2022年秋季アニメの感想(その3):4人はそれぞれウソをつく/恋愛フロップス/異世界おじさん

おくればせながら、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。正月ぼけの中仕事も始まったわけですが、3日出勤した後の3連休というのは我々社畜にとってはなかなかに慈悲のあるローテーションですね。

次週は4日出勤で次々週以降5日出勤と漸増的なのもまるで笑顔のハート様。社畜的に本音を言えばずっと週3日出勤ならいいのにと思うのですが、現実はキビシーのであります。

本日は昨年秋季アニメ感想の最終回です。コロナを言い訳(?)にして未だ完結していない作品もありますが、いつまでも去年を引きずってはいられません。8話予定にも関わらず5話までで中断してしまった「艦これ いつかあの海で」はもう視聴打ち切ります。ゲームは相変わらずプレイしているのですが、アニメは流石に駄目すぎです。制作会社って、事前に選べないものなんでしょうかね。

まずは「4人はそれぞれウソをつく」。橿原まどかが別冊少年マガジンに連載する漫画が原作です。女子中学生仲良し4人組がそれぞれ人に言えない秘密を抱えているという学園コメディ作品で、最初は“?”と思ったりもしましたが、尻上がりに面白くなっていったような。

秘密とは宇宙人であること(リッカ)、超能力者であること(関根)、忍者(抜け忍)であること(千代)と、ここまでなら涼宮ハルヒがまっしぐらに突撃してきそうなアツい秘密なんですが、最後の一人は女装男子であること(翼)で、こいつだけ秘密の質がかなり違います。当初はそれで上手くいくのかと思いましたが、見続けると以外にかみ合って面白かったですね。

一番天然で天真爛漫に見えるリッカが、実は乗機が不時着した銀河革命軍の大佐で、乗機の円盤は学園の校舎に思いっきり突き刺さっているのに誰も気にしていないという。それはオーバーテクノロジーで生徒達学園関係者に認識阻害とか記憶改竄を行っているためで、見よう見まねで女子中学生のふりをしているので制服とかも微妙にデザインが異なっていたり。素のリッカは軍人らしくかなり理知的でクールな性格です。

見かけはお嬢様そのものの千代は抜け忍で、追っては実の弟ですが、桁違いの実力差で常に返り討ちにしています。忍者としては超一流ですが、かけ算九九も満足にできないなど頭はかなり悪く、進級を本気で心配されているほど。しかし義務教育の中学校だと、ちゃんと学校に登校していたら進級できないなんてことはないような。いや、不登校でも卒業できたりして…

そんな二人の秘密を知っているのは超能力者の関根。なぜかこの人だけ名前ではなく姓で呼ばれ、下の名前は不明のままでした。「SPY×FAMILY」のアーニャのように人の心が読めますが、なぜか女性限定。なので女装男子である翼の心は読めず、不思議に思っています。学校の成績は良いようですが、それがどういうことなのか理解していないあたり、クソボケ体質なのかも知れません。

女装男子翼は実は双子の弟の剛で、姉の翼が人気アイドルの通う男子中学に行きたがったあおりを喰らって女子校に行かされることに。体育、特に水泳の授業とかどうするんだと思いますが、変声期前の中学生だったのでなんとかなっていた模様。しかし終盤にはとうとう声変わりに起きて…


とうとう女装が持たなくなった翼(剛)がカミングアウトして関係は崩壊するのかと思われましたが、先にリッカ大佐が宇宙に戻ることを決意することで、4人のドタバタコメディは終焉を迎えることに。最後はギャグ作品らしく時間が入学時点に遡って、再び一から始めるという展開でしたが、他の3人はともかく、リッカ大佐はそれでいいのか(笑)。今後ずっと中学一年生の一年間を“エンドレスエイト”したりして。はたまた“ビューティフル・ドリーマー”すると言った方がいいのかな。


作品としては綺麗に終わっているのでこれはこれでいいのですが、二期作るとかいう話になったらどうするんでしょうか。「のんのんびより」方式で行くのでしょうか。まあ本作は無理に登場人物に年を取らせなくてもいいような気もします。女子高版とか作るとしたらさすがに翼(剛)が保たないでしょう。リッカに秘密を打ち明けたら女体化とかしてくれそうな気もしますが、お前はそれで本当にいいのかという。

続いて「恋愛フロップス」。普通の男子高校生が、5人の女性達との恋愛模様に巻き込まれ、同居までしてしまうというハーレム系ラブコメ展開でしたが、7話にしてぶっ飛び展開になりました。

いや、それまでも奇想天外な展開が多く、男装女子がいたりエージェントがいたり魔法少女がいたり。近未来版「4人はそれぞれウソをつく」かと思いきや、全ては仮想現実空間での出来事で、5人の女性達は全てAIでした。

そして現実に引き戻されて知る真実。主人公の幼なじみにして初恋の人・井澤愛とは、同じ高校に通うことを誓い合っていましたが、愛は病魔に倒れ故人に。しかし愛のパパンはAI研究の権威で、死んだ愛娘をベースに汎用型AIを完成させ、それはあっという間に世界中で使われるようになっていました。

そして主人公が知り合った5人は、それぞれ愛をベースに日米中独勃(ブルガリア)の各国が作り上げたAIでした。AI達は当初人間との接し方を知らなかったのでかなり素っ頓狂な言動を行っていましたが、主人公とのやりとりの中で人間らしさや恋愛感情を知っていくことに。

ハーレム系ラブコメでは、「なぜさえない主人公がモテモテになるのか?」という疑問がついて回りますが、本作では初恋の相手だった愛が各AIのベースとなっており、記憶の一部を共有していた、とかなり説得力のある説明がなされていました。後半は泣きゲー的感動展開となっていますが、駆け足なので泣けるかといえば…。2クールかけて丁寧に作れば傑作になったかも知れませんが。

今の若い人達はいざ知らず、個人的にはやたら昔の恋愛SLG(主に「ときめきメモリアル」)をネタに仕込んでいるのが楽しかったです。主人公の悪友(実は研究者のアバター)の名前が伊集院好雄(伊集院レイ+早乙女好雄)だったり伝説の樹(本作では桜)がどうしたとか。

個人的に一番エモかったのは、8話にだけ登場した主人公のママン。なんとCV金月真美。「ときメモ」難攻不落のメインヒロイン藤崎詩織のCVを務めた人ではないですか。お懐かしい。私にはこのキャスティングだけでもう充分でした。

豆知識ですが、実写映画版「ときめきメモリアル」(1997年公開)というのもあって、藤崎詩織役は後に福山雅治と結婚する吹石一恵(画像左端)が務めていました。他にも(画像右から)矢田亜希子、中山エミリ、榎本加奈子、山口沙也加と当時の美少女タレントを結集していましたが、藤崎詩織以外はゲームに登場しないキャラでした。

内容的にはかなりお下劣な展開もあり、正直若い人にとってはさほど面白いものではなかったかも知れませんが、90年代恋愛ゲームプレイヤーには色々と刺さる作品で、一体視聴層をどこに想定していたのかと(笑)。個人的には中華AI白 夢華(バイ モンファ)がお気に入り。かつてはイカ娘とか琴浦さんなどロリキャラで一世を風靡した金元寿子ですが、大人ボイスも色っぽくて非常にいいです。

AIで身体があるのは仮想空間だけであったはずの各女性キャラは、最終回で現実の身体を手に入れてましたが、これはあれか、傑作恋愛ADV「Ever17 -the out of infinity-」に登場したAI「茜ヶ崎空」がハッピートゥルーエンドで実体を得ていたことのオマージュなのか。

きちんと好意を伝えることも、お別れすることもできなかった幼なじみ(井澤愛)を引きずり続けていた主人公が、仮想現実の中で再会し、悲しいながらもけじめつけられたことで、先に進めるようになったという展開自体は悪くないので、かえすがえすも尺の少なさが惜しまれます。

最後に「異世界おじさん」。視聴したのは12話までで、最終話となる13話はいつ放映されるか未定のままですが、もう評価は完全に決まったのでここで取り上げてしまいます。原作はKADOKAWAの「WebComicアパンダ」で「殆ど死んでいる」(ペンネームです)が連載する漫画です。略称「いせおじ」。

交通事故に遭って17年間昏睡状態だった叔父が目覚めたら、その間異世界「グランバハマル」で冒険していたと語ります。「叔父さん…酸素欠乏症にかかって」とツッコんだ(嘘)甥のたかふみでしたが、叔父さんが実際に魔法を使って見せたことで評価は一転。同居してYouTuberとして生計を立てることを勧めることに。そして再会した幼なじみの藤宮さんと共に、折々叔父さんが映像で見せてくれる異世界冒険譚の奇想天外ぶりにツッコミを入れまくることに。



既に終了した冒険譚を拡大縮小巻き戻し早送り付きのVTRのように眺められ、おまけに本人の解説まであるという親切設計。「なろう」系とかRPG好きなら「ああこれは!」という展開が随所に出てくるのに、いわゆる“お約束”や“フラグ”を全て無視したりぶち壊したりして進んでいく叔父さんの勇姿(笑)。

異世界転移した際、おじさんは弱冠17歳で、既にマイナー化していたSEGA好きでしかもSTGやアクションゲームばかりをプレイしていたという異端者(笑)でした。おまけに当時はツンデレという言葉もなく…。ツンデレという言葉はなくてもそういう傾向のキャラなどはちゃんと存在していたのですが、AVGやSLG、RPGをほとんどプレイしてこなかったらしい叔父さんには認識が全くなかったんですね。もし知っていれば異世界で結構ウハウハだったのに。だがそれがいい。

そして叔父さんの17年間の昏睡状態というのは家族にも深刻な影を落としており、甥のたかふみは一家離散の憂き目に遭っている模様。一見常識人ながらしばしば物騒な発言が飛び出して藤宮さんを驚かせます。

叔父さんのCVは子安武人。最近は「なろう」系アニメを中心にラスボスとか中ボスを演じることが多い印象だったので、主人公役というのは新鮮。しかしイケメン美女ばかりの異世界では「オークの亜種」と間違えられるほどのブサメンで、初めての町や村では魔物の襲撃と勘違いした住民に囲まれるのが日常だったという悲惨ぶり。


異世界では古代魔導具の探索・回収を行っているエルフの王族の姫君であるエルフさん、先祖が日本からの転生者だった「氷の一族」の末裔メイベル、ビギナー冒険者なのに様々な思惑に翻弄されて勇者にされてしまった童顔巨乳のアリシアらと知り合いますが、この人達の向ける好意に全く気付かず、せっかく立てたフラグは片っ端から壊されてしまいます。


エルフさんに関しては、性格がツンデレで照れ隠しに「オーク顔」などと罵詈雑言を浴びせるので、ツンデレの概念を知らない叔父さんから嫌われるのもむべなるかな、というところはありますが、しばらく付き合っていれば大体どういう人かわかりそうなものなんですが…当時17歳で内向的なオタク気質の叔父さんには無理だった(笑)。しまいにはヤンデレに進化してしまった…


まあ会う人会う人にオークなどに誤認されて殺されかけたりしていれば仕方ないよなとは思います。そういう場面はあんまり映像化されていませんでしたが、多分全部見たら鬱になることでしょう。


そんな叔父さんの朴念仁ぶりにツッコミを入れるたまふみですが、本人も藤宮さんの好意には全く気付いておらず、逆に叔父さんはそれに気付いているという逆転現象が起きたりも。


この藤宮さん、今は美人女子大生ですが、小学生時代はまさにリアルオーク顔で、どうしてここまで変貌したのか不思議なほど。


弟の千秋が幼い頃は可愛らしかったのに、小学四年生の今は小学生とは到底思えない大柄な体格かつリアルオーク顔なので、二人の間に呪いの転移でもあったのかと疑ってしまいます。

本名は非常に長いエルフさんと藤宮さんについては近日「好きなアニメキャラ」で取り上げる予定です。もしかするとメイベル(悠木碧さん演技して下さいというツッコミに笑った)とアリシアも取り上げるかも。つまりはとにかく面白い作品だったと言うことです。制作会社を変えてぜひ2期を制作して欲しいです。あと井口裕香が歌うED「一番星ソノリティ」はとてもいい歌です。エルフさんの気持ちを歌っている?

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