記憶に残る一言(その106):京極万太郎のセリフ(美味しんぼ)

去年の今頃は梅雨が明けていきなりの猛暑にマイッチングだった訳ですが、今年はまだ梅雨が明けていません。梅雨入りが遅かったので当然といえば当然ですが、開けても去年みたいな猛暑は勘弁です。普通の夏がいいんですが、その普通の夏ってやつが昔と今では大違いですよね。私の子供の頃は30度を越えたら猛暑という感じだったんですが、今ではその程度は夏なら当然という感じになってます。一年中春と秋なんて国はないものか。晩春から初秋になって、晩秋から早春になって、それぞれの期間が二倍になるというような。この場合一番暑いのは初秋(立秋以後)、一番寒いのは早春(立春以後)ということになりますが、それでもなお結構暑い日寒い日が残っている気がします。

ま、そういう妄想はさておき、本日は「記憶に残る一言」です。今回はいろんな意味でネタの宝庫である「美味しんぼ」からまたサルベージしてみました。

「美味しんぼ」を刃牙シリーズに例えるならば(なぜそれで例えるし)、山岡士郎は範馬刃牙、海原雄山は範馬勇次郎であり、「究極のメニューVS至高のメニュー」は「範馬刃牙」での地上最強の親子喧嘩に相当するのではないかと思います。順番は前後しますが、完全に対立関係だった士郎と雄山は、士郎が栗田ゆう子と結婚してから協力関係になることが増え、孫の誕生などを経て和解を果たすに至りますが、刃牙と勇次郎の関係も、刃牙と梢絵が結ばれたところへ勇次郎が現れて祝福したあたりで大きく変化したように思われます。孫は生まれていませんが、代わりに飯食って喧嘩して関係が強まったような。そうか、ヤると良くなるのか!(短絡)

今回の主役、京極万太郎は士郎と雄山が繰り広げる「究極のメニューVS至高のメニュー」の審査委員の一人です。審査委員は6名いるのですが、名前が判明しているのは委員長の中前田貞治(東都大学総長)、唐山陶人(人間国宝の陶芸家にして雄山の陶芸の師匠。かつ北大路魯山人の弟子)と京極の3人だけです。

京極さんは物語序盤の一巻から登場する京都の大富豪で、味覚のみで米の品種や産地まで的中させるほどの食通です。士郎や雄山とはかねて顔見知りで、二人の確執に心を痛めていました。高知県の四万十川上流の「三つ又村」(架空)の貧家出身で、幼少のころから米問屋に丁稚奉公し、苦労をして財を成しましたが、故郷には長年帰っていないようです。

8巻収録の「鮎のふるさと」では、入院した京極さんを士郎達が見舞うところから始まります。美食家の京極さんには病院食が口に合わないようで(大抵の人には合わない気もしますが)、士郎に旨い鮎の天ぷらをごちそうしてくれるようおねだりします。

そこへやはり見舞いにやってきた雄山と鉢合わせ。士郎と雄山がバチバチ真っ盛りの頃ですから、刃牙だったら空気がぐにゃりと歪むところです。この場で乱闘かという一触即発な雰囲気に。

慌てて取りなす京極さんですが、仮にも病人の眼前で何やってるんだお前ら。良くなるものも良くならんわ。

しかし雄山も鮎の天ぷらをごちそうするという話になったので、悪いことばかりではありません。

後日、無事退院した京極さんの退院祝いを兼ねて鮎の天ぷら対決が始まります。先攻は士郎。一番川の状態が良かった保津川から、天ぷらに最適な大きさの鮎を調達してきました。

京極さんのみならず、唐山陶人にも大好評。勝負はもうついてしまったのではとまで言う陶人先生。しかし慌てず騒がず余裕の雄山。

てっきり手下(?)の料理人でも連れてくるかと思いきや、なんと雄山自ら天ぷらを揚げて一同に供します。一流の食通は調理も一流でなければならんのでしょうか。

あんなことを言った舌の根も乾かぬうちに「これは引き分けかな」とほざく陶人先生。雄山の師匠のわりに軽いですね。しかしゆう子達も互角だと言っていますから感想に間違いはない様子。肝心の京極さんはどうかと言えば、陶人先生が驚くリアクションを見せてくれたようです。

鮎を口に入れたままほぼ逝きかけてる京極さん。岩本虎眼先生のように曖昧な状態になってしまったのか。もっとも虎眼先生は生きた鯉を丸かじりでしたけどね。さらに目からは滂沱の涙です。

こちらはアニメ版の京極さん。さすがにあの顔は放送的に規制がかかったのか(?)ややマイルドになっていますね。漫画版の方がインパクトがあっていいと思います。

他の人が引き分けでも、今回の主賓である京極さんの圧倒的支持を得たら雄山の完全勝利でしょう。唖然とする士郎を尻目に京極が今回の記憶に残る一言を放ちます。「なんちゅうもんを食わせてくれたんや…なんちゅうもんを…」

さらに感動のあまり雄山の鮎を絶賛する京極さん。返す刀でさっきまで旨い旨いと言っていた士郎の鮎をカス呼ばわり。いくら何でもそれは言い過ぎでしょう。せめて「月とすっぽんや」くらいで…

そしてドヤ顔で種明かしをする雄山。雄山の鮎は京極さんの故郷を流れる四万十川の産だったのです。故郷の味というものは、何十年経っても忘れられないものなんでしょうか。個人的には鬼の哭く街・A立区の味なんか全く覚えていませんけどNE!そもそもA立区の味ってなんだ(笑)。

さらに追撃する雄山。なにしろ勝利が決定しているので言いたい放題。魯迅の「水に落ちた犬は打て(打落水狗)」をまさに地で行くかのようです。士郎は犬なのか。

笑わせるなと雄山。いや怒りまくってまんがなあんた。そこは勇次郎ばりに笑って欲しかった。

そう、こんな感じで。まあ昔の勇次郎はやはり尖ってて怒りまくってましたからねえ。100巻を越える長期連載「美味しんぼ」の8巻となれば初期も初期。雄山もまだまだ丸くなってないということでしょう。

言われ放題でも返す言葉もなく「ぐぬぬ…」状態の士郎。ゆう子は心配そうに見ているし、陶人先生も思案顔ですが、そんなの関係ねえ!とばかりに天ぷらをがっつく京極さん。こいつらには付き合ってられんわ、うまいもん賞味するのに専念したろ!といったところでしょうか。故郷の味、恐るべし。

なお、今年のワンダーフェスティバル2019(冬)に、全く食事に集中できなくなりそうなビジュアルの皿が登場しました。空いた口に料理をぶっ刺して使うとのことですが…価格は2万円だそうですが、販売数は1個だけだったので、今後転売で値上がりするかも知れませんね。個人的には全然いらないけど。なんちゅう皿を作ってくれたんや…
スポンサーサイト