記憶に残る一言(その134):原村和のセリフ(咲-saki-)

寒かった1月から一転して、2月は暖かい日が多いですが、今日もまた春のようですね。光熱費の節約にもなるし、暖かいのは結構なんですが、杉花粉が元気に飛び交いそうなのはまさに痛し痒しです。


技術や知略のみならず、運や偶然が絶妙に交錯する。それが麻雀というゲームです。世の中には練達の玄人同士の火花散る駆け引きや、オカルトじみた強運や場の流れといった不思議な力を描いた麻雀漫画が多数あります。有名どころでは徹底的に鳴きまくり、意外な和了につなげていく「哭きの竜」とか、天運を持ちながらも常に自分の能力のみを頼みとし、対戦相手の心理的な弱点を見抜いていく天才博徒「アカギ 〜闇に降り立った天才〜」なんかでしょうか。

そんな中一際異彩を放つのが、女子高生麻雀漫画「咲-Saki-」です。「ガールズ&パンツァー」が「戦車道」なるものが乙女のたしなみとなっている架空世界を描いていたのと同様に、「咲-Saki-」では。麻雀がより社会に浸透した架空の世界を描いています。「ガルパン」に比べれば「咲-Saki-」の方が現世とあまり違和感がないようには感じます。

「咲-Saki-」の世界では、麻雀は将棋、囲碁などと同様の知的スポーツとして認知されており、中高生の競技麻雀公式大会が開催され、インターハイの県大会団体戦決勝戦や全国大会がテレビ中継されているほどの人気を博しています。故に麻雀に殺伐さがなく、そもそもギャンブルに使われている形跡すら感じられません。

主人公宮永咲が入学した清澄高校麻雀部が、全国高校生麻雀大会(インターハイ)優勝を目指していく物語ですが、殺伐とした雰囲気が漂う従来の麻雀漫画とは一線を画し、萌え絵の美少女雀士が活躍します。その一方、宮永咲をはじめとする登場キャラの多くが超人的というかオカルトじみた特殊能力を発揮するので、超能力バトルじみた展開になることもしばしばです。

今回のセリフの主・原村和(のどか)は、咲と同じ一年生ですが、全国中学生麻雀大会(インターミドル)個人戦優勝の経験を持つ実力者です。清澄高校麻雀部では副将を務めています。ピンクのツインテールに白のニーハイに、JカップともKカップとも言われる豊満なバストの持ち主で、清澄高校の“萌え”要素は、和がほぼ一人で担っているという。

雀風は、運に頼らない完全理論派(デジタル)の打ち手で、初めに5秒ほど考慮をする以外は即断即決で手を進め、どの牌が来たらどの牌を切るかということを、和了率のみならず得点期待値まで完璧に計算に入れた上で打つことができます。

親友の咲が常識では想像も付かないような引きでバンバンオカルトじみた和了を繰り返しているにもかかわらず、和はオカルトを全否定する態度を貫いており、通常ではありえないような現象を目の当たりにしても、「なかなかの偶然」「偶然極まりない」と言い張ります。オカルト現象はことごとくプラズマのせいだと言い張っていたかのO槻教授を彷彿とさせますね。

さて清澄高校は順調に県予選を勝ち進み、決勝戦に臨みます。他の3校(麻雀なので4校が決勝に進みます)は、前年度優勝校の龍門渕高校、県内屈指の強豪校である風越女子高校、そして創部2年目の新進気鋭の鶴賀学園高等部。和は副将戦に出場します。

龍門渕高校の副将・龍門渕透華(理事長の孫娘)は県内でも屈指の理論派(デジタル)の打ち手で、和と雀風が似ていますが、鶴賀学園の副将東横桃子はオカルト派(?)でした。

この桃子、普段から周囲が存在に気づかないほど影が薄く、麻雀においてもこの影の薄さを生かし、リーチをかけても警戒されない(リーチを宣言してもなぜか見逃される)、振り込んでしまってもなぜか和了牌を無視されるといった特性を発揮します。通称「ステルスモモ」。

ただ、相手の実力が高いほど消えるには時間がかかるほか、モニターごしなどカメラを通した視点では、ごく普通に知覚されてしまいます。完全デジタル派の和は、雀卓をゲーム画面として意識するため、桃子のステルス能力は全く効きませんでした。

桃子は、見えないはずの自分の捨牌を和がはっきり認識しているので、「私の捨牌が見える?見えないんじゃ…」と問いかけますが、和は「見えるとか見えないとか…そんなオカルトありえません」と切って捨てました。これが今回の記憶に残る一言です。超能力とか霊能力といった世界では、否定的な見解の持ち主がいると発揮できないという“不思議理論”を主張する人がいますが、麻雀の異能もそうなんでしょうか。

和はスピンオフの「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」にも登場。和は中学2年生まで奈良県に居住しており、中学2年生の時に長野県に引っ越したのでした。

奈良時代は「阿知賀こども麻雀クラブ」に所属していましたが、そこでNo.1だったのが松実玄(くろ)。この玄、手牌にドラが集まるという特殊能力を持っており、裏ドラなども乗ってくるので、ノミ手を作るだけで高得点が期待できるという雀士で、「阿知賀のドラゴンロード」と呼ばれています。

その現象を目の当たりにしながら、信じようとしない和。「いえ、そんな違います!偶然です!」

結局ドラが玄のところにしかいかない“怪現象”は続いたのですが、なおも「ただの偶然ですっ…」と言い張る和。10回続いたら別の理由を考えるそうですが、その言い方では10回続いても信じる訳ではないのね(笑)。


なおオカルトというほどではありませんが、確率の低い待ち(地獄単騎など)をあえてする部長の武井久については、その打ち方は理解できないとしていますが、それはそれとして「あの人に任せて悪くなったことなんてない」「中堅戦は部長だから心配ない」等、強い信頼を寄せています。それにしても作中相次ぐ咲のオカルト和了にはなぜ何も言わない、和(笑)。

「そんなオカルトありえません」は、ネットではSOAと略されたりしていますが、「ソードアート・オンライン」の略称SAOと間違いそうですね。そういえばこれに似た略語があったな…と思い返していたら、“QBK”という単語を思い出しました。よし次回はこれだ!

余談ですが、「咲-Saki-」は2016年に実写ドラマ化もされていたんですね。咲は浜辺美波、和は浅川梨奈が演じています。浜辺美波は今では大人気女優になっていますね。個人的には右端の染谷まこ役の人が良く似ているなあと思います。

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