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シン・ウルトラマン(その1):怪獣ならぬ“禍威獣”総進撃

成人式といえば振袖

 三連休中日の日曜日というのは心に余裕があって実にいいですね。なんで三連休になっているのか全然考慮の埒外でした(笑)が、9日は成人の日だそうで。昨年、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたところ、じゃあ18歳で晴れ着なのかと思いきや、高松では「二十歳のつどい」と称して従来通り20歳の人を対象にしている模様。まあ成人したといっても18歳では酒を飲めませんし、妥当な判断でしょうか。成人の日は9日だけど式典実施は8日。翌日のことを考えるとこれも無難なんですが、だったら成人の日は必ず日曜にぶつけて翌日は振休ということにしたらいいのでは?なんて無粋なツッコミをしたりして。

メフィラスさん何言っているんすか

 何はともあれ三連休、私の好きな言葉です。土日出勤、私の苦手な言葉です。などと山本耕史、いやメフィラス星人独特な言い回しを使ったことでおわかりのように、本日は年末に見た「シン・ウルトラマン」の感想を綴りたいと思います。

ウルトラシリーズいろいろ

 1966年から始まり、中断を挟みつつも以後50年以上にわたって継続している円谷プロダクション制作の「ウルトラシリーズ」。その嚆矢が第一作「ウルトラマン」(1966~67年)ですが、「シン・ウルトラマン」は「ウルトラマン」を現在の時代に置き換えた「リブート」映画だそうです。庵野秀明作品としては(今回は監督ではありませんが)、「シン・ゴジラ」「シン・エヴァンゲリオン」に続く「シン」シリーズということになるでしょうか。なかなか終わらせることができずにある意味宿痾のようになっていたエヴァンゲリオンを見事に終わらせた「シン」シリーズ、いいですね。

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 なぜか日本にだけ出現しだした巨大不明生物。「禍威獣(カイジュウ)」と名付けられたそれらに対処するために禍威獣特設対策室(略称:禍特対)が設立されます。しかしネロンガと命名された禍威獣第7号は手強く、従来の兵器では撃退困難と思われたところ、突如飛来した謎の巨人が退治しました。

シン・ウルトラマン

 そう、彼こそはウルトラン。ウルトラマンが飛来した際に子供を庇って死亡した禍特対の神永新二の自己犠牲に興味を覚えた彼は、神永と一体化し、禍特対の一員なり、禍威獣や外星人と戦うことになります。

スペシウム光線発射態勢
初登場時のウルトラマン

 ウルトラマン(本名はリピアー)は当初銀色の身体に銀色のラインで、おなじみスペシウム交戦も無茶苦茶な威力を発揮していましたが、神永と一体化した後はラインが赤くなって我々が知るウルトラマンの姿に近くなりました。この変化は、「地球人との融合に伴うスペシウムエネルギーの損耗によるもの」なんだそうです。スペシウムエネルギーはウルトラマンの活動エネルギーそのもので、スペシウム光線や飛行等にも応用されているそうで、要するに人間と一体化したことで相当弱体化してしまったようです。実際、スペシウム光線も最初のような高出力ではなくなりました。

カラータイマーなし

 ウルトラマンといえばつきもののカラータイマーはありません。これはウルトラマンを手掛けたデザイナーの成田亨のオリジナルデザインのとおりです。カラータイマーはウルトラマンが弱っていることを子供にもわかりやすくするために追加されたものですが、成田亨は大変嫌っていたそうで、本作ではCG技術も向上したので、エネルギーの損耗は体表のラインが赤から緑に変色し、活動限界に達すると消滅してしまうという形で表現されることになりました。

M87.png
M87.jpg

 ウルトラマンの故郷といえばM78星雲にある光の国ですが、本作ではM87にある光の星となっています。これは当初M87星雲としていたものが誤記されてしまったのが定着してしまったものだそうで、確かにM78星雲はオリオン座にある散光星雲として実在しますが、明るい以外にこれといった特徴のない星雲です。一方M87は巨大な楕円銀河で、中心に超大質量ブラックホールを持ち、そこから宇宙ジェットが延びていることが知られています。

M87のブラックホール

 2019年には国際協力プロジェクトでM87中心部にある超大質量ブラックホールの撮像が公開されるのなど、M87は天文学的にも極めて重要な天体なので、ウルトラマンの故郷とするにはこちらの方が適当でしょう。そのため米津玄師が歌う主題歌も「M八七」となっています。

M78星雲

 M78は地球から1600光年ほど離れた銀河系内の星雲なのに対し、M87は5500万光年も離れた大銀河で、おとめ座銀河団の中核です。さらに言えばおとめ座銀河団は、銀河系やアンドロメダ銀河なども含まれるおとめ座超銀河団の中核なので、要するにこの辺りの宇宙の中心的存在といっても良いかと。

メフィラス星人との対話

 後半のメフィラス星人の発言から示唆されるのは、ウルトラマンは人類の保護者であり監視者という立場で、人類というのは光の星が撒いた種による発展途上の未熟な生物兵器らしいです。人類の進化の先にウルトラマンがいて、基本的に人類とウルトラマンは同種なので、融合が可能らしいです。弱い禍威獣の出現は放置していましたが、人類では対処しきれない禍威獣の登場により、人類保護のために降臨してきた模様。

なんだってー

 禍威獣は太古の昔に地球に封印、あるいは遺棄された星間戦争用の生物兵器のようです。このあたり、クトゥルー神話的色彩も感じますね。「禍威獣とは旧支配者だったんだよ!」「な、なんだってー!!」みたいな。

暴れるネロンガ

 そして禍威獣1号ゴメスから同6号パゴスまでは、威力偵察や戦術分析(要するに囮)のために生み出された生物だったため、人類の科学力と兵器で討伐が可能だったのですが、禍威獣7号ネロンガや禍威獣8号ガボラは局地制圧用の次世代型で強力な攻撃・防御手段を持っており、人類では対処困難となっていました。

着ぐるみ使い回し

 ネロンガやガボラは頭部以外は禍威獣6号であるパゴスそっくりでしたが、これも禍威獣が一種の「工業製品」で、設計を使い回して規格化されていたからだという。実際「ウルトラマン」に登場する透明怪獣ネロンガの着ぐるみはウルトラQに登場したパゴスの着ぐるみを改造したもので、ウラン怪獣ガボラはさらにネロンガの着ぐるみを改造したものだったそうです。着ぐるみの製作は高価らしく、当時はこうしてやりくりしていたんですね。そもそもは「フランケンシュタイン対地底怪獣」に登場したバラゴンに始まり、パゴス→ネロンガ→ガボラ→マグマと使い回したという。コスパの高い着ぐるみかも知れませんが。

変身する神永

 冷徹に人類を監視し、援助するにしても必要最低限に留めていたウルトラマンは、子供を庇って死んだ神永の自己犠牲の精神に興味を抱き、光の星の掟を破って神永と融合してしまいます。その結果、当初朴念仁そのものだったウルトラマンは次第に人類を理解していくことに。しかし、光の星の掟を破った代償はあまりに大きなものでした…

ゴメス

 この先は次回に回すとして、登場した禍威獣についてひとくさり。人類が(というか自衛隊や米軍が)倒した禍威獣達は「ウルトラマン」の前番組である「ウルトラQ」に登場した怪獣達でした。禍威獣1号ゴメス(巨大不明生物ゴメス)は「ウルトラQ」第1話「ゴメスを倒せ!」に登場した古代怪獣。

ゴメスとリトラ

 トンネル工事で目覚めて暴れますが、同時期に目覚めた原始怪鳥リトラと戦って相打ちになります。ゴジラの着ぐるみを改造したそうで、その後再びゴジラに戻った後、今度はえりまき怪獣ジラースに改造されてウルトラマンと戦うという。

マンモスフラワー

 禍威獣2号(巨大不明生物第2号)マンモスフラワーは第4話「マンモスフラワー」に登場した吸血植物ジュラン。

ジュラン

 中生代ジュラ紀に生息していた植物ということからジュランという名前になったそうですが、本編ではマンモスフラワーとだけ呼称されました。「ウルトラQ」劇中でもマンモスフラワーとだけ呼ばれていたそうです。

ペギラ

 禍威獣3号(巨大不明生物3号)ペギラは第5話「ペギラが来た!」と第14話「東京氷河期」に登場した冷凍怪獣ペギラ。核実験の放射能の影響でペンギンが突然変異したとか、アザラシに近い海棲哺乳類の変異体ではないかといわれています。口からマイナス130度に達する冷凍光線を放射し、周囲に反重力現象まで引き起こし、更には空も飛べるという強敵ですが、南極大陸に生育する苔の成分から抽出した物質・ペギミンHが弱点と判明したことで撃退に成功しますが、「ウルトラQ」では死亡していません。「シン・ウルトラマン」では女性生物学者(おそらく禍特対の船縁由美)が弱点を発見して駆除に成功しています。

ペギラとチャンドラー

 ペギラの着ぐるみは「ウルトラマン」第8話「怪獣無法地帯」に登場する有翼海獣チャンドラーへ改造されましたが、ほぼ本人(笑)。冷凍光線が出せなくなった分、弱体化してたりして。ウルトラマンと戦うまでもなくレッドキングに負けて逃走しました。その後の消息は不明ですが、再度出現しても科特隊で対処可能だったと思われます。

ラルゲユウス

 禍威獣4号(飛翔禍威獣)ラルゲユウスは第12話「鳥を見た」に登場した古代怪鳥ラルゲユウス。第三氷河期(いつやねん)以前に棲息した鳥の祖先で、通常は文鳥に似た姿をしていますが、空腹になると巨大化して暴れます。

ウルトラQのラルゲユウス

 劇中では倒されることなく飛び去りましたが、「シン・ウルトラマン」でも取り逃がしたまま消息不明となっています。

カイゲル

 禍威獣5号(溶解禍威獣)カイゲルは第24話「ゴーガの像」に登場した貝獣ゴーガ。サザエのような貝殻とカタツムリのような体を持ち、目から溶解光線を出します。

ゴーガ

 自衛隊の一斉攻撃で倒されますが、「シン・ウルトラマン」でも初出動した禍特対と自衛隊の連携攻撃によって駆除されました。なぜゴーガの名前を使わなかったのかは不明です。

パゴス

 禍威獣6号(放射性物質捕食禍威獣)パゴスは第18話「虹の卵」に登場した地底怪獣パゴス。中生代の生物が、ウランをエネルギー源としたことで怪獣化したということで、ウランを常食にしています。高速で地中を掘り進み、金色の虹のように見える分子構造破壊光線を放射します。原子力発電所に迫りますが、ネオニュートロン液を搭載したミサイルを撃ち込まれ、全身の体細胞が風化して粉砕されました。

悪そうなパゴス

 「シン・ウルトラマン」では放射性物質を含んだ光線(「激ヤバ光線」)を放射し、放射性物質が撒き散らされた結果、広範囲に被害が及んだらしく、政府関係者の間では「パゴス事案」と呼ばれ、トラウマになるレベルの事件となったようです。カイゲル同様、禍特対と自衛隊の連携作戦で駆除しました。オリジナルとはかなりデザインが変わっていて、ネロンガやガボラのプロトタイプという位置づけになっています。

地底怪獣パゴス

 なおパゴスは「ウルトラマン」第9話「電光石火作戦」に登場予定でしたがガボラに変更されました。またウルトラセブンの3番目のカプセル怪獣として登場する予定もあったそうですが、実現しませんでした。パゴスはアギラより強そうですが、「ウルトラQ」時代とはいえ、地球で暴れた怪獣をウルトラセブンが使役するというはちょっとね(笑)。

ネロンガ-1

 禍威獣7号(透明禍威獣)ネロンガはウルトラマン第3話「科特隊出撃せよ」に登場した透明怪獣ネロンガ。普段は透明ですがエネルギー源である電気を充分に吸収すると姿を見せます。電撃が武器ですが人間にショックを与える程度の威力しかなく、ウルトラマンには全く効きませんでした。

ウルトラマン対ネロンガ

 「シン・ウルトラマン」では電気を求めて首都圏郊外に出現。電撃は大幅に強化されて誘導弾を全て撃ち落としたり周辺を壊滅させるなどしましたが、やはりウルトラマンには全く効かず、スペシウム光線で瞬殺されました。この時のウルトラマンのスペシウム光線は凄まじい威力で、射線上の山の斜面を抉り取り、大気をプラズマ化させるほどで、明らかにオーバーキル状態でした。その後はかなり威力が弱まりましたが、人間と一体化したせいなのか、加減を覚えたためなのか。

シン・ガボラ

 禍威獣8号(地底禍威獣)ガボラは第9話「電光石火作戦」に登場したウラン怪獣がボラ。首の周囲にある6枚の赤いヒレを閉じて頭部を防護すると共に、尖った頭部で地底を掘り進みます。口から青い放射能光線を吐き、ウランを1日に1万トン食べ、食べる際には周囲に放射能を放つという激ヤバ怪獣です。

オリジナルガボラ

  ウルトラマンは飛び蹴り→ヒレむしり→連続パンチ→首投げと肉弾戦のみで倒しましたが、爆発させて放射能が飛び散ることを懸念してか。

ドリルガボラ

 「シン・ウルトラマン」ではパゴスの同種とされ、首回りのヒレを閉じてドリルのように回転させることが出来るようになりました。また尻尾もドリル化。パゴスの発展強化型であることを印象づけています。米軍のB-2が放った大型地中貫通爆弾も全く効かなかったので、防御力はシン・ゴジラ以上ということになります。

パンチ一発

   しかし頭部への攻撃には弱く、ウルトラマンのパンチ一発で絶命しました。光線技で倒されなかったところは原典どおりということに。死体はウルトラマンが持ち去ったので、おそらく大気圏外で安全に処理したのでしょう。怪獣墓場へ…というのはさすがに「リブート」の趣旨から外れるのでしょうね。
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