2018年春季アニメの感想(その5):ゴールデンカムイ/踏切時間/銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅

梅雨が明けたらいきなり猛暑。早い、早いよスレッガーさん。せめて大暑の頃からくらいにして欲しいのですが。それにしても寒さも暑さも押し寄せるのが早くなってきましたね。その分春と秋が短くなっているような。これも温暖化の影響なんでしょうか。何でもかんでも温暖化のせいで片付けてはいかんような気もしますが。

こう暑いと春季アニメの感想でもないような気もしますが、貯まっちゃっているのでとっとと放出せねば。まずは「ゴールデンカムイ」。物語は全然終わっていないのですが、二期は10月からということなので1クール分を。

明治40年前あたりの北海道で、アイヌが秘蔵していたという金塊を探す不死身の杉元とアイヌ人少女アシリパ。この金塊を求めているのは彼らだけではなく、陸軍第七師団の鶴見中尉一派、戊辰戦争で死んだはずの土方歳三を中心とする江戸時代の亡霊一派が、冬の北海道内で三つどもえで抗争します。

原作でいえば7巻の半ばくらいまで進みました。既刊14巻でなお連載中なので、おそらく2クール目を終了しても物語は終わっていないと思われます。いずれ3クール目を制作するのか、2クール最後でオリジナルの結末を迎えるのか。基本シリアスに展開されるのですが、折々ギャグが入ってきてそのバランスが秀逸です。基本クールな杉本がアシリパやアイヌを相手にするとギャグののりになるのが面白いです。さらに通称「脱獄王」の白石由竹がとにかくギャグ要員として優秀で、彼が出てくると基本笑えるという。でも土方一派とも接触していたり、一筋縄ではいかない人物です。

「サムライスピリッツ」シリーズのナコルル以来のアイヌ人ヒロインであるアシㇼパが10代前半という若さにもかかわらず狩りの達人で、北海道の自然とアイヌ文化を紹介する案内役を兼ねています。特に料理を作って杉元や白石に振る舞うことでアイヌの食文化を教授していきます。

危険になると白銀の毛並みを持つレタㇻが駆けつけてくるあたり、やはりナコルルに似ています(あっちは確かシクルゥという狼でした)。ただ、ナコルルは絶対やらない顔芸を乱発してしまうアシㇼパさん。これが若さか…

アイヌ料理は生食が多いようですが、そこは慣れない杉元達和人に配慮して煮たり焼いたりしてくれます。「ヒンナ、ヒンナ」は本来感謝という意味のようですが、杉元と白石は「こいつはヒンナだぜ」と、ほぼ「旨い」という意味で使っています。

声優さんもいい感じでキャスティングしている中、大原さやか演じる家永カノにはぶっとびました。色っぽい美女にしか見えませんが、実は女装した老人医師であるという。そればかりではなくホテルを乗っ取って宿泊客を餌食にしていたというとんでもないキャラで、なんちゅう役を…なんちゅう役を大原さんに充てるんや……いいぞ、もっとやれ(笑)。

あと能登麻美子が演じる謎のアイヌ人占い師インカㇻマッ。こちらは本物の美人なので能登さんにぴったりですが、顔に傷がある男性が好きだと、杉元に気がある素振りを見せ、アシㇼパにやきもちを焼かせていました。競馬レースの予想をことごとく当てていましたが、占いの能力は本物なんでしょうかね。敵か味方か正体不明のまま去ってしまいましたが、きっと2クール目にも登場するでしょう。というか能登キャラはぜひ登場して欲しい。


鬼の副長こと土方歳三のみならず、永倉新八まで登場しますが、永倉は1915年(大正4年)まで生きていたのでまあ問題ないかと。ついでにやはり同時期まで生きていた斉藤一も登場させたらいいのに。ありし日の新撰組においては、沖田総司、永倉、斉藤で三強だったらしいので、永倉と斉藤が揃えば副長も安泰。

続いて「踏切時間」。5分枠のショートアニメでしたが、ちゃんと主題歌「トマレのススメ」があるという。サビの部分だけでしたが、むしろそれが良かったような。踏切待ちで足止めされる人たち(若者中心)の日常を描いたオムニバス形式のショートストーリーで、原作はいくつものシリーズで構成されています。アニメは各シリーズの紹介という感じでしたが、何本かは続編も描かれました。


個人的には前後編だった「都電こころ状」が好き。若き日に片思いしていた女の子(雪子さん(仮))が、二十数年を経てそのままの姿で現れるという。まあ雪子さん(仮)の娘だったというオチでしてが、似すぎだろう。また二十数年を経たらやはりそっくりな雪子さん(仮)孫娘が登場するのでしょうか。人生の折節にいつも同じ姿で現れる美少女…ミステリアスでいいですね。


アニメに描かれなかったシリーズも多数ある模様。個人的には「二人の青春」シリーズとか「真島さんはエロい」シリーズをもっと取り上げてくれても良かったような。特に真島さんは見た目に反して気さくなので、田西も痴漢まがいにのぞき込んでばかりいないで親しくなればいいのに。

今回最後は「銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅」。何しろ本編10巻、外伝4巻の長編なので、最初のアニメ化(通称石黒版)は本編110話、外伝52話で制作されました。これを1クールはさすがにどうにも無理だろう、せめて2クールはやるだろうという私の考えはあっさり裏切られ、1クール12話でまさかの終了。いや、全然終わってないのですが。

来年、セカンドシーズン「銀河英雄伝説 Die Neue These 星乱」が全国の映画館でイベント上映予定で、全12話を3回(3章)に分け上映するそうですが、それでも終わらないんじゃなかろうか。数年かけて制作していく計画とか?

原作はずいぶん昔に面白く読んだわけですが、この年になってアニメを見て思うことは…まあ作者も若かったのねということでしょうか。ラインハルトとヤンを引き立てる必要があるからかも知れませんが、周囲の、特に仲間ではない連中の無能ぶりはちょっと異常なほどです。門閥貴族の専横がはびこる腐敗した帝国ではまあ仕方がないところもあるんですが、そのアンチテーゼとして建国されたはずの民主制の自由惑星同盟の人材がまたひどい。もはや人罪。

特にアンドリュー・フォーク准将。どうしてこんな小僧が出世するシステムになっているのか。戦争中がら、シャアみたいに戦場で多大な功績を挙げたからとかならまだわかるんですが、ただの意識高い系で絶対前線に出ないタイプだし(出ても戦功は無理)。旧作では古谷徹が演じていましたが、「笑っていいとも!」に出演した際に、「今まで声を演じた中で一番嫌いなキャラクター」だとして「思い入れが全くない」と発言していますが、そりゃあそうでしょうね。今回は神谷浩史か…合掌。いくらなんでもここまでひどい人物が将官クラスまで出世しないだろうと思いますが…まあ某国ではかつて、“下士官兵は世界一優秀だが、高級指揮官はアホ”だったそうですがね。まあ指揮官より大勢いる参謀の質が問題だったという説もありますけど。

ラインハルトよりもヤンの方が好きなんですが、ヤンサイドの話にはヤンの仲間以外はとにかくクズばかり出てくるのが苦痛で。一方ラインハルトサイドでは、ミッターマイヤーとかミュラーといったお気に入りの将軍達の活躍がほとんど描かれていなくて。まあとにかく短すぎたということなんでしょうね。

戦闘シーンはCGとかの性能向上によりグラフィックが向上。ただし艦砲射撃と艦載機の攻撃がほぼ同時に実施されるという、「艦これ」でもない光景には絶句しますな。艦砲の射程外で敵を発見して艦載機発艦、攻撃じゃないと。

いっそキルヒアイスが死ななかったら、とかヤンが死ななかったらといったIFストーリーや、ラインハルト没後の世界を描くといった続編制作とかどうでしょうかね。或いはアンネローゼンがやたら政治的野望を抱くとか。ラインハルトの姉なんだから、実は弟以上の才能の持ち主だったとしてもさほど不思議では。

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