2022年冬季アニメ序盤の感想(その4):その着せ替え人形は恋をする/明日ちゃんのセーラー服/怪人開発部の黒井津さん

昨日は春も近いかと思われる陽気でしたが、一転して氷雨の日曜日。雪じゃないんだから寒くないだろうと北国の人には言われるかもですが、やはり寒いです。しかしこれまで降水が少なくて給水制限も近いんじゃないかという情勢だったので、早明浦ダム周辺でもどっさり降っていて欲しいです。

すっかり冬季アニメも中盤に入っていて看板に偽りありなのですが、今回で序盤感想を終えたいと思います。まずは「その着せ替え人形は恋をする」。“着せ替え人形”と書いて“ビスク・ドール”と読みます。略称は「着せ恋」でこれも「びすこい」と読むそうな。ビスク・ドールって磁器製の人形のことですよね。「ローゼンメイデン」に登場した薔薇乙女達を連想しますが、本作においてはコスプレイヤーを指すようです。6話まで視聴しました。


雛人形職人を目指す陰キャっぽい男子高校生・新菜と読者モデルもやっているいかにも陽キャなギャルの海夢。“海夢”と書いて“まりん”と読む辺り、完全にDQNいやキラキラネームでまさにギャルを体現しています(命名したのは本人ではないのですが)。全く交わらなさそうな二人ですが、実は海夢にはオタク趣味があって、アニメ、漫画、ゲーム類まで幅広くたしなみ、コスプレをキャラへの究極の愛と呼ぶほどでした。


新菜は雛人形職人志望ですが、その傍らで雛人形の衣装作成も行っており、裁縫に長けていました。一方海夢はコスプレ衣装を作ってみたものの全くの素人。自身のオタク趣味をバカにする者は容赦なく叩き切る海夢ですが、その分他者の趣味を尊重する姿勢を持っていて、海夢が新菜の雛人形を褒めたことで交流が始まり、海夢は新菜の作った衣装を着てコスプレイヤー「まりん」としてデビューすることに。

新菜は祖父も雛人形職人で、代々伝わる職人気質を持っており、コスプレ衣装製作に対しても極めて真摯に取り組みます。そんな新菜に海夢も好意を持つようになっていますが、新菜の方は自分では全然釣り合わないと思い込んでいて…というところです。

新菜が作成した衣装の出来の良さを評価し、人気の美少女コスプレイヤー「ジュジュ」もやって来てコスプレ衣装の製作を依頼するという騒ぎになってきていますが、コスプレ関係の話が面白いので、個人的にはもう学校のことはどうでもいいからコスプレと関係者らとの交流とか衣装作成とかを中心に描き続けて欲しいところですが、高校生なのでそうもいかないのでしょうね。

海夢はぱっと見美人で読者モデルをやっててギャルである一方、強いオタク趣味があるという点では、「俺妹」の高坂桐乃によく似たキャラですが、桐乃のような攻撃性はなく、段違いに他人への優しさが伺えるので、ずっと好感が持てます。CVの直田姫奈は今回がアニメ初主演ですが、よく演じています。

なお新菜&海夢のコスプレ衣装第一弾は「聖♡ヌルヌル女学園 〜お嬢様は恥辱倶楽部ハレンチミラクルライフ2」というエロゲーに登場する黒江雫のものでしたが、18禁ゲームを高校生がプレイしていることにはうるさ方から噛みつかれそうな。「俺妹」の桐乃も中学生なのにエロゲーをやっているということに文句が付けられていましたね。男主人公が女子高に入学するというハーレムものにして、攻略対象を性奴隷にする凌辱ものでもあるそうですが、海夢に言わせると「基本愛ゆえの性奴隷だし大丈夫、割と安心」だそうです。衣装制作のための資料としてですが、しっかりゲームクリアしていた新菜(笑)。

続いて「明日ちゃんのセーラー服」。「明日」と書いて「あけび」と読みますが、これは名前じゃなくて名字なんですね。つまり「山田ちゃん」とか「鈴木ちゃん」と言っているようなものなので、そう考えるとあんまり可愛くないような。6話まで視聴しました。

自分と妹しかいないという小学校通っていた過疎地暮らしの明日小路。ママンがOGの私立蠟梅学園のセーラー服に憧れ、頑張って入試を突破します。洋裁の仕事をしているママンに作って貰ったセーラー服で意気揚々と入学式に臨みますが、学園の制服はとうの昔にブレザーに変更されていたのでした。学校側はセーラー服での登校を許可しますが、いきなり目立ちまくった小路はクラスメートから壮絶ないじめの嵐に…別にそういうことはなかったぜ。

非常に明るく行動的な小路は、友達がいなかった小学校時代の反動もあって積極的に友達作りを行っており、クラスメートともどんどん親しくなっています。CV村上まなつは売り出し中の若手声優ですが、クラスメートは小原好美、伊藤美来、雨宮天、鬼頭明里など、若手人気声優が集結しています。担任の先生はM・A・Oだしママンは花澤香菜。凄いラインナップです。

ただ、この臘梅学園、1クラス16人という少人数制で、学ぶ側はきめ細かいケアを受けられそうでいいのですが、採算は大丈夫なのかと思ってしまいます。しかも立地が、小路が徒歩で通える処にあったり。小路はそれまで全校生徒が二人しかいない小学校に通っていたことを考えると、とんでもないど田舎にあると推察されますが、名門とはいえよくそんな僻地に女子達が通ってくるな。学生寮はありますが、中学生から寮生活ってちょっとハードな気もします。

女子高とか女子の花園というと、名作「マリア様がみてる」を思い出します。さしずめ中学生版「マリみて」と言いたくなる本作ですが、原作が少女小説だった「マリみて」に対して本作は青年誌「ヤングジャンプ」のウェブコミック配信サイト「となりのヤングジャンプ」連載の漫画が原作。その差がどこに出てくるかというと…妙にフェチズムを刺激するような描写が多々あるあたりでしょうか。中学生になったばかりの小娘達ばかりなんですが、妙に色っぽさを感じる場面があったりして。


「マリみて」が女性作家による少女向けの作品だったのに対し、本作は男性漫画家による青年向け作品。その差はやはり大きいのかも知れません。別にエロを前面に出しているわけではないのですが、「マリみて」に比べるとやはり“男の妄想”ってやつが混じっているような感じはあります。それがいい、悪いという話ではないのですが。

余談ですが、明日ちゃんの家、まるでヨーロッパにあるようなメルヘンチックな佇まいですが、ここは日本の田園地帯ですから。実際には周囲からは浮きまくってることでしょう。

最後に「怪人開発部の黒井津さん」。「魔法科高校の劣等生 追憶編」が単発だったため、「天才王子の赤字国家再生術」と共にリザーバーから昇格。悪の組織で予算や上司に振り回されながらも怪人開発に奮闘する黒井津さんを描いたコメディ作品です。5話まで視聴しました。

毎回ストーリーとは別に実在する全国のご当地ヒーローが登場するほか、特撮出演の経験がある俳優が各話のナレーションを担当するこだわりを見せています。なおご当地ヒーローが多数存在する分、悪の組織も沢山存在しているようです。

秘密結社アガスティア。悪の怪人を作り出す開発部でヒラ研究員として働く黒井津燈香は、実権や研究のみならず、予算獲得からスケジュール管理、そして幹部達への稟議書作成と決裁を貰うために奮闘する日々を過ごしています。彼女らの前に立ちはだかるのは無名で無敗の変身ヒーロー・剣神ブレイダー。

上司である博士の無茶振りで未完成の企画書で新怪人のプレゼンを行ったり、強力な怪人のアイディアが出来ても各部門のダメだしで妙な怪人が完成してしまったり。幹部全員の決裁印を貰うことがどれほど大変か身を以て知ったり。また他の悪の組織と牽制し合ったり。それは開発部の仕事じゃないだろうということまで押しつけられる不条理。


しかしアガスティア、悪の秘密組織なのに勤務条件はさほどブラックではないらしく、超勤はちゃんと付くし有給休暇も取りやすいそうです。しかし多数いる幹部が特に担当部署を決めていないという組織として致命的とも言える欠点があり、通常なら決済は担当幹部→大幹部→首領程度で済むところ、アガスティアでは全ての幹部の決裁を取らなければなりません。5話のエピソードにより電子決裁が導入されたそうですが、その前に幹部の担当部署を決めてラインを作った方がいいように思います。


というか強そうな幹部がたくさんいるので、誰か直接出向いて剣神ブレイダーを倒してくればいいんですが(それを言っちゃあおしまいよ)。なお剣神ブレイダーは変身前は弁当屋でアルバイトをしており、黒井津さんはそこの常連ですがお互い全く気付いていません。さらに言えば剣神ブレイダーの本名は佐田巻健司ですが、黒井津さんの上司の博士の名も佐田巻。どうやら本当の兄弟のようです。

主人公黒井津さんは仕事熱心で、女子力を磨くことへの興味はあまりないようですが、結構可愛いです。アクセサリーが葉っぱみたいですが、それはやはり「アガスティアの葉」なのか(笑)。なおCV前田佳織里は「ウマ娘 プリティダービー」でナイスネイチャを演じており、ゲームのストーリーモードのシナリオはほぼギャルゲーのような雰囲気で、彼女面で湿度が高いと評判。ウマ娘と担当トレーナーが恋愛関係になるとしたら、その最右翼と言われるのがナイスネイチャです。冷蔵庫の残り物で料理を作ってくれたりと女子力・生活力が高いのでぜひお嫁さんに欲しい。

なおアガスティアの首領は見た目幼女のアカシック。CVはM・A・Oですが、ここ5,6年の彼女の売れっぷりは凄まじいものがありますね。今季も「プリコネR」のペコリーヌ、「明日ちゃんのセーラー服」の担任の先生、「異世界美少女受肉おじさんと」の橘日向(女体化後)と4本に出演しています。伊藤美来が売れてるとか鬼頭明里が売れてるとか、巷間言われているのは間違いではないでしょうが、一番売れているのはM・A・Oなのではないでしょうか。演じる役のバリエーションも凄いです。
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