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記憶に残る一言(その118):キリヤマ隊長のセリフ(ウルトラセブン)

初夏の竹林

 先週は寒かったんですが今週はいかにも5月というか初夏らしい気候になってきました。いよいよ夏に向けた対策が必要になってきますね。緊急事態宣言は全国的に解除されましたが、相変わらず患者は発生し続けていて、第二波の到来も憂慮されています。前回も書いたけど真夏にマスクなんてうんざりですよね。熱中症になりそう。ニトリがNクールのマスクでも売り出したりして。

ウルトラセブン第二回

 今回も前回に続いて「記憶に残る一言」なんですが、予告通り「ウルトラセブン」の二回目です。

ジャミラ

 ウルトラシリーズには時折、単純な勧善懲悪ではない重いテーマが含まれる作品があります。ウルトラマンだと、怪物化したとはいえ正真正銘の人間であるジャミラ登場する第23話「故郷は地球」。見捨てられた母国に復讐するために帰って来たジャミラに対し、科特隊には「ジャミラが元は人間だった事実を公表せずにあくまでも1匹の怪獣として倒せ」という非情な命令が。

水で倒されるジャミラ

 科特隊の人工降雨弾、そしてウルトラマンのウルトラ水流で倒されるジャミラの悲鳴は赤ちゃんの泣き声のようでした。それにしても事故で水のない惑星に不時着して環境に適応して怪物化したというところまでは納得できなくもない(人間離れした適応力だけど)のですが、乗ってきた宇宙船を修理・改造して自由に姿を消す機能まで付加して地球に帰還したあたり、そもそも救助なんかいらなかったんじゃないかとツッコまずにはいられません。知能まで大幅に強化されたんだろうか。

メイツ星人と少年

 また「帰って来たウルトラマン」だとなんと言っても第33話「怪獣使いと少年」。いわゆる「11月の傑作群」の白眉で、差別や未知なるものへの恐怖心、集団心理の恐ろしさを描いていました。天涯孤独の少年と地球の調査にやってきたメイツ星人には親子のような絆が生まれましたが、メイツ星人は地球の環境汚染に蝕まれて衰弱し、彼に変わって埋まっている宇宙船を掘り返そうとする少年は宇宙人呼ばわりされて陰湿ないじめに遭います。

暴徒化する人々

 仕舞いには暴徒に殺されそうになる少年。メイツ星人が正体を現すと警官に射殺されますが、それでメイツ星人が封印していた怪獣ムルチが復活、暴れ出します。一部始終を目撃していた郷(新マン)は、人間に絶望して見捨てる決断に至りますが…。筋はいいのですが、なぜにMATの隊長が雲水姿で出てきたのかは永遠の謎(笑)。いや、まずお前がちゃんと戦えや。その後、少年は再び穴を掘り始めます。「彼は一体いつまで掘り続けるつもりだろう?」「宇宙船を見つけるまではやめないだろうな。彼は地球にサヨナラが言いたいんだ」…あまりに救いのない結末に、監督は降格され、脚本家は干されたそうです。

水着のアンヌ

 そして「ウルトラセブン」では第42話「ノンマルトの使者」。第26話「超兵器R1号」も同じくらいの問題作なんですが、こちらは機会があれば別途取り上げるかも知れません。アンヌ隊員の水着姿が拝めるからこちらを選んだという訳ではないのですが…

アンヌを説得する真市

 海底開発の基地となる海洋調査船シーホース号が突如爆発。海辺に現れる少年は「海底はノンマルトのものだから、侵略したりすると大変なことが起きる」と繰り返し警告しますが、誰も本気で相手をしてくれません。しかしダン=ウルトラセブンには「ノンマルト」という言葉に心当たりが。故郷であるM78星雲では地球人のことをノンマルトと呼んでいるのです。それまでノンマルト=人間だと思っていたダンですが、実は先住民族がいるのか?

デーモン族

 少年によるとノンマルトは本当の地球人で、先住者でしたが人間により海に追いやられてしまったのだそうです。「人間は今では自分たちが地球人だと思ってるけど、本当は侵略者なんだ」と。これが本当だとすると、ノンマルトは「デビルマン」のデーモン族、はたまた「魔王ダンテ」の先住人類のような存在ということになりますが…。

ガイロス

 その後、蛸のような怪獣が出現。ウルトラ警備隊はこれをノンマルトだと思い込んで攻撃しますが、実はノンマルトが操るガイロスでした。なおガイロスは週刊少年マガジンの怪獣デザインコンクールで銀賞を受賞した「ガイロス星人」が元になっています。金賞を受賞した「回転サイボーグ デイクロス・レイザ」は、前話「水中からの挑戦」でカッパ怪獣テペトとして登場しています。

地上を攻撃するグローリア号

 その後、ノンマルトは乗っ取ったイギリスの原子力潜水艦グローリア号で地上を攻撃。そしてガイロスも再登場。ノンマルトは海底に追い遣った人類に対し、自分達の生存をかけて戦うことを決意したのでした。ノンマルトの語源は戦いの神マルスに、否定形のノンを付け加えたもので、好戦的ではない種族を意味したネーミングだそうですが、窮鼠猫を噛むということか。

ダンを止めようとする真市
セブンと戦うガイロス

 ダンがセブンに変身しようとすると、そこに少年が出現し、変身を阻止しようとしますが、それを振り切って変身するダン。ガイロスはセブンに倒され、グローリア号はウルトラ警備隊のハイドランジャーに撃沈されます。

ノンマルトの海底都市

 そしてグローリア号が向かおうとした先にあったのはノンマルトの海底都市。その光景に、驚愕の表情を隠せないキリヤマ隊長。「もし宇宙人の侵略基地だとしたら放っておく訳にいかん。我々人間より先に地球人がいたなんて…。そんなバカな。やっぱり攻撃だ!」本部への報連相もなく関独断専行してしまうキリヤマ隊長。あんたは関東軍か。

海底も我々人間のものだ

 ハイドランジャーから発射された大型ミサイルにより、海底都市はノンマルトと共に海の藻屑と消えたのでした。その時に狂気の笑みを浮かべてキリヤマ隊長が放ったのが今回のセリフです。「ノンマルトの海底都市は完全に粉砕した!我々の勝利だ!海底も我々人間のものだ!

晩年の中山昭二

 キリヤマ隊長を演じたのは中山昭二。98年に70歳で亡くなっていますが、50年代には東宝を代表する映画スターでした。「ウルトラセブン」撮影当時は「子供番組なんて恥ずかしい」と言っていたそうですが、後年には「なんだかんだ言っても、俺の代表作はセブンなんだよな……」と語っていたとか。

キリヤマ隊長

 キリヤマ隊長は冷静沈着かつ謹厳実直だが、情に厚い一面もあり、部下や上層部からの信頼も厚いという、実に隊長らしい隊長です。強い意思と信念を持ち、地球および地球人に危害を及ぼす者に対して敢然と立ち向かう優秀な指揮官で、通常は戦いを好まないうえに冷酷でもないのですが、今回のエピソードに限っては交渉や調査より攻撃を優先しており、「ウルトラマン」でのバルタン星人の円盤破壊による20億3千万人虐殺に次ぐ大虐殺となったと思われます。ノンマルトの実数は不明ですが、バルタン星人の大虐殺はウルトラマンが行ったのに対し、ノンマルトは人間が直接手を下しています。

キリヤマ隊長に学ぶリーダーシップ

 ただし、キリヤマ隊長の攻撃命令については、既にノンマルト側から先制攻撃が行われていて多くの人命が失われているので、人間を守るウルトラ警備隊の隊長という立場からすれば、やむを得ない行動だったともいえるでしょう。もっともノンマルト側からすれば、先に自分たちのテリトリーに踏み込んできたのは人間であり、やむなく対抗したということなんでしょうけど。

ウルトラセブン1999
平成ウルトラセブンのノンマルト

 今回のセリフについては、普段の冷静さをかなぐり捨てたように勝利に酔う笑顔が醜く写る(中川昭二の演技力の賜物)ほか、後シリーズ(「平成ウルトラセブン」)において色々な波紋を残すこととなりますが、まあそれは別のお話です。

ノンマルト

 ところでノンマルト、実は作中で一言も言葉を発しておらず、基本的に少年がスポークスパーソンになっているのですが、実は二年前に既に死んでいたことが判明。なぜ彼がノンマルトの使者になったのでしょうか。ノンマルトが化けていたのか、それとも魂がノンマルトに味方したのか。「使者」には「死者」が掛けてあるのか?だとすると「新世紀エヴァンゲリオン」第弐四話「最後のシ者」みたいな感じでしょうか。

真市の墓

 今回の大虐殺の立役者であるたウルトラ警備隊の潜水艦ハイドランジャーは、極東基地に二隻が配備されており、通常は乗員3~4名で運用されていますが、1人でも操縦可能。水流ジェット推進で水上を50ノット、水中を27ノットの速度で航行し、水深430mまで潜行可能。無補給で最大720時間の連続航行が可能という高性能ぶりです。ウルトラシリーズに登場する水中メカは奇抜なデザインが多い中、ハイドランジャーは現実の潜水艦に近いデザインで、コアな人気があるとか。

ハイドランジャー

 武装はレーザー砲・魚雷・水中ミサイル・ロケット砲などと、高い戦闘能力を持っています。ウルトラ警備隊を代表するメカであるウルトラホーク1号はいろんな宇宙人の円盤を撃墜していますが、ハイドランジャーも第21話「海底基地を追え」でミミー星人の円盤を撃墜しています。しかし終盤の第46話「ダン対セブンの決闘」では、一般隊員が搭乗するハイドランジャーがサロメ星人に撃沈されおり、対宇宙人戦は一勝一敗の痛み分け。

ハイドランジャープラモ 
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