ヤマノススメ(第1期~第3期):挫折も描くJK登山

夕暮れがとても早く訪れる季節です。脳内に五輪真弓の「恋人よ」とかが勝手に流れるんですが、古すぎるZEという人もいるでしょうから、ここはあえて「ゆいかおり」の「カナリア」を脳内に流したいと思います。惜しくも昨年6月に活動休止となっていますが、解散ではないのでまた活動再開ということもあるんではないか希望的観測を持っているんですが…はかない望みですかね?
本日はその「ゆいかおり」にいた天使声優小倉唯も参加していた「ヤマノススメ」を紹介したいと思います。オーバーロード同様、最近一気見してしまいました。原作は「しろ」の漫画で、アース・スター エンターテイメント発行の月刊漫画雑誌「コミック アース・スター」で連載中です。「ゆるキャン△」に続き、いかにもキモオタ好みの“ちょっと普通ではない趣味に走る女子高生”を描いています。

アニメは第1期が2013年1月~3月に放映されました。何と5分アニメだったので12話視聴しても1時間足らずという。しかし短編ながら物語に連続性がありました。舞台は埼玉県の飯能市で、小学生の頃にジャングルジムから落ちたことで高所恐怖症になり、以来すっかりばりばりのインドア派になった雪村あおい。それだけならともかく、人付き合いも下手でクラスメイトの顔もろくに覚えないていたらく。

そのあおいの幼なじみの倉上ひなたは、高校で偶然同級生になりましたが、あおい的にはいつも振り回されてひどい目に遭ってきたという印象で、中学時代は疎遠になっていました。しかし、幼少期は仲良しで、今となってはどこだったかもおぼろげな山で夜明けを見た際に、「もう一度この山に来よう」と誓った仲でした。

あおいの山嫌いを克服するために、まず二人が登ったのは飯能市内の天覧山。山といっても200メートル足らずでしたが、あおいの登山への見方が変わりました。訪れた登山用品店で出会ったのが高校の先輩で山のベテラン斉藤楓。

登山トライアル第二弾として高尾山に登ったあおいとひなたは、途中で森ガール風の青羽ここなに出会います。う。あおいの印象は天然で面倒くさそうというものでしたが、実はとんでもないポテンシャルを秘めたJCだったのでした。

第2期は2014年7月~12月までの2クール。放映時間も大幅に伸びて15分枠に。これ、普通に30分枠で放映したら1クールで済んだんじゃないですかね。あおい・ひなたの幼なじみコンビに、先輩の楓で後輩のここなを加えて4人で活動することが多くなり、三つ峠山を経て富士山に挑戦します。

第2期前半の山場が富士山登山です。ママンの猛反対を押し切ってチャレンジしたあおいですが、八合目で高山病にかかってしまい、頂上アタックは断念するはめに。あおいに付き添った楓を残して、ひなたとここなは頂上へ向かい、ご来光を眺めましたが、下山したあおいは無気力になってしまい、再びインドア派へ回帰することに。


女子高生のアウトドア活動というと「ゆるキャン△」を連想しますが、本作も「ゆるふわアウトドア」と銘打たれています。しかし「ゆるふわ」のみならず、登山の過酷さによる挫折も描かれた内容は、アニメに興味を持っていなかった登山愛好家たちからも絶賛されたといわれます。高山病になったあおいの描写は非常にリアルでしたし。

時間の経過と共に復活したあおいは、再び天覧山に登ってひなたと出会い、山に登る意義を再発見し、ひなたとの「思い出の山」が谷川岳であることを知ります。霧ヶ峰登山を経て谷川岳に挑んだあおいは、約束通りひなたと共に山小屋からの朝日を見ることができました。


第3期は2018年7月~9月に15分枠で放映されました。第2期終盤で思い出の山に登って約束を果たせたことで綺麗に終わっており、続編の計画はなかなか立たなかったそうですが、第3期を待望するファンの声により話が進んだそうです。すっかり元気になったあおいは富士山再チャレンジの意思を表明しますが、既に季節は秋になっていて富士山はオフシーズン、来年の夏まで待たなければなりません。


アウトドアに目覚めたあおいはひなた以外のクラスメートとの交流も開始し、自然に別行動の機会が増えていきます。次第にすれ違っていく二人の心は…という展開で、登山よりもむしろ百合的な雰囲気になっていきました。まあ筑波山とか陣馬山とか泊まり込みの瑞牆山・金峰山とか登ってはいるんですけどね。

私は例によってメインのあおいやひなとよりも脇役がお気に入りに。まずは頼りになる山のベテラン斉藤楓。CVは日笠陽子。「ゆるふわサイクリング」作品の「ろんぐらいだぁす!」でもベテラン高宮紗希を演じており、なんかそういう役回りが多いような。声優としては確かに頼りになりますけどね。「アメトーーク!」で時々やってる「芸人ドラフト会議」ばりに「声優ドラフト会議」をやるとしたら、私はドラフト1位でひよっちを選ぶと思います。主人公からラスボス、清純からビッチ、幼女から老婆まで、何をやらせてもビシっとこなしてくれそうなので。

金槌という意外な弱点はあるものの、それ以外は「やれば出来る子」を地で行くキャラです。しかし登山以外は積極的やろうとしないので、モテとは無縁な生活をしています。本人が恋愛に全然興味がないので構わないのですが、ポテンシャルは高いのでもったいない気も。

次に夢見がちな中学生青羽ここな。CVは天使声優小倉唯。馬を中心に動物全般が大好きで、華奢ながら体力と運動神経は非常によく、手先も器用で女子力が高く、中学生ながら頭も良くて博識です。共働きの両親が忙しすぎて一人で過ごすことが多いようですが、ぐれもせずによくぞ立派に育ったモノです。

ベテランの楓はさておき、あおいとひなたは山でアクシデントに遭遇しているのですが、ここなにはそういうことは一切ありませんでした。歌手活動もこなす小倉唯が、小柄なのにも関わらず某グループも驚くほどに激しく踊りながら歌っているのを見ると、しっかりしたリハーサルのみならず、きっとランニングなど基礎トレーニングをかなりこなしているのでしょう。そんな「中の人」が反映されたようなキャラになっています。

あと山には登りませんが、かなり高価な登山用品の費用を稼ぐべく、あおいが始めたケーキ屋でのアルバイトの先輩である小野塚ひかり。バイト歴3年の女子大生ですが、社交的で面倒見が良く、いつも笑顔を絶やしません。あおいの第一印象は「軽い人」でしたが、ズブのアルバイトビギナーだったあおいにこんあに親切に接してくれるというのは偉いことだと思います。

それにしても「ろんぐらいだぁす!」でもサイクリング用品にお金がかかるのでアルバイトをするというエピソードがありましたが、主人公が女子大生の「ろんぐらいだぁす!」はともかく、女子高生がアルバイトするというのは普通なの?私が高校生の頃はかなり異例だったような気がするんですが。

あおいのママン、ひなたのパパンは結構登場し、あおいとひなたとこの2人で霧ヶ峰に行ったりしていますが、それぞれパートナーがいるはずなのにいいのかこれ?それぞれシングルになっていてこれを期に結ばれるという展開ならそれはそれでいいのですが、あおいのパパンとひなたのママンは健在なんですよ。子供も一緒だから不倫の疑いはかからないかも知れないけど、お互いちゃんとパートナーに了承を取っていたのか?とか余計な心配をしてしまいました。

第4期もいずれ作るんでしょうが、まだ時間は春から秋になった程度しか経過しておらず、第4期で富士山再チャレンジとはいけそうにありません。原作はまだ尺が残っているみたいなので、冬の登山を描いてもいけそうですが。

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