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奈良小旅行(その2):吉野山・金峯山寺

吉野の晩秋

 晴天の晩秋の一日、いかがお過ごしでしょうか。インドア派の私ですが、こうまで条件が揃うと出かけずにはいられません。というか、出かけないと非常に損した気分になってしまいます。明日は月曜な訳ですが、外出しているひとときはそれを忘れられるような。そして帰宅して夕暮れからどよ~んと(笑)。まあ毎週の定例行事ですな。

吉野の山々 

 ということで、本日は奈良へ。談山神社も考えたのですが、思い切って吉野まで足を伸ばしてきました。吉野は大和国(奈良県)南部一帯を指す地名で、狩りに適した良い野という意味だそうです。口吉野と奥吉野に分かれていて、奥吉野は熊野にまで連なる山岳地帯になります。もちろんそこまで行くと小旅行では済まないので、口吉野の吉野山のみです。

金峯山寺入口 

 吉野山は南北約8キロメートルに及ぶ尾根続きの山稜の総称です。古くから桜の名所として知られ、1924(大正13)年には国の名勝・史跡に、1936(昭和11)年 に吉野熊野国立公園に指定されました。また2004(平成16)年には吉野山・高野山から熊野にかけての霊場と参詣道が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されています。

青の交響曲 

 大阪阿倍野駅から近鉄に乗って吉野駅へ。近鉄が「上質な大人旅」をコンセプトに2016年から運行している観光特急列車「青の交響曲(シンフォニー)」に乗りたかったのですが、金曜日に調べたら既に満席だったので涙をのんで諦めて、ロングシートの急行でゆるゆると向かいました。

吉野駅 

 吉野駅からは、通常はすぐそばにある吉野山ロープウェイに乗って吉野山に登っていくところなんですが、昨年4月に事故を起こして運休して以来、無期限で運休状態でした。1年半も経ってなお運行再開できていなかったとは。修理費の資金調達が難航しているんだそうです。代わりに臨時バスが出ていますが、情緒に欠けますね。

吉野ロープウェイ 

 臨時バスに乗って着いたのは中千本公園。吉野山では特に桜が多く集まる場所を「一目千本」と呼んでいて、山下から下千本・中千本・上千本・奥千本と呼んでいます。ロープウェイだと金峯山寺の黒門までなんで、だいぶ奥まで入ってしまいました。吉野山には寺社がたくさんあるんですが、今回は小旅行なので吉野山でまず筆頭に挙げられる金峯山寺(きんぷせんじ)を目指します。

中千本公園 

 歩く道すがら、向かいの尾根を見ると寺の姿が。どうやらこれは如意輪寺の伽藍のようです。直線距離はたいしたことなさそうなんですが、なにしろ谷を挟んでいるので歩いて行くにはちょっと遠いような。

如意輪寺 

 通常金峯山寺に行くには、山の麓から登って黒門、銅(かね)の鳥居を通って三門をくぐっていくのですが、今回はバスで違うからぐるっと回り込んでしまっているので全部見ることなく金峯山寺に。途中東南院というところから山伏の集団が出てきて、並んで金峯山寺に向かう形に。

東南院 

 霊地霊山では、中心になる伽藍を建て、そこから東南の方角に当たる場所に寺を建てて、一山の安泰と興隆を祈願する習わしがあったそうで、吉野山では中心となる金峯山寺の東南に位置するのが東南院です。

金峯山寺蔵王堂 

 一行と共に到着したの金峯山寺は、修験道金峰山修験本宗の本山で、本尊は蔵王権現。開基(創立者)は役小角と伝えられています。古代から山岳信仰の聖地で、平安時代以降は霊場として多くの参詣人を集めてきました。日本では古くから山を聖なる場所とする山岳信仰があり、それがが神道、仏教、道教などと習合し、日本独自の宗教として発達をとげたのが修験道で、その開祖とされているのが役小角です。実在の人物だったことは確かなようですが、その超人的活躍ぶりは伝説の域です。

法螺貝を吹く山伏 

 金峯山寺は役行者が創立した修験道の根本寺院とされていますが、役小角自体が半ば伝説化されているため、創建の正確な事情、時期などはよくわかりません。本尊の蔵王権現は、長谷寺の記事でも触れましたがインドに起源を持たない日本独自の仏で、修験道の本尊でもあります。

蔵王堂と山伏 

 金峯山寺の本尊は3体の蔵王権現で、修験道の伝承では役小角が金峯山での修行の際に感得した(祈りによって出現させた)ものとされています。蔵王権現が安置されているのが本堂である蔵王堂。幾度も焼失と再建を繰り返し、現在の蔵王堂は豊臣家の寄進で再興されたもので、天正19(1592)年の建立です。堂々の国宝。高さ34メートル、奥行、幅ともに36メートルで、木造の古建築としては東大寺大仏殿に次ぐ規模をもつといわれます。

蔵王堂の本尊
 
 本尊の3体の蔵王権現立像は秘仏ですが、春と秋に特別開帳が行われ、今秋は11月3日~30日。ということで、狙っていた訳ではないのですが何かのご縁でご開帳に遭遇したので、これは一目見なければと。拝観料1000円はちょっと高いなと思いましたが、家内安全諸願成就の御札と、靴を入れるためのエコバックが付いてきます。

ご開帳記念の御札 

 蔵王権現は釈迦如来(過去世)、千手観音(現在世)、弥勒菩薩(未来世)が合体した、Fateシリーズで言うところのハイサーヴァントのような仏ですが、蔵王堂の本尊は3体あって、左から弥勒菩薩、釈迦如来、千手観音菩薩の権化とされています。激しい忿怒相で、怒髪天を衝き、右手と右脚を高く上げ、左手は腰に当てるその姿は、菩薩や如来よりは明王に似ています。

神変大菩薩 

 蔵王堂には役小角の像もあります。1799(寛政11)年に神変大菩薩(じんべんだいぼさつ)の諡号が贈られました。伝説によれば前鬼と後鬼を従え、鬼や神を使役するほどの法力を持っていたそうです。一言主の働きが悪いと折檻したことで恨みを買って、一言主が天皇に役小角が謀叛を企んでいると讒訴したため、役行者伊豆大島へと流刑になったとか。流刑先の伊豆大島からは、毎晩海上を歩いて富士山へと登っていったとも言われており、また日本から中国へ留学した道昭(三蔵法師・玄奘に師事)が、新羅の山中で五百の虎を相手に法華経の講義を行っていると、聴衆の中に役行者がいて、道昭に質問したとも言われています。

役小角奈 
不動明王と役小角 

 役小角奈という萌えキャラが作られていますが、これは奈良県町興し応援ガールズ「NARA Owners Association Ark(N.O.A.A.)」の一員で、役小角の誕生寺とされる吉祥草寺が公認しているそうです。昨年正式に入魂の儀が行われ、信仰対象として祀られることになりました。信仰対象を萌えキャラ化したり、萌えキャラ用の小規模な神社を作ったりする例はあったものの、萌えキャラという出自から本格的な信仰対象となるのは世界初の試みとされています。  

威徳天満宮 

 境内には威徳天満宮がありました。天満宮といえば菅原道真を祀った神社ですが、なぜに吉野山にあるのかというと、如意輪寺の開基である日蔵が急に仮死した際に、冥土をさまよっている醍醐天皇に逢い、菅原道真を太宰府へ流刑した罪によって死後の苦しみに遭っているので、道真の霊を祀って欲しいと頼まれて息を吹き返したのだそうです。それで日蔵が威徳天満宮として祀ったのだとか。豊臣秀頼の改修によるものとされ、桃山時代の様式をよく伝えている社殿です。

南朝妙法殿 

 こちらは南朝妙放殿。八角形の三重塔ですね。昭和の建築なのですが、均整のとれた美しさと周囲の風景に溶け込んで醸し出す雰囲気が目を引きます。この地は南北朝時代に南朝の後醍醐天皇の行宮となっていた実城寺があった場所なのだそうです。いわゆる「吉野行宮」ですね。場所柄吉野は南朝と縁が深いようです。吉野に行宮が置かれたのは20年弱程度だったそうですが。

脳天大神 

 南朝妙法殿から遙かに階段を下った先には“首から上の守り神”だという脳天大神龍王院があるのですが、上り下りを考えると気が遠くなりそうだったので訪問はパスしました。脳溢血とか脳梗塞防止にはいかにも御利益がありそうでしたが…

修理中の仁王門 

 本来入り口ですが、出口になってしまった仁王門。国宝ですが現在修復中。一応門をくぐることは可能で仁王を見ることもできます。修復費用の喜捨を絶賛受付中だそうです。

銅鳥居 

 吉野駅への帰路に訪れた「銅(かね)の鳥居」。その名のとおり銅製です。創立年代は不詳であるが、奈良の大仏を鋳造した際に余った銅を使って建立されたという言い伝えがあるそうです。14世紀中頃の南北朝騒乱の際に兵火で焼け落ち、15世紀中頃に復興したものと考えられています。

金峯山寺黒門 

 ロープウェイの吉野山駅近くにある黒門。金峯山寺の総門ですが現存する門は1985年の再興です。昔は公家大名といえどもここで槍を伏せ、馬をおりて歩いたといわれています。

一目千本桜 

 春は桜なら秋は紅葉ということで、桜の名所ならさぞや紅葉も…と思ったのですが、別にそういうことはなかったぜ!花札には桜に赤短冊に「みよしの」の札がありますが、これは吉野の美称だそうで、漢字にすると「美吉野」になるんでしょうか。

カレーと餃子のみよしの 

 吉野の桜が美しいことは花札認定なんですね。個人的には「みよしの」というと北海道のカレーと餃子のB級グルメの店を思い出すんですが。一応多少は紅葉があったので載せておきます。

金峯山寺の紅葉 金峯山寺の紅葉その2
  
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