2021年夏季アニメの感想(その3):ひぐらしのなく頃に 卒/迷宮ブラックカンパニー/平穏世代の韋駄天達

「ウマ娘プリティーダービー」が「日本ゲーム大賞2021」で年間作品部門の<優秀賞>を受賞したということで、ガチャ10連一回分の「ジュエル1500個」が貰えました。それはおめでとう、こちらも引かねば…無作法というもの…ということで早速ガチャを引いたら、ピックアップされていたライスシャワー(ハロウィン)が来てくれました。吸血鬼の仮装をしているのでドラキュライスとでも呼びましょうか。

ライスシャワーはウマ娘版「来ない四天王」の一人だったので、大変ありがたいです。しかもプレイしてみたら1回目にしてURAファイナルで優勝するし。10連でさくっと来てくれる娘はみんな大好きですが、他の四天王もこの調子で来てくれないものでしょうかね。ちなみに他の3人はサイレンススズカ、カレンチャン、エイシンフラッシュですが(趣味がバレますね)、ライスの抜けた穴は早速“ファル子”ことスマートファルコンが埋めているので「来ない四天王」は健在のままです(笑)。

CV石見舞菜香は23才の若手声優ですが、デビューは2016年で、2019年には第13回声優アワードで新人女優賞を受賞しているなど、既に大活躍中。私が知っている役としては「クジラの子らは砂上に歌う」のヒロイン・リコス、「終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?」の妖精兵ラキシュ、「はたらく細胞」の血小板の一人で帽子を前後逆に被る“うしろまえちゃん”、「Re:ゼロから始める異世界生活」の色欲の魔女カーミラ、「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」の真坂結子(ヒロイン沙優の眼前で自殺した友人)などでしょうか。儚げな声のキャラが多いような気がします。ライス役については2017年には既にキャスティングされており、Cygamesは目の付け所が違うなあと思います。

全国100万人のライスシャワーファンがこう叫んでいるところ、仲間入りできて嬉しいです。細かい話ですがこれはセリフが一部改変されており、オリジナルでは「俺はお兄ちゃんだぞ!!!」と叫んでいます。「お兄ちゃん」と呼んでくるカレンチャンをゲットしたらそのまま使えるのですが。

さて秋季アニメも始まっているので夏季アニメの感想を終わらせましょう。まず「白い砂のアクアトープ」は連続で2クール目に入っているので今回はパスです。第1クールは「がまがま水族館」編、第2クールは「アクアリウム・ティンガーラ」編ということになり、区切りはついているのですが。構成的には名作「SHIROBAKO」に似ていますね。

それではまず「ひぐらしのなく頃に 卒」。前作「業」の回答編となります。「卒」の名称を見た時から、これは沙都子と梨花がお互いへの妄執から卒業して離れる物語になるのではないかと思っていましたが、結果的にはその通りになりました。

しかしその過程がエグいと言うか何というか。梨花同様「繰り返す者」となった沙都子ですが、繰り返し方が全然違う。梨花が他者への介入を控えめ(必要最低限)に留めていたのに対し、沙都子はよく言えば積極的、悪く言えば過干渉的に介入しており、「こうしたらどうなるんだろう?」という興味本位で人体実験的な行為をしているので、過去に感じた同情とか共感は一切なくなってしまい、悪辣ぶりが鼻につくように。

「ひぐらし」では、「繰り返す者」以外はループを実感できないはずのですが、前作(「解」)では、圭一らが「過去の惨劇」の記憶を留めるという奇跡によってハッピーエンドに辿り着いた経緯があり、今回の場合は沙都子の蛮行に気づいた圭一らがきついお仕置きをするのではないかと思った(OPの一コマもそう思わせました)が…結果的には「別にそんなことはなかったぜ!」でした。

何よりいくら回答編とはいえ「業」のカットの使い回しが目立ち、再放送かよと思ったり、終盤には自分が今見ているのはもしかして「ドラゴンボール」なのでは?と思わせるようなバトルシーンが展開されたりして、これまで持っていた「ひぐらし」へのイメージが完全に崩壊してしまいました。

結果は「お互いからの卒業=別離」という道に至る訳ですが、対立していた番長同士ならともかく、ここまで繰り返し沙都子は梨花を殺害してわけで、その間に蓄積した憎悪が、終盤ちょっと殴り合ったぐらいで解消できるとは思えないのですが。なにより巻き添えにされてきた圭一やレナらが沙都子を許せないように思いますが。

「秒速5センチメートル」での貴樹と明里は時間遡行を繰り返すこともなく、たった1回で「卒」を果たした(貴樹は10数年引きずっていたものの)のに、お前らときたら…とあきれかえってしまいます。「聖ルチーア学園」に行くにせよ、雛見沢に留まるにせよ、二人一緒でという“幻想”はそもそも最初から持つべきではなかったんですよ。特に100年も試行錯誤して精神的には老成していたはずの梨花は。


ということで、二人の妄執に辟易する作品となってしまいました。収穫としては、一貫して悪役だった鉄平やリナが“いい人”になったことぐらいでしょうか。特に“綺麗な鉄平”はいいですね。沙都子は意識を取り戻した悟史も加えて3人で楽しく暮らせそうじゃないですか。あっという間に梨花のことなんか忘れたりして。

次は「迷宮ブラックカンパニー」。努力の末にネオニートとして安楽な生活を確保し、一生楽して過ごそうとしていたら、唐突に異世界に転移させられた二ノ宮キンジが、再び安楽な生活を取り戻すために奮闘する物語です。


構成としては、「こち亀」の両さんが、何らかの金儲けに手を出し、棚ぼたの幸運などに恵まれて途中までは上手く行くものの、調子に乗ったり増長したりした挙げ句元の木阿弥(あるいは以前より酷い状況)なってしまうという展開によく似ており、挑戦→増長→失敗というのがキンジのパターンでした。

せっかく安楽な生活を謳歌できるというところでの異世界転移は同情を禁じ得ないのですが、キンジの人となりを知るほどに、現世での安楽な生活も本当にまっとうな手段で獲得したのか疑問を感じてしまいます。なにしろ彼のモットーは「楽してズルしていただきかしら!」(by「ローゼンメイデン」の金糸雀)なもので。もしも神様がいるとしたら、金糸雀ならまあ許せてもキンジだと「せや!異世界に飛ばしたろ!」と思っても不思議はない(笑)。


ということでチャレンジと増長と失敗を繰り返すキンジを笑う作品かと思いきや、終盤は一気に成り上がり、ブラック企業・ライザッハ鉱業を乗っ取ってしまいます。しかもそこでエンディング。まさかの成功エンドだ…と…?どうも原作ではやはりこけているらしいのですが、アニメはここで終わりなので綺麗に終えるためにオリジナルエンドにしたらしいです。まあ第2期が制作できるかどうかわからないからこれでもいいかも知れませんね。もし第2期が制作されたら、また転落してゼロから始めることになるのでしょうが。

異世界転移だけでもお腹いっぱいなのに、さらに時間遡行まで行うという展開に、1クールに詰め込みすぎだろうと思わないでもないですが、それでもストーリーを破綻させなかったのはさすがの構成というべきでしょうか。


佐藤聡美が悪役(ライザッハの鬼畜幹部)を演じていたのも意外ですが、一番驚いたのはM・A・Oが“男の娘”ランガを演じていたこと。この人の演じる役柄の広さは日笠陽子並なのではあるまいか。ここ数年アニメ作品に出ずっぱりなのもむべなるかな。


あとお姉ちゃん(井上喜久子)が演じていた迷宮アリ女王が人間態になって可愛くなっていたのは良かったですね。やはりお姉ちゃんには可愛いキャラを演じて欲しいので。


主人公キンジは労働を嫌い、労働者を見下すクズな性格で、成功して人を使う側になると、途端にブラック経営者の極みになるタイプなので、どんなに失敗してひどい目に遭っても笑って見ていられる妙な安心感がありました。変に成功せずに挫折を繰り返した挙げ句、遂に自身の性格を顧みるようになる…なんて展開だとビルドゥングスロマンになる訳ですが、視聴者は深夜アニメにそんなものを期待しているはずないので、異世界の両さん路線を突っ走って欲しいものです。

最後に「平穏世代の韋駄天達」。今季3本もアニメ化された「クール教信者祭り」の第3弾です。怪作になってしまった「ピーチボーイリバーサイド」では漫画原作者、「小林さんちのメイドラゴン」では漫画家を務めているクール教信者ですが、本作では漫画作画を務めています。原作はネット界隈で“発想の常勝無敗”の異名を取る天原。

実はそんなに期待していた訳ではありませんでしたが…見てみたら今季のナンバーワンでもおかしくない作品だなと思いました。「韋駄天」と呼ばれる神々と、世界を破滅させる魔族の戦いを描いているというとかなりベタな作品に見えますが、かなり毛色が違います。


韋駄天は、世界に生きる生物(主に人間)の思念が集まって生まれた存在で、大量の思念と救いを求める心が長年蓄積すると自然発生するようです。韋駄天の外見・性別・名前・性格などは、発生する直前に最も強い思念を放っていた者がベースになるようで、故に基本人間になるようです。なお、発生条件が整った際に、他の韋駄天がそれを支援(「引き出し」)すると、発生までの時間を短縮することができますが、その場合は「引き出し」を行った韋駄天の思念の影響も受けることになるようです。

韋駄天はまさに神の如き存在というか神そのものなので、呼吸も食事も睡眠も不要で、そもそも死ぬのかどうかも不明です。攻撃されると痛みを覚え、身体も傷つきますが、それは「攻撃されれば傷つく」という認識があるからのようで、おそらく「攻撃なんか効かない」と思えば無傷なんじゃないかと。ただ、ごく一部を除いては自分が何者であるかとか一切考えていないみたいです。

魔族を宿敵としていますが、人間のために戦うといった観点はなく、数多くの生物が絶滅するような事態は座視できないという、かなりマクロな視点から動いているため、救いを求める個々の人々を救うような神ではそもそもありません。神と言うより、生命体の防衛機構とでも言った方がいいのかも。

一方魔族ですが、800年前に突如現れ、他の生物を食らいまくり、際限なく増えた末に自滅するという不合理極まりない生き物で、まさにタナトスの権化。世界を滅ぼしかけたため、当時の韋駄天の討伐対象となり、結界に封じられました。当時の魔族には知性のようなものは全くなかったようですが、800年を経て復活を遂げた魔族は人間の赤ん坊と融合することで「人間の脳を持つ魔族」となり、知性も感情も備える存在になっています。

そんな進化した魔族を率いるのが魔王ですが、現世で行動しているのはロボットに過ぎず、本体がどこにあるのかは自分でも把握していない模様。韋駄天一の知性派であるイースリイの推測によれば、魔族を封じる際に犠牲になった韋駄天と多くの魔族達の思念によって生まれた、いわば「魔族の韋駄天」が魔王の正体で、本体は封印の中に存在しているのではないかと。

そんな韋駄天と魔族の戦闘は、韋駄天の圧勝でした。魔族はゾブル帝国を拠点としていましたが、ほぼ全滅させられ、帝国も韋駄天サイドに乗っ取られてしまいます。これは戦闘力の差もありましたが、知性派韋駄天イースリイの戦略が大きくものを言っていました。強力な魔族の幹部を洗脳して配下にしたり、まさにやりたい放題。

しかし、魔族にも知性派が存在しました。女性奴隷を躾けるエロい調教師役を務めていたミクは、洞察力と知性に優れており、韋駄天を分析した結果、現時点では勝ち目はないと判断して魔王に無断で逃亡し、潜伏先で魔王と再接触を果たして逆襲の機を伺います。

神と魔の頭脳戦の様相を見せる展開は、ミクがイースリイを上回り、終盤は文字通り「ミックミクにしてあげる(してやんよ)」な展開に(実際髪型とか初音ミクがモデルなんでは)。洗脳魔族は奪還され、イースリイと女性型韋駄天ポーラは拉致されて韋駄天解明のための実験材料に。なんか「亜人」冒頭の展開みたいですが、韋駄天に拷問まがいの実験をするのは良策かどうか。ダメージへの対処法を知ることになるかも知れません。しかも魔族は知らないでしょうが、鍛えれば際限なく強くなるのが韋駄天らしいし。


韋駄天側は脳筋だけになり、どうなるんだこれ?というところでなんと終了。え!ここで終わっちゃうの!?と唖然としてしまいました。第2期が作られなければバッドエンドということなりそうですが…。しかしラストシーン、ダルマ状態のイースリイとポーラのいる実験室を出てきた魔族2人は、もしや入れ替わったりしていないか?という雰囲気もあったので、第2期があるとすればイースリイの反撃もありそうです。なにしろCV緒方恵美なのでこのまま済むはずがないと思ってしまいます。そもそも直前にポーラを呼んだのもイースリイで、結果二人して拉致されてしまう結果となりましたが、その指示には何からの意図があったとしか思えません。

今季豪華キャストと言えば「うらみちお兄さん」ですが、本作も何気に豪華キャストで、緒方恵美の他、朴璐美、堀江由衣、石田彰、本名陽子、瀬戸麻沙美など、主役級が揃っています。「俺の嫁」声優伊藤静も酷い目に遭う教会のシスター・ギルティーナ役で参加しており、1話ではインパクトを与えたもののチョイ役かと思いきや、終盤彼女の祈りが韋駄天発生のベースとなって新韋駄天ギルが誕生。ギルティーナとうり二つの姿なので韋駄天という存在のありようの考察に一石を投じることに。


過去の魔族はなぜ突然出現したのか、魔王は復活するのか、これからの展開はどうなるのかなど、知りたいことばかりなので、ぜひ第2期を作って貰いたいものです。というか、これで終わりだとあまりに尻切れトンボ過ぎます。「頭脳戦」を描いた作品というと、今季では本作の他に「出会って5秒でバトル」がありますが、出来の差は歴然です。ただ、原作もここまでで止まってるという不穏な噂もあったり…

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