記憶に残る一言(その145):矢島金太郎のセリフ(サラリーマン金太郎)

ますます猖獗を極めるオミクロン株。あれよあれよと第6波到来ですね。また様々な制限が加わる窮屈な生活となるんでしょうか。重症者が少ないというのが救いですが。

本日は「記憶に残る一言」です。今回はパロディの方が有名になってしまった感もありますが、元ネタの方の本宮ひろ志の「サラリーマン金太郎」から、主人公矢島金太郎のセリフを紹介します。

暴走族・八州連合の元ヘッド矢島金太郎は、漁師をして亡き妻の忘れ形見の竜太と暮らしていましたが、ある日事故で漂流中のヤマト建設の会長・大和守之助を救います。金太郎はこれを契機にヤマト建設に入社することに。サラリーマンとなりながら、サラリーマンの枠に捉われない金太郎はここで数々の大胆な行動を行うことになります。

問題のセリフは単行本3巻収録の初期エピソードになります。第19話「金太郎、きれる。」大和守之助の孫娘の江沢有希が車で崖から落ちそうになったところを助けた金太郎。有希は金太郎に惚れますが、金太郎は子供扱いして相手にしませんでした。なかった。

守之助のみならず有希まで救って貰ったのでは、大和一族は金太郎に足を向けて寝られないんじゃないかと思いますが、子供扱いされたことを逆恨みした有希は、車で金太郎の家の前まで行き「金太郎のバカァァ!!」と叫んで走り去ろうとします(まさに子供)。しかし、金太郎が車の前に飛び出したので、急ハンドルを切った車はガードレールに衝突。運転していた男(有希の仲間)は逆上して金太郎につかみかかりますが、逆に金太郎に殴られます。

この一件の後日、やたらガタイのいい男がヤマト建設を訪れ、何の説明もなくいきなり金太郎を殴りつけます。その行為にブチ切れた金太郎は、背後から男の後頭部をめがけてデスクチェアを思いっきり振り下ろし、ここで暴れては物が壊れるということでこのセリフを放ちます。

「屋上へ行こうぜ…久しぶりに…キレちまったよ…」。その後のセリフは「死ぬほどきれえだ……てめえらみてえな……一方的にふるまう奴らがよォ………」

そして有言実行で屋上で殴り合う金太郎。激闘の末に勝利します。実はこの男、元警視庁逮捕術NO.1という相当の強者だったのですが、金太郎がただのサラリーマンではなく、元暴走族ヘッドだという情報を貰っていなかった模様。

有希の仲間で、金太郎に殴られたのが関東の総会屋を束ねるフィクサー三田善吉の息子で、報復のためにこの男が送り込まれてきたという。この一件で金太郎と知り合った善吉は、その後金太郎の心意気を気に入り、よき理解者となります。金太郎も善吉に大きな影響を受け、「三田のじいさんの受け売りだけどな」と語る場面がよく登場します。

なお後日、金太郎は銀座の高級クラブのママをしていた末永美鈴を後妻に迎えることになりますが、彼女を金太郎に紹介したのも善吉でした。

昔の不良漫画だと番長同士が激闘の末ダチになるという展開がよくありましたが、その変形みたいなものでしょうか。

で、ネットでよく見かけるパロディの方ですが、こちらは漫☆画太郎のギャグマンガ「珍入社員金太郎」の主人公・多摩金太郎のセリフです。ポマト建設株式会社に新入社員として出社した金太郎ですが、初日に社長からクビを言い渡されます。それにブチ切れた金太郎はデスクチェアを社長の頭上から振り下ろし、「屋上へ行こうぜ…久しぶりに…キレちまったよ」と言い放ちます。

このセリフ、展開から明白なとおり、「珍入社員金太郎」は「サラリーマン金太郎」をほぼパクっています。「サラリーマン金太郎」も連載されていた「ヤングジャンプ」で、2005年8号から11号まで掲載されましたが、全4話で突然打ち切りになりました。ええ、全4巻ではありません、全4話です。なので単行本化もされていません。打ち切りの理由は明らかではありませんが、本宮ひろ志を激怒させたからという噂も。もしこれが正しいとしたら、そもそも連載したヤングジャンプ編集部にも大きな責任があると思いますが。

漫☆画太郎は漫画界の文法や常識を無視する何でもありの作風で有名ですが、連載途中で自ら打ち切りへ持っていくような展開が多く、まともに完結を迎えた作品は少数にとどまります。大の連載嫌いだそうで、仕事を選べるなら読切作品に限定したいのだとか。この人の作品には他にも記憶に残るセリフがありますので、いずれ紹介したいと思います。

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