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2022年秋季アニメの感想(その1):転生したら剣でした/ヤマノススメ Next Summit/アキバ冥途戦争

クリスマスイブ

 クリスマスイブです。ということは2022年もあと一週間の命。来し方行く末に思いを馳せる時期なわけですが、今年はとにかく寒い!クリスマス寒波というやつなんでしょうか。雲の流れの関係で高松は難を逃れましたが、高知では観測史上最高の14センチの積雪とか。「南国土佐を後にして」という歌があるぐらいで、黒潮が洗う温暖の地で雪とは全く縁のなさそうなイメージでしたが…。それにしても夏はクソ暑くて冬はクソ寒いとは、日本は住みづらい国になってしまったのでしょうか。

転生したら剣でした感想

 寒いけど暖房は夕方まで使わないぞという表彰ものの省エネ精神で、気を紛らわせるために秋季アニメの感想を行ってみましょう。まずは「転生したら剣でした」。タイトルは短めですがれっきとした「なろう」系。

師匠とフラン

 主人公が死んで異世界転生というのは「なろう」系ではもはやデフォルト。人外に転生というのもスライムだの蜘蛛だのと色々ありますが、とうとう無生物の剣になってしまうという。それは転生といっていいのか憑依なのか。

ソーディアン
ソード人

 ただ、意思を持つ剣というのは「テイルズオブディスティニー」のソーディアンとか「コブラ」のソード人とか前例が無いわけではありません。ソーディアンは人間の記憶や人格を剣に投射した「意思を持つ剣」。ソード人は剣の形をした狩猟民族で、獲物に自身を突き刺して生命エネルギーを吸って生きている生物でした。

二人の出会い

 本作の主人公の場合は「知性を持つ武器(インテリジェンス・ウェポン)」と呼ばれ、生命活動のための捕食などは行っていないので、ソーディアンに近いのかも知れません。何者がなんのために剣に転生させたのかはまだ不明ですが、主人公は剣の装備者となった黒猫族の少女フランのために来たのだと確信しているので、本人が納得しているのならどうでもいいのかも知れません。

コス変更

 少女というよりは女児といった雰囲気のフランは、両親と旅をしていましたが両親を失ってしまい奴隷商人に捕まって奴隷をさせられていたという不幸少女です。旅の目的は、獣人族の中で唯一進化しないとされ、見下されている黒猫族が進化する手がかりをつかむためだったそうで、フランの願いも強くなって進化することです。主人公を師匠と呼び、全幅の信頼を置くフランとフランを娘のように可愛がる主人公の二人旅。

戦うフラン
戦うフランその2

 出会いの後、作中で描かれたのは冒険者ギルド登録、ダンジョン攻略というこれも「なろう」系テンプレの行動でしたが、主人公が剣になったせいで、これも「なろう」系によくあるハーレム系とは全く無縁。金も女も名誉もいらないという。また世界を救うとか魔王を倒すといった大それた目標もありません。あるのはフランを助ける、フランの目的を果たすということだけ。

西郷さん色紙

 西郷隆盛は「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末に困るもの也」と言っていますが、主人公はまさにこれです。隆盛は続けて「この仕末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。」と言っていますが、主人公は国家の大業とかは無縁でしょうね。ただ、フランの目的達成のために必要ならば魔王を倒すとかにも挑むでしょうが。

可愛いフラン
可愛いフランその2

 主人公の剣のCVは三木眞一郎、フランのCVは加隈亜衣と、非常に達者かつ安定したキャスティングということもあり、「なろう」系によく見られるシナリオの不安定さがなく、戦闘もしっかり描かれているので安心して見ていられる作品でした。しかも「なろう」系が大体しくじる国家体制とか世界構造などに関してもほとんど描かれない(フランにはまだ難しい話はわからないし、主人公も全然興味がない)ので、明確な矛盾なども出てこないのもいいですね。

魔剣カオス

 意思を持つ剣ということでもう一つ思い出したのは、アダルトゲームの名作「ランス」シリーズに登場する魔剣カオスです。こちらはもとが盗賊だったせいか煩悩が消えておらず、非常にスケベで、画像のようにオーラを使ってエロいことを行ったりしていました。

手がある師匠

 主人公も念動によって手を作り出して料理したりできるので、その気になればエロエロなこともできそうですが、多分そういう煩悩自体がなくなっているようです。というか、剣になってすら人間の煩悩が残っているとしたらその方が辛いでしょうね。初期には「美女に使って貰いたい」という願望を吐露していましたが、もはやフランで充分のようです。

師匠の妄想

 主人公は自律行動が可能で、倒した相手のスキルや特性を獲得することが可能なため、万能と呼べるほどのスキルや魔法を備えており、剣装備中はフランもそれを共有することができるのでチートクラスの力を発揮できますが、剣がない状態では一転してひ弱になってしまうという弱点があります。まだまだ上には上がいるという状況で、俺TSUEEE!!という感じもなく、「なろう」系テンプレな特徴を持ちつつも、描き方で独自性を発揮した作品だといえるのではないでしょうか。ぜひ二期を制作して欲しいですね。

ヤマノススメ感想

 次は「ヤマノススメ Next Summit」。アニメとしては4期目ですが、1期は5分アニメ、2~3期は15分アニメで、4期にしてようやく30分アニメになったという成り上がり作品。ご新規さんは1~3期を見なければならないかというとそんなことはなく、1~4話が1~3期の総集編となっているので、ここから視聴しても充分いけるという親切設計になっていました。

ザ格差社会の縮図

 しかし、総集編ではあおい達の家のブルジョワぶりと対照的なここなの家の貧乏ぶりなんかが出てこないので、ここなは年下ながら体力と運動神経に富んでいておまけに手先が器用で料理が得意な完璧超人という描かれ方になっています。ここなの貧乏ぶり(ここなの責任ではありませんが)については、2019年7月13日付の当ブログ記事(https://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-1698.html)をご覧頂ければと思います。

レギュラー五人組

 閑話休題。本編に入る5話からが純然たる新作となっていて、あおい達が1年生の晩秋から2年生の夏頃までが描かれています。キャンプなら冬も行けるようですが、登山だと冬は素人クラスはシーズンオフということで、湖だの釣りだのといった登山以外のイベントも描かれていました。一生一度のJK時代、確かに登山だけに青春を賭けるという訳にもいかないでしょう。

仲間もいっぱい

 しかし、あおいの心の中には1年生の夏に挫折した富士登山へのリベンジがずっとありました。今回のラストは再度の富士登山チャレンジとなっています。前回も、そして今回も高山病に悩まされるあおい。それもあおいだけ。ベテラン登山家の楓や体力抜群なここなはともかく、あおい同様素人のひなたやほのかも全然高山病にならないのですが。

頭痛に悩まされるあおい

 Wikipediaによると“概ね2400メートル以上の高山に登り酸欠状態に陥った場合に発生する症候群”だそうで、“主な症状は、頭痛、吐き気、嘔吐、眠気(めまい)である”とのこと。あおいは主に頭痛に悩まされていました。やはり高山病にかかりやすい人とかかかりにくい人というのはあるようですが。

高山病あおい

 個人的体験でいえば、2000メートルまでは全然平気で、3000メートルを超えると息が切れた記憶はあります。3000メートル以上という場所で行ったことがあるのはユングフラウヨッホ(3466m)、エギーユ・デュ・ミディ(3777m)、ウンターロートホルン(3103m)などですが、登山列車やロープウェイで行ったこともあり、高山病とは無縁でしたね。自力で行くのと機械力で行くのでは違いがあるのでしょうか。

富士山からのご来光
富士山制覇

 しかし、高山病に悩まされながらもそれまで積んできた登山体験もあって、あおいもついに富士山頂上を極め、ご来光を拝むことが出来ました。去年もいた外人カップルが今年も居たのに笑います。富士山マニアか。

ゆるキャン化?

 原作がどうなっているのかはわかりませんが、日本の最高峰である富士山を制覇した後はどうするんでしょうか。もちろん本格的に登山をするとなれば日本アルプス縦走とか色々あるし、海外での登山という手もあるんだとは思いますが、そこまで本格的な方向に行くのでしょうか。山でキャンプするということになると「ゆるキャン△」との競合も起こりそうな。いや、別に起きてもいいんですが、視聴者が混同し始めたりして。いっそコラボして「ヤマノキャン△」なんて。

アキバ冥途戦争

 最後に「アキバ冥途戦争」。CygamesとP.A.WORKSによるオリジナルアニメです。P.A.WORKSは「お仕事シリーズ」という働く女の子を中心にした作品群を制作しており、「花咲くいろは」や「SHIROBAKO」は評価も高い私も好きです。本作もメイド喫茶で働く女の子を中心に据えているという点では「お仕事シリーズ」の一篇と言うことも出来るのですが…果たしてそう言っていいのかどうか。

上京してきたなごみ
メイドがメイドに絡む

 本作で描かれる秋葉原にあるメイド喫茶は、暴力団に近い組織で、各店舗は系列に所属しており、抗争を繰り広げています。当然メイドはヤクザに近い存在です。主人公和平なごみは可愛いメイドになることを夢見て上京してきており、彼女の認識はほぼこの世界のメイド喫茶とかメイドだったので、知り合いになった可愛いメイド(ねるら)が「メイドに暴力はつきもの」とさらっと言っているのに衝撃を受けていましたが、上京中の列車か飛行機が異世界に迷い込んだのかも知れません。

ツインテを詰める
ツインテを詰めろ

 指詰めの代わりにポニテやツインテを詰めるとかはまあご愛敬(当人らは指を詰めるほどの覚悟や恐怖を感じていますが)なんですが、反面普通にピストルを撃ち合って殺したりしています。その頻度はリアル暴力団を遙かに超えており、正直これほどおっかないアキバのメイド喫茶に通う一般人の気持ちがわかりません(笑)。近づけないよこんな剣呑な場所。

お萌様
初期のメイド喫茶
初期から萌えと暴力

 本作の歴史として、明治初期に存在した日本初のメイド「お萌様(CV釘宮理恵)」が萌えと暴力で秋葉原の民を魅了したとされているので、メイドやメイド喫茶の性格が変質したのではなく、この世界では最初からそういう存在だったらしいです。

とんとことんのメイド達
とんとことん相関図

 なごみが勤める「メイドカフェ とんとことん」はケダモノランドグループに所属していますが、末端組織に近く、グループ内でも「ブタ小屋」とディスられています。上部組織への上納金(おひねりちゃん)が滞っていますが、なごみと同時期に入店した万年嵐子がライバル店を次々と潰した事から、「新星の武闘派」と注目されることに。

普通に発砲
オタ芸で殺しまくる嵐子

 この万年嵐子、36歳でしかも15年間は刑務所に入っていたという凄い人。この人の「行ってらっしゃいませ」は絶対「逝ってらっしゃいませ」だ。1話での嵐子によるライバルメイド喫茶「チュキチュキつきちゃん」壊滅劇が、オタ芸を繰り広げながらの銃乱射による殺戮劇で、まさかずっとこのまま行く作品なのかと呆然としました。結果的には「出オチ」に近かったですが。

竹達彩奈死亡コメント
血と暴力の洗礼
血と暴力に直面するなごみ

 ほぼ毎回死人が出ており、しかもビッグネーム声優がゲスト出演しては死んでいっては公式Twitterに“死亡コメント”が掲載されるという。1話で竹達彩奈、2話で小松未可子、3話で生田目仁美、4話で高橋李依、5話で小倉唯などと多士済々。全部が全部嵐子が殺している訳ではありませんが。

ねるらちゃん
姉妹の契り

 6話にしてケダモノランドグループと対立抗争中のメイドリアングループに所属しながら、なごみと姉妹の契りを結んだねるらが死亡したことで、「なんであり」感が非常に強まりました。私はてっきり最終回まで生き延びてねるらがラスボスになるかと思っていましたよ。

ドスの効いたネルラ
ねるらの最期

 なごみ役尾の近藤玲奈も「あそこまで良い子すぎると『いつか裏切るんじゃないか』と少し思っていた」そうですが、“裏表のない素敵な人”だったんですね。オリジナルでそう言われた「アマガミ」の絢辻詞は思いっきり裏表のある人でしたが(笑)。

嵐子死亡
嵐子死亡その2

 毎回のように人死にがある本作ですが、終盤に近づきにつけ暴力と死がエスカレートしていき、ラス前の11話ではとうとう嵐子まで死亡してしまいます。一体ラストはどうなるんだと思ったら…ああいうことになるのか。ネタバレはしませんが、18年後のアキバやメイド喫茶はごく平和になっていて、この世界に近い姿になっていたので、死と暴力の行き着いた果てに漸く「これじゃいかん」という機運が生まれてきたのでしょうか。あんまり平和になると「本来のメイドはこんなんじゃない!」とか言い出す人も出てきそうですけど。

凪も殺すモブメイド
凪の最期

 個人的には「チュキチュキつきちゃん」というフレーズが出てくる度に笑いそうになりました。登場人物がシリアスに言う(多分内心笑いを堪えている)のが妙に面白くて。結果的に嵐子が冒頭で壊滅させた「チュキチュキつきちゃん」の残党モブメイドが嵐子を殺し、嵐子と姉妹の契りを結んでいたケダモノランド総帥の凪をも殺すというMVP的活躍を見せましたが、凪は嵐子の死後タガが外れて逆らう者は皆殺し状態になっていたので、モブメイドが打たなくても誰か幹部が撃ち殺していたように思います。

チュキチュキつきちゃん

 ちなみに「チュキチュキつきちゃん」、メイドがうさ耳をつけていたのでケダモノランドグループだと思っていましたが、メイドリアングループだったんですね。ケダモノランドグループじゃないのにうさ耳をつけていたはやはり気に入らなかったらしく、なごみを挑発役にして殺させることで抗争の火種とするつもりだったという。つまりなごみは捨て駒のはずでしたが、嵐子が同行したことで目論見は大きく外れることに。

侍女茶館
若き日の凪と嵐子

 しかし成功作かというと…微妙なんですよね本作は。メイドと任侠という相反する様子を無理矢理合体させたところが面白いといえば面白いのですが…無理に無理を重ねすぎたというか。この世界、警察も結構腐敗していてメイド担当(マル暴ならぬマルメイドとでもいうのでしょうか)は賄賂を貰って目をつぶったりしていましたが、ここまで人が死ぬとさすがに放置できないと思います。でもほとんど出てこないんですよね。まあ“世紀の怪作”として記憶には残るでしょう。怪作と言っても「迷家-マヨイガ-」とか「グラスリップ」といった真正怪作とは比べものになりません。意欲作と言うべきでしょうかね。

何も知らなかったなごみ
なごみ36歳
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