大塚国際美術館:米津玄師が2018年の紅白歌合戦で「Lemon」を歌った場所

今日も良い天気で梅雨はどこ行ったという感じです。今週は中頃から雨になるみたいですが、週末はまた回復する見込みということで、暮らしのサイクル的にはありがたい感じです。

本日はGW中に行った大塚国際美術館の話をば。高松駅から高徳線で特急うずしおを利用すると1時間強で徳島駅に到着します。隣県なんだから普通電車で行けよと言われそうですが、高徳線は基本単線なもので、特急やら向かいの列車の通過待ちが多く、やたら停車時間が多いので不効率です。うずしおも時間によりますが基本2~3両編成。これが特急かと思うとちょっと寂しいですが、四国の特急はだいたいこんなもんなようです(涙)。

漠然と大塚国際美術館は徳島市内にあるものだと思っていたのですが、実は徳島の北にある鳴門市所在でした。徳島駅前から路線バスがありますが、小一時間かかります。豪勢にタクシーを利用するというのもありなんでしょうが、どういう訳か四国に住み始めてからしみったれになっているので、バス一択。

大塚国際美術館は大毛島にあり、淡路島との間に渦潮で有名な鳴門海峡とその上に掛かる大鳴門橋があります。。瀬戸内海国立公園の一部である鳴門公園の中にあり、その名の通り大塚製薬グループが創業75周年事業として1998(平成10)年に開館した美術館です。

特徴は西洋名画等をオリジナルと同じ大きさに複製し展示する陶板名画美術館であることです。鳴門市は大塚グループの創始者である大塚武三郎の出身地で、大塚グループの発祥企業である大塚製薬工業部(現大塚製薬工場)も鳴門市で創立されました。武三郎の息子の正士が大塚グループの相談役だった時代に、それまでコンクリートの原料として阪神方面に売られていた鳴門海峡の砂浜の砂に付加価値を付けて販売するため、砂からタイル(陶板)を作る事業が提案されました。

折悪しく石油ショックが発生して陶板の受注は低迷してしまいましたが、技術を生かすべく陶板に絵を描いて美術品を作ることを思いつき、その技法を確立します。陶板技術の集大成と大塚グループの75周年記念事業として、10年の歳月をかけて美術館の建設・設置に至りました。大鳴門橋そばに建設されたのは、淡路島経由で四国に来る人の流れを、そのまま通過させずにせき止めるためだそうです。そういえば徳島県のイメージって、阿波踊りくらいでした(笑)。

立地が国立公園内ということで、景観維持のために一旦山を削り取り、地下5階分の構造物を含めた巨大な美術館を造ったうえで、また埋め戻すという難工事を行っています。なので入館料も高め。ネットの前売り券を利用しても3160円かかりましたが、十分元を取れる内容となっています。なにしろ全て複製ですが、古今東西の世界の著名な作品を原寸大で展示しており、陶板画は色彩の退行に非常に強く、約2,000年以上にわたってそのままの色と形で残ることから、写真撮影も許可されているので、コストパフォーマンスは非常にいいかも知れません。


また、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の修復前後、戦火で失われたゴッホの「ひまわり」、戦災で各地に分散されたエル・グレコの大祭壇衝立などが復元展示されており、もう見られないものが見られるというのも興味深いですね。

一番有名なのは入場者がまず訪れることになるバチカンのシスティーナ礼拝堂を再現した「システィーナ・ホール」です。

米津玄師が2018年の紅白歌合戦で「Lemon」を歌ったのもここで、米津自身が描いたCDジャケットが陶板となって展示されていました。

他にもイタリア・パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂、トルコ・カッパドキアの聖テオドール聖堂の内部が再現されている他、散逸してしまったエル・グレコの大祭壇衝立が復元されたりしています。

フランシスコ・デ・ゴヤが、晩年に自身の住居の部屋の壁に描いた一連の絵画“黒い絵”も「ゴヤの家」として再現されています。よくこんな部屋に住めるなあと思いますが、自作の絵なら恐くなかったのでしょうか。



他にもダ・ヴィンチの「モナ・リザ」はもとより、レンブラントの「夜警」、「ナポレオンの戴冠式」、モネ・ゴッホら印象派の作品など、有名どころの作品は一通り網羅されています。


入り口の地下3階が古代・中世、地下2階がルネサンス・バロック、地下1階がバロック・近代、地上1階と2階が現代となっています。正直地下1階でもうお腹いっぱいというか疲れ果ててしまい、お帰りと言うことになってしまいました。ここは一回で全て見るのは困難ですね。繰り返し見に来た方がいいのでしょう。私は現代美術はあまり好きではないので、地下の作品だけで十分でした。

当日は大雨で、傘を差しながら帰りのバスを待っている間にずぶ濡れになってしまいました。宿を取っておいて良かったです。今宵の宿は徳島駅前のサンルート徳島。最近お気に入りのドーミーインは徳島にありませんでしたが、このホテルにも天然温泉の大浴場がありました。

隣県なのに一泊したのは、翌日眉山に行こうと思っていたからなのですが、眉山ロープウェイの山麓駅がある阿波おどり会館はコロナ禍で休業していました。ちゃんと調べておけよ自分…

なので予約していた切符を変更して、午前中にとっとと高松に帰ることにしました。お土産は徳島銘菓「金長まんじゅう」。「金長」というのはタヌキの名前だそうですが、昭和12年の誕生という古くからあるチョコ饅頭です。饅頭の皮にチョコが入っていますが、中身は白餡。よく似たお菓子を食べた記憶があるなあと思ったら…

思い出しました。ヤマザキの「チョコまん」です。もしや金長まんじゅうをパクったのか。目隠しテストをして区別が付けられるのかとっても興味があるところです。

何はともあれ、徳島にも一泊したので、これで泊まったことのない県は岡山と佐賀を残すのみとなりました。徳島は死ぬまで泊まらなかった県として残しておこうかとか思っていたのですが、運命はわからないものです。全県制覇の日も近いのか、それともどちらがを死ぬまで泊まらなかった県として残るのか…未来は読めないものですね。

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