2021年春季アニメの感想(その3):ひげを剃る。そして女子高生を拾う。/シャドーハウス/蜘蛛ですが、なにか?


久々に栗林公園に行ってきました。6月下旬まで土日は休園していたんですが、屋内施設ならともかく、なぜに野外の庭園にその措置が。ツッコみどころはありましたが、行ってみればやはりいいですね。借景になっている紫雲山が効いていますよね。この前登っているので殊の外思い入れが。

早くも夏季アニメが始まっているので、春季アニメの感想を終わらせてしまいましょう。まずは「ひげを剃る。そして女子高生を拾う。」何気に今季一番好きだったかも知れません。会社の美人の先輩に振られてやけ酒飲んだ深夜、たまたま出会ったプー太郎の女子高生を拾って家にお持ち帰りしたリーマン・吉田。彼と拾われた女子高生沙優の物語です。

この沙優、北海道の裕福な家の子なので本来はお嬢なのですが、訳あって家出して放浪中。金がなくなってからは体と引き換え男達に泊めて貰ってきたというなかなかに凄まじい経歴の少女です。吉田も当然体目当てなのだろうと思いきや、味噌汁を作れ、家事をしろという、沙優には意外なことを要求されました。そんな彼らの半年間の奇妙な同居生活が描かれます。

沙優役は、やはり北海道出身の市ノ瀬加那が好演していました。「ダーリン・イン・ザ・フランキス」のイチゴの時も感じましたが、基本真面目で優等生なんだけど未熟さが隠せないというタイプの女の子を演じさせるとこの人はピカイチです。沙優はぶっちゃけ“ウリ”を繰り返してきたという子なんですが、不思議に不潔感を感じさせないのは演技力のせいなんではないかと。

そして吉田。26歳と思ったより若かったので、16~7の美少女にはまっても全然可笑しくないのですが、ストイックに“まともな大人”を演じていました。自称年上の巨乳好きだったこともあるでしょうが、ミスターストイックと呼びたい。一つ部屋で半年も女子高生と暮らしていたら普通間違いが起きるぞ。というか、沙優に手を出さないにしても、いわゆる“発散”はどうしていたんだろう?

「この素晴らしい世界に祝福を!」では、主人公カズマは異世界転移後しばらくは女神アクアと馬小屋で寝泊まりしていました。駄女神だけど見た目だけは美しいアクアと一緒でありながら、カズマは決して襲おうとはしませんでしたが、やはりこっそり自家発電はしていた模様。

そしてアクアが後に語ったところでは、カズマのその気配を察すると背中を向けて見て見ぬ振りをしていたそうです。“カズマが時折このような妄想にふけるのを、見て見ぬ振りをする情けが女神アクアにも存在した”ということか。

いや性欲バリバリの高校生(ヒキニートだったけど)なんだから襲わなかったのは偉いし自家発電も当然というか必然なんですが、26歳吉田は一体どうしてたんだろう。沙優の留守中に大急ぎでAV見てたりして(笑)。それならいいのですが、寝ている間にこっそり沙優が手や口でお世話していたとかだと作品が汚れてしまいますね。お前はサキュバスか。本作は吉田がストイックだったから良かったんで。

実は吉田、結構モテモテで、石原夏織演じる後輩OL柚葉は明確に恋心を示していたし、金元寿子演じる一度は吉田を振った先輩の愛依梨(巨乳美女だが実は処女らしい)も実は好意を抱いていたので。沙優がいなかったらどちらかと結ばれていた可能性は十分あるんでしょうが、沙優に半年も同棲されてしまってはもはや敵うわけもなく。

未見ですが、明石家さんまがプロデュースした「漁港の肉子ちゃん」という劇場用アニメがキャッチコピーに「みんな望まれて生まれてきたんやで」を使ったところ、“毒親”からの虐待経験者らの逆鱗に触れて炎上してしまったとか。“私は実の母親に「自殺しろ」って言われて育った”“毒親持ちの自分にはキツすぎる”等々。本作の沙優も、実兄が語ったところでは、浮気性ですっかり愛が冷めていた沙優のパパンからは中絶を迫られていたのに、沙優のママンはつなぎ止めるために意地で産んだという「望まれて生まれてきたんやで」とは言えない状況だったそうで、しかもパパンはすぐに姿を消してしまったので、ママンにとって沙優の存在意義は出生直後には消滅していたという。


家出の直接の原因は、高校時代の唯一の友人がいじめを受けて沙優の眼前で飛び降り自殺を図ったことと、マスコミの取材攻勢に疲れたママンが「あんたが殺したんじゃないの?」と言ってしまったことですが、きっとそれ以前から愛がない家で育ってきたんでしょう。むしろよくここまでまともな子になれたものだと思ってしまいますが。もしや沙優の援交には助けられなかった友人への贖罪の意識があったりもしたのか?


しかし、吉田と同棲後は沙優はやたらいい人ばかりと知り合っていたような。というか吉田の周辺の人物がちょっと信じられないぐらいいい人ばかりだったんですよね。柚葉や愛依梨はもとより、同僚の橋本がいい人すぐる。上京後の沙優の唯一の友人あさみもギャルっぽいけど良い子だし。

意外だったのは沙優を捜していた兄の一颯。かつての沙優の援交相手の矢口をして「とんでもないヤツ」呼ばわりさせていた(お前が言うな)ので、悪人なのかと思いきや、普通にいい兄でした。この人が下手に金を渡してしまったことが家出→援交という転落を引き起こしてしまったのですが、それまでも沙優との関係は悪くなかったようなので、母には黙っておくから金がなくなったら連絡しろとか釘をさしておけば良かったような気もします。ドラマ的には吉田と出会ったことで沙優は立ち直れたので、そうであってはいけなかったんでしょうが。お前が沙優とママンの間をもっと取り持っていればとも思いますが、仕事もあるしなかなかそうもいかなかったんでしょうね。

ラストは高校を卒業して再び吉田のところにやって来た沙優の姿で締めくくられました。これはもう結婚一直線。一人暮らしの若者が猫を拾ってもそれまでの生活が一変したりするところ、女子高生を拾ったらそりゃあ生活どころか人生が変わりますよ。沙優のようなJKなら私も拾いたい。でも四六時中一緒はお互いきついと思うので、部屋は専用のを別に用意しますけどね(笑)。

次は「シャドーハウス」。巨大な洋館に住む貴族然としたシャドー達と、これに仕える生き人形達。あまりに謎めいた設定で、どこまで謎が解明されるのかと思っていましたが、二期がないとはっきりしないことが多いみたいです。

シャドーとは影道と書いて、日本ボクシング会の影の存在で闇から闇に葬られた拳闘集団…って、節子それ「リングにかけろ」や!

とりあえずシャドーというのは擬態や模倣を得意とする寄生型の妖精・モーフが人格と煤能力を得た存在で、生き人形は周辺の村から連れてこられた普通の人間の子供たちで、シャドーの元締めである「偉大なるおじい様」の煤入り珈琲によって記憶を消され、「生き人形」だと思い込まされているということは判明しました。

「偉大なるおじい様」がいかにしてシャドー家を作り上げたのか、主人公格のシャドーであるケイトはなぜ反旗を翻そうとしているのかなど、まだまだ未解明の謎は多いですが、とりあえず中盤の“お披露目”が謎そっちのけでとても面白かったので、あのまま生き人形(子ども達)の智恵と勇気の物語でも良いと思ったほどです。


ケイトの相方の生き人形・エミリコがとにかく可愛い。洗脳された姿もまたよし(笑)。


CV篠原侑は「放課後ていぼう日誌」でいつも気だるげだった部長の黒岩悠希を演じていましたが、あまりの違いにビックリです。


大人気スマホゲーム「ウマ娘 プリティダービー」でも“可愛い”が具現化したようなウマ娘・カレンチャンを演じていますが、やはりこちらがメインストリームなのか。カレンチャン欲しいんですよね。やはり課金しかないのか…。

ちなみにケイトのCV鬼頭明里は「ウマ娘」ではセイウンスカイ(こっちは持ってます)。セイウンスカイとカレンチャンのペアとは中々に強力です。基本シャドーとペアの生き人形は同じ声優が演じていますが、ケイトとエミリコのみ別の声優となっています。

最終回、ケイトとエミリコを助ける謎のモーフが登場しましたが、あれは“お披露目”の途中で消滅したシャーリーだったようです。消えたのではなくモーフに戻っただけだったのか。

“お披露目”でも判るとおり、シャドーの世界も結構な競争社会らしく、シャドー達はすべからく「偉大なるおじい様」に近い場所に居られることを望んでいるようです。「こどもたちの棟」の住人から「星つき」(「こどもたちの棟」の管理者)へ、そして「おじい様と共にある棟」へ。さらにその棟でも1階→2階→3階と階が上がるほど地位と権力が大きくなっていくようです。

「偉大なるおじい様」のCVは土師孝也。70歳近い今も勢力的にアニメに出演していますが、若き日には「北斗の拳」でアミバを演じていたお方です。いや、トキも演じていたのですが、やはりアミバの怪演ぶりが凄くて。

ケンシロウでさえ拳を交えても偽物とわからなかった(声が一緒だからか(笑))のですが、確かジャンプ連載中でも突如うさんくさい顔つきになったように記憶しています。前号までははっきり顔を見せていなかったものの、雰囲気は完全にトキだったものが、次号ではいきなり怪しさ大爆発な顔つきになっていたので、多分作画の原哲夫もそれまで全然知らなかったんじゃないかと思っています。それもこれもアミバが天才であるせいか。いやシャドーハウスから脱線過ぎますね。

OPに歌がなかったり、EDが不思議だったりと雰囲気もたっぷりだったので、ぜひ2期制作を。けっこうしょうもなかった「なろう」系(あえてナニとは…)の2期が制作されるくらいなので不可能ではないと思うのですが。

最後に「蜘蛛ですが、なにか?」。主人公蜘蛛子を演じる悠木碧が素晴らしかったので、このまま悠木碧劇場を見ていたいと思っていると突如差し込まれる人間サイドの話。1クール目はこれがかなりウザかったのですが、さすがに2クール目となるとそれなりに因果関係が明らかになってきて、やはりこっちも外せないのかと思うようになりました。

2クール目後半はかなり作画が怪しくなってきて、しょうもないCGが増えたりもしていましたが、最終回はまさかの放送延期。一週間延びただけだったのはまあ不幸中の幸いでしょうが、最終回まで見ての感想は…「いや、こっからだろ話は?」です。

蜘蛛子の話と人間サイド(勇者サイドと言うべきか)の話には、15年ほどのタイムラグがあり、蜘蛛子は蜘蛛なので誕生直後から弱肉強食的世界を綱渡りで生き延びてきたところ、勇者サイドの話はある程度成長した15、6才(つまり異世界転生した頃の年齢)からスタートしています。これをまるで同時並行的に起きているように描いていたのが一つのトリックとなっていましたが、結局最終回まで蜘蛛子とかつてのクラスメートだった勇者サイドは直接邂逅することはありませんでしたね。

蜘蛛子サイドの話(魔王と和解して共に魔族領に赴く)はとりあえず一段落という感じでいいのですが、それから15年後の勇者サイドの話はまさにかつてのクラスメイト同士のバトルの途中で放置されたまま終了しているので、別に勝ち負けはつかなくてもいいけど取りあえず一段落したあたりまで描写してくれよと思いました。例えばアラクネに進化した蜘蛛子の出現に驚く勇者達とかまで。

いや、2期制作するのなら許しますが、というか2期制作しないととんでもないハリボテというか、見かけ倒しの作品になってしまう気がします。これだけ一流声優を集めているのでまさかそんなことにはならないだろうと思いますが…「なろう」系は何が起きるか判らない側面もありますからね。作者が昔Twitterで妙なことをつぶやいていたのが発掘されたりとか。

2期になると監督とか制作会社とかが変わって、1期とは全く異なる評価を受けるという場合がありますが、正直本作についてはあえて制作会社とか変えた方が評価が高まったりしないだろうかと思ったりして。あるいは分割2クールとか。それで作画レベルがキープできるなら、ですけどね。

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