ファイナルファンタジーⅢ:シリーズ繁栄の礎となる名作だが、全てを凌駕するラストダンジョンの恐怖

敬老の日の本日も30度越えということで、全然年寄りに優しくない気候が続き大阪ですが、それでもまあ残暑も峠を越えたかなという感じがあります。空の色、影の長さ、日暮れの時間なんかのせいでしょうかね。早く本格的な秋になって欲しいものです。

本日は3ヶ月ぶりにレトロゲー紹介。今回はファイナルファンタジーⅢ(FFⅢ)です。FFⅢは1990年4月27日にファミコン版が発売され、約140万本が販売されました。その後2006年にリメイクされてDS版が発売されているほか、スマホ版やWii版も出ています。

かつてFFシリーズは奇数番がシステム重視、偶数番がストーリー重視と言われていました。偶数番のストーリー重視の傾向はFFⅡで既に見られましたが、奇数番のシステム重視は本作で確立されたと思います。主人公キャラ達は孤児4人組というだけで個々の個性や生い立ちなどには触れられることはなく、名前もプレイヤーが自由に付けられました。リメイク版では女の子が入ったりだいぶ違うみたいですが。

一方、FFIのジョブ(職業)システムが進化し、数が増えただけでなく、移動中ならいつでもジョブチェンジが可能となりました。作中には特定のジョブでなければ攻略が極めて困難な場面があり、状況に合わせて臨機応変にジョブチェンジを行うことによってゲームを有利に進められました。

初期のジョブは全員たまねぎ剣士という弱い、魔法が使えない、装備できる武器防具が少ない、成長性が低いというしょもないものですが、そこから戦士、モンク、白魔道師、黒魔道師といったFFⅠでおなじみのジョブにチェンジして冒険を続けていきます。さらに本作初登場のジョブが登場していきます。例えば敵の弱点やステータスを知ることができる学者、地形を利用した攻撃を行う風水師、歌で攻撃や支援を行う吟遊詩人、召喚魔法が使える幻術師など。



個人的に好きだったのは魔剣士。負の力で鍛えられた武器防具を装備する暗黒属性の戦士で、途中暗黒属性以外で攻撃すると増殖するモンスターが登場する場所があり、そこをクリアするには必須のジョブでした。でも最終的には全魔法を扱うことができる魔法系の最強ジョブである賢者と、ほぼ全ての武器・防具を装備することができる物理攻撃系の最強ジョブである忍者になってしまうという。実はしょうもないジョブと思われていたたまねぎ剣士はレベル90を超えると著しい成長を見せ、レベル99になると全能力値が最大になるのですが、そこまでやり込みはしなかったですね。


世界を大地震が襲い、光のクリスタルが地中に呑まれて闇の魔物が徘徊するようになる中、度胸試しで洞窟探検をしていた4人組は世界を覆う闇を振り払う「光の戦士」に選ばれることになります。また光と闇の戦いの話かと思いますが、実は光と闇のバランスが大事らしく、過去には「光の氾濫」と呼ばれる事件が起きて世界は滅亡を危機を迎え、闇の戦士がこれを鎮めたことがあるそうです。

ラスボスの「闇の雲」はこの闇の世界にするのではなく、闇の世界も光の世界も全てを無に帰そうとする存在なので、光と闇の双方にとって敵となります。光と闇の均衡が大事という設定は、「ロードス島戦記」に登場する「灰色の魔女」カーラが大喜びしそうです。

後にすっかりレギュラーとなる召喚獣バハムート、リバイアサンらが初登場し、何種類もの飛空挺(船になったり潜水艦になったりするものの)を乗り回すなど、格段に広くなった世界を縦横無尽に移動でき、テンポも非常に良くなってサクサクと進んでいく印象があり、FFⅡに比べると非常に遊びやすかった記憶があります。しかし…

本作で一番印象深いのはラストダンジョンです。ドラクエで最も苦労したのはドラクエⅡ終盤のロンダルキアに向かう洞窟ですが、本作のラストダンジョンはこれに匹敵すると思います。ラストダンジョンは「クリスタルタワー」と「闇の世界」の二部構成となっているのですが、途中にセーブポイントも回復ポイントもない上に脱出不可能という鬼畜仕様で、一気に攻略しなければなりません。時間的にも最低2時間はかかるという長さで、たとえ全滅しても経験値だけ残るドラクエシリーズと違い、FFでは時間を巻き戻して最後のセーブポイントに戻ることになるので、プレイヤーの記憶以外は全てが水の泡になってしまいます。

実は開発中にはセーブポイントも回復ポイントも設置してあったらしいのですが、当時のデバッカーが「最後にしては楽勝っすね(笑)」と煽ったのにキレたプロデューサーが消したらしいです。なんてことするんだ。ドラクエなら何度もチャレンジしているうちにレベルが上がって突破可能になるんですが、本作だとチャレンジ前にレベルを上げないといけないのがしち面倒くさくて。

この他、ジョブ格差(使えるジョブと使えないジョブがかなりはっきりしている)やゲームバランスを激変させてしまうバグの存在など、問題点も多々ありましたが、本作はFFシリーズをドラクエシリーズに並ぶ国民的タイトルのRPGに押し上げた名作です。ファミコンではほぼ限界に挑戦した高水準のグラフィック、壮大なスケールのシナリオで、プラットフォームをスーパーファミコンに移した「Ⅳ」以降のシリーズの基礎もほぼ本作にて確立され、シリーズのマイルストーンとなったといえるでしょう。
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