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2018年春季アニメの感想(その7):ダーリン・イン・ザ・フランキス

鰻重

 お暑うございます。気付けば土用に入っていて、一昨日はウナギ大量殺戮の日とも言うべき土用丑の日だった訳ですが、今年のウナギはやたら高いらしいので鰻重・鰻丼は断念しました。ま、一匹見逃してやったと思えば。土用は本来四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前約18日間ずつを指していますが、現在では通例立秋前の夏の土用を指していることが多いようです。

土用餅 

 そうそう、関西では土用の入りの日(今年は20日)に土用餅を食べる風習があります。土用餅とは、土用に食べるあんころ餅のことで、伊勢名物として有名な赤福餅とほぼ同じものです。おはぎやぼたもちにも似ていますが、中身が完全な餅という点が異なります。かつて公家の間でガガイモの葉を煮出した汁で練った餅をみそ汁に入れて土用入りの日に食べると暑気あたりを防ぐという風習があったものを、江戸時代中期頃に餅を小豆あんで包んだものを土用の入りに食べるようになったということです。そうか、だから京都を中心に関西地方にしかない習慣なのか(実は金沢など北陸にもあるそうです)。昨日(21日)はスーパーで売れ残りを値引き販売していたのを買いました。今年の暑さに勝てるかどうかは判りませんが、上品な甘さは悪くありませんでした。

ダリフラ感想 

 本日は春季アニメの感想のラストです。満を持して(?)「ダーリン・イン・ザ・フランキス」。2クール全24話で、「21世紀のエヴァンゲリオン」を目指した作品であるかのような印象を受けました。ぱっと思いつく類似点としては
① フランクスは人類以外のテクノロジーを流用している
② フランクスは少年少女じゃないと動かせない
③ フランクスは時に暴走する
④ 敵である叫竜にはコアがあり、これを破壊しないと倒せない
⑤ まるでゼーレのようなAPEの七賢人
なんてところでしょうか。

エヴァのコア 

 エヴァの場合も自身にもコアがありましたが、フランクスではその部分を機体に直接同調して動力制御を担当する雌式操縦者「ピスティル」が担っており、これを雄式操縦者「ステイメン」が操縦するという形式になっていました。見た目エロいというかじゃじゃ馬ならしといった感じでしたが、要するにエヴァのコアの代わりをピスティルが担っている訳で、どっちも女性原理なロボットということになりましょうか。エヴァの場合はコアにママンの魂が宿っていましたが、ピスティルは同世代の女の子ということで、脱マザコン?

フランクスの操縦システム 

 フランクスはエヴァ以上にバリエーションが豊富でしたが、それは実験部隊でもあった第13都市部隊だけで、他ではほぼ同じ様式の量産型フランクスが使われていました。面倒くさいからじゃないかという身もふたもない考えが浮かんでしまいますが。

バリエーション豊富すぎるフランクス 量産型フランクス

 ヒロインのゼロツーの正体は、敵のボスである叫竜の姫の細胞から作られたクローンでした。魂はオリジナルのものでした。性格的には対照的なエヴァのヒロイン(これには異論が出そうですが)である綾波レイの場合、肉体は碇ユイのクローン(正確にはユイとアダムの遺伝子が半分ずつ受け継がれたハイブリッドだそうですが)で、魂は使徒のリリスのものだったので、人間性の薄さもむべなるかなと思われるのですが、ゼロツーのバンカラな態度とか飄々とした雰囲気は叫竜人に由来しているのでしょうかね。

綾波レイ 怒りのゼロツー

 ゼロツーと綾波レイは在り方は対極的ですが、普通の人間とだいぶ違うという点ではよく似ているような。

水着のゼロツー お風呂上がりのレイ

 ダーリン・イン・ザ・フランキス(略称ダリフラ)では正体不明の敵である叫竜と戦っていましたが、当初はエヴァの敵であった使徒に似た雰囲気でした。使徒は本来地球を支配するはずだった「白い月」の始祖アダム由来の生命の可能性であり、その後にやってきた「黒い月」の始祖リリス由来の生命(その頂点が人類)が地球を支配したことに対し、地球の支配権を奪還せんとして襲来するとされていました。

叫竜の一種 ワーム型叫竜

 一方叫竜は、人類より遙か以前に地球に文明を築いていた「叫竜人」が、宇宙からの侵略者であるVIRMに対抗するために開発した生体兵器でした。VIRMを一旦は退けた後、地下に潜り、力のある者は自らの身体を叫竜へと進化させ、力の弱い者はマグマ燃料へとその姿を変えていったとか。つまり叫竜は地球の先住者というか旧支配者で、人類は叫竜サイドから見れば彼らが不在の隙を突いて地球の覇権を奪った「簒奪者」でした。

デーモン族 

 この辺りはむしろ永井豪の名作「デビルマン」のデーモン族と人間の関係に近いと言えましょう。となるとVIRMは神か。デーモンは本来人類の天敵で、氷河期の到来により大多数のデーモンが眠りに就いたことにより、人類が自然の摂理を越えて繁殖し過ぎて、地球環境を破壊するまでになったという設定ですが、このあたり、叫竜人そのものとも言えるマグマ燃料を勝手に使って繁栄し、その代償として地上を不毛の大地にしてしまったダリフラの人類にも似ていますね。叫竜人がそのまま繁栄していたら人類の出る幕がそもそもなかったような気もします。

VIRM斥候艦隊 

 さて叫竜と人類の戦いは地球の支配権を賭けたものでしたが、視聴者的には終盤いきなり登場してくるVIRM。叫竜の姫は「真の敵」と呼んでおり、叫竜人が叫竜とマグマ燃料に変わったのも彼らとの戦いに備えてのもとだったということで、登場はいきなりでも設定的には最初から考えられてたのではないかと思われますが…登場が終盤すぎたせいで正体不明のままでした。これが非常に残念。

主席と副主席? 
ストレリチアに群がるVIRM 

 実体のない精神生命体で、宇宙の様々な生命体に対して、肉体を捨ててVIRMに同化することを迫り、従わない生命体に対しては全面戦争を仕掛けるという剣呑な種族です。人類のうち、不老不死となっていた大半の「オトナ」達はVIRMの呼びかけであっさり同化してしまいました。オトナは不老不死の代償として生殖能力を失っているので、種の存続とかに興味がなくなっているということも影響していたのかも知れません。

VIRM艦隊 
旗艦叫竜 

 叫竜艦隊とVIRM艦隊の戦いはほとんど「トップをねらえ!」の宇宙怪獣軍団と銀河中心殴り込み艦隊の戦いみたいでした。じゃあストレリチア真・アパスはガンバスターだ。そういえばバスタービームみたいなのを放ってましたな。

ストレリチア・アパス 
ストレリチア真アパス 

 それにしてもVIRM、精神生命体なのに侵略し同化してきた星の兵器を使って物理的に侵略してくるとかってのはどうなんでしょうかね。精神生命体らしく叫竜人の体を乗っ取るとか、物理的な防御手段がない精神攻撃で滅ぼすとかしそうなものですが。最終盤にヒロに対してちょっとだけ精神攻撃してましたが、それをメインにしてれば勝ったんじゃないでしょうか。ねえ、サイコジェニーさん。

サイコジェニーの精神攻撃 
 

 VIRMの行動って、一見侵略だけど、本当は真の福音を伝えるために強硬な手段を取っているのかも知れません。仏教には明王というのがいるじゃないですか。仏教に帰依しない強情な民衆を力ずくでも帰依させる為、恐ろしげな姿形を現して調伏し、また教化する仏だそうです。

軍茶利明王

 これなんか“強情な民衆”から見れば恐怖の侵略者に他なりませんが、仏教サイドからすれば仏教に帰依することこそが真の幸福なんで、入り口で多少ごたついたとしても、結果的に相手の幸福になるのだからノープロブレムと考えられるという。ま、宗教は大なり小なりそういう“余計なお世話”的色彩を持っていますが、自分自身を“正義”と考えている連中には共通する傾向なのかも。

エンダーのゲーム 

 ゼロツーとヒロは、叫竜人の意志を継いで、VIRMを母星ごと滅ぼすという過激な手段を取りますが、まるで「エンダーのゲーム」での昆虫型異星人バガーを、母星ごと滅ぼす様に似ていました。バガーは二度に亘って人類に侵攻してきた恐るべき敵で、人類は僥倖もあってかろうじて撃退したのでした。来る第3次侵攻を未然に防ぐため、バガーを母星もろとも殲滅せんとして人類は宇宙艦隊を出撃させ、天才エンダーにシミュレーションだと嘘をついてこれを指揮させるのですが、苦労の末に倒してみれば、実はバガーにはもう侵略の意志は一切なかったという。人類のとっての侵略は、集団知性という異なる精神構造を持ったバガーにとっては、いわば肩をちょんちょんとつついて注意を引く程度のことであり、バガーとしては、自分たちと生命の形態が全く違う人類の存在自体が驚異だったのですが、その後人類を理解してからは二度と同じ過ちを繰り返さないことを決めていました。しかし同時に悟っていました。人類が報復にやってくることも、あらゆる手を尽くして防衛しようとしても天才がやり遂げてしまうことも。

イスの大いなる種族 

 そもそも精神生命体って、純粋に肉体を持たずに生きながらえているものなのか、それともクトゥルフ神話に登場する「イスの大いなる種族」のように精神生命体ながら宿るための肉体を必要とするのものなのか。VIRMの場合は母星を破壊されても平然としていたので、肉体を必要としないタイプみたいなんですが、それにしてはとにかく攻撃が物理的。大規模な宇宙艦隊まで持ってますが、どうやって動かしているのか。

七賢人 

 APEの七賢人の主席と副主席は実はVIRMで、仮面の下はからっぽでしたが、そんなふうにして絡め手から実権を掌握するような手段を取ることができるのであれば、なぜ叫竜人に対しては真っ正面からぶつかっていったのか謎です。とりあえずあんまり賢くないような。

魔王ダンテ 

 パクリになってしまいますが、いっそ「デビルマン」の前身的作品である「魔王ダンテ」的な設定でも良かったような。超古代、恐竜の生息する地球で平和に繁栄していた先住人類は、突如宇宙から「神」を名乗る不定形エネルギー生命体の侵攻を受けます。「神」は、自分たちの入れ物として肉体を要求し、それを断った先住人類に対し、「神」はその分身として牛頭馬頭などを産み出して人類を殺戮します。そして「神」は世界各地に棲息していた類人猿に分散寄生し、彼らを現在の人類として進化させたのでした。

神の攻撃 

 つまり現在の人類は神の末裔で、悪魔とされるのは、先住人類の生き残りで、怒りや超兵器、その場にいた恐竜、「神」の分身などと合体して強大な力を得た存在でした。そして現在、既に神はその記憶と共に力の大部分を失っており、魔王ダンテの下に生き残っていた悪魔たちが続々と集結してきます。自分たちの敵である「神」=人類を滅ぼす時機が来たのです。魔王ダンテは世界中の悪魔に向かって叫びます。「来い、魔王ダンテと共に!!」。こういう形なら、人類と叫竜のお互い譲れない戦いも理解しやすいですね。そして宇宙から来たVIRMは援軍ということにでもしておきましょう。まあこの場合、ヒロとゼロツーはロミオとジュリエットになってしまうのですが。

 阿修羅王の怒り
滅びの真相 

 母星を滅ぼされたVIRMですが、実体のない精神生命体であるため不滅なんだそうです。じゃあ意味のない攻撃だったということ?「進化の先で…また相見えることになるなるだろう」「この宇宙に生命という揺らぎがある限り…」と言っていますが、すぐに地球再侵攻という感じではないので、負け惜しみ感もありますね。やはり目的とか真意がわからない連中です。もしや「百億の昼と千億の夜」のラストのように、この宇宙に仕掛けられた高次宇宙からの崩壊因子がVIRMとして発現しているのかも。知的生命体を滅ぼすことが目的ならばあれでもいいような気がしますが、であれば諦めずに次々と攻撃を続けろよ。「諦めんなよ、諦めんなよお前!どうしてそこでやめるんだそこで!もう少し頑張ってみろよ!ダメダメダメダメ諦めたら。周りの事思えよ、応援してくれる人達の事思ってみろって。あともうちょっとのところなんだから」(by松岡○造)。

あきらめんなよ

 対VIRM戦に際して、地下に潜伏していた大多数の叫竜は宇宙に出撃していき、生き残ったコドモ達と少数のオトナは、棚ぼた的に地球の覇権を得てしまいました。VIRM戦後、戻ってきた叫竜艦隊はそのまま土に還って土壌を肥やしたようですが、そこまで人類のために働くのはちょっと「?」ですね。そこは譲らず、地球の覇者は我々だ!と第二次戦争に突入して欲しかった。その場合抵抗手段がなくなったコドモ達は虐殺対象でしかなく、非常に後味の悪いラストになってしまいますが、いくら叫竜の姫がいなくなったからといって、それまであれだけ戦ってきた叫竜が人類を全面的に許すのもなんか不自然です。「いい話にしたい」という制作者サイドの意志が露骨に感じられるような。

式典のパラサイト達 第13都市のピスティル達

 いろいろ語ってきましたが、結論を言えば大変面白うございました。ただ、面白かっただけに終盤の超展開が残念で。魂が戻ってきて転成してまだ出会うヒロとゼロツーというのも美しいといえば美しいけど宗教がかってますね。「トップをねらえ!」みたいに長い時間をかけてでも肉体を持ったまま戻って欲しかった。

トップをねらえ!ラスト 

 好きなキャラははやみん演じるココロ一択。イチゴも良かったんだけど後半失速。ココロは本名「Code:556」で、花の世話を買って出るなど清楚でおっとりした優しい性格で、容姿も良くて男子たちからはマドンナ的存在として捉えられていました。元から母性が強かったようで、遺跡から出産に関する本を見つけて以来、命の誕生について強い興味を持っていました。

花好きココロ 

 さらにイケメン好きだったようで、パートナーをフトシからミツルにチェンジし、次第に親密になっていき、ミツルから好意を告白される形で結ばれました。当初はココロから肉食女子的に迫っていましたが、やはりミツルからがっつり迫ってしまうとレイプ的になってしまうからなんでしょうかね。

出産の本めっけ 

 その後コドモ達で結婚式をあげますが、APEに拉致されて記憶を消去されてしまいます。しかしAPEも妊娠には気付かなかったらしく、謎の体調不良に悩まされることが多くなり、VIRM戦後に妊娠が発覚しました。

色を知る年齢かっ!! 

 妊娠後は激情的な一面が顕著に現れるようになりましたが、妊娠後の心身のアンバランスによるものだったのか、本来持っていた性格だったのか。後に出産したコドモ達の最初の子となる娘には「アイ」と名付けていました。その後ミツルとの間に4人の子を授かっているので夫婦関係は良好のようですが、記憶を消されてもそもそもの相性の良さまでは消えなかったということでしょうか。

ラブラブですのう 
アイ誕生 

 あと1話に登場したヒロの元パートナーのナオミが生きていたのは良かったですね。博士が他のフランクスのパイロットから落選したコドモ達同様、冷凍睡眠で保存していたようですが、右手が…。叫竜の襲撃時に乗っていたプラント船を破壊された際に負傷したようですが、むしろその程度で済んで良かったというほどの被害でした。

右手がなくなったナオミ 破壊されたナオミのプラント船
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