2022年春季アニメの感想(その1):理系が恋に落ちたので証明してみた。r=1-sigθ/乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です/勇者、辞めます/パリピ孔明

梅雨がどこかに行ってしまって、代わりに猛暑がやって来ました。まずい、このままでは四国は大渇水の危機。雨乞いとうどん禁止令が必要になったりして。


ところで、高松に来てから1年以上ネット接続でWiMAXのお世話になっているのですが、先日突如PCがWi-Fiを認識しなくなるというヤバい状況が発生。テレビなしには耐えられそうですが、ネットなしにはとても耐えられない(スマホはあるけど)。PCのトラブルシューティングも謎のエラーで機能せず、一時はPC買い換えも考えたのですが、もしやWiMAXのホームルーターとPCを有線で繋いでみたらとLANケーブルを買ってきて繋いだら、あっさり問題解決。

この時の私の気持ちはまさにこれ。まあ死んだ球三郎をスカイダイビングで生き返らせるのに比べたら大したことではないですが、「やってみるものだな!」はまさに同感でした。

6月も下旬に入り、続々と春季アニメが終了しているので、恒例ですがしばらくは終了した春季アニメの感想となります。まずは「理系が恋に落ちたので証明してみた。r=1-sigθ(はーと)」。一期は2020年冬アニメで、今回は二期に当たります。

実験と証明という名目のバカップルによるイチャイチャを延々と見せられるという趣旨の作品ですが、実は6話が「理系が恋に落ちたので証明を終了してみた。」というタイトルで、雪村と氷室の恋愛関係については事実上ここで実証され、以後は実験とかいう名目抜きで公然とイチャつくことに。

じゃあその後は何を描いていたのかといえば、雪村が家庭教師をしているギャルなJKの話の他、本作の語り手である奏言葉がメインとなっていました。良くも悪くも普通じゃない人ばかりの池田研究室の面々の中で、一番普通というか常識人の立場いたのが彼女です。

幼い頃から武道を嗜んでおり、後に立つ男性を投げ飛ばしてしまうというゴルゴ13のような習性もあり、決して普通そのものというキャラではないのですが、言葉の場合はむしろ「普通」であることに執着しているという感じでした。

そんな彼女に接触してきたのがいかにも普通っぽい式城直哉という東京理工科大学の学生。一期後半の沖縄合宿編で登場していました。この時は雄一という女癖の悪いナンパ師のような学生の相方という感じで、本人には特に素行に問題はありませんでしたが、肝心の研究発表が上手くいかず途中で打ち切られてしまっていました。

物腰の穏やかな好青年といった雰囲気で、言葉との交際も順調かと思いきや、実はとんでもないバケモノでした。「普通」であることを強調しつつ、スタンガンを持ち歩いているあたり、全然仏ではないのですが、全く自覚していないという。

外面のいいふりをしつつ、実は自分の思い通りにならないならことには強硬手段も厭わない暴力的な本性を持っており、かつてはグレて度々問題を起こしていたという。大学生になって更生しなのかと思いきや、本質は全く変わっていませんでした。

言葉に交際を断られるや、スタンガンで気絶させ、廃屋に連れ込んで仲間とレイプしようとするという。正直異常者だから拉致監禁暴行を企図するのはわるけど、仲間を呼ぶのはよくわかりませんでした。気絶させて縛ったら一人でもなんとかできるだろうに。

そもそも先に言葉に手を出そうとした不良の一人にはもの凄い暴行を加えていたし、本当に仲間なのか?他の不良はゲラゲラ笑っていたので、仲間意識は希薄で、女をヤレればいいというだけの関係ななのか。

一応助けに来た雪村を袋叩きにするには役に立っていましたが、強酸溶液を掛けられて一目散に逃亡。もっとも容器だけで中身はフェイクでしたが。雪村をボコっている間に警察が到着してしまい、あっけなくまとめて御用に。もちろん式城も逃げられません。

理系ギャグというか妙な理論や研究(ただし実際にあるもの)をしばしば登場させ、理系に疎い私なんかは毎回楽しく視聴できました。雪村&氷室カップルは、中の人(内田雄馬と雨宮天)が実写でやってもいけそうで、共演をきっかけにゴールインとかでもいいんじゃないかと思いますが、どうなんでしょう。お姉ちゃん(内田真礼)が黙っていない?

お次は「なろう」系の「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」。妹のワガママに振り回されて乙女ゲーをやりこまされ、疲労の末死亡した主人公が、散々プレイしていた乙女ゲームの世界にモブキャラ=リオンとして転生したという話です。

極端な女尊男卑世界の中、リオンはゲームやりこみで得た知識を使って「ロストアイテム」や財宝を得てモブながらも平穏に生きようとしますが、やることが全て裏目に出て、不本意ながらどんどん出世して頭のおかしい貴族社会に踏み込むハメに。


リオンはモブキャラらしくいかにも小物な性格で、似ているキャラとしては「この素晴らしい世界に祝福を!」のカズマを連想します。ゲームのプレイヤーキャラ(主人公)であるオリヴィアや敵役である悪役令嬢ポジのアンジェは、モブの自分では釣り合わないからと距離を置こうとしますが、意に反して目立ちまくるリオンはどんどん二人と仲良しになってしまいます。

本来の攻略対象キャラである王子や上級貴族などの貴公子5人は、女尊男卑世界にあっても別格の存在ですが、実はとんでもないダメンズばかりで、リオンは「5馬鹿」とまとめて呼んでいます。本来こいつらがオリヴィアの恋愛相手になるはずなのに、なぜかゲームには登場しないマリエという妙なキャラが5馬鹿から愛情を一身に受けており、オリヴィアは蚊帳の外に。


このマリエがどうやらリオンの前世の妹らしく、リオン同様ゲーム知識を利用してオリヴィアの先回りをして主人公の座を奪ったようなのですが、リオンを酷使して楽してクリアを狙っていたぐらいなので、知識が中途半端な上、5馬鹿が見てくれだけのどうしようもなく使えないキャラ揃いだったせいで苦労を続けることに。CV佐倉綾音だし、もっと活躍することが期待されましたが…続編があれば再登場必至なんですけどね。

話は結構面白かったのですが、キャラデザインがなんともいえない違和感を感じるもので。原作でもそうだったのかと思いきや、原作のキャラデザは普通なので、変なところにアニオリを持ち込んだと言うことでしょうか。このキャラデザのせいでストーリーに没入できなかった感があります。

リオンの相棒であるロストアイテム「ルクシオン」のCV石田彰なんかは非常に良いキャスティングだったので、絵がもうちょっとちゃんとしていたらもっと人気が出たように思います。

個人的にはCV大原さやかのミレーヌ王妃が好き。リオンも思わず求婚していたけど、この世界にはろくでもない女が多い中、とっても魅力的な女性でした。王妃NTRとか、とてもモブとは思えない所業ですが(笑)。

続いて「勇者、辞めます」。こちらは「小説家になろう」ではなく、同様の小説投稿サイト「カクヨム」に連載された小説が原作ですが、広義の「なろう」系と言っていいでしょう。

人間界に侵攻した魔王軍を単独で打ち破った勇者レオ。しかしその強大さが危険視され、人間界から追放の憂き目に遭うことに。レオは再起を図りつつある魔王軍を訪れ、様々な問題を解決して建て直しに尽力し、幹部に昇格することに。レオの真の目的とは…という話でした。


実は魔王が人間界に攻め込むということは今回が初めてではなく、なんと3千年以上前に開始されていたのでした。そして当時の科学技術を駆使して開発されたのが対悪魔用自動成長型生体兵器「デモンハート」シリーズ。黄道十二宮を擬して(或いは黄金聖闘士を擬して?)12体作られたなかで、獅子座の名を冠したレオだけが生き残り、人間を守護し続けてきたのでした。

人類を守るという使命に縛られ、脅威がなくなれば自ら産み出すことさえ考えるようになってしまったことに恐怖したレオは、自分では死ねないので、魔王軍を建て直した後に魔王と四天王に倒されることを望んでいましたが…という展開。

魔王軍建て直しへの悪戦苦闘ぶりとかは結構面白く、レオの真意が明らかになり、その結末をつけるには、10話ぐらいで終わらせることも可能だったと思いますが、終盤やたらに回想シーンを盛り込んだ結果、冗長になってしまったきらいがあります。11話なんかなくても全然問題なかったような。

とりあえず良い感じの終わりというところですが、レオの死ねないという問題は残ってしまったので、エキドナ達が生きている間はともかく、その後はまた問題が再浮上することでしょう。魔界を滅ぼして消えるみたいな結末もありなのかも。しかし原作は完結しているので、物語もここで終了なんでしょう。他人がその先を考えても仕方が無いか(笑)。

最後に「パリピ孔明」。ヤングマガジンで連載中の漫画が原作で、突拍子のないタイトルにつられて思わず視聴してしまった作品です。後で気付きましたがアニメ制作はP.A.WORKSでした。

五丈原で魏軍と対峙する陣中で病没した蜀の丞相諸葛孔明。次の瞬間なぜか若き日の姿に戻ってハロウィン真っ只中の現代日本の渋谷に転移。こういうのも異世界転生なんでしょうか。ハロウィンの仮装をする人々を見て地獄に来たと思った孔明ですが、本人も仮装と思われて周囲からはあっさり受け入れられていました。

あるラウンジで聞いた駆け出しの歌手・月見英子の歌に惚れ込んだ孔明は、彼女の夢を叶える軍師として活躍することに。実は相次ぎ戦争に倦んでいた孔明、平和な世界で暮らすことを夢見ていたということで、ある意味夢が叶ったのか。

あっという間に1800年のタイムラグや中国と日本の差を乗り越える孔明ですが、こちらも「まあ孔明なら」とあっさり納得してしまうところが孔明のネームバリューの凄さということでしょうか。格好は基本ゲームなどで描かれるあの姿をしていますが、三国志好きは結構たくさんいるので、「諸葛孔明になりきった人」だとは思われてもそれほど奇人変人扱いはされないという。これも人徳か。

みんな大好き「三国志」。私も高校時代に吉川英治の三国志に大ハマリしました。そしてコーエーのファミコンソフト「三国志」をやりこんだり。横山光輝の三国志も有名ですね。このほか、柴田錬三郎の「柴錬三国志」も読みました。こちらは孔明没後の蜀の最期までを描いているんですよね。


しかーし、これらの「三国志」は本当の「三国志」ではない!本当の「三国志」は陳寿の記した歴史書で、司馬遷の「史記」に始まる、中国の王朝の正史(二十四史)の一つです。では我々の親しむ「三国志」は何なのかといえば、明代初期に羅漢中によるとされる「三国志演義」で、正史の「三国志」をベースにしつつも、説話本や雑劇から取り込んだ逸話や、作者自身による創作を盛り込んだものです。中国では「水滸伝」「西遊記」「金瓶梅」と並ぶ四大奇書とされています。

面白いことは面白いのですが、本当ではないことも沢山盛り込まれており、赤壁で孔明が祈ったら大風が吹くとか、関羽の五関突破(いわゆる「関羽千里行」)とか、劉備が極端に美化されていたり、その一方で曹操が極端に悪く書かれていたりします。吉川英治は「三国志は曹操と孔明の物語」としており、吉川三国志では劉備善玉、曹操悪玉の部分などはかなり緩和されていた印象ですが、虚構の部分はそのままになっています。だって面白いから仕方が無い。

ということで、パリピ孔明が用いる謀事も、基本「三国志演義」由来のものであり、もっと言えばパリピ孔明自体が「三国志演義」から転生してきた人物と言えましょう。4話の集客の際に使った石兵八陣とか、後半の「10万イイネ企画」で使った「草船借箭」の策とかは、完全に「演義」のエピソードで、史実ではありません。いや、面白いし三国志(演義)ファンはみんな知っているからいいけど。

三国志(演義)ファンなら、孔明の策がどれほどズバズバ当たっても、「孔明だから当然」と思ってしまい、あまりご都合主義とか考えなくなるあたりはいい手だなあと思いました。ただ、ラップ勝負以降はあまり孔明が前面に出てこなくなったのが残念でした。

三国志(演義)では非情な策も厭わず駆使した孔明ですが、平和な世界では相手を徹底的につぶすことはせず、むしろWin-Winな関係が築けそうな策を多用しています。孔明の持つイメージなら、出来るならそうするだろうな思えちゃう、それが孔明の人徳なのか。

ラッパーとか、孔明が必須と言っていたものが本当に必要だったのか疑問もありますが、原作がそうなっているだろうから仕方ありませんね。原作はまだ続いているので、ストックが出来たあたりでぜひ二期を制作して貰いたいです。

強面だけど実は優しく三国志マニアのラウンジオーナーの小林がいいキャラしています。自殺しようとしていた英子を助けたり、孔明をフロアスタッフとして雇ったりと、この人がいなかったら物語が成立しないほどの重要人物ですが、作中では驚き役に徹しているという。
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