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山口線紀行(その2):おいでませ山口へ

キンモクセイ

 金木犀の香がどこからともなく漂ってきて秋真っ盛りという感じですが、今日は暑いですね。晩秋から初冬にかけての、暖かく穏やかな晴天を小春日和と言いますが、今日みたいな陽気は小夏日和とでも言いたくなります。もしやアンデッド化したのか夏。

益田駅

 さて昨日の続きで山口線の旅。一夜明けても雨は止まず、めいってしまいましたが、津和野に続く今回の目的地、山口に向かいます。益田は泊まったのみで観光は全くなし。というのもスーパーおきの発車時間が9時前と早く、これを逃すと1時まで特急が来ないとためです。山口線は幹線ではなく地方交通線(赤字路線)なので、仕方ないかも知れませんが、不便は不便ですね。

山口駅

 山口駅は山口市の中心部にありますが、山陽新幹線が停まる新山口駅からは10キロくらい離れています。横浜駅と新横浜駅、大阪駅と新大阪駅など、ターミナル駅と新幹線駅が離れているところなたくさんありますが、山口駅と新山口駅の離れっぷりはなかなかのものです。特急でもダイレクトではなく、間に一駅(湯田温泉駅)挟みますし。

クリスマス発祥の地 

 山口市は室町・戦国時代に山陽山陰・北九州の6カ国を実効支配した守護大名・大内氏の本拠地となり、日明貿易を行ったほか、乱を逃れてきた京の文化人を歓迎して「西の京」として栄えました。1552年に山口で布教活動をしていた宣教師が日本で初となるクリスマスの祝いを催したことから、日本のクリスマスの発祥の地ともされています。

萩の町並

 毛利氏が支配するようになってからも長門周防の政治的中心地であり続けましたが、関ヶ原の戦いの後、毛利氏は萩に居城を構えたため、約260年もの間政治の中心地ではなくなりましたが、幕末の1863年に山口に居城を移しています。関ヶ原の戦いに敗れて広島城を失った毛利輝元は、新たな居城候補地を山口としていたものの、幕府の指示により萩に築城したとか。萩も雰囲気のある良い街なんですが、山口の方が南北に海を抱える領内の統制がとりやすいのだそうです。

山口県庁

 県庁所在地ですが、人口は下関市の方が多く、市内総生産でも周南市・下関市に次ぐ県内3番目。さらに民間調査会社・ブランド総合研究所による主要都市の「認知度」調査(2018年)では、山口市は下関市や萩市を下回っており、47都道府県の県庁所在地の中で最下位だったそうです。県名と市名が同じなのになんたることだ。そのせいか明治半ばから戦後復興期にかけて度々県庁移転運動が起こっています。候補地は防府市とか下関市か。

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 山口駅から北西に延びる駅前通りを進むと、やがて道は北向きになり、パークロードと名前を変えます。道の両側は美術館や図書館、博物館が点在する亀山公園。さらに進むと山口県庁にぶつかります。

香山公園 

 一旦東に向きを変えて少し進み、北向きの小道に入ってしばらくすると見えてくるのが山口市を代表する観光名所の香山公園。桜や梅の名所であり、国宝の五重塔がある瑠璃光寺の他、様々な史跡が点在しています。

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 まず赴くのは当然五重塔。室町時代の1442年建立で、屋外にある五重塔としては日本で10番目に古く、大内文化の最高傑作と呼ばれています。当時は香積寺の五重塔でしたが、毛利氏が香積寺を萩に移転させたため、跡地に瑠璃光寺が移転してきました。

法隆寺五重塔

 瑠璃光寺の五重塔は日本三名塔の一つとされています。昨日も三大稲荷という話題がありましたが、日本人は本当に三大○○が好きですね。残りの二つはというと、法隆寺の五重塔と醍醐寺の五重塔だそうです。法隆寺はまあ、そりゃあそうでしょうとなりますね。一度焼失したとはいえ再建されたのも飛鳥時代で1300年以上の歴史を持っていますから。

醍醐寺五重塔

 豊臣秀吉が花見を開催したことで有名な醍醐寺の五重塔は平安時代の951年建立で、京都最古の木造建造物であると共に、京都に残る数少ない平安時代建築として貴重な存在。

室生寺五重塔

 この二つに比べると瑠璃光寺の五重塔はかなり新しいので、個人的には奈良時代に建立された薬師寺の三重塔(東塔)とか、日本で一番高い東寺の五重塔(江戸時代再建)、二番目に高い興福寺の五重塔(室町時代再建だけど、それでも瑠璃光寺の五重塔よりちょっとだけ古い)、法隆寺のものに次いで古い五重塔である室生寺五重塔(画像)、東山のランドマークである八坂の塔あたりが「ちょっと待ったコール」(古い!)をしてきそうに思えますが。

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 三大五重塔ということにして薬師寺の三重塔をはじき、江戸時代再建で新しいからということで東寺の五重塔をはじき、国宝じゃないからということで八坂の塔ははじくとしても、なお興福寺や室生寺の五重塔が残るし、他にも東北最古の羽黒山五重塔あたりが名乗りを挙げてきそう。「日本三名塔」については選者不明なので、「あなたの感想ですよね?」とか「なんかそういうデータあるんですか?」とツッコめないのが残念。

五重小塔

 個人的には意表を突いて海龍王寺の五重小塔なんかどうでしょうと言いたいですね。約4メートルと「模型か!」とツッコみたくなるコンパクトさですが、建造物として国宝指定されていますし、奈良時代のものだけど屋内に安置されていたので傷みも少ないし。

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 香山公園は瑠璃光寺の境内でもあるらしいので、瑠璃光寺の拝観料はなし。お寺なのに無料なんて素晴らしい。でも瑠璃光寺本体(?)は正直言って大したことなかったです(下の画像)。

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 ただ、香山公園内には色々と史跡があって、例えば毛利家の墓所となっている香山墓所。長州藩主の墓所は萩に3カ所あって、そのうち東光寺は見てきましたが、香山墓所は明治以降の当主の墓のようです。東光寺の壮大な廟所に比べると非常にこぢんまり。

枕流亭

 薩長連合結成の密議のため、西郷隆盛らが訪れて長州側と面談したという枕流亭。香山公園内には最近移築されたのだそうです。

露山堂

 幕末に倒幕の密議が行われていた茶室の露山堂。現在も茶室として茶会など開催されているそうです。

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 うぐいす張りの石畳。香山墓所手前の石段の前にある石畳は、強く踏みつけたり手を打ったりすると、「キュ」という音が返ってくるのでこう呼ばれています。音は周囲の地形や石段による音響効果のためなんだそうで、意図して作ったものではなく偶然の所産だと考えられています。城内や屋敷内のうぐいす張りの廊下なら、忍者などの侵入を察知するためのものなんて言われますが、墓所前の石畳をあえてうぐいす張りにする必然性は確かにありませんね。手を叩いてみましたが、残念ながらそういう音はしませんでした。

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