2020年冬季アニメの感想(その4):ダーウィンズゲーム/虚構推理/異種族レビュアーズ

昨日とは一転して良い天気の日曜日。しかーし、我が家では昨日の大風で物干し場が損壊してしまっていたという事実に今日になって気付きました。ミニ台風みたいな天候だったので、物干し竿とか物干しハンガーとかを予めしまっておけば良かったのですが、うっかりしていました。

そういう訳で天気とは裏腹に凹んでいるのですが、気を取り直して冬季アニメの感想を終わらせてしまいましょう。まずは「ダーウィンズゲーム」。漫画原作で、平凡な高校生がデスゲームに巻き込まれるというよくある展開です。そして実は全然平凡ではなかったというのもお約束。

冒頭は主人公の「平凡」さを強調しようとしたのか、ゲームの概要を知らなかったとはいえやけにテンポが悪くて、「こいつ頭悪いなあ」という感じになっていましたが、その後実は凡人ではないポテンシャルを発揮し始めてからは尻上がりにテンポが良くなって行きました。

スマホを使って行う「ダーウィンズゲーム」の参加者には漏れなく異能(シギル)が付与されますが、その内容は千差万別であるほか、辞めることが出来ず、他のプレイヤーと命懸けで戦わなければなりません。ゲームオーバーになるとプレイヤーは消滅するので死体は残りませんが、プレイヤー以外を殺したりすれば当然死体は残ります。このゲームが恐ろしいというか無茶なのは、バトルがプレイヤー同士意外にも波及し得ることで、ゲームマスターはなるべく隠密裡に行いたいらしいですが、おかしな事件が頻発していること自体は警察にも把握されている様子です。

与えられる異能には系統があるほか、能力の大きさによりランク付けもされており、当たり外れが極めて大きくなっています。当たりとされる念動系で、しかも最大ランクの神話級なんていうとコンマ以下のパーセンテージしかいない確率になっていますが、当然主人公須藤要はこれを得ています。

「無敗の女王」と呼ばれ、死闘の末に破ったシュカを相方にしてクラン(プレイヤーギルド)のサンセットレーベンズを結成し、個性的な異能持ちを仲間にすることでより強力になっていき、シブヤを拠点とする邪悪極まりないクラン「エイス」を死闘の末に壊滅させてシブヤを占拠しました。少数だけど精鋭なところは「防振り」の「楓の木」みたいですね。

美人だけど狂気を秘めたシュカのCV上田麗奈がいい味を出しています。普通じゃないキャラをやらせるとこの人は非常に良い味を出しますね。

あと情報収集能力に長けた参謀格のレインのCVが大森日雅。この人は2014年に「六畳間の侵略者!?」で魔法少女虹野ゆりかを好演した時は当然ブレイクするだろうと思っていたのですが、予想ほどではなくて「あれ?」と思っていたのですが、今年は「理系が恋に落ちたので証明してみた。」の棘田恵那とかこの役でバイプレイヤーとして良い味を出しています。


物語としてはエイスとの死闘という山場を超えて良い感じのことろで終わらせているので、一期のみで終了したとしても区切りは一応ついていますが、原作でいえば単行本8巻までといったところで、既に20巻まで刊行されているので二期制作は十分に可能でしょう。円盤の売れ行き次第といったところなんでしょうかね。

続いて「虚構推理」。ミステリー小説が原作ですが、普通のミステリーではなく、怪異が頻繁に登場するほか、推理も真実を探るというものではなく、虚構でももっともらしい説明を行って納得させれば勝ちという異色作になっています。



主人公は幼少期に怪異たちから知恵の神になって欲しいと懇願されて契約を交わした岩永琴子。契約の際に片目片足を失っているので義眼と義足を使っていますがぱっと目には目立ちません。お嬢様風の容姿をしていますが、実際お金持ちの家の娘のようです。ただ、大学生になっても中学生に間違われる小柄で童顔が本人的には気に入っていない様子。


CVは今一番売れっ子と思われる鬼頭明里。ミステリーにおける探偵役なのでやたらセリフが多く、大変だったと思いますが上手くこなしていました。

その相方にして恋人が桜川九郎。この人は幼少期に人魚と件(くだん)の肉を食べたせいで不死身の身体と未来を決定する能力を持っているという、怪異から非常に恐れられている存在です。件の予言能力に由来するらしい、未来を決定する能力を使う場合は必ず死ななければなりませんが、人魚の能力で甦ってきます。しかし日本の人魚伝説では肉を食べると長寿(800歳)になるとか不老になるという話はあるけど、死んでも生き返るというのは流石にないような。


序盤は琴子と九郎の出会いや、虚構推理というもののやり方を描いて、その後「鋼人七瀬」という怪異への対処を描いていました。鋼人七瀬は事故死したアイドル・七瀬かりんが、顔は黒く塗り潰されて鉄骨を持った姿で出現し、人間を襲うというものですが、正体はネットのまとめサイトを駆使することで生み出された虚構の怪物でした。虚構でも人々が存在を信じれば実在になるということで、逆に虚構でも人々が納得できる説明を行えば、「鋼人七瀬」は存在しないことになります。この辺り、琴子のやっていることは推理と言うよりは情報戦という感じもしますね。

なお、「鋼人七瀬」出現を誘導したのは九郎の従姉妹の桜川六花で、彼女も人魚と件の肉を食べているので不老不死なのですが、普通の人間に戻ることを欲しており、人間の想像力が怪異を生み出すということに注目し、自分を普通の人間に戻す能力を持つ怪異を生み出そうと考えています。「鋼人七瀬」はその目的のためのワンステップだった訳ですね。

アニメの方は「鋼人七瀬」編で終了しているのですが、原作が六花との虚構推理合戦をメインにしているのか、それ以外の怪異の依頼をこなしていくのか良く判りませんが、琴子は怪異の智恵の神である以上、様々な依頼が舞い込むはずなので、通常の探偵物同様いろんな事件を扱っていくだろうと思いますが、六花の能力は特筆的なので、いずれは再戦とか何度も戦うとかあってしかるべきでしょう。しかし生き返るとは言っても死ぬのは痛いだろうから、「リゼロ」の死に戻り同様、あんまり羨ましくない異能ですね。

「鋼人七瀬」の素である七瀬かりんは、巨乳アイドルにして一流大学に合格する頭の良さも併せ持っており、なんかCV上坂すみれをベースにしたようなキャラでしたが、わざわざ劇中歌「火炎放射器とわたし」が製作されるなど、キャラが立っていました。もったいないので、虚構の怪異「鋼人七瀬」は消滅しても、普通に幽霊とかで出てきて仲間に加わって欲しいほどですが、それだと琴子が喰われちゃいますかねえ。
このPVを見ると魔法少女に変身するのに火炎放射器で戦っています。「まどマギ」の暁美ほむら系の魔法少女なんでしょうか。上記動画は期間限定公開らしいので、見れなくなっていたらすいません。

最後に個人的に冬季アニメ最大の問題作だったと思う「異種族レビュアーズ」。内容が内容だけに開始当初から「地上波チキンレース」と呼ばれていましたが、案の定放送中止が相次ぎましたが、逆に途中から放映し出す局もあったりして、いろんな形で話題を提供してくれました。


あらゆる亜人族が共存共栄するという異世界を舞台に、人間やエルフなどのレビュアーたちが、エルフや妖精などが働く風俗店で受けたサービスをクロスレビューで評価していくという、風俗界のファミ通のような物語でした。作品内では、風俗店とか風俗嬢とか歓楽街といった単語は使われず、サキュバス店、サキュ嬢、サキュバス街といった架空の単語に置き換えてられていましたが、まあ要するにそういうことでした(笑)。内容が内容だけに人を選ぶ作品であることは間違いありませんでしたが、個人的には大好きでした。

作中の世界では建前上売春は禁止されているらしいのですが、淫魔であるサキュバスやインキュバスにとっては生存活動そのものなのでこれらに限っては営業活動が許されているところ、他種族もサキュバスやインキュバスとのハーフであると称して営業活動を行っています。つまり事実上完全容認状態。家系を遡ればサキュバスの血が入っていない者はいないらしいので、あながちウソでもないのですが。


本作のサキュバス街のいいところ(?)は、魔法によって妊娠や性病が完全に予防されているところで、作中のキャラが異世界(我々の世界)のサキュバス街事情を聞き知って戦慄するというシーンもありました。なおサキュ嬢も多種多様な種族である上、レビュアーの種族も多種多様なので、当然相性のようなものが発生してしまい、レビュアーによって大きく評価が異なることが発生します。作中では犬獣人ブルーズのレビューがかなり渋めでした。


このほか大きな特徴としては、一話のタイトルが「なろう系」もびっくりするほど長いということが挙げられます。例えば4話のタイトルは「低級淫魔は、もう出ないといっているのにもかかわらず、さらに搾り取ろうとしてきてもはや拷問の域。サラマンダーちゃんは身も心もサラもマンもダーも、とてもホットだがホットすぎてホットんど逝っちゃいそうになる!!」です。レビューの内容がそのままタイトルになっているというか、タイトルを見れば内容がほぼ判るというか。

前半の山場はレビュアー達が女体化する3話(「女体化してのプレイは選べる嬢が少ないし、結構痛いが、女の子の気持ちがわかるようになるから、一度ぐらいは経験しておくのはいいかもしれないぞ!」)とされていましたが、後半の山場は10話(「ついに明かされるオール40点満点の謎!新妻で淫乱家庭教師で雌豚で恋人気分!出ます出します引き取ります!無限解放!大満足の3日間!お汁もたっぷり!みんなお幸せになっちゃええええっ!」だったかと思います。別途宿代とか飲食費は必要ですが。5万G払って魔法都市に一ヶ月くらい逗留したいですね。

昨今は声優も沢山いて、需要と供給のバランスも怪しいなんて言われています。声優だけで食っていける人は一握りで、残りはアルバイトをしながらアルバイトの収入メインで声優を続けているとか。そういう人達にとっては、本作のサキュ嬢役で出演してあんあん喘ぐことも「私は一向に構わんッ!」(by烈海王)なんだろうと思いますが、結構有名な人もサキュ嬢役で登場しているのが驚きです。役者である以上どんな役だってこなすべきだとは思いますが、アイドル声優とかだと流石にキツいかと思ったりもしますが、井沢詩織、高森奈津美、桑原由気、深川芹亜、山村響…etc.みんなプロ根性あるなあ。


中でもサキュ嬢ではなく天使のレビュアー・クリムを演じた富田美憂は弱冠20歳というのに凄い。番宣ラジオでも言われていましたが、肝が据わっているというか吹っ切れてるというか。演者としては非常に素晴らしいことだと思います。両性具有の天使という役でしたが、後半になるに従って喘ぎまくっていたような気が。また、やはりレビュアーだった湯浅かえでも凄い。この人はあんまり喘ぎませんでしたが、番宣動画番組にもセンターで登場したりしてました。

日笠陽子もサキュ嬢ならぬ遣手婆(店長兼受付)で登場していましたが、ひよっちの場合はまあ全然驚かんな(笑)。この人がゲストの時の番宣ラジオは無茶苦茶面白かったですが。


あとサキュ嬢役ではないけど、有翼人ウエイトレス・メイドリー役でM・A・Oが出演。スケベなレビュアーに度々制裁を加えていましたが、それだけでなく、彼女を模したゴーレム(メイドリー人形)が登場した際にはその役で喘いだり、卵を産んだりもしていました。こんな美人に何をやらせるんだ!いいぞ、もっとやれ!


あんまりにも出演者が豪華なので、番宣ラジオでは「スタッフに家族を人質に取られていて泣く泣く出演している」とういう設定が出てきたりしてましたが、制作サイドは誰も来なかったどうしようという思いが先に立ってオーディションをせずにオファーを出したとかいう話ですが、こういう作品でも出演してくれる声優さんが多いということは良いことだなと思います。オーディションをやったとしても相当数集まったんじゃないでしょうか。



世界最高位と評される女魔道士デミア(CV山村響)が非常に有能かつやり手です。自身のコピーである超高性能デコイ人形を大量に使ったり、性転換の宿屋やローション魔法専門店をプロデュースするなど、サキュバス店で研究費を稼いでいるようです。研究の果てに何を目指しているのか不明ですが、デコイ人形のキャラも本人の性格をコピーしたものなのであれば、かなりいい人だという気が。

なおメインのレビュアーであり番宣ラジオのパーソナリティーも担当していたのは間島淳司と小林裕介。番宣ラジオに視聴者から送られてくるメールもやたら濃いのが多かったですが、本編もラジオも楽しそうにやっていて非常に良かったです。間島淳司演じるスタンクは人間族なので、視聴者的にその嗜好は良く判るのですが、小林裕介演じるゼルは長命種のエルフで、外見上の差異は小さいものの、サキュ嬢の嗜好は全然異なっていて、50歳の人間族ミツエを愛好して止まないという。




エルフは500歳を超えても見かけは若いままなのでスタンクは「エルフは若くて可愛くて最高!」と言っていますが、ゼルに言わせると「マナが腐っている」「おかんより年上」ということで完全NGだそうです。人間にはわからないのですが、多種族も「加齢臭がする」とか言っていて、高齢エルフが愛好されるのは人間族だけらしいです。そういう種族による嗜好の差異に本人達が興味を持ったのがクロスレビューの始まりとなっていますが、他の冒険者達も絶大な関心を持っているのが笑えます。まさにファミコンソフトを買う前の小学生がファミ通のクロスレビューを熟読しているかのような。本来の職業は冒険者なので、もっと冒険しているはずなんですが、作中では大半食酒亭で飲み食いしているかサキュバス店に入っているかでしたね。だがそれがいい。

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