記憶に残る一言(その96):002のセリフ(サイボーグ009 地下帝国ヨミ編)

あっという間に6月ですね。今年は猛暑の予感ですがその前にまず梅雨ですね。5月はアメフトの悪質タックル問題に終始したという感じですが、日本でアメフトがこれくらい脚光を浴びたのは初めてではないかと。でもこんな注目のされ方はプレイヤーや古参ファンに取っては不本意この上ないでしょうが。反則した選手よりも、監督・コーチから日大当局そのものに批判が波及していって、その炎上ぶりはぜひ危機管理上他山の石にしたいところでしょう。だいたい日大に「危機管理学部」があるってのがまたね。

“「オールハザード・アプローチ」の視点で、多様な危機を理論と実践の両面から追究します。”と学部長さんは言っていますけど…自分の大学の危機は管理できなかったんですね。もっとも日大は日本最大の規模を誇る総合大学と言われますが、実態は学部ごとにキャンパスが異なっており、カレッジ(単科大学)の複合体みたいな大学なので、学生が日大生としての一体感を持っているのかどうかはよくわかりません。就活生は今回の問題でいろいろ苦労しているとか伝えられていますが、ぜひ人物本位で採用して貰いたいものです。もっとも大学首脳部が果たして人物本位で選ばれているのかどうかは疑問ですけどNE!(笑)

本日は先週に引き続き「サイボーグ009」から「記憶に残る一言」です。今回は脇役の002のセリフです。最初は「週刊少年キング」に連載された本作は、編集長の交代などにより、前回紹介した「ミュートスサイボーグ編」で事実上打ち切りになりましたが、この不本意な終わり方をみた「週刊少年マガジン」が。“真の結末”を描いて貰うために執筆依頼したことで実現したのが「地下帝国ヨミ編」でした。ブラックゴースト団との最後の戦いが描かれており、ストーリー的には完結しているので、ここで終わっておけば未完結作品とはならなかったはずなんですが…

地球には地底世界があり、そこには地上の人類と同じ種の人間(プワ=ワーク人)のほか、凶暴なルタール原人やプワ=ワーク人を捕食するザッタンと呼ばれるリザードマン、そして恐竜などが棲息しています。ベルヌの「地底旅行」を彷彿とさせますが、この世界を発見したブラックゴーストは、ザッタンを追いやって支配者として君臨していますが、ザッタンは支配権奪還を虎視眈々と狙っています。

こうした中、00ナンバーのサイボーグ達はザッタンに利用されたりブラックゴーストの罠に導かれたりしつつ地下帝国の中心部に向かっていきます。いろいろあって後、009達がブラックゴーストの基地に潜入するころ、ザッタンたちがブラックゴースト基地に総攻撃をかけてきます。ブラックゴーストの魔神像(巨大ロボット)が起動し、熱線によってザッタンたちは全滅しますが、ブラックゴーストの総統スカールは、地下帝国を水爆で破壊して、魔神像で脱出しようとします。魔神像は地上と直結する穴を通り成層圏まで飛び上がります。

ここで001の超能力が発動。全員を地上に、そして009を魔神像の中にテレポートさせたのです。気がつくと魔神像内部にいた009はすぐに状況を把握し、死ぬ覚悟を決めて魔神像を内部から破壊します。その際にはブラックゴーストの総統の正体を見ますが、それは3つの人間の脳髄でした。

一方助かった他のメンバーですが、009だけが宇宙にいると知り、003は号泣。それを見た002が、001の制止も聞かずに助けに向かいます。空を飛べるのは002だけなのでやれるのは彼しかいない。ちなみに002は両脚部に埋め込まれた飛行ユニットによりマッハ5で空中を自在に飛ぶことができるほか、意外に知られていませんが加速装置を持っています。009は00ナンバーサイボーグの集大成ですが、最大の武器となっている加速装置は002から継承していることになります。しかし主人公を主人公らしく活躍させるためか、初期以外で加速装置を使う描写はほぼなくなり、加速装置を使って高速移動する009に、もっぱら空を飛んで追随することになります。


新昭和版アニメを放映していた頃、アニメ雑誌で「どうして002は加速装置を使わないのですか」という質問があり、監督か誰かが「空を飛んだ方が早いため」とか答えていたのを覚えています。原作では002の加速装置の方が性能が高いことになっていましたが、平成アニメ版では002の加速装置は初期型で性能的に009のものに及ばないという設定になりました。それにしても最初期のサイボーグである002に加速装置を搭載したあたり、ブラックゴーストは当初から加速装置に兵器としての価値を見いだしていたのでしょう。

まあ002は加速装置に高速飛行ユニットまで搭載したのでボディの軽量化が必要になり、その分強度の面が犠牲になっているので結構やられ役になってしまっています。一方009は加速装置だけの搭載ですが、005譲りの強靱な皮膚も持っているので、基礎能力と汎用性が高く総合性能ではやはり一番かと。それ故に常に冷静沈着で正確な判断を下す001に“犠牲”に選ばれてしまった気もしますが。

009は宇宙に出た魔神像を内部から破壊し、爆発・飛散して地上に落下する魔神像の破片の中から002が009をキャッチします。しかし002としてもこれはかなり無理をした飛行だったらしく、ここでエネルギー切れということに。


自分を離して君だけでも助かれという009ですが、それじゃ何しに来たのかわかりません。002は死ぬときは一緒だと約束したじゃないかと。

002の無駄死を激しく拒否る009ですが、もう遅い。大気圏突入です。ゼ、009。ゼロゼロナンバーサイボーグには大気圏を突破する性能は無い。気の毒だが…

ここで登場するのが002の名台詞。009はどこに落ちたいのでしょうか。やはり003達のいる場所あたり?


だが無駄死ではないぞ、とシャアなら言いそうな展開に。摩擦熱で燃え尽きようとしている二人を地上から見つめる姉弟が。彼らはすっかり流れ星と誤認しています。弟の方はおもちゃのライフル銃が欲しいという欲にまみれた祈りをしたらしいですが、姉の方は世界に戦争がなくなりますように、世界中の人が仲良く平和で暮らせますようにと祈りました。天使かあなたは!

ということで、002と009の二人の犠牲と共にブラックゴーストは滅び、女の子の純粋な願いと共に物語は完結した訳ですが、読者から抗議や「ジョーを生き返らせて」との要望が殺到することとなりました。そのため、その後も掲載誌を変えて新作が発表され続けることになったのです。このあたり、「最後の事件」でシャーロック・ホームズが死んで物語は終わったのに、世間が大騒ぎになって読者から抗議や非難・中傷の手紙が多数送られたコナン・ドイルが、「空き家の冒険」でホームズを復活させたのに似ていますね。もっともホームズの復活には約10年かかったのに対し、009は翌年には復活していますが。

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