2018年春季アニメの感想(その6):BEATLESS/魔法少女サイト/あまんちゅ!~あどばんす~

日本では空前の猛暑ではないでしょうか。もしや有史以来最高の暑さ?家にいると冷房を切ることはできません。いつもは寝る前にタイマーかけて寝ている間に切るんですが、切れると暑くてすぐ起きてしまうので朝までノンストップでいくしか。

この異常気象ともいうべき暑さで、各地では熱中症による死者が続出しています。にもかかわらず、報道によれば登下校中の水筒の使用が禁止されたり、休み時間に外遊びを強要されたりといった、危険すぎるルールを強要する小学校があるとか。私の子供の頃も、部活の間は水を飲んではいけないという(今となってはただ理不尽なだけの)ルールがありましたが、命のより大事な校則なんかありません。自分の命を守るためならば、あらゆる校則は破ってOKなので、馬鹿な学校や教師が何を言おうが「命を守る行動」をとりましょう。

もはや“春”という単語が何かの冗談のようにも思えてしまいますが、まだ終わっていない春季アニメの感想をば続けていくとしましょう。まずは「BEATLESS」。「銀河英雄伝説 Die Neue These」に続き、「終わってないやん」作品の第二弾。9月に「BEATLESS Final Stage」が全4話で放送予定だそうです。24話必要なところ、20話しか放映しなかったからねえ…。2クールものとはいえ、特別作品5回はオオスギィ!1クール分終了後の特別番組はいいとして、残りの総集編4回はなあ。


「SHIROBAKO」の制作デスク本田豊の名言「万策尽きた~!!」がなんと4回も。「ハッカドール」伝説の神回である7話「KUROBAKO」では「モバミちゃん」1クール3度目の総集編の危機をハッカドール達が救いましたが、「BEATLESS」にハッカドールは来なかったか。

100年後の未来、社会のほとんどがhIE(フューマノイド・インターフェイス・エレメンツ)と呼ばれる人型アンドロイドに任された世界。急激に進行した少子高齢化により労働力は大幅に減少した反面、その穴をhIEが埋めることで社会は高度に自動化され、生活レベルは21世紀初頭よりも豊かになっています。既に人類の知恵を超えた超高度AIがいくつも出現していますが、その利用はもっぱら研究開発用途に限られており、人類の存続にかかわるインフラに接続することすら禁じられています。そんな中、hIEの行動管理クラウドのプラットフォーム企業「ミームフレーム社」が保有する超高度AI「ヒギンズ」が、今の人類には理解できない超高度技術(人類未到産物(レッドボックス))によって開発したレイシア級hIE5機が逃亡することに。そのうちの一機、レイシアと遭遇した遠藤アラトのボーイミーツガールの物語です。

5機のレイシア級はそれぞれ異なる目的を持たされていることから、他のhIEや軍隊と戦ったり、互いに相争うことになりますが、最初に設計されたものの当時の人類の技術では開発不可能だったため、他のレイシア級4機の製造で技術を習得・蓄積して、満を持して最後に作られたのがレイシアで、hIEでありながら超高度AIを持っており、他の超高度AIがスタンドアローン状態を強いられている中、自由自在にネットにアクセスしています。

レイシア級hIE1号機紅霞は既に破壊され、同3号機サトゥルヌス改めマリアージュは戦闘に参加しないようなので、あとは同2号機スノウドロップと同4号機メトーデとレイシアの戦いということになりそうです。一応人間のオーナーを持っているメトーデより、完全に人間と敵対しているスノウドロップのヤバさが際立っています。これは完全にロボットの反乱。「ターミネーター」の世界ですね。



ちょろいアラトをいいようにあしらうレイシアですが、ちゃんと「裏の顔」があることが判明して一安心。超高度AIだから“演技”もできる訳ですね。人の姿に似せただけのモノだと再三警告されてもレイシアへの恋心を抑えられないアラト。でも日本人は比較的モノとヒトをあまり区別しないので、わかる気はする。「イブの時間」でもちょっと似たような感情が描かれていましたね。

本作のヒロイン・レイシア役の東山奈央は、放映中の「かくりよの宿飯」の津場木葵役とともに、すっかり“美人声”声優の地位を確立したような気がします。ちょっと前までは「俺ガイル」の由比ヶ浜結衣のような可愛いけどちょっとギャルっぽい役がはまっていた気がするんですが、奈央ぼうも成長したということでしょうか。

ただ…「イブの時間」でも思ったんですが、hIEって一体おいくら万円なんでしょうか。労働力が足りないからロボットを使うというのはわかるんですが、それってヒト型である必要はないんじゃ。というより、多用途汎用のヒト型ロボットって、コストパフォーマンス的にどうなんでしょうかね。テレビみたいに一家に一台から一人一台みたいになっているとすると、かなりの低価格な気もするんですが、今のラブドールくらい?


あと主人公達、子供のくせに犯罪に嘴を突っ込みすぎ。レイシアがこっそり情報操作をしていたおかげで捕まらなかったようですが、子供が薄っぺらい主義主張でやらかすのを見てるのは何というか…。懐かしのジュブナイルSFならこれでいいんでしょうけどね。そして人が死にすぎ。人間の数は少なくなっているわりに、人命尊重の度合いがやたら低下しているような。要するに舞台設定と主人公達の行動がうまくマッチしていなんじゃないかという。もっと大人の物語にした方が良かったような気がしますが、今では中高生を主人公にしないと人気がでないんでしょうかね。

続いて「魔法少女サイト」。原作は続いていますが、アニメの方はオリジナルの結末で1クールで一応終了しています。もちろん全ての謎が解明された訳ではない(というか謎はほぼ全て残っている)ので、二期にも対応していますが。


本作は出オチとも言うべき陰惨な1話を視聴し続けられるか否かが分かれ道。とにかく一話の主人公虐待シーンがハードすぎるので、ここで脱落した人も多数いたのではないかと。それを責めることはできませんね。一応二話以降はあれほどのことは起きないのですが。

「魔法少女まどか☆マギカ」以降、従来とは異なった設定の魔法少女ものが大流行になっていて、その極北は魔法少女同士が図らずも殺し合う「魔法少女育成計画」だと思っていましたが、本作はその上を行っていました。

様々な不幸を抱える少女が出会う謎のウェブサイト「魔法少女サイト」。そこから魔法のステッキを与えられた少女は一種類の魔法が使える魔法少女になりますが、魔法を使用するたびに寿命が減っていきます。ステッキの形状・能力はさまざまで、本来の所有者でなくてもステッキさえ持てばその力を使用ことができます。魔法少女がステッキを持っているのではなく、ステッキを持てば誰でも魔法少女ということです。老若男女誰でもステッキを持てば魔法が使えるので、もはや魔法少女でもなんでもないような。そのため、大勢の魔法少女を殺害して、ステッキを奪う「魔法少女狩り(マジカルハンター)」という魔法少女もいたりします。



魔法少女サイトを運営しているサイト管理人は管轄エリアを分けてステッキを配布していますが、その目的は不明ですが、正体は既に命を落とした元魔法少女であるようです。全ての魔法少女が死ねば管理人になれるという訳ではなく、独自の選抜基準があるようですが。一応、世界の災厄とされる「先人類の王」の封印が解かれ、人類の大半が滅亡する「テンペスト」を回避するために、魔法少女がステッキを使うことで蓄積される「不のエネルギー」を魔法少女サイトに献上すること必要だとされていますが、ステッキを多数使用すれば魔法少女は死んでしまうので、そもそも説明に矛盾があることに多くの魔法少女が気づいており、これが魔法少女達の団結と反逆を誘引することになります。そこに全然気づかなかった潮井梨ナ…


主人公朝霧彩が第一で受ける虐待の凄まじさ。学校ではクラスメイトの執拗ないじめ、家では兄からの虐待で逃げ場がなく、死ぬことばかり考えていました。引っ込み思案で反応に乏しいところはありましたが、そこまでいじめる必然性が感じられず、ちょっと異様でしたが、兄はとんでもないクズなのでそっちはまあ(笑)。



ちなみに鬼畜兄朝霧要役は“しこりん”こと岡本信彦。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能という男版藤崎詩織のようなキャラですが、自分を「神」と自負する割にそこまでは能力が高くはないというギャップが性格を歪めているようで、ストレス解消のために彩を日々虐待していました。おとなしい妹に思いっきり腹パンとかできる人間性をしこりんが見事に演じていました。毎回の次回予告も担当していて、そういう役なのかと思っていたら、終盤いきなりストーリーに絡み出して魔法少女の天敵的存在になりました。最後は深手を負って、サイト管理人とつながりのある謎の刑事に捉えられいましたが、「ウホッ」「アッー」な末路に(笑)。皆が手をたたいて喜んだに違いない。


物語の中心にいる彩と奴村露乃の百合コンビに「魔法少女狩り」潮井梨ナ、アイドル穴沢虹海、さらに別サイトからステッキを受け取った雨谷小雨グループの魔法少女達が団結してサイト管理人「弐」と「捌」(小雨達のサイト管理人)を倒し、最後には彩達のサイト管理人である圧倒的戦闘力を持つ「漆」をも倒しましたが、サイト管理人はまだ15人は残っており、サイト管理人たちが「王」と崇める謎の存在もいます。一コマしか出てこないというのにCVはなんと能登さん。これは二期への布石なんでしょうか。

彩のステッキは拳銃型で、魔法を撃った相手を瞬間移動させるというもの。パートナーの露乃のステッキはスマホ型で、魔法は時間停止。最強能力なんですが、それだけに寿命の消費も激しいようです。便利なのは虹海の、穿くことで自分の思いのままに全ての人間を操れるパンツ型ステッキなんですが、これを奪って穿いている要が(笑)。サイズは大丈夫だったんか。

彩役の大野柚布子の声は今回初めて聞きましたが、なんとも可愛らしい声で容姿も可憐。身長143センチは小柄な彩よりも小さいという。でも24歳だからそんなに若いわけでもないのね。

露乃役は茜屋日海夏。「終末のイゼッタ」でイゼッタとしてはやみんと共演していました。元気で健気なイゼッタと違って露乃はクールかつ冷徹な感じでしたが、実はツンデレでした。彩とはすっかり百合関係になっていましたが、イゼッタ×フィーネといい、百合キャラが得意?


本日最後は「あまんちゅ!~あどばんす~」。2016年夏季アニメの「あまんちゅ!」の二期です。「日常ときどきダイビング。」ということで、ダイビングシーンもありますが、伊豆の様々な行事を皆で楽しむというのが主眼のような。いやそれはそれでいいです。


一期は春から夏ということでしたが、二期は完全にその続きで夏から秋、そして冬が描かれていました。放映時期と完全に季節感が異なっていましたが、それはご愛敬。ただ、7~9話は完全にファンタジーで、現実から遊離していました。


神社に置き去りにされた赤ん坊の見た夢と、その赤ん坊が夢の中で成長し「ピーター」という姿で現実に介入して高校に出没するという。学園祭前夜という設定といい、なんとなく「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を彷彿とさせていました。

ピーターの正体は…うん、何となく判ってた(笑)。ファンタジー展開はARIAにもあって、原作者が好きなんでしょうけど、火星のネオ・ベネチアを舞台とした未来世界のARIAではともかく、リアル現代世界が舞台となっている本作ではどうなんでしょうかね。季節の移ろいと様々な行事を楽しむ通常の話と展開が違いすぎたのと、展開の割にオチがかなりしょぼいのでそのギャップがどうも。正直あんまり面白くなかった。ファンタジー風味は「伝説の漆黒の人魚」ぐらいで良かったんじゃないですかね。


17歳声優井上喜久子にBBAを振っていたり(66歳設定にしては老けすぎているのは、長年潮風に当たっていたせいか)、その旦那(伝説の漆黒の人魚)が杉田智和だったりというのは笑えますが、BBAの若き日の姿が現在と違いすぎてそっちも笑えます。どうしてこうなった?



基本光と双葉の百合百合しいストーリーなんですが、「グランクレスト戦記」のマリーネを見た後で「あまんちゅ!」の双葉を見ると、同じ声優が演じているとは思えませんね。声優がすごいというべきか、茅野愛衣がすごいというべきか。光の妹のこだま(新幹線かよ)、その友達のことり(加隈亜衣)も入学してきて、次の年度はダイビング部もいっそう賑わいそうですね。これは三期まったなし。


一期ではOPを歌った坂本真綾が二期ではEDを歌っています。代わってOPを歌うのは鈴木みのり。この人、「カードキャプターさくら クリアカード編」でも第二クールのEDを歌っており、思い返せば「ラーメン大好き小泉さん」のOPも歌っていました。声優よりも歌手志向?


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