2020年春季アニメ序盤の感想(その1):放課後ていぼう日誌/球詠/かくしごと/アルテ

今日は良い天気ですが昨夜は雷雨。先週の土曜は嵐でしたが、この春はとにかく天候が不安定ですね。春雨というとシトシトと情緒のある降り方をするものだと思っていましたが、そういう認識は過去のものになってしまうのか。この前の冬は暖冬でしたが、この春はわりと寒いですよね。こうして日本の季節が夏と冬に二極化するなんてことがなければいいですが。どうせ二極化するなら春と秋がいいんですけどね。

本日は春季アニメ序盤の感想なんですが、その前に「ちはやふる3」の感想を。秋から二クールで放映したのでうっかりしてました。

「ちはやふる2」が放映されたのが2013年。それから6年以上が経過しての「3」だった訳ですが、時系列的には「2」ラストの、千早と太一が強豪・富士崎高校に招かれて武者修行をするところから再開されているので、物語的には数分しか経過していないという。しかし、現実の時間の経過がこの作品の視聴にも影響を与えてしまったような気がします。


過去の記事を見て貰えばおわかり頂けると思うのですが、私は「ちはやふる」が大好きだったんですね。作品も、主人公の綾瀬千早も。しかし…6年を経て改めて続編を見たときに度々「あれ?」と思ってしまうことになりました。

あれ?その①:千早の声。もちろん瀬戸麻沙美で変わっていないのですが、なんか昔と違うような。もちろん演技が下手になったとかはあり得ないのですが、千早の身上であるフレッシュさが失われたような。千早はせとちゃんのデビュー直後の初主演ということで「わざとらしさや、けれんみのない無垢な芝居が決め手になった」(byプロデューサー)とのことですが、現実の時間で経験を積んだことでちょっと変わってしまったのかも知れません。

あれ?その②:千早の行動。千早は天然というか愛すべきおバカなキャラなのは周知の事実なんですが、今回はちょっとウザく感じてしまう場面が。例えばクイーン戦の予選と修学旅行の日程がバッティングしてしまい、千早は一生に一度だからと修学旅行を選択します。それはいいのですが、太一が抜け駆けして名人戦の予選に出たと知ると完全に上の空になってしまい、一緒に修学旅行に行けることを喜んだ友達の堀川みちるがあれこれ話しかけてもほぼガン無視。見ていてあんまりにも酷い態度だなと思ってしまいました。この人、競技かるたにのめり込む千早に気を使ってくれて、クジ引きで修学旅行委員に当たった千早に代わって自ら委員を引き受けてくれているんですよね。恩を仇で返すとはまさにこのこと。


あれ?その③:千早の進路。今まで全く未定でしたが、高校の先生という志望が固まってきました。それは結構なんですが、その動機はかるた部の顧問になりたいというものでした。まあいいんですよ。富士崎高校の桜沢翠先生という立派なお手本がいることだし。ただ、先生というからには担当科目がある訳で、例えば百人一首の流れから国語科とか、運動が得意だから体育科とか。その辺りが全く白紙のままで「高校の先生になりたい!」だけでは進路指導の先生も言葉を失うというもの。


ちなみに高校野球の監督には、様々な拘束が多い教員の身分を嫌って、あえて用務員扱いの待遇の職業監督を選んだ人もいますけど、流石に野球ほどメジャーではない(はっきり言えばマイナーです)競技かるたでは職業監督は無理でしょうな。小中学生ならともかく、高校二年生ともなればもうちょっと具体的な将来の構想があって欲しい…


千早が絡まない名人戦やクイーン戦など、見応えはあったんですが、個人的には主人公にしてヒロインである千早への好感度が低下してしまったのが残念でした。ただ、物語は高校三年生になったばかりなので、まだまだ先は長いはずなので、完結させるために「4」とか「5」の制作は必至なはず。それでまた6~7年掛かってしまうとかだとちょっと厳しいですね。

それでは改めて今季アニメ序盤の感想です。まずは「放課後ていぼう日誌」。3話まで視聴しました。「放課後~」というと“恋愛クラブ”と言いたくなるのはぐっと抑えるとしても、2019年秋季アニメで「放課後さいころ倶楽部」というアニメを放映していたので、そちの方を連想してしまいます。とりあえずマイナーな部活や趣味でも、可愛いJKにやらせればブームに火が付くんじゃないかという不純な動機でもあるんでしょうか?本作ではJKが「ていぼう部」で活躍します。

何なんだその「ていぼう部」というのは?という話ですが、早い話が釣りの部活です。高校入学時に九州に引っ越しして来た鶴木陽渚は、得意な手芸部に入ろうと思っていましたが、うっかり(笑)「ていぼう部」の部長に遭遇してしまったことから流されるままに入部することに。九州は熊本が舞台で、陽渚のパパンの故郷のようですが、「ていぼう部」はパパンの学生時代から存在していたらしいです。わざわざ「ていぼう部」と言っている以上、川釣りとか砂浜からの投げ釣りとかはしないんでしょうかね。


陽渚は生き物全般が苦手で、フナムシが手や足に触れただけで激しく取り乱すほか、蛸や魚の内臓を見て失神するなど、かなり蒲柳の質ですが、手芸で鍛えた手先の器用さ、絡まった釣り糸ほどきなどで役立っています。帆高夏海という幼なじみが部員となっているのですが、これは陽渚が昔この地に住んでいて、関東に引っ越していたのが戻ってきたということなんでしょうか?なら熊本時代の野生の本能(笑)を取り戻せばいるんじゃないかと思えますが…。実は私も釣り餌のゴカイとかキモくて苦手で。椎名誠が以前絶対食べたくないものとしてゴカイ・イソメ丼というとんでもないモノを妄想していましたが、20××年、世界の動物性タンパク質はゴカイとイソメだけになった…!!なんてことになったら、ベジタリアンになるしかありませんな。ただしヴィーガニズムとかは何やら食性だけにとどまらず、思想的な要素を含んでいるようなので、これにはならない気がします。


陽渚のCVは弱冠17歳のリアルJK声優高尾奏音。「うちの娘」のラティナ役を好演したほか、最近「艦これ」で彼女が演じるGotlandを入手したこともあって現在絶賛注目中です。それはいいのですが、新型コロナウイルスの影響で4話以降が放送延期ということに。スタッフ・キャストの安全への配慮は必須なので仕方がありませんが、残念です。

次は「球詠」。4話まで視聴しました。女の子ばかり登場する「きらら系」アニメですが、珍しく野球を題材にしています。「ガルパン」の世界では戦車道が女子のたしなみとなっていましたが、この世界では野球が女性らしいメジャーなスポーツとして普及しているようです。まあ戦車道よりは遙かに現実的ですね(笑)。しかしホットパンツで野球するのはスライディング時など大変危険では。

中学時代に魔球を編み出したものの、キャッチャーが捕球できなかったために女子野球の道を諦めて可愛い制服目当てで高校に進学した武田詠深(よみ)。しかし偶然、幼いころに野球で遊ぶ間柄だった山崎珠姫と再会し、しかも珠姫は強豪チームで実力を磨いていたので詠深の魔球を捕れることが判明。キャッチボールで遊べればいいやと思って不祥事で活動中止中の野球部に入部したところ、実力や経験がばらばらなメンバーが集まってきて、新生野球部として活動できるようになりました。


4話で強豪校柳川大附属川越高校と練習試合をし、健闘したものの敗北してしまいます。このあたりやはり「ガルパン」で、親善試合で強豪校(聖グロリアーナ女学院)に善戦するも敗れた大洗女子学園という展開を彷彿とさせます。チームメイトが揃ってライバルが登場して、ということで、次回以降は公式戦へと突入するのでしょうか。なんとなくキャラデザインがギャルゲーというかエロゲー的な感じを受けてたりもするのですが、なにしろ男が全く登場しないので、百合はあってもエロはなさそうです。

とりあえず中学時代に詠深が開発した魔球が何とも凄いです。ビーンボールのようなコースから首を切り落とすように鋭く曲がってストライクゾーンへと落ちるという、「巨人の星」の魔送球というか「アストロ球団」の三段ドロップというか。ただ、ストレートの球威がたいしたことがないのと、流石に全球魔球というわけにはいかないようなので、魔球で止めを刺すまでにどうやってカウントを稼ぐかが課題です。

やはりあれか、電動ドリルを握って手のひらに傷をつけての七色の変化球とか。あと打線も頑張って欲しいのでとりあえずジャコビニ流星打法か殺人X打法あたりを習得して欲しいですね。全然百合じゃなくなっちゃうけど。

続いて「かくしごと」。4話まで視聴しました。娘にマンガ家であることを隠し通そうとするマンガ家と、ちょっと天然な娘の日常を描いたハートフルコメディですが、実は二階建て構造になっていて、娘が小学生で、まさに隠し事をしている「現代編」に、娘が18歳になって父の隠し事に気付いていく「未来編」が挿入されています。コメディ要素は現代編のみで、今のところ未来編はシリアス一色なんですが、大丈夫なんでしょうか。


そこそこ稼いでいるものの、娘に自慢できる作風ではないことからマンガ家であることを隠し、リーマンであることにしている後藤可久士とその娘である姫(9歳)のドタバタ系日常ギャグ。可久士はわりとイケメンなのですが娘ラブ。消息不明の妻(死亡?)のCVが能登麻美子なので他の女性は眼中にないのかも知れませんが、「娘には母親が必要」とか口走るので周囲の女性達(担任の先生、料理教室の講師、花屋の店員など)からは気があると勘違いされたりしています。




原作が久米田康治なのでとにかくネタに走りがちで、キャラ名などはその最たるものですね。チーフアシの「志治仰(しじあおぐ)」はともかく、担当編集の「十丸院五月(とまるいんさつき)」は縁起でもない(笑)。私は可愛いアシの墨田羅砂(すみたらすな)とCV原由実のせいで声が色っぽい花屋の店員城路久美(じょうろくみ)が好きです。謎のインドネシア人家政婦家ナデイラさんもいいですね。とりあえずCV能登さんなので消えた奥さんは回想でいいからもっと出して欲しいです。

EDの大滝詠一の「君は天然色」は懐かしすぎて死にます。「A LONG V・A・C・A・T・I・O・N」は永遠の傑作ですな。「EACH TIME」もいいぞ!

最後に「アルテ」。3話まで視聴しました。今回紹介の作品はみんなタイトルが短めでいいですね。ルネサンス期(16世紀初頭)のイタリア・フィレンツェを舞台に、画家志望の貴族の娘アルテの活躍が描かれます。

貴族なのに貧乏で仕事を見つけるという意味では「八男って、それはないでしょう!」に近いものがありますが、こちらはタイトルの短さでわかるとおり「なろう系」ではないので、異世界転生でもなければ魔法もありません。

アルテのCV小松未可子が「今自分が女性であることに胸を張っていられるのは、きっとアルテのような女性達が立ち上がり、世間と、そして自分自身と戦ってきたからこそなのだと感じました。」と語っているとおり、とにかく序盤は女性差別の嵐です。私は男ですが、それでも酷いと感じるレベルで、現実世界の過去のフィレンツェではそうだったんだと言われれば仕方がありませんが、それにしてもなあ…と見ているのが辛くなるほどです。それでも諦めないアルテの前向きな姿を描こうという演出意図なのかも知れませんが、ひょっとすると「なろう系」の“主人公以外全員バカ”に通じるのではないかというくらいに“主人公以外全員女性差別”となっていました。そこまでだったのかなあ…

弟子入りをことごとく門前払いされたアルテを拾ってくれたのは、レオという無愛想な一人親方でしたが、彼にしても貴族娘の気まぐれとと思っていて、本気で弟子にするつもりはなく、無理な課題を命じて諦めさせようとしましたが、課題を仕上げたアルテにレオは画家になろうとする動機を尋ねます。「自分自身で生きる道筋をみつけたい」というアルテの答えに、レオは自身の過去(物乞い出身で、自分の力で生きていくために画家を目指した)を思いだし、弟子入りを認めることに。

今後はアルテの日々の努力とか前向きで明るい性格などで、周囲の理解を得ていくのではないかと思われますが、やっぱり冒頭の演出が「なろう系」っぽいのはどうも。アンジェロという女性ばかりの家庭で育ったことで女性に親切な少年も登場しましたが、彼にして「女性はか弱いから、男性が手助けしなくてはならない」という意識で、無自覚に女性を一段低く見ていたため、アルテから親切を拒否されていました。

アルテの生き様は確かに格好いい。しかし、アンジェロのありようがもうちょっとましならなお良かったんですが。今後のアルテの奮闘ぶりに、なるべく「なろう系」的演出がないことを期待したいですね。

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