2022年夏季アニメ序盤の感想(その3):よふかしのうた/シャドーハウス 2nd Season/リコリス・リコイル

猛暑が続く高松。去年よりも暑いように感じますが、東北・北陸での豪雨のニュースを見るにつけ、暑いだけならまだしもだなあと思ってしまいます。高松ではしばらく雨が降りませんが、何気に香川の水甕・早明浦ダムの貯水量は80%近くにまで回復してたりして。これはダム周辺の山間部では雨が降ってたということなんでしょうか。先日市内中心部で恒例の“打ち水大作戦”が行われました。無駄づかいは禁物ですが、猛暑なので水資源も使うべき時には積極的に使っていきましょう。


ということで夏季アニメ序盤の感想を続けて行きましょう。もはや中盤に入りつつありますが、まずは「よふかしのうた」。5話まで視聴しました。少年サンデー連載中の漫画が原作ですが、原作者のコトヤマは以前同誌で「だがしかし」を連載していました。なるほど、キャラの感じが似ていますね。

EDにヒップホップ・ユニットCreepy Nutsの「よふかしのうた」が使われていますが、実はこの歌の方が先にあって、本作のタイトルもこの歌に由来しているそうです。

告ってきた女子を振ったら女性陣から総スカンを食って不登校になった主人公夜守コウ。不眠症にもなって、一人で外出して夜を彷徨ったある日、自由奔放な吸血鬼の七草ナズナと遭遇します。コウもも吸血鬼になることを望みますが…という展開です。

ナズナに言わせるとコウの血は最高に美味いらしく、コウはほぼ毎日血を吸われています。吸血鬼に血を吸われると吸血鬼になるというのは、ゾンビに殺されるとゾンビになるというのと同じ位、ホラー界隈の“お約束”ですが、本作ではただ血を吸われるだけでは吸血鬼にはならないそうで、血を吸う吸血鬼に恋をする必要があるのだとか。いい加減そうなナズナの言なので本当かどうかわかりませんが、コウはナズナに恋するために夜更かしして毎晩ナズナと遭うことに。


本作で描かれる夜は明るくとても美しく、こんなに夜が綺麗ならそりゃあ夜遊びもしたくなるよなという情景になっています。実際はひたすら暗いだけなんだけどなあ。

コウはそもそも女子が苦手ということでしたが、ナズナとは不純異性交遊に近い触れ合い(血を吸われるというのは不純なのかどうか)をしていますし、3話から登場した朝井アキラという幼なじみも女の子なので、女子が苦手と言うより人付き合いが苦手というタイプなのでは。ワシもじゃ、ワシもじゃみんな!14年間生きて初恋もしておらず、趣味もないということなので、無気力、無関心、無感動なのかも。

1970年代に、学生運動が沈静化した後の若年層の「無気力・無関心・無責任・無感動」の風潮を評して「四無主義」とか「シラケ世代」とか言われたことがありました。安保闘争で火炎瓶投げたり内ゲバやったりしている方がいいとは思いませんが、まあ当時はそう評する向きもあったんでしょうね。80年代にはこれに、あいさつもろくにできない「無作法」が加わって五無主義という言い方が登場したとか。日教組教研集会でそう報告されたそうですが、今ならあんたらそんなにご立派なのかとネットで大炎上したでしょうね。要するに自分たちと行動様式が違う世代にはケチを付けずにはいられないと。

それはともかくコウもわりと無気力な感じはしますが、吸血鬼になりたいというのをアキラから「やりたいことができて良かった」と言われているので、こういう理解者がいるならもっと仲良くして楽しい中学生ライフを送れよという気にもなります。

ナズナのCVは美人声優雨宮天。「見える子ちゃん」では怪異に怯えるJKでしたが、今度は怪異側になってしまいました。みこちゃんも吸血鬼になったらどんな怪異が出てきても平気になるんでしょうが。なにしろ吸血鬼は“アンデッドの貴族”(「D&D」)、“怪異の王”(「〈物語〉シリーズ」)と呼ばれる強力な魔物なので。「オーバーロード」に登場する真祖(トゥルーヴァンパイア)のシャルティアも守護者最強とされています。本作では戦闘とかはなさそうですが。

次は「シャドーハウス 2nd Season」。4話まで視聴しました。1期は去年の春季アニメだったので、1年ちょい後の2期になります。不思議な大洋館「シャドーハウス」とそこに住まう謎の「シャドー」と「生き人形」達。生き人形は近隣の村から集められた普通の人間で、シャドーの頂点に立つ「偉大なるおじい様」のすす入り珈琲で記憶を消されています。


ケイトはシャドーでありながらシャドーハウスの在り方に疑問を持ち、「偉大なるおじい様」にも明確な反抗心を抱いていますが、現状孤立無援である上、上位のシャドー達にも目を付けられていて、あまり目立った行動はできないでいます。彼女の「生き人形」であるエミリコが何かと目立った活躍をするので、それに助けられてじわじわと秘密に迫っているという感じでしょうか。

とにかく活発で好奇心旺盛なエミリコですが、CV篠原侑は「ウマ娘」ではカレンチャン。カレンチャンはマルゼンスキーと共に今私が一番好きなウマ娘です。カワイイの権化で、最初は「腹黒」とか「裏表のあるぶりっ子」かと思っていましたが、実は強靱なメンタルの持ち主で、いつでもどこでも「カワイイ」自分でないと気が済まない(なので人が見ていなければだらける、ということもない。他人は見ていなくても自分が見ているから)完璧超人でした。自分には厳しい反面、他者には優しい。そんなカレンチャンに「お兄ちゃん」と呼ばれるのだから…


こうなるトレーナー続出。ワシもじゃ、ワシもじゃみんな!



エミリコがカレンチャンになったら、「おはなし」で全員配下にしちゃうのでケイトの行動も楽になりそうですが…流石にそれではストーリーが崩壊するか(笑)。3話で双子のシャドーであるイザベル&ミラベルのすす能力で犬の真似をさせられるという辱めを受けていましたが、尊厳を傷つけられて涙目のエミリコにはちょっと萌えました。カレンチャンだったらぶっ殺しますがね。


ケイト以外にもローブ姿の謎のシャドーがいて、亡霊(悪意を持って動くすすの集合体である「こびりつき」のさらに集合体)を発生させて混乱を生じさせるなどしているので、反シャドーハウス勢はケイトだけではないようです。シャドーとはそもそも何なのかとか、エミリコの過去とか、今後明らかになっていくであろう謎は多々ありますが、たいていシャドーと「生き人形」は似た名前となっているケースが多い(「バーバラ」と「バービー」とか「ジョン」と「ショーン」など)ところ、ケイトとエミリコは似ても似つかない名前なので、そもそもなぜその名前になったのかというところも知りたいですね。

最後は「リコリス・リコイル」。5話まで視聴しました。A-1 Picturesが制作するオリジナル・アニメということで前評判が高く、今季の覇権作品ではないかと囁かれていました。

日本の治安は八年連続世界一ィィィ!だというシュトロハイムもビックリな“平和な平和な”日本。しかしその実は徹底した情報操作により犯罪行為を事故や災害などに偽装しているだけというディストピアに近い世界でした。その尖兵となっているのが秘密組織Direct Attack (DA)で、なぜか少女達ばかりのエージェントはリコリスと呼ばれています 。

井ノ上たきなは優秀なリコリスとして活動していましたが、命令違反と独断専行の責任を問われてDAを追われ、支部とされる和カフェ喫茶リコリコに転属を命じられます。そこには歴代最強のリコリスと呼ばれる錦木千束(ちさと)が居り、バディとなった二人が様々な事件や依頼に立ち向かっていくことに。


リコリスとは、綴りが“licorice”の場合はハーブキャンディーなどに使われるスペインカンゾウのことですが、本作では“lycoris”の綴りになっています。この場合はヒガンバナを指しており、本作も何かとヒガンバナのモチーフが登場しています。

ちなみにヒガンバナの花言葉は「悲しき思い出」「情熱」「諦め」「独立」だそうです。これは本作に反映されるかな?


本作のリコリスは戸籍のない孤児の少女たちで構成されているということで、日常風景に溶け込むよう高校生風の制服を着用しています。なんで男がいないのか…それは野郎共が視聴する作品だからだ、というメタ発言はさておき(ぶっちゃけそうなんでしょうが)、男子高校生風部隊が存在しないのは謎。孤児の野郎共はみんなテロリストになってるとか?(笑)

リコリスに汚れ仕事一切をやらせ、報道管制により平和な世界のイメージを保っているのがこの世界のようで、かつて千束が図らずも破壊してしまったスカイツリーも事故ということにされ、“平和と安寧の象徴”呼ばわりされています。

当然そんな世界に嫌気が差している連中もかなりいるようで、テロリストも色々やっていますが、リコリスの活躍と情報操作によって公になっていない模様。しかし今後は…という展開です。

原作のないオリジナル作品ですが、なんとなく雰囲気は「GUNSLINGER GIRL」に近いなあと感じます。「GUNSLINGER GIRL」は犯罪や疾病などで障害を持った少女たちを集め、身体の改造と洗脳を行って、暗殺をはじめとした超法規的活動を行わせる対テロ機関「社会福祉公社」と、テロリスト集団を含む反政府集団「五共和国派」の戦いを描いた作品でした(私は原作のみ読了)。可憐な少女が銃器で戦うあたりはオタク好みの「戦闘美少女」でしたが、ストーリーに救いがなく、悪趣味・非倫理的という批判もありました。

本作もそういう批判を受ける余地があるかも…というのが5話ラストまで見た率直な感想です。ツーマンセルが原則のリコリスがなぜか単独行動でテロリストの車に轢かれ、半死半生のところをテロリスト集団(なぜか全員お揃いの作業着姿)に囲まれ、ほぼ死体蹴りに近い感じで撃ちまくられるという胸クソ展開。


ディストピア維持の尖兵であるせいか、たきなと千束以外のリコリスはあんまり可愛くない(ただしモブのリコリスは結構可愛かったりする)。それは別にいいけど、テロリスト側にもそれなりの主義主張があるというのなら、あんなに極悪チンピラ風なキャラデザにしなくても。まああの殺し方は、DA上層部に対する宣戦布告という意味合いもあるんでしょうけど…。しかしモブのテロリスト、なんか帝愛の地下帝国で強制労働させられてそうな雰囲気ありますね。

相手が攻殻機動隊だったら、草薙素子に「二度とあの世から出てくるな!」とオーバーキルされて終わりになりそう。攻殻機動隊で描かれる世界も体制側は完全な善という訳ではなく、テロリスト側にもそれなりの言い分がありますが…

少佐のこのセリフで大体納得させられてしまいます。ゴーストがささやくのなら仕方がない。


なおリコリスにはランクがあって、端的に制服の色で示されています。ファースト(千束)が赤、セカンド(たきな)が紺、サード(モブさん達)がベージュ。正直JK制服っぽいのはサードだけで、赤とか紺は色合いが強すぎて腕利きのリコリスですと叫んでるかのよう。戦場では上級士官は指揮系統の混乱を狙って真っ先に攻撃対象とされるので、なるべくそうとわからないようにするのが鉄則なのに。


5話にして千束は鼓動のない人工心臓の持ち主で、それをしたアラン機関の吉松は喫茶リコリコの常連客だけど千束は正体を知らないことが判明。しかしこの吉松もハッカーにDAへのハッキングを依頼したり、そのハッカーを別のハッカーを使って殺害しようとしたりと妙なことをしていて、敵か味方かよくわからない感じ。終盤に正体を知った千束と対峙することになったりするのだろうか。二元論的に正義と悪を明確にしにくい作品なので、終了時にすっきりしないオチにならなければいいですが。まあ2期とか狙っていくんでしょうが。

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