい、というのが「なろう」系のお約束みたいになっていて、現世の料理や調味料で異世界人がメロメロになるというのが一つのお約束パターンになっていますが、本作で描かれる異世界にはちゃんとした料理があり、サトゥーも旨い旨いと絶賛しています。野営の場合はともかくとして、ちゃんとした街のちゃんとした店で提供される料理であれば、本作の方がリアリティがありますね。



③ 強敵には結構苦戦する。「竜の谷」の全アイテムを継承しているので、魔剣聖剣神剣などよりどりみどりですが、例えば聖剣は「勇者」の称号がないと真の力を発揮できず、称号のないサトゥーは持っただけでペナルティーを受けるといった描写があるなど、スペックは最強でも知らない事は多く、色々到らない部分があるので、強い敵を相手にすると無双という訳にはいきません。「流星雨」を使えばあらゆる敵をワンパンできると思いますが、威力が高すぎて周辺の被害が甚大となるため、滅多なことでは使えません。まあエピソード内では“聖剣が使えないなら神剣を使えばいいじゃない”というマリーアントワネット理論(?)で勝利しているので、チートといえばチートかな(笑)。

ということで、「スマホ太郎」がまさかの2期製作となり、現在放映中なので、「デスマ次郎」もぜひ2期を作って欲しいですね。1期は全12話でしたが、11~12のエピソードがあまり派手なものではなく、いかにも来週も続きそうな感じで終了しているので、その続きから作って全然問題ないと思います。

あとEDのケルト音楽風の「スキノスキル」がとても良いです。歌っている声優ユニット「Wake Up, Girls!」は2019年に解散してしまいましたが、ユニット最後のシングルだったんですね。
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