記憶に残る一言(その159):ワズキャンのセリフ(メイドインアビス 烈日の黄金郷)

今年も20日をあますのみとなりました。今年の年明けからもう345日も経過したなんて。今更ながら時の流れの速さには驚きますね。年末年始の用意はお早めに。一年の締めくくりだけに、なんだかんだと結構買う物が多いのですよね。

本日は「記憶に残る一言」です。今回は今年のアニメでも一二を争う神作品「メイドインアビス 烈日の黄金郷」からワズキャンのセリフを紹介しましょう。

「メイドインアビス」はリコ・レグ・ナナチが、人類最後の秘境と呼ばれる巨大な縦穴「アビス」の底を目指す物語ですが、アニメ二期にあたる「烈日の黄金郷」はストーリーが二層構造になっており、上記三人が冒険する現代と、遙か過去にアビスを訪れた「ガンジャ隊」の冒険が交互に描かれます。それは「ガンジャ隊」の物語が、今回リコ達が訪れたアビスの深界6層「還らずの都」にある「イルぶる」(成れ果て村)の誕生に大きく関わっているからです。

「イルぶる」は作られてから150年ということですが、アビスの深界は地上と時間の流れがかなり違うらしく、「ガンジャ隊」の冒険は2000年くらい前である模様。「ガンジャ隊」は決死隊とも呼ばれ、様々な理由で故郷から見捨てられた人達で構成され、アビスの中にあるという黄金都市を目指し海を渡って来ました。当初は相当の人数でしたが、渡海中に嵐ではぐれてしまい、アビスに辿り着いたのは「三賢」と呼ばれるリーダー達が乗った旗艦だけでした。

三賢でもリーダー格は、予言者と言われるワズキャン。先に起こることが人よりも敏感にわかり、初対面の相手にも馴れ馴れしく、ノリが良く楽観的な性格です。口癖は「いいね!」。彼が率い、鼓舞していたからこそ、「ガンジャ隊」はアビスの深界6層までたどり着けたと思います。

サブリーダー格はベラフ。言語や文字の解読を得意としており、アビスの淵にある原住民の集落を訪れた際は交渉役もこなしていました。当時はまだオースの街はありませんでした。オースの街が出来たのが1900年位前ということで、アビスでは2000年周期にたくさんの不可解な出来事が起こっているらしいところ、近々またその周期が近づいているらしいので、「ガンジャ隊」の冒険は直近の2000年周期の前の話なのだろうと推測されます。


そしてヴエロエルコ(通称ブエコ)。「ガンジャ隊」では新顔でしたが、彼女が持って来た「星の羅針盤」と、それが指し示す場所こそが黄金郷であることを熱弁したことで、「ガンジャ隊」はアビスの底を目指すことになりました。「三賢」なんて柄じゃないとしていますが、ワズキャンに「星の羅針盤」を持って来た彼女こそ“隊の道標”なのだと言われていました。


このヴエコは過去編の主人公的役回りで、幼くして見寄りがなく、クズな義父に日常的に虐待(性的な意味も含む)されていました。この義父(ジュロイモー)が過去にした唯一の冒険らしい冒険で入手したのが「星の羅針盤」で、ヴエコはこれを奪って蓄電した模様。

なお現代編では「イルぶる」の三賢はワズキャン、ベラフ、ジュロイモーとなっていて、ジュロイモーは巨大な怪物として登場しましたが、もちろんヴエコのクズ義父本人ではなく、ヴエコの記憶から作り出された村の意思そのものでした。なぜ「イルぶる」が意思を持っているかについては後述します。

アビスの淵にある原住民の集落で、ヴエコはイルミューイという少女と出会います。イルミューイは唯一の女の子として大事にされていましたが、子供を産めない身体であることがわかるや一転して役立たずと冷遇されていました。イルミューイはヴエコに懐いたので、案内役として連れていくことになりましたが、集落も厄介払いした形でした。ヴエコとイルミューイは親子のような関係になっていきます。

「ガンジャ隊」は深界6層に辿り着きますが、ここは黄金郷どころか、捨てられた故郷より一層過酷な環境であり、行くも戻るも出来ない状況に陥りました。ワズキャンが一行を鼓舞したことで、彼らはここで暮らしを立てることに。

自身を「干渉器」と呼称するロボット(レグはその発展型らしい)達の助けも借りて、自活を図る一行でしたが、問題は水の確保でした。


高低差がある場所の水場ではアビス恒例の“上昇負荷”を受けてしまう(6層の上昇負荷は人間性の喪失もしくは死)し、めぼしい水場は強力な原生生物が縄張りにするなどして接近できませんでした。唯一発見した有望な水場から水を運び、煮沸して飲用することで、水の問題は解決しました。


犠牲を出しつつも原生生物の狩りも行い、ここで生きていける目処が立ったかに思われましたが…

突如隊員達が次々と倒れる事態に。伝染病か?

そしてイルミューイも。調査の結果、水そのものが生物で、煮沸しても死なず、生物に寄生しては増殖していくようです。まさにアビスの驚異。

水のごとき生物を水もどきと呼ぶことにしましたが、それでもこれしか安全に手に入る水はありません。ヤバいとわかった上でグイッといっちゃうワズキャン(笑)。


別に食料調査隊が全滅するという事件があり、彼らが持っていたのが「欲望の揺籃」というアビスの遺物でした。干渉器によると“願いを叶える卵”ですが、大人には適せず、子供がいいということで、一か八かイルミューイに使うことに。

ヴエコとしてはイルミューイを苦しみから救いたい一心で「欲望の揺籃」をイルミューイに使うことを提案。あっさり許可したワズキャンには別の狙いがあった模様。

翌日、奇跡のように元気になったイルミューイでしたが、身体が「欲望の揺籃」を取り込んでいました。

次第に変貌していくイルミューイ。ヴエコの心配をよそに本人はすこぶる元気なようですが。

そして赤ちゃんを産むイルミューイ。イルミューイが願ったのは“子供を産みたい”ということだったのです。

しかし産まれた生物は食物を摂取するための器官を持たず、すぐに死ぬことに。子供の死を嘆きながら、なおも新しい子供を産んでいくイルミューイ。

そんな地獄のような状況を見ていることしかできない中、ついにヴエコも発症。もはや死を待つばかりかと思われましたが…


ヴエコを救う薬膳スープが差し出されました。その香ばしさ。こんなにうまいものがあるなんてと、涙を流してしまうヴエコ。

それを食べさせているのはワズキャン。なおも健在なリーダー。頼りになる男と言いたいところですが、なぜにそんなに暗い画面なのか。

回復したヴエコ。水もどきの症状をなくすなんて奇跡の薬膳料理。しかしその材料は一体…

思い当たる節がないでもないヴエコ。恐る恐るワズキャンに尋ねると、ワズキャンは快活に応じます。「大丈夫、みんなにも振る舞ったさ!」これが今回の記憶に残る一言です。

そう、ワズキャンが料理したのはイルミューイの産んだ子供達でした。

ヴエコより前に倒れていたベラフもそのことは察していました。しかし抗えず食べてしまったことに苦悩しています。

ヴエコが倒れていた間にもイルミューイはさらに変貌。もはや言葉も失っていました。


産んだ子供をさっさと取り上げて料理するワズキャン。まさに産みたて出荷、産地直送。彼によると生きているものを料理すると、水もどきの症状も緩和したのだそうです。ワズキャンの狙いはこれだったのです。


全てを知って、ベラフに薬膳スープを食べさせるヴエコ。「おあがりよ!」と言ったとか言わないとか(嘘)。「頼む…やめてくれ…それにはなぜか抗えない…」と懊悩しつつも食べてしまうベラフ。

そしてイルミューイはさらに巨大化して移動を開始。原生生物を捕らえて食べて、なおも巨大化して行きます。

罪の呵責に耐えかねたベラフ、自分も食ってくれと自らイルミューイの中に入っていきます。

成れ果てるベラフ。しかし生き残りの隊員達は恐れるどころか「なんて美しい…」と憧れのまなざし。

そしてワズキャンが「ここが故郷…どんな黄金よりも価値がありどんなに求めても得られなかった我々の故郷だ」と告げたことで隊員達は次々とイルミューイの中へ。そう、これが「イルぶる」誕生の秘密でした。「イルぶる」はイルミューイの成れ果てであり、ガンジャ隊の願いによって生み出された黄金郷だったのです。

ヴエコは自ら死を選ぼうとしますが、それを許さないワズキャン。イルミューイはヴエコに非常に懐いていたので、彼女の不在は困るのです。ワズキャンはヴエコと共にイルミューイの中へ入り、ヴエコを村と深く繋がれる“目の奥”へ幽閉します。

イルミューイの中に入ると成れ果てになりますが、なぜか姿が変わらないヴエコ。それはイルミューイの意思なのでしょう。ワズキャンの方はすっかり成れ果てていますが。

その後「イルぶる」は成れ果て村として他の成れ果て達も住民に加えていき、その規模を強大化していきましたが、イルミューイは最後の子供としてファプタを産み出しました。イルミューイの子供達は村人たちに食われた恨みを決して忘れてはおらず、末の妹ファプタこそが復讐の代理人として誕生したのでした。そして現代、ファプタとリコ達との絡みの中で物語は思わぬ展開を迎えることになりますが、詳細はぜひアニメを見て下さい。傑作です。エグいけど。

ワズキャンのセリフを紹介するために、ほぼ本編の7~8話を中心に過去編のあらすじを紹介するはめになってしまいましたが、そうしないと彼の言葉がなぜ心に残るのかを説明できないので仕方がありません。ワズキャンは皆を導く者として、大願成就のためなら非常識だろうが非道だろうがハイリスクだろうが自分の身を削ろうが、全ての手段を以て解決策を求める「やるだけやる人」でした。

これって誰かに似ているのではと思った方もいると思いますが、そう!「黎明卿」ことボンドルドに似ていると思います。そして、ボンドルドに似ているということは、リコにも似ているということです。


実際ボンドルドは「イルぶる」を訪れたことがあり、その際連れていたミーティーをベラフは非常に欲しがりましたが、譲って貰えなかったそうです。

子供達をアビスに勧誘するボンドルド。先ほどの「ガンジャ隊」を鼓舞するワズキャンと構図がそっくりです。ただし、ワズキャンは騙したりしていないだけボンドルドよりはましではないかと。

ベラフは自身の742本の手足全て・体長の5割・感覚器の一部を対価として還元し、「イルぶる」からミーティの完全な複製を生成し、吸い取り食べる(通称「喫ミーティ」)して楽しんでいました。

それを見たナナチは自身の身体とミーティーの交換を申し出たため、「喫ミーティ」は出来なくなりましたが、実質的に2人とも手に入れることに。ナナチを取り戻しに来たリコに対しては、リコの両目か両足、ないし臓腑の半分のどれかを交換条件として提示していました。ベラフが払った代償からすれば相応と言えますが、死なないとしてもリコは以後冒険できなくなるでしょうね。

最終話のエンドカードは原作者(つくし卿)謹製。とっても賑やかですがよく見ると…

左側にワズキャン、ベラフ、ヴエコの三賢が揃い踏み。ベラフはアヘ顔じゃないけどダブルピースしています。ヴエコもしたかったのかもですが、イルミューイに左手を握られていました。

そして右側ではミーティに喰われている成れ果てベラフの姿が。「喫ミーティ」のお返しに「喫ベラフ」されているのでしょうか(笑)。ついでにボンドルドもミーティに喰わせてやったらよかったのに。

最後にネタ画像。妙なことを口走る「ONE PIECE」のサンジ。「中の人(平田広明)」つながりのネタですね。サンジは麦わら一味のコックなので、ワズキャンを「闇サンジ」と形容する向きも。

ワズキャンに扮したユーチューバーが釣ったブルーギルでチャーハンを作ったそうです。本人曰く美味しいそうです。ブルーギルは相当生臭かったそうですが、美味しく調理したのであればまあみんなに振る舞っても…

データにアクセスできなくなったのでもうプレイしていませんが、FGOのキルケー。振る舞ったのは当然キュケオーンでしょう。神話にしか登場せず、具体的なレシピも残っていないそうですが、大麦の挽き割り粉とミントを調合する食べ物と飲み物の中間のような料理だったのではないかと言われています。ホメロスの叙事詩「オデュッセイア」では、キルケーはキュケオーンに毒薬を混ぜ、オデュッセウスの部下たちを豚に変えていました。「千と千尋の神隠し」の豚になっちゃう両親のモチーフはこれなんでは?
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