2020年秋季アニメの感想(その3):魔法科高校の劣等生 来訪者編/おちこぼれフルーツタルト/くまクマ熊ベアー

小寒を過ぎると本格的な冬の寒さが身に沁みます。やはり筑波嶺は大阪より寒い。ウォーキングから戻ってシャワーを浴びようとしたら、出てきませんでした。どうやら軽く凍ってたようで、すぐにお湯が出てきましたが、当初は出が悪かったです。流石寒中、最低気温は-7度だったようです。

年も明けて仕事も始まって、いきなりの5連勤。いつものこととは言え、仕事始めからはキツかったですね。木曜日あたりが仕事始めだといいんですが。昔は仕事始めって、実質仕事を始めなかったんですよね。晴れ着を着てくるOLさんがいたり、新年の挨拶して軽く飲んで昼で帰ったり。そんな20世紀の風俗は昔話になってしまいました。バブルの頃まではあったんですけどね。

さて2021年冬季アニメも始まっているのでさっさと去年のやり残しを終わらせて行きましょう。2020年秋季アニメの感想、まずは「魔法科高校の劣等生 来訪者編」。お兄様と深雪が1年生の3学期から2年生に進級する頃までが描かれました。原作だとここまでは1年生の部で、以後2年生の部、3年生の部がたっぷりあるようですが、アニメだと第一期と第二期の間に6年も経過しているので、第三期はいつのことやら。


代わりに深雪が主人公となるスピンオフ作品「魔法科高校の優等生」が本年放送予定だそうで、それはそれでいいですね。それはさておき「来訪者」とは、二つの意味があって、過去に妖魔や悪霊、デーモンなどと呼ばれてきた存在で、本作では多次元から来た情報生命体と解釈されています。USNAで行われたマイクロブラックホールの生成・蒸発実験により次元の壁が揺らぎ、この世界に入り込み、次々と人間に寄生して騒ぎを引き起こしました。

オカルト界隈で囁かれる「フィラデルフィア実験」といい、無茶をする国と認識されていますね、かの国は。そしてパラサイトに寄生されて逃亡した軍人達を追ってやって来たのがアンジェリーナ(通称リーナ)。少佐の階級を持つUSNA最強の魔法師であり、日本魔法界の長老と呼ばれる九島烈は大伯父にあたります。

プライベートはかなりへっぽこなのはご愛敬として、はるばる日本まで来てみれば一介の高校生である深雪にタメを張られ、お兄様には遅れを取るという惨状に直面することに。まあこの兄妹を一介の高校生なんて認識するのが間違いなんですが。

第一期から登場するロボット・ピクシーになぜか東山奈央が声を充てていて、どうしてこんな大物をと思っていたら、なんとパラサイトが寄生して自我を持つことに。東山さんは「負けヒロイン」役も非常にいいですが、何気にロボット役もいいと思います。BEATLESSのレイシアとかね。声が綺麗だからでしょうかね。


パラサイト騒動の他、終盤は過激な魔法主義者・進人類フロントによる超高層ビル破壊テロとその阻止が描かれました。第一期ではブランシュという魔法師排斥運動を行う反魔法組織がテロ活動を行いましたが、逆の立場の組織もあったんですね。魔法を持つ者と持たざる者が存在する以上、対立は不可避のような気がしますが…下手をすると「新世界より」の歴史のようになったりして。


一連の事件に、黒羽亜夜子が四葉家のエージェントとして暗躍した他、進人類フロント編では双子の弟である文弥も登場。さらに深雪付きとして育てられてきた桜井水波も登場。リーナも入れてこの4人は既に終了してしまったスマホゲーム「魔法科高校の劣等生 LOST ZERO」(2014~2019)に登場していました。第二期があと一年早ければ終了しないで済んだかも知れませんが…

最終盤に七草真由美らが卒業し、代わって妹である七草泉美、香澄の双子が入学。この二人もやはりゲームではおなじみでしたが、顔見せ程度の登場だったので、本格的な活躍は第三期に持ち越される模様です。全体的に「さすおに」路線は継続しており、通常の魔法の才能はないとされてますが、そんなんウソやんと言いたくなるほどの無双ぶりは健在です。まあお兄様は決してドヤらないので、他の「なろう系」主人公の様に鼻につくことはないのですが。

はやみんの深雪の演技はとても良い声を出してくれる(声優だからボーイッシュな役とか武闘派的な役とか狂的な役とは色々演じるのは当然ですが、個人的にはお嬢様風の演技が大好きです)ので、これが聞きたいこともあって第三期希望ですが、それなら「優等生」でもいいか(笑)。

続いて「おちこぼれフルーツタルト」。芸能プロの売れないタレントをかき集めたアイドルユニット「フルーツタルト」が、彼女らの住む寮(通称「ネズミ荘」)の取り壊しを防ぐべく、1億円の借金を返済することを目指して活動を始めます。

登場人物の名前を「いろは歌」に無理矢理当てはめているので、主要登場人物は揃いも揃って変な名前です。衣乃(いの)や仁菜(にな)はまだしも、ロコ、はゆ、へも、穂歩(ほほ)って…。さらにはライバルグループ(と呼ぶのは悪いほど圧倒的に売れてますが)「クリームあんみつ」のメンバーもチコ、ぬあ、るあですからね。なんだこのこだわりは…たまげたなぁ。

四人組時代はイマイチピンと来ない感じでしたが、ガチレズJC・へもの参加で5人ユニットとなってからはかなり面白くなりました。原作者の浜弓場双の作品は、「ハナヤマタ」もアニメ化されており、「きらら系」で複数の作品がアニメ化されたのは初めてだとか。


時折紙人形並に大胆なデフォルメをすることがありますが、作画崩壊という訳ではなく、アイドルであることも忘れるくらいに日常とか下ネタ(トイレが登場することがやけに多い)も多いですが、まあ楽しく見られました。「きらら系」としては横綱級の「ごちうさ」が同時期に放送されていたので、どうしても比較されてしまうのが残念といえば残念なことでした。当初は夏季アニメの予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期となったそうなので不可抗力ですが。


メインキャラにはまだブレイクしていない若手声優(白石晴香を除く)を起用していますが、脇を日笠陽子とか堀江由衣といったベテランで固めているせいか不安定感はありませんでした。ひよっちは「魔女の旅々」や「魔法科高校の劣等生」にも主要キャストで出演しており、改めてスゲーなこの人は思わざるを得ません。どんな役でもこなすもんなあ。

百合ありレズあり三角関係ありというと、どんだけドロドロしてるんだこのグループはと思ってしまいますが、実はそれほどでもありません。商店会など地元には受けていますが、全国的にはドマイナーなグルーなものの、ロコの妹のチコが人気グループ「クリームあんみつ」のリーダーであり、かつ姉のロコを溺愛している(見かけ上はチコが姉でロコが妹にしか見えません)ので、「クリームあんみつ」の人気に徹底的に便乗(「クリームあんみつ」の番組の直後にミニ番組を放映したり、ライブで同時出演するなど)しており、コバンザメのように片利共生しています。この先、恩返しすることができるんでしょうか。


なお所属プロダクションが違うのに「フルーツタルト」が「クリームあんみつ」に片利共生できるのは、ロコとチコが姉妹であることの他、「クリームあんみつ」のプロデューサーであるリリが幼なじみの穂歩にほぼ恋愛に近い好意を抱いていることや、「クリームあんみつ」の所属するキャットプロのスポンサーが「フルーツタルト」のメンバーであるはゆのママンだったりするためです。

はゆ、ロックシンガー志望の割に下着に穴が空いていたり子供用の下着をはき続けていたりとことさらに貧乏エピソードがあったのですが、実は大金持ちの家の娘だったという。狙うならこの子でしょう(笑)。

最後に「なろう系」の「くまクマ熊ベアー」。そのタイトルどおりどういう訳かとにかくクマに拘っています。「三毛別事件」とか「石狩沼田幌新事件」、「福岡大学ワンダーフォーゲル部事件」を知ってそれでもなおクマ推しになれるでしょうか…いや、いいんですけどね。

2020年冬季アニメ「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。(略称「防振り」)」や春季アニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(略称「はめふら」)」など、最近の「なろう系」には女の子が主人公となる作品が増えており、従来の主人公がやたらにドヤる「なろう系」に比べると反発が弱いというか好意的に見られるという特徴があるようです。まあ「はめふら」はそもそもドヤることがありませんでしたが。

で、本作は典型的異世界転生もので、引きこもりでゲーム三昧生活のユナが、お気に入りのゲームにロゴインしたら、特に理由もなく異世界に飛ばされてしまいます。ユナは引きこもりながら、デイトレーダーとして億単位の金を稼いでおり、自前で購入したマンションで一人暮らししており、大きな会社を経営している祖父からはその才能を後継者として見込まれており、決して現世でダメだったとは言えない人なのですが、異世界転生とは通り魔のようなものなのか。


異世界に飛ばされる前、自称「神様」からレア装備「くまセット」を貰っており、これを装備した状態でしたが、これがあまりにもチート性能である反面、外すと普通以下の体力しかなく、魔法もスキルも使用できなくなるので、常時装備していないといられないことになっています。その姿はほぼ着ぐるみのクマ。

ユナは様々な魔法やスキルを行使できますが、基本クマをイメージすると威力が上がるという不思議な性質があり、「クマ魔法」と呼んでいます。そのため、土属性の魔法を使って家を作ることもできますが、巨大かつ高性能の家を作ろうとすると必然的に熊の形の「クマハウス」になってしまいます。召喚獣も呼べますが、当然クマ。ただのクマでもそれなりに強いと思いますが、召喚獣なので並の魔物はユナが何もしなくても片付けてくれるほどの強さを持っています。

このチート性能を武器に異世界で無双する…という展開かと思いきや、序盤はやりましたがその後は基本異世界の可愛い女の子たちとキャッキャうふふするという展開に。ユナが特に百合系という訳ではないのですが、やたらクマに食いついてくるのが女の子ばかりだという。この辺は「なろう系」読者の嗜好に合わせているとしか思えませんが。


そして孤児院を自立経営させるための「くまさんの憩いの店」経営や、魚や和食を食べたいがための「くまさん食堂」開店など、冒険というよりは日常系的な流れもあったりして、スライムを使ってクリーニング店を経営する「神達に拾われた男」に近い展開にも思えましたが、終盤は海沿いの町ミリーラを苦しめる強敵クラーケン討伐に乗り出しました。

ユナは基本困った人を見捨てることのできないお人好しで、またこの異世界ではやたらクマが小さな女の子に受けるらしくて女の子ばかりが寄ってくるところ、ユナがまた女の子に弱いせいで一肌脱ぐというのがパターンとなっています。一応異世界でもクマは恐い動物という認識はあるようなのですが…

異世界で一番最初に出会ったフィナを始め、妹のシュリ、貴族の娘のノアール、王女のフローラなど、10歳以下ぐらいの女の子に絶大な人気のユナ。ユナが女の子だからいいようなものの、もし男主人公だったら完全に「へんたいふしんしゃさん」ですね。

一応12話で丸く収まっているのでこれで終わってもそれはそれでという感じなんですが、既に第二期制作が発表されています。円盤発売前だというのにいいのでしょうか。まあ円盤の売り上げは続編制作の大きな要因ですが、原作の売り上げとかそれ以外の要因もあるそうですが。

「なろう系」ではよくあることですが、プリンやピザ、ハンバーグなどを作ると異世界では絶賛されます。ユナが料理好きなのはいいのですが、なぜに「なろう系」の異世界は常に料理が貧弱貧弱ぅなのか。もちろん現世の料理がなくて高評価を得ると言うこともあるでしょうが、逆に異世界オリジナル料理の味に転生者が驚くということだってあるでしょうに。おそらく作者に現世に存在しなくて美味い料理というものを創造する力がないせいでしょうが、それがあったら小説ではなく料理研究家として大成できちゃうでしょうね。
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