鳥取再び(その1):妖怪天国?境港

今日は小春日和というには少し暑いくらい。この時期、もう最高気温20度超えはいいんじゃあと言いたくなりますが、来週からはそういうこともなくなりそうです。ハロウィンが終わるや否やクリスマスソングを流している店もありますが、もっと晩秋を楽しみましょうよ。

ということで、晩秋を満喫すべく鳥取に行ってきました。鳥取は3年前に旅したことがありますが、その時は東側の旧因幡国に当たる鳥取市だったので、今回は西側の旧伯耆国をということで、境港と米子に行ってきました。47都道府県を一応制覇したので、今後は令制国を制覇しよう中という気持ちも弱冠あったりなかったり(やる、とは言っていない)。

例によってマリンライナーで岡山に出て、特急やくもで米子へ。鳥取島根方面に行くのに便利かつ重要な列車で、これが3回目の乗車ですが、旧国鉄時代の381系電車がなお使われています。中村草田男が「降る雪や 明治は遠くなりにけり」と詠んだのは、昭和6年だそうです。間にはさまる大正時代が15年と平成時代の半分しかなかったことを考えると、令和の今、過去を振り返って「昭和は遠くなりにけり」と思う方がずっと時間間隔は空いているのですが、ここではなお昭和の遺物が走っています。トイレを洋式にしたりと近代化改修は行っていますが、SLに乗るかのようなレトロ趣味に浸れるので個人的には悪くないですね。ただ、2024年春には新型車両が導入さるらしいので、昭和の列車を体感したい人は今のうちに乗っておきましょう。

やくもは出雲市駅まで向かいますが、今回は境港に向かうので米子で境線に乗り換えます。いかにもローカル線といった風情ですが、ここが他と違うのはやたら「ゲゲゲの鬼太郎」推しなところです。私が乗ったのは「ねずみ男列車」。ねずみ男は日本一不潔で、「三百年生きているのにまだ一度も風呂に入ったことがない」と自称し、吐息は鬼太郎を悶絶させるほど臭いというヤバいヤツなので、出来れば鬼太郎列車とかねこ娘列車に乗りたかったのですが、まあ車両が臭いとかいうことはなかったです(笑)。

また始発駅の米子駅は「ねずみ男駅」、終着駅の境港駅は「鬼太郎駅」など、沿線各駅には「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪の愛称が付けられており、車中アナウンスで鬼太郎、目玉おやじ、ねこ娘らが紹介してくれます。「ゲゲゲの女房」がNHKの朝ドラで放映されたのは2010年で、これで一気に境港が水木しげるゆかりの地であることが全国的に広まったように感じますが、境線で「鬼太郎列車」の運行を開始したのは1993年で、各駅に妖怪の愛称がついたのは2005年とそれよりだいぶ早かった模様。水木しげるの自伝的エッセイで、平成初期にテレビドラマ化された「のんのんばあとオレ」の影響の方が強いのかな?

妖怪駅の一例。河崎口駅の愛称は傘化け駅で、水木しげるの絵で舌を出した傘化けとそれを見てビビりまくる少年達の姿が描かれています。私がアニメで見たのは第2シリーズ(それも再放送)かと思いますが、空を飛んだり回転して攻撃を跳ね返したり目から熱線を出したりとかなりの強敵でした。


境港は弓ヶ浜半島の北端にあって、三方を水に囲まれています。東は日本海、西は汽水湖の中海、そして北は中海と日本海を繋ぐ境水道。境水道の向こうには島根半島の東端です。

高所から見た境水道。隠岐に向かうらしいフェリーの姿があります。

今宵の宿は駅前にそびえる御宿野乃。ご贔屓のドーミーイン系列で、和風プレミアムというコンセプトで、廊下は畳敷き。ロビーで靴を脱ぐシステムとなっています。ホテルではいつもの癖でサンダルとかスリッパを履きたくなりますが、畳敷きなのでそういうものはありません。旅行支援開始前に予約したのですが、ダメ元でワクチン接種証明を持っていったら現地で5000円も値引きしてくれました。さらに3000円分のクーポン(鳥取限定)も。皆さん、旅に出る時は接種証明を持っていきましょう

チェックインして荷物を置いたら市内観光(徘徊とも言いますが)。とりあえず有名な水木しげるロードに向かいます。両側は商店街となっており、歩道には大小100体を超す妖怪たちの銅像が設置されています。1993年にオープンしてから次第に拡充されてきました。

水木しげるロードにある「妖怪神社」。小さな神社ですが、鳥居が一反木綿。御神体は中央にある約3メートルの黒御影石と、樹齢300年の欅だそうです。しかし神社の看板には「御神体」ではなく「御身体」と記載されていました。

目玉石。「御身体」の黒御影石から突然めくれ落ちたもので、その場所はちょうど水木しげるが「目玉をつけたらいい」と言っていた場所だったということで、この名が付いたそうです。

水木しげる記念館。2003年開館。水木しげるが世界中から集めた妖怪関連コレクションや独自に制作したオブジェの展示などを中心に、水木しげると妖怪の世界を展示・紹介する博物記念館だそうです。周辺は人で賑わっていましたが、実は入りませんでした。水木しげるも鬼太郎も知っていますが、実はそこまで大ファンという訳ではなく。

水木しげるロードで一番大きいと思われるねずみ男の銅像。みんなここで記念撮影していましたが、親世代はともかく、子供達は知っているんでしょうかね?

800メートルほどの水木しげるロードを越えてさらに東に向かうと、道が「おさかなロード」に変わって魚のオブジェが置かれています。そこをさらに東に進むと境台場公園があります。幕末の1863年に鳥取藩が築いた砲台場跡です。六角形の木造灯台(復元)は山陰最古だったとか。

公園内にひっそりと建つ慰霊塔。100年近く前の1927年に起きた美保関事件(夜間演習中の海軍艦艇の多重衝突事件)のもので、死者100名以上、駆逐艦1隻沈没、軽巡2隻中大破、駆逐艦1隻大破という大事件でした。

境台場公園そばにある「海とくらしの史料館」。水のない水族館で、日本最大級の魚の剥製ミュージアムを名乗っています。入館料は410円。建物は明治時代の酒蔵を改修したもです。

剥製なので撮影OK。700種4000点が展示されていますが、間近に見るホオジロザメは迫力です。

日本一巨大なマンボウの剥製。山陰地方には滅多に現れなかったらしく、江戸時代には怪魚扱いされていたとか。確かにみてくれからして怪しい魚ですが。

鮫各種の剥製とリュウグウノツカイ。背後にも多数の魚介類の剥製があります。海洋堂とかボークスがフィギュア化しそうな気がしないでもないですが、需要があるかどうか。

ハリセンボンのトンネル。忍者屋敷とかで天井からハリセンボンがバラバラと落ちてくるという仕掛けはどうでしょうか。え?それなら栗の毬でいい?それもそうですねぇ。猫に投げてやったらどういう反応するか興味深いです。いつもどおりネコパンチを入れてとげとげを痛がったりするんでしょうか。

史料館外には境水道。向こうの橋は境水道大橋。歩いても渡れるそうですが、橋が高い上に歩道が狭く、車が通ると揺れて怖いそうです。

境水道越しに島根半島を見る。向こうは島根県松江市になります。山頂にぽつんと天文台のようなものが見えますが、航空自衛隊のレーダードームのようです。

てなとこで秋の日は釣瓶落としで夕方になったので、スーパーで惣菜を買ってホテルに帰り、ひとっ風呂浴びた後で例の如くカイジ豪遊ごっこ。飽きたというわりに性懲りなくやってます。秋なのでしみじみ赤ワインでも、と一本買ったのですが、持て余し気味でした。やはり醸造酒より蒸留酒なのか。次回に続きます。
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