2018年秋季アニメの感想(その1):あかねさす少女/俺が好きなのは妹だけど妹じゃない/ゾンビランドサガ

暖かい雨となった今年の冬至。楽といえば楽なんですが、「冬至冬中冬はじめ」なんてことわざもあります。本当の冬の厳しさは実は年明けからですよね。

冬至といえば柚子湯に入ったり、カボチャや小豆を入れた冬至粥を食べたりするという美しい習慣がありますが、面倒くさいので全部オミット。でもスーパーで小豆とカボチャを煮た「冬至かぼちゃ」を売っていたらぜひ買ってきましょう。冬至に東寺にお参りするなんて風習は京都にないんでしょうかね。

最近ちょっと凹んでおりまして…。というのも、スマホで遊んでいる「Fate/Grand Order」(略称「FGO」)に、ブラダマンテという星5のランサーが登場したんです。普段は美少女キャラが登場しても「ほーん」で済ませているのですが、なぜかこのキャラがつぼってしまって、10連ガチャを回しまくったんですよ。なんと7回も。1回30個の聖晶石が必要なんで、計210個の聖晶石を投入。金額にして1万円以上を投入したのですが、その結果は…

いや~凹む凹む。一応お断りしておくと、1万円以上の浪費というのは聖晶石を購入した場合で、私は無料配布される聖晶石を温存していたものを一気に吐きだしただけなので、実際にはお金は全くかかっていません。むしろなぜこれまで200個以上もの聖晶石をキープしていたのか我ながら謎。それでも成果がないというのは何とも切ないものですね。

本当のところを言うと成果ゼロというのは誇張表現で、一応星4ルーラーのマルタ(CVはやみん)はゲットしたんですが、失礼ながら星4キャラは10連ガチャを何度も回さなくてもだいたい手に入りそうなものなんで、なんの慰めにもなりません。無課金でも「一万円相当!」と思うとこれだけ凹むのだから、もし課金してこの結果だったらと思うと身震いしますな。今後もFGOは基本無課金で行きましょう。

さて本題なんですが、秋季アニメも終わり始めていますので感想などを。まずは「あかねさす少女」。アニメ専門チャンネル・アニマックスの開局20周年記念作品となるオリジナルアニメでした。

地方都市在住のJK達が、「ご神木にラジオのチューナーを合わせると並行世界へ移動できる」という都市伝説?を検証するために「4時44分の儀式」を行ったところ、本当に別の世界に移動してしまうことに。様々な平行世界を巡るうちに、平行世界全てを襲いつつある“黄昏”なる脅威と戦うことになっていきます。“黄昏”に飲み込まれると、時間が止まるらしいので、滅亡といっていいのかちょっと微妙ですが、普段通りの生活が送れなくなるという意味では日常の崩壊であることは間違いないでしょう。

主人公土宮明日架が率いる「鉱物ラジオ研究会」(基本喫茶店でだべっているだけ)の一行は、平行世界の自分自身の境遇を体験することで、自分が抱える問題と向き合って一皮向けることにより、いわゆる魔法少女化(イコライザーという名称)して“黄昏”の尖兵と戦う能力を手に入れていきます。明日架については、異世界の明日架(クールで真面目なので「シリアスカ」と命名される)が魔法少女化して登場します。シリ明日架によれば、彼女の世界は既に“黄昏”に浸食されて滅亡寸前のようです。


明日架には、子供の頃にまるで神隠しのように失踪してしまった弟がおり、それがその後の明日架のトラウマになっているので、てっきり弟こそが“黄昏”の首魁である“黄昏の王”なのだと思っていましたら…なんと無数にあるらしい平行世界の一つの明日架こそが“黄昏の王”でした。ただ、本人は“黄昏の使者”と名乗っていたので更に黒幕が存在する可能性もあります。

最近流行の魔法少女バトルものかと思いきや、ラストは異世界の自分自身との対話の中で問題を解決するという新機軸。ただしそれが面白かったかというと…。異世界の自分が引き起こした災厄を自分で解決したといえば格好がいいですが、土宮明日架という存在そのものがいなければ平行世界は平和なままだったという気もします。むしろ真相が世間に流布したら、あらゆる平行世界で「土宮明日架を殺せ!」という声が挙がってきそうな。特に“黄昏”に激しく浸食されていた世界では。

結局弟はなぜ失踪したのか、その後どうなっているのかは全くの謎ですが、あらゆる平行世界で弟が失踪するのは確定事項らしいので、何か大きな理由があるとしか思えません。そのあたり第二期があったら描こうと考えているのか、それとも同時展開をしたスマホゲーで描こうとしたのかはわかりませんが、平行世界ものとしても魔法少女ものとしても(そして百合ものとしても)中途半端になってしまったきらいがあります。多分円盤の売り上げは期待できそうに…

なお、アニメ放映とシンクロしてスマホアプリも展開していましたが、なんと来年1月一杯で終了とか。栄枯盛衰激しいのがスマホゲーの倣いですが、3ヶ月半で終了はさすがに早いですね。よほど不人気だったんでしょうか?だとするの二期は絶望的ですね。一応明日架と仲間達の明るい未来を予感させる終わり方をしているので、謎を残しつつも物語としては完結した感はあります。

続いて今期最大の問題作「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」。タイトルが長すぎるので以後略称の「いもいも」で呼びます。なぜに問題作なのかと言えば、近年稀に見る作が崩壊っぷりがです。

1クールやって全10話。最初から10話だったのかはやや疑問で、放映延期とかあまりの作画崩壊っぷりに事実上打ち切りになったんではないかとも思います。

私は「いもいも」を見てから「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」(これもタイトルが長いので以後は略称の「青ブタ」で)を見ていたのですが、それはそれは青ブタの作画が神々しく見えました。これでもし作画レベルが逆だったとしたら…

いもいも「青ブタさん。技量では私のはるか上を行くあなたが、何故アニメでこれほど遅れを取るのか……。これでしょうな。まっとうなアニメ制作会社以外の何ものか(主に中国)に頼みを置く。そんな性根がアニメを曇らせる。」

といったバキの本部以蔵対柳龍光の名シーンのパロディが出来たのですが、内容でも作画でも青ブタにはるか上を行かれてしまった「いもいも」原作者の胸中やいかに。

原作者も凹んでるでしょうけど、声優さんも可哀想。特にメインヒロイン永見涼花役の近藤玲奈はまだ十代の新進声優なのに、当面これを代表作としなければならないのか。他のヒロインも大体可哀想なんですが、ことさら氷室舞役の小倉唯が不憫で。天使声優に何てことを。いや別に悪役とか嫌な女役とかをやらせるなという意味ではなく、存在意義がほぼないようなキャラをやらせるなという意味です。「ゴブリンスレイヤー」の女神官とかはとってもいいと思います。

毎回のようにぶちかましてくる作画崩壊ラッシュに笑い死にしそうになり、もうストーリーとかはどうでも良くなりました。もう今度はどんな凄いのを繰り出してくるのか、そればかりに集中してしまって。ただ、この領域までくるともはや一周回って楽しくなってくるから不思議です。野次馬的には別の意味で楽しみにしている作品になっていました。

冷静に考えると、「アヘ顔Wピース先生」という「エロマンガ先生」を超えるインパクトとか、比較するのも恐縮なんですがシチュエーション的に似ている「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」と比べると、妹が性格的にも(作画崩壊を差し引いて)容姿的にも可愛いとか、評価すべき点もないではないのですが、もう作画崩壊が全てを打ち消してしまっています。

かつて「クオリディア・コード」というアニメも作画崩壊で界隈をぶいぶい言わせていましたが、個人的にはさほど気にならなかったのは、ストーリーが面白かったからでした。でも「いもいも」のストーリーはあってなきが如しなので、むしろ作画崩壊したが故にネタアニメとして視聴継続したようなものの、普通の作画だったら視聴を打ち切っていたかも知れません。


その他キャラが横倒しになる、モブキャラが突如別人に変わる、スマホがガラケーに変わる、しゃべっているキャラ以外動きが全くなくなる、テロップに「正直困太」の文字など、まあ話題に事欠かなかった「いもいも」。下請けの制作会社に全ての作業を丸ごと任せて、過密スケジュールで時間がなく、さらには報酬も未払いで万策尽きた後は中国の会社にまる投げしたとか。円盤も発売延期になってますが、この絵では売れるはずもなく。大幅に手直してして発売したとして一体誰が買うというのか…。

ほぼ悪口になってしまいましたが、実は楽しく見ていました。作画崩壊もここまで来るともはやギャグ。ひょっとしてギャグで制作したのかも知れませんね。だとすればなかなかに見応えのあるギャグアニメだったと言わざるを得ません。

最後に「ゾンビランドサガ」。女の子がゾンビに襲われて生き残るために必死にあがく作品であるかのように偽装していましたが、蓋を開けたらゾンビがアイドルをやるという作品でした。

アイドルになることを夢見る源さくらが、オーディション申請書を持って家を出たところでいきなり軽トラックに跳ねられて死亡。10年後、なぜかゾンビとして覚醒し、時代も死因もバラバラな7人のゾンビによるアイドルユニット「フランシュシュ」の一員として芸能活動をすることになります。

子役だったりアイドルだったりと芸能活動をした経験のあるメンバーもいますが、なにしろ特殊メイクをしないとあからさまに怪しいゾンビフェイスなので正体を隠しながら活動しなければならない弱点もあり、なかなか芽が出ませんでしたが、日頃の活動が徐々に実を結び、最後には大きなイベントに参加することになりますが…

注目の若手声優本渡楓がメインヒロインの源さくらを演じており、その芸達者ぶりを見せつけてくれます。ずっと周りを励ます役目を担ってきた彼女が、終盤落ち込みまくりますが、そういう落差の表現ぶりも上手だと思います。

個人的には、平成のアイドル水野愛を演じていた種田梨沙に注目していました。1年間の療養の後、昨年復帰したとはいえ、どうも本調子になっていない感じがして心配です。今回はアイドルユニットとして歌もかなり歌ったようですが、なお彼女の全盛期に比べるとまだなあ…という感じが抜けません。本当に大丈夫なんでしょうか。こんなところでぐだぐだ言っていても何の足しにもならないのですが。

本作、実は結構評判らしくてTwitterのトレンドワードランキング第1位を獲得したりしているようです。一応終わりましたが続編はいくらでも制作可能な終わり方なので、二期も十分あり得そうです。そうなると“中の人”が歌ったり踊ったりするイベントとかもあるかも知れません。

なんで佐賀を救わなければならないのか、単に佐賀とSAGAをかけただけなのかとか、「ヴィンランドサガ」とかけてんのかとかいろいろ突っ込みどころもありますが、何よりも謎なのがグラサンプロデューサー巽幸太郎。最終回のカットから、かつてはさくらの高校時代の同級生だったようですが、恋心でも抱いていたのか。ゾンビとして復活させるなど、ネクロマンサーなのかも知れませんが、他のアイドルも墓を掘り返したのか?そもそも全員火葬されてなかったんかい。宮野真守がアドリブ全開で弾けまくってますが、謎の多いキャラです。今後解明されることはあるんでしょうかね。

そしてフランシュシュメンバーの中で、最後まで覚醒しなかった山田たえ役はまさかの三石琴乃。セーラームーンに最後までセリフをしゃべらせず、終始叫んだりうめいたりだけさせるというのは凄まじいキャスティングですな。享年29歳ということでただ一人アイドルの年齢ではないんですが、正体は何者なんでしょうか。

メンバーに江戸末期~明治時代の花魁がいたり、最年少メンバーの星川リリィが実は“男の娘”だったりと、結構いろいろ詰め込んだ編成になっているフランシュシュ。アイドルアニメは既にいろいろあって人気を博しているグループもありますが、そんなアイドル戦線に食い込むことが出来るでしょうか。個人的にはほとんど見ないジャンルなので、「偽装」にだまされなければ見なかったかも知れませんが、見てみればそれなりに楽しめました。しかし包帯を巻いているゾンビもいるというのに、それを普通のアイドルに見せてしまう特殊メイクってどんだけのオーバーテクノロジーだ(笑)。

スポンサーサイト